衆議院補欠選挙と政局

今日はこの話題です。
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1.補選全敗


4月28日、衆議院東京15区、島根1区、長崎3区それぞれで補欠選挙が行われました。

結果は御存知の通り、3選挙区とも、立憲民主党の候補者が勝利し、自民党は、候補者擁立を見送った選挙区を含め、議席を失いました。
自民党は、東京15区と長崎3区で候補者の擁立を見送り、唯一、与野党対決となった島根1区では、選挙戦最終日も岸田総理と立憲民主党の泉代表が応援に入るなど、総力戦が展開されました。

けれども、保守王国島根1区は、立憲民主党の元議員、亀井亜紀子氏が2回目の当選を果たしました。

過去最多の9人による争いとなった東京15区は、立憲民主党の新人、酒井菜摘氏が初当選。野党候補2人の争いとなった長崎3区では、立憲民主党の前議員、山田勝彦氏が2回目の当選を果たしました。

一方、投票率は島根1区が54.62%、東京15区が40.70%、長崎3区が35.45%で、いずれもこれまでで最も低くなりました。


2.期日前出口調査


一部で注目された東京15区ですけれども、「日本保守党」から立候補した麗沢大客員教授の新人・飯山陽氏は2万4264票を得て4位に食い込みました。

飯山氏は既存政党を批判しつつ、日本保守党代表で作家の百田尚樹氏や共同代表の河村たかし名古屋市長らの知名度を生かし、主に保守層をターゲットにした選挙戦を展開したのですけれども、及びませんでした。

飯山氏は、事務所で「力が及ばなかった。それだけのことです……私たちの陣営は一番多くの有権者の方に聞いていただけた。それは間違いなくあると思う……なぜ負けたのかというと、それはもう私達には組織がなかった、その一言に限られる」と敗因に組織力の無さを挙げています。

この結果に、産経記者の三枝玄太郎氏は自身のチャンネルで次のように述べています。
28日、衆院補選の東京15区、島根1区、長崎3区の投開票が行われ、3選挙区全てで立憲民主党の候補が勝ちました。岸田内閣は追いつめられましたが、有力な次期総裁候補もいないといわれており、いよいよ自民党自体が崖っぷちに立っていると言わざるを得ない状態になっています。

さて飯山陽さんですが、28461票を獲得し、4位でした。しかし、ひろゆき氏や小池百合子・東京都知事の応援を得た乙武洋匡氏よりも上位ですし、今後決して無視できない存在になったと思います。日本保守党は。そして、飯山氏が江東区に今後、どれだけ根を張った活動ができるかが、今後の日本保守党の動向を左右することになる気がします。

飯山氏は告示前は3~4%という泡沫候補的な扱いでしたが、NHKが行った期日前投票の出口調査では何と立憲民主党の酒井菜摘氏に次いで2位でした。これは追い風が少しでも吹けば、当選を十分狙える圏内にいたことを意味します。一方で投票率が40・70%と過去最低レベルだったことも痛かったと思います。ただ、酒井氏に追い風が吹いているようには見えませんでしたが、チラシを受け取る人の割合が非常に高かったことからみても、組織票だけではなく、自民党の批判の受け皿になっており、「お灸を据える」ための存在として、消去法で選ばれたのかな、と思いました。

飯山氏は支持政党なしの浮動票からは3位の票を集めました。1位は酒井菜摘氏でした。もう少し肉薄したかったところですが、地元出身で知名度の高い須藤元気氏にかなり票を取られた感じがします。

今回の選挙で印象的だったのは、玉木雄一郎さんです。玉木さんとはX(旧ツイッター)で相互フォローをして頂いているのですが、再エネ政策に批判的な立場をとった玉木さんを絶賛した一方で、東京15区補選で反原発、再エネ推進を標榜する乙武洋匡氏の支援に回ったときは、「整合性がない」「センスがない」とかなりボロカスに書いた覚えがあります。その玉木さんが乙武さんの応援演説に来て、その後、豊洲の聴衆と握手をして回りました。そのとき、僕の近くに来たので「玉木さん」と声をかけたら、ちょっと顔を引き攣らせたような気がしましたが(笑)「おお~っ」と言って、握手をしてくれました。玉木さんは初出馬のときこそ落選しましたが、その後は5回連続小選挙区で当選しています。僕は、かなり玉木さんにとっては不快な投稿をしたとは思いますが、近寄って握手をしてくれた際は、玉木さんの人柄を見た思いがしました。耳に痛い指摘をされても、拒絶しないところに玉木さんの選挙の強さの秘密を見た気がします。
三枝氏は投票率の低さも影響し、組織票がものをいったとしつつも、須藤元気氏がかなり票を取ったこと、飯山氏が期日前投票の出口調査で2位になっていた点を指摘しています。




