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1.日本は外国人嫌いだ
アメリカのバイデン大統領の「日本は外国人嫌いだ」発言が炎上しています。
これは、5月1日、首都ワシントンで行われたアジア系米国人支持者を対象にした政治献金集めのイベントでの発言です。
そこでバイデン大統領は次のように述べました。
ご存知のとおり、我々の経済が成長している理由の一つは、あなたたちとその他の多くの(アジア系や中南米系の)移民を受け入れているからだ。我々は移民の皆さんを歓迎しているからだ。
我々は、その理由に注目し、考えてみよう。
なぜ中国の経済がひどく失速しているのか。なぜ日本は問題を抱えているのか。なぜロシアなのか。なぜインドもそうなのか。
それは彼らが外国人嫌悪症(ゼノフォビア:Xenophobia)で移民を望んでいないからだ。木曜日に発表されたホワイトハウスの公式記録によると、彼らは移民を望んでいない
なぜ中国は経済的にこれほどひどく失速しているのでしょうか?なぜ日本は困っているのでしょうか?なぜロシアなのか?なぜインドなのか?彼らは外国人嫌いだからです。木曜日に発表されたホワイトハウスの公式記録によると、彼らは移民を望んでいない。
移民は我々米国を強力にしている。これはジョークではない。我々は外国人嫌悪症には罹ってはいない。
我々には流入労働者がいる。彼らは米国に来たがっており、米国に貢献したがっている。
この発言について、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の鈴木さとな講師は「日本人の外国人嫌悪症が経済成長を鈍化させているという指摘は薄っぺらで近視眼的だ…特に日中ロが抱える問題を十把一絡げで論ずるのは問題だし、最も近い同盟国を扱うやり方ではない」と述べ、また、ドレイク大学のメイ・マッカーシー教授も「最も重要な友人であり同盟国の日本とロシアや中国と一緒にしてはダメだ。日米両国は将来に向けた国際安全保障、経済的繁栄両面でお互いに必要としている……こういう発言はバイデン氏のジオポリティックス(地政学)のゴールには役立たない」と、敵対国である中国やロシアと同盟国の日本を同列に扱ったと批判しています。
更に、移民と経済成長の関係についても、嘉悦大学の高橋洋一教授は、「『移民が少ないから経済成長しない』に事実誤認と言ったらどうよ」、とツイートしています。
日本政府は3日までに外交ルートで「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」と反論し、日本の外国人政策や考え方も説明したそうですから、やんわりと事実誤認だと言っています。
発言への反発は他国も同じで、インドのジャイシャンカル外相は「そもそもインド経済は低迷していない。(インド滞在の)門戸を開く法律もある」と反論。在米中国大使館の報道官も「中国経済は健全で、持続的だ。もっと多くの国と往来を簡易にできるよう協力することを望んでいる」と反論しています。
これが答え合わせの図 pic.twitter.com/SRnHL9PDNf
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) May 5, 2024
2.釈明に追われるホワイトハウス
今回のバイデン発言はアメリカ国内でも炎上しています。
ブルームバーグは「バイデン大統領は3週間前、ワシントンで岸田文雄総理大臣を国賓待遇で歓迎したばかりだ……中国の経済的な苦しさと移民の受け入れを関連づけて指摘したことはあったが、今回はロシアだけでなく、長年の同盟国である日本も加えた……彼の批判は日本の反発を招くかもしれない」と批判しています。
2日のホワイトハウスの会見では、バイデン大統領の発言の真意を質したり、発言は不適切ではないかと尋ねたりする質問が相次ぎました。
カービー広報補佐官はバイデン大統領の発言について、「大統領が主張したのは、米国は移民の国であり、それが我々のDNAに組み込まれているということだ……ホワイトハウスの外部からは何の反応も届いていない。皆、意味について完全に理解しており、同盟国、パートナーシップの意義に価値を置いている」とも強調しました。
同じく2日、ホワイトハウスのジャンピエール報道官もバイデン大統領の発言が日米関係に悪影響を与える懸念について記者団に問われ、「移民がいかに米国を強くしているのかについて話していた。日米関係は重要で、民主的な価値や友情の絆を共有している」と、釈明に追われました。
では、バイデン大統領は、本当に日本を「外国人嫌い」だと思っていないのか。
これについて、バイデン大統領が今年3月にもスペイン語放送のラジオ局のインタビューで同様の発言をしていたことが判明しています。
このインタビューは、西部ネバダ、アリゾナ両州を訪問するのに合わせて収録されたものだそうで、11月の大統領選で接戦が予想される両州で、スペイン語を主に使う中南米系にアピールする狙いがあったとみられています。
