

1.スロバキア首相銃撃
5月15日、スロバキアのロベルト・フィツォ首相が銃撃されるという暗殺未遂事件が発生しました。
この日、スロバキア中部ハンドロバで開かれていた支持者らとの政治イベントに参加したフィツォ首相は、イベント後、会場のカルチャーセンターの外で至近距離から腹部を5発撃たれ、重篤状態で29キロ離れたバンスカー・ビストリツァの病院にヘリで搬送されました。
容疑者はその場で取り押さえられ、身柄を拘束されました。
フィツォ首相は、一時危篤状態が伝えられたものの、政府高官はイギリスBBC放送で「現時点では命の危機はない」と述べ、回復の兆候があると説明しています。
報道によると、容疑者は中部レビツェ市在住の71歳の作家で、「DUHA(虹)文学クラブ」の創設者。3冊の詩集を出版しており、スロバキア作家協会の会員だそうです。スロバキア作家協会はフェイスブックの公式ページで、容疑者が2015年から会員であることを認め、銃撃犯だと確認されれば、「この卑劣な人物の会員資格を直ちに取り消す」と付け加えています。
スロバキア政府は犯行について、「政治的な動機に基づいて暗殺が試みられた」と指摘しているようですけれども、まだはっきりしたことは分かってないようです。
フィツォ首相は長年、スロバキア国内外を二分する存在で、昨年、親ロシア、反米を掲げて政権に復帰したことで、EU加盟国の間では、スロバキアを西側主流派からさらに遠ざけるのではないかという懸念が強まっていたことは事実です。
人口540万人のスロバキアは、NATO加盟国であるものの、ウクライナへの武器供給を停止。フィツォ首相は親欧米路線を放棄し、ハンガリーの大衆迎合政治家ビクトル・オルバン首相に追従するのではないかと見られており、スロバキア全土で連日、フィツォ首相の路線に反対する数千人規模のデモが行われていました。
今回の暗殺未遂事件は、欧州議会の議員を選出する欧州全体の選挙を3週間後に控え、ポピュリストやナショナリストが、27カ国からなる欧州圏で勢力を拡大するのではないかとの懸念の高まっています。
今朝出したスロバキア首相ロベルト・フィコ氏への別の角度からの襲撃の瞬間を示す映像 pic.twitter.com/RyKMtJxKhB
— miya (@miya397156651) May 15, 2024
2.衝撃が走るヨーロッパ
今回の事件はヨーロッパに衝撃を与えています。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も真っ先に怒りを表明し、欧州理事会のシャルル・ミシェル委員長も「このニュースにショックを受けた……暴力やそのような攻撃を正当化できるものは何もありません。私の思いは首相とその家族とともにあります」と述べました。
隣国チェコでは、ペトル・フィアラ首相が事件直後にウェブサイトに声明を掲載し、「スロバキアのロベルト・フィコ首相射殺のニュースは衝撃的です。首相の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。暴力は容認されてはならず、社会に居場所があってはなりません」とツイートしています。
また、他の欧州首脳らも銃撃事件への衝撃を表明し、政治的暴力を非難。ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は「我々のEUの中核的価値観を脅かす」と「過激派行為」を非難し、ドイツではオラフ・ショルツ首相が「卑劣な」暗殺未遂を非難し、欧州政治に暴力が存在してはならないと強調しました。
南ヨーロッパではイタリアのジョルジア・メローニが襲撃のニュースを知って「ショックを受けている」と宣言し、自身もこれを「卑劣」と呼び、あらゆる形態の暴力を民主主義と自由の基本原則に対する攻撃として非難しています。
そして、スペインのペドロ・サンチェス首相も怒りを表明し、暴力を正当化できるものは何もないと述べています。
続いて、ブルガリアでは、ルーメン・ラデフ大統領とブルガリア最大政党GERBの元首相で党首のボイコ・ボリソフ氏が暴力行為を強く非難しています。
一方、ブルガリアの極右親ロシア政党ワズラジダネ(ID)のコスタディン・コスタディノフ党首は、「この状況では、普通のヨーロッパ人なら誰でも2つの疑問を自問すべきだ。スロバキアの政治家の死に誰が興味を持っているのか? 次は誰になるのか?」とコメントし、また、フィコ氏がウクライナへの軍事援助の提供、ウクライナのNATO加盟、ウクライナでの軍事紛争の激化に反対していると繰り返し述べていたことを指摘しています。
ロシアのプーチン大統領は「スロバキア共和国のロベルト・フィコ首相の命が狙われたことを憤りを持って知った。この凶悪な犯罪を正当化することはできない」と、一日も早い完全回復を祈念しています。
3.反ワク反パンデミック条約
フィツォ首相は、西側から、親ロシア的な姿勢、メディアやNGOへの攻撃、欧州委員会からの激しい批判にもかかわらず政府が可決しようとしている法律などで物議を醸している人物という扱いを受けているのですけれども、陰謀論界隈では、ワクチンやパンデミック条約に反対すると公言していたから狙われたんだ、などとまことしやかに囁かれています。
スロバキア政府は、刑法改正に関するスロバキアの立場をEUに説明するため、欧州人権裁判所(ECHR)の元代表マリカ・ピロシコバ氏を特使として派遣しています。
このピロシコバ氏は過去に武漢ウイルスワクチンは生物兵器であると主張し、物議を醸しました。
武漢ウイルスのパンデミック中、彼女はワクチン接種の義務化に反対し、国際刑事裁判所(ICC)に集団訴状を送ったこともあります。訴状にはとりわけ、「SARS-CoV-2ウイルスと新型コロナウイルスワクチンの実験版は意図的に作成された生物兵器であり、2段階に分けて放出された」と述べられているそうです。
また、スロバキア政府は、新たに設立された「新型コロナウイルス感染症パンデミック下でのガバナンスと資源管理の見直しのための全権委員」に、ピーター・コトラール議員という人物を選出しています。
コトラール氏は、インターネット動画配信事業TV Slovanに長年携わってきた人物です。放送で彼は、自分が医療専門家であるにもかかわらず、予防接種を受けたことがないと主張しています。
コトラール氏を任命したことについて、フィツォ首相は議会で次のように語っています。
・予防接種が原因で、さまざまな心血管疾患による死亡が増加したという統計を見たことがありますか?このように、フィツォ首相は明確に反ワクチン姿勢を公にしています。確かに特定の勢力に命を狙われる可能性も考えられなくもありません。
・スロバキア国民は答えを必要としている。ワクチン接種とは何だったのか。なぜ人々は様々な実験的ワクチンを接種されたのか。なぜ様々な薬が人々に押し付けられたのか?