3.日本を腐らせているのは無関心な有権者


ネットでも、総括というかいろいろな分析書き込みがありますけれども、東京15区については次の書き込みの見方が大体のところかなとおみます。
東京15区の最終結果をみて思った事。
・都ファはオワコン
・無党派層は立憲と須藤元気に流れた
・須藤が謎。以外とまだ人気なのか?
・公明は結局、半分が乙武票に
・公明の影響力も低下したな
・今、解散すると立憲有利
・出口調査でNHKは飯山氏より乙武の方を上にしていた事になるw(あくまでも出口調査の結果だと言い張るだろうが悔しかったのでしょう)

あくまでも有権者はパー券問題しか見ておらず、パー券問題が、後を引いているって事。派閥抗争の結果が自民党を滅ぼした。
ここでは、須藤氏に票が流れた理由が分からないとしていますけれども、前述の三枝氏は須藤氏に票が流れた理由として、思想的には極左になるが、地元に根を生やした人であることから、消去法で最後に残ったのではないかと推測しています。

また、元通訳捜査官の坂東忠信氏は次のように投稿しています。

この結果をパッと見てわかるのは…

❶日本を壊しているのは、理想主義的で非現実的な政治。腐らせているのは無関心な有権者。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240428/k10014435881000.html

❷「保守票を割るな」と言われましたが、それ以前に飯山さん吉川さんの得票合わせても酒井さんの三分の二にもなっていない=保守が大同団結しても届かない。

次の衆議院解散選挙は、保守系の政党・発信局・各団体のリーダーが我を折って、最低限必要な「保守の要件」でまとまる決意をして欲しい。

その上で、ですよ。
みんなで政治的関心を盛り上げるため、
●保守各団体が「統一」ではなく調整調和して
●失政の具体的な原因と対策を超わかりやすく提示
●投票に行くべき雰囲気、行かなきゃ恥ずかしい世論を作り
●保守を自認する各人も「小異」の分裂や対立を避け「大同」で力を合わせる。

…それでも難しいってことですよ。

でも今そうしないと、この状態は更に悪化するよ。衆参議員入れ替わるまで10年はグダグダし続けるぞ。

そうなりそうな気がしてるから「そうなる」と書いてあるので日本はだけはそうならないようこの本を書いたんですよ。
http://x.gd/AMElF
神様でてくるけど、宗教本じゃないよ。

日本人がまとまりゃ力が出るから日本だけでもこの流れから外すために書いたんだよ。でも、そのとおりの流れになっているから、ぜひ読んでほしいのです。
「日本を壊しているのは、理想主義的で非現実的な政治。腐らせているのは無関心な有権者」という指摘は的を射ているのではないかと思います。





4.政局への影響は


では、今回の結果は与党にとってどう影響するのか。

これについてNHKは記者解説として次のように述べています。
Q.自民議席を失い立民は3勝。全体の結果をどうみるか。
A.自民党の派閥の政治資金の問題に対する強い批判があらわれた。自民党は、2つの選挙区で候補者を擁立できず、残る島根1区に総力戦で臨んだ。連日幹部が入ったほか、岸田総理も27日に急きょ現地に入って逆転を呼びかけたが、厳しい情勢は変わらなかった。選挙戦のさなか、ある与党議員が「政治不信のマグマがたまっている状況だ」と話していたのが印象的だった。一方の立憲民主党、泉さんが代表に就任してから国政選挙で初めての勝利。しかも3つ全てで勝ち、自民党への逆風をしっかりと支持につなげた。

Q.島根1区の勝因と敗因。どうみるか。
A.自民党への批判が直撃した。NHKの出口調査、投票する際に政治とカネについて考慮したか尋ねた。「考慮した」人は76%。このうち、およそ70%が亀井さんに投票したと回答した。亀井さんは今回、ほかの野党の支援も得た、いわば、野党統一候補。自民党への批判票の受け皿づくりに成功した形だ。一方の錦織さん。自民支持層はおよそ70%にとどまった。公明支持層も50%台後半どまり。いずれも前回より低くなり、亀井さんに一部を切り崩されたということになる。実際、自民支持層のおよそ30%が亀井さんに投票したと答えている。

Q.東京15区の勝因と敗因。どうみるか。
A.酒井さんは、立憲民主党支持層の80%あまり、共産党支持層の70%台半ばから支持を得た。さらに、無党派層は最も多い30%あまりを固めた。候補者の擁立を見送った自民党支持層の票は特定の候補に集中せず、維新の会の金澤さん、無所属の須藤さん、諸派の飯山さん、無所属の乙武さんらに分散。酒井さんが抜け出す結果となった。

Q.与野党の受け止めや反応は。
A.自民党内はある程度覚悟はできていたかもしれないが島根1区の結果は衝撃。島根は保守王国。小選挙区制の導入以降、島根県は全国で唯一、自民党が選挙区の議席を独占してきた。それだけに、自民党内では、次の衆議院選挙がいつあってもいい時期に入っているので厳しく受け止めざるを得ないと思う。立憲民主党の泉代表は「政治改革を前に進めるために極めて大事な戦いだ」と強調してきただけに、これを追い風に国会でさらに攻勢を強める構えだ。

Q.政局への影響は。
A.政権にとってダメージなのは間違いないところか。取材をしていると、選挙基盤が不安定な中堅・若手を中心に「岸田総理で次の衆院選は戦えないのではないか」という声も。一方で、ある政権幹部は「岸田総理の責任論にはならず、政治資金規正法の改正を実現しなければならない」と話していて、当面、政策課題を優先するものとみられる。岸田総理の総裁としての任期は9月に満了し、衆議院議員の残りの任期が1年半。岸田総理は党内の状況を慎重に見極めながら、総裁選挙と衆議院の解散への対応を検討していくことになる。
この解説を見る限りでは、すぐの岸田降ろしは起こらなそうに見えます。

もっとも、ジャーナリストの鮫島浩氏は、もし1勝でもすれば岸田総理は調子に乗って解散するかもしれないと危惧した自民党執行部は、それを阻止するためにわざと負けるように手を抜いたとし、岸田降ろしは既に始まっていると指摘しています。




5.解散か内閣改造か


けれども、補選とはいえ、国政選挙3敗は無視できるものではありません。

ただ、岸田総理は3敗することを想定した上で、手を打っているようにも見えます。

4月25日、自民党が所属国会議員に年4回支給する「支部政党交付金」について、7月分の支給時期を同月末から6月に前倒しすると通知したことが明らかになりました。

通知は岸田総理と茂木幹事長の連名で、それによると、交付金200万円に加え、夏の活動費(氷代)を通常の200万円から300万円に増額し、合わせて500万円を支給。更に4月分の交付金も300万円に増額するとしています。

増額の理由について「パーティー収入の減少などを鑑みた」と記し、派閥裏金事件の影響を考慮したと説明しているとのことですけれども、補選の全敗を想定し、執行部の求心力を高めるためと見ることもできます。

また、党関係者によると、国政選挙を控えた時期などに増やすことがあるそうで、6月の今国会会期末に合わせた衆院解散も取り沙汰されています。

一方、解散ではなく内閣改造ではないかという見方もあります。

今年のGWでは、岸田内閣の閣僚はこぞって外遊を行います。岸田総理を始め13人の閣僚が出張するとのことですけれども、これについて、4月27日、ジャーナリストの佐藤章氏は「なぜ外遊ラッシュなんだろうか? その秘密をぼくは聞いている。もちろん自腹ゼロで全てファーストクラス、超一流ホテル。慣例で出発前には官房長官室に。官房機密費からせんべつ名目で大臣クラスは100万円以上、陣笠は数10万円。「内閣改造前に行っとくかあ」となるよね」とツイートしています。

佐藤氏は「秘密を聞いた」とのことですけれども、これが本当であれば、閣僚は内閣改造を聞かされている或いは、そう思っているということになります。

ただ、今の状況で、内閣改造したところで、支持率が上がるとも思えませんし、ただの時間稼ぎにしかならないと思います。秋の総裁選で岸田降ろしになるのか。あと数ヶ月となりました。





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