放送記録によると、バイデン大統領は「日本人や中国人は外国人嫌いだ。ロシア人もそうだ。彼らはロシア人、中国人、日本人以外の人々にいてほしくないのだ。米国は移民の国だ。それが我々の国のあり方だ」と発言していました。
いくら、移民の貢献を強調したかったとはいえ、同じ発言を何度も繰り替えすということは、本音では「日本人は外国人嫌い」と認識しているのではないかと思わせます。
3.ゼノフォビア
バイデン発言について、日経新聞本社コメンテーターの梶原誠氏は、「残念ながらバイデン氏の発言は、日本通の米財界人の間で普通に言われていることです。米国を代表する企業のトップの顔ぶれを見ましょう。マイクロソフトやアルファベットにはインド出身者がいますしエヌビディアは台湾出身です。人種の多様化が米企業に成長をもたらした面があります。日本企業はこうではありません。ただし、日鉄のUSスチール買収を止めたり、ウクライナ支援への反感を強めたりと「外国人嫌い」を強めている米国から言われたくはありませんね」とコメントしていますけれども、もし、そうだとすると、バイデン発言はアメリカでは割と一般的な認識なのかもしれません。
ただ、「ゼノフォビア」とは、精神医学で定義づけられた病気のことで、自国人、同民族以外の人間を忌み嫌い、外国人を見ただけで恐怖心を感じる病のことを指します。そんな言葉を特定の民族に対して使ったことは、侮蔑と取られてもおかしくありません。
一方、ジャーナリストの高濱賛氏は、「ゼノフォビア」が直結しないまでも、移民受け入れ拒否の要因の一つだとして、次のように述べています。
トランプ氏は徹底した移民廃止主義者だが、対象となる移民は非白人国(アジア諸国、中南米諸国)からの移民。欧州からの移民は大歓迎だ。(3度の結婚もすべて欧州出身の女性ばかりだ)
バイデン氏の発言の狙いはむしろ、このトランプ氏のゼノフォビアからくる反移民スタンスに向けられたもの。日本批判は、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」だったかもしれない。
さらに外国人嫌悪症と移民政策との関連性についても、米国のように毎年、5000万人の移民を受け入れる国でも必ずしも外国人の大量流入を歓迎しているわけではない。
トランプ氏と同氏を支持するトランプ・カルトは過激な外国人嫌悪症患者だ。(始末に悪いのはアジア系やラティーノ移民を特に忌み嫌っている点だ)確かにトランプ派が主張する移民を受け入れることで起こる治安や犯罪といった好ましくない側面もある。欧米では移民排斥や移民規制の強化を訴える政党が議席を増やしている。
このように高濱氏は、バイデン大統領はトランプ批判のネタとして発言したのではないかと指摘しています。
4.あなた達の失敗を見て慎重になっているだけだ
ただ、トランプ批判のネタだとしても、USAは移民の国だといいたいのなら、それだけいえばいいのであって、「ゼノフォビア」なんて言葉を使う必要はありません。甚だ外交センスに欠けると言わざるを得ません。
5月4日、アメリカのFOXニュースは、バイデン発言に対する日本の反応に触れ、次のように述べています。
バイデン大統領の発言に対し、日本の国会議員の何人かは、論争直後からソーシャルメディア上で反応し、大統領の口調に戸惑いや懐疑の念を示した。
「移民問題はヨーロッパの指導者たちも頭を悩ませている。今のところ、この問題を解決している国はありません」と、保守政党・日本維新の会の参議院議員である梅村みずほ氏は語った。「バイデン大統領には、こんなことを言う前にニューヨークの問題を解決してほしい。大統領選挙次第では、政策が180度変わる可能性があり、日本が追随する必要はない」と続けた。
同じ参議院議員で右派ポピュリストの参政党党首である神谷宗幣氏は、より直接的な表現でこう書いた。「日本は外国人嫌いではない。あなた達の失敗を見て慎重になっているだけだ。あなた達は、私達の内政に干渉しすぎです」。
野党とはいえ、日本の国会議員のコメントをわざわざFOXニュースが取り上げるなんて、少し意外に思いますけれども、もしかしたら、バイデン大統領がトランプ批判のネタとして、あの発言をしたように、バイデン批判のために、梅村議員と神谷議員の発言を「当て馬」として使った感がしなくもありません。
埼玉クルド人問題を始めとして、アメリカの失敗が、明日の日本の失敗にならない保証はありません。移民だ共生だと浮かれているのではなく、現実生活としてどうなのか、厳しく問い直す必要があるのではないかと思いますね。
先日のバイデン大統領の演説に対し、神谷議員は 「🇯🇵が移民政策に慎重なのは、外国人嫌いだからではなく🇺🇸の過ちから学んでいるだけだ」と正論でコメント。
— やまさき珠江🟠参政党 中国ブロック国政改革委員 (@YamaTamaMama) May 7, 2024
FOXニュースにも取り上げられ「日本にもSohei Kamiyaの様に骨のある政治家がいるんだな」と世界に知って頂ける良い機会に。#参政党#Sanseito https://t.co/UOSwSurg1n pic.twitter.com/0bn59jW93K
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naga