手の平返しされるイスラエル

今日はこの話題です。
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1.ラファ空爆で悲劇的な誤り


5月27日、イスラエルのネタニヤフ首相はイスラエル議会で演説し、ガザ地区南部ラファで多数のパレスチナ避難者らが殺害された前日の攻撃について触れました。

ネタニヤフ首相はガザで戦闘に巻き込まれている民間人を守るため、イスラエルが「できる限りの予防措置」を取ることが不可欠だと述べた上で「ラファではすでに約100万人の非戦闘員を避難させた。私たちは非戦闘員に危害を加えないよう最大限の努力をしていたが、不幸にも、悲劇的に誤った事態が起きてしまった……現在この事案について調査中で、結論を出す。それが私たちの方針だからだ」と述べながらも「全目標の達成前に戦争を終わらせるつもりