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1.経済の明るい兆し
4月27日、岸田総理は28日投開票の衆院補欠選挙で自民党候補の応援に島根1区に乗り込みました。
この日、岸田総理は松江市で街頭演説を行い、「私たちは覚悟を決めて党を変えていかなければならない」と述べ、午後6時22分には自身のXを更新し、街頭演説の写真を投稿。「いま日本においては30年ぶりに経済の明るい兆しが出てきました。大企業だけではなく中小企業、そして地方、農林水産業、介護、福祉、建設等様々な分野で幅広く賃上げを広げていかなければならない」と投稿し、自民候補をアピールしました。
ところがこの投稿が大炎上。
「ズレてるなあ」「30年間も何をしてたんですか?」「明るい兆しところかお先真っ暗」「明るい兆し?どこだ?」「こんなに円安なのに明るいの?」「実質賃金が下がる一方です」「円安で国民の貯金は毎日価値が減っています。どうするんですか?」「明るい兆しは上級国民だけですよね?」「世の中は明るい兆しどころか日に日に地獄なんだが?」など、怒りのリプライが殺到。
投稿から3時間足らずで4000件を超え、28日9時45分現在では9700件を超えています。
岸田総理は21日にも、島根入りして、安来市で開かれた自民党の「政治刷新車座対話」に出席しています。
対話で岸田総理は冒頭、裏金事件について「国民に大きな政治不信を招いた」と陳謝「信頼回復を果たさなければならない。強い覚悟で臨む」と理解を求めたのですけれども、参加者からは「党員として恥ずかしい気持ちでいっぱいだ」と苦言を呈されました。
報道ではこの程度なのですけれども、ジャーナリストの山口敬之氏によると、現場記者に聞いた話として、岸田総理は、裏金問題について、なぜ自分は無罪放免なのか、と強く糾弾されたのだそうです。
いま日本においては30年ぶりに経済の明るい兆しが出てきました。
— 岸田文雄 (@kishida230) April 27, 2024
大企業だけではなく中小企業、そして地方、農林水産業、介護、福祉、建設等様々な分野で幅広く賃上げを広げていかなければならない。
そのためにも島根一区補選【にしこりのりまさ】さんを国政に送り込んで下さい。#逆転のにしこり pic.twitter.com/q4HQpYx2PV
2.円安ではなく円弱
GWに入って、空港は海外旅行へと旅立つ人々で溢れたそうですけれども、このところの円安が彼らに打撃を与えています。
ロサンゼルスへ向かう女性3人組は、スーツケースに飲料水を詰め、節約旅行。一足先にハワイ入りした人によると、最初に食べたハンバーガーの値段は2つで約6500円。ケチって飲み物はつけなかったそうです。
ならわざわざ高い海外に行かなくてもよいのにと思いきや、実はハワイは穴場になっているのだそうです。
なんでも、GWのハワイ旅行の飛行機の座席が余ってしまっていて。その空席を埋めるべく、各航空会社が値下げ販売している状況なのだそうです。例えば、4月26日時点で、5月4日からの成田空港発ハワイ5日間のツアーが15万9800円、羽田・ホノルル往復¥102,000などという破格の値段で販売されているようです。
旅工房広報の間野恵理香氏は、ゴールデンウイーク直前になって、2000~3000円から最大4万円ほど安くなったツアーもあるとコメント。旅行アナリストの鳥海高太朗氏は「日本はもはや後進国」と指摘しています。
2023年の日本の経常収支を見てみると21兆3810億円の黒字にも関わらず、円高どころか円安が止まりません。これについて、元日本銀行理事 早川英男氏は「日本企業の海外現地法人で儲かった分は日本に送ってくるわけじゃなくって、向こうで貯めている。帳簿上日本の黒字になっているだけで日本にお金が返ってくるわけじゃない……実はデジタル関連のサービスの赤字に驚いている……インバウンドが再開するのでサービス収支は、かなり良くなるだろうとみんな思っていたら、実はあんまりよくならず、デジタル関連の赤字の拡大が猛烈な勢いで進んでいる。クラウドの使用料とか、AIの使用料……。TBSだっていっぱい払っているでしょ。それがびっくりするスピードで増えている……」と、述べています。
要するに、日本企業が海外で稼いだ黒字は、成長力のある海外で再投資に使われ、或いは内部留保に回されて日本に返らないという訳です。
更に早川氏は「確かに日本企業は前向きになってきた。賃上げしたり設備投資したり……。でもね30年間サボってきた後なんですよ。だから例えば"DXやるぞ"って言ったときにはアメリカのプラットフォーマーに沢山お金払わなきゃならない。脱炭素をやろうとするとソーラーパネルも風力発電も、ほとんど中国から買わないといけない。遅れたものを取り戻そうとすると赤字になっちゃう。前向きに気持ちが変わったのはいいんだけど、30年間サボった後なので足腰が弱ってしまっている……」と、失われた30年で、イノベーションを生み出す改革を後回しにしてきたツケがデジタル赤字の拡大を生んでいるというのですね。