・私たちは、これらの問題に対処するため、政府全権代表部を設置することを決定した
・本日任命された全権大使であるP・ピーター・コトラール博士には、様々な機関から情報を得る権限も与えられている
・私たちは、スロバキアの国民に、この混乱した時期に実際に起こったことを公表し、伝えるつもりだ。
・今日、私たちはひとつのことが分かっている。前政権はcovid-19を完全に失敗させ、21,000人の死者を出し、様々な医療機器やワクチンの不必要な購入で莫大な金を稼いだのだ。
スロバキア🇸🇰のロバート・フィコ首相は、前政権が21,000人もの死者を出したと批判し、コロナワクチン、超過死亡、EU・ファイザーとの取引、政府をコントロールする大手製薬会社について調査する委員会立ち上げを発表した。
— ShortShort News (@ShortShort_News) January 29, 2024
一国の指導者がここまで踏み込む発言は初めて。pic.twitter.com/emewYUP0NP
4.イギリスも反対
スロバキアがパンデミック条約に反対していることは事実ですけれども、5月8日、イギリスもパンデミック条約に反対するとテレグラフ紙が報じています。
その理由は、英国を含むすべての加盟国が、「パンデミック関連保健製品(治療薬、PPE、ワクチンなど)」の20%を他国に提供する義務を負い、備蓄を禁止されているという項目が飲めなかったと報じています。
これについて、5月9日、スウェーデンの独立系ジャーナリストのピーター・イマヌエルセン氏が自身の「サブスタック」で「英国はWHOパンデミック条約への署名を拒否」という記事をあげています。
件の記事の概要は次の通りです。
私は最近、WHOのパンデミック条約の最新草案がいかに水増しされているかについて報告した。イマヌエルセン氏によると、パンデミック条約とは「基本的に世界共産主義の一形態」であり、WHOは、他人の人生をコントロールしたいと考えている、選ばれていないエリートの集団だというのですね。
そして今、英国が世界保健機関(WHO)のパンデミック条約に署名することを拒否し、英国の主権を損なうようないかなる形の条約にも署名しないということが報道されている。
・これは非常に良いニュースだ。
しかし、彼らがこの条約に反対する理由は、各国がパンデミック関連保健製品の20%を提供する義務を負うからである。つまり、ワクチンや医薬品、マスクのような防護具などである。
つまり、これは基本的に世界共産主義の一形態なのだ。
それがWHOなのだから。WHOは、あなたの人生をコントロールしたい選挙で選ばれたわけでもないエリートたちの集まりなのだ。
WHOのリーダーであるテドロス博士が、実はエチオピアのマルクス主義独裁政権下で共産主義政権のために働いていたことをご存知だろうか。
現在のWHOのリーダーも、その昔、共産党として始まったTPLF党に加わっていた。
つまり、WHOのリーダーは共産主義者であり、彼らはここで人々にどのように生きるべきかを説いているのだ。
豊かな国々は薬や設備を手放し、WHOに提供することを余儀なくされるだろう。
では、条約の他の部分、たとえばWHOが各国に戸締まりやワクチン接種を実施するよう 「勧告 」することができるという事実はどうなのか?それはそれでいいのだが、WHOに薬やワクチンを提供するのは、行き過ぎではないか?
しかし、主要国がこの条約への署名を拒否することになったのは良いことだ。
イギリスは、いかなるパンデミック条約も国家主権を尊重することを要求すると言っている。
これはWHOのパンデミック条約が破綻するきっかけになるのだろうか?
英国に続いて、他の何カ国がこの条約を拒否することになるのだろうか?
これは大きな進展であり、今後どうなるのか注目していきたい。
これが本当であれば、もう中国共産党となんら変わりません。
”国際機関の皮を被った”中国共産党が世界を支配しようとしているのだとすれば、断固として受け入れる訳にはいきません。
条約の中身もそうですけれども、文言がどうこういう以上に、その底辺に流れている思想が如何なるものなのか。それにもっと注意を向けてもいいのかもしれませんね。
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