こうした状況に対し、「円安」ではなく「円弱」だという指摘もあります。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長の堤伸輔氏は「長いこと"円弱"政策を続けたことが日本を後進国にしてしまっていると思わなければいけない。今、日本は半導体で世界の最先端に戻っていきたい、日の丸の半導体を作りたい、でもそのためにはアメリカの大学に行って最先端の研究をしなければいけないわけですけど、その人たちが例えばカリフォルニア大学は1年間授業料だけで680万円かかります。外国人の理系の学生が、例えば修士課程に入ろうとしても行けないですよね、よほど家庭が裕福であるとかでないと。将来の研究者も育てられなくなっている。それはこの先の国力を今の"円弱"が損なっているということになります」と指摘しています。
3.崩れる財界シナリオ
ここまで円安ならぬ円弱となると、かつては"出稼ぎ"に日本に来ていた外国人労働者も来なくなってきています。
東京・新大久保の送金所では、アジアの各地から働きに来た外国人労働者が、給与として受け取った円を、自分の国の通貨に換えて家族らに送金しているのですけれども、あるネパール出身の女性は「日本のお金がめっちゃ安くなりました。こちらから送ったら少なくなっちゃって……気持ちが沈んじゃう……。前は10万円送ったら母国に11万ネパールルピーくらい届いた。今は10万円送っても8万6000ネパールルピーくらいかなぁ。前とは全然違う、結構大変です」と述べています。
また、バングラデシュ出身の男性は「日本よりバングラデシュのお金が強い、レートが違うから……。去年より今年はもっと下がりました。それで私たち困るみたいです。心配しています。もっとレートが下がるともっと心配」と語り、別のバングラデシュ出身者は「日本円が下がっているから……、なんか給料も安いし、給料そんな上がらないなら他の国が良いかなぁと……、色々考えている。アメリカかオーストラリアか、色々今考えていますから……私の友達たちも色々考えている……。(―――既に日本を離れた人もいる?)結構います。アメリカとか行った人結構います」と日本を捨てる外国人労働者も出てきているのですね。
これについて、経済評論家の加谷珪一氏は、「これはかなり深刻だと…。日本が選ばれないようになると、経済界は外国人労働者を頼りにして人手不足を乗り切ろうとしているわけですが、この中期的シナリオが崩れる」と指摘しています。
4.日本国民ファースト
今年2月、政府は従来の外国人技能実習制度1~3号を廃止し、新たな外国人雇用の制度として「育成就労制度」を創設する方針を固めました。
これは、従来の技能実習制度が国際貢献人材育成を目的としていたのに対し、人材確保と人材育成を目的としており、基本的に3年間の育成期間で特定技能1号の水準の人材に育成するとしています。
この育成就労制度が新たに導入されれば永住許可を得る外国人の増加が見込まれるとして、自民党が永住権許可の「適正化」を求めたところ、出入国在留管理庁は、故意に税金の未納や滞納を繰り返すなどした場合、資格を取り消せるように在留資格制度を見直す方針を固めました。
出入国在留管理庁は、永住者になっても故意に税金や社会保険料の未納や滞納を繰り返した場合や、窃盗などの罪で1年以下の懲役や禁錮になった場合は永住許可を取り消すか、ほかの資格に変更できるようにし、在留カードの不携帯など入管難民法違反の場合も対象になります。刑罰についても1年以下の懲役でも対象になり、執行猶予がついても除外されないとするようです。
更に義務を果たさない場合は、地方自治体などの職員が出入国在留管理庁に通報する制度も設けるとしています。
在留期間や就労分野に制限がない永住者は、昨年6月末時点で約88万人。在留外国人の約27%を占めていますけれども、弁護士の駒井知会氏は「急病や失業で税や社会保障を払えなくなったケースでも、払う義務をあることを知っていれば法律的には『故意』とみなされる。うっかり在留カードを家に忘れることもありうる話で、相当厳しい法律になる」と指摘しています。
ただ、円安で「出稼ぎ外国労働者」から日本が選ばれなくなっている状況で、それでも日本に来る人達は、余程貧しい国の出身になるであろうことは容易に想像できます。
となると、この税金未納や滞納による永住権取り消し、強制送還になるケースは結構増えてくるのではないかと思いますし、逆に不法滞在者が増えてくることも考えられます。
川口市のクルド人問題をみても、不法滞在者、外国人犯罪者の対策をもっと考える必要があると思います。
先程、経済評論家の加谷珪一氏が、外国人労働者を頼りにして人手不足を乗り切ろうとしている経済界のシナリオが崩れる可能性があると指摘していることを紹介しましたけれども、外国人労働者が来ないということは、裏を返せば、日本国民を大切にしなければならなくなることを意味しています。
これまで、外国人労働者を安く使うことで人件費を浮かせてきたのがそうもいかなくなる。メリットがあるとすれば、これが日本国民ファーストの切っ掛けになることを期待したいですね。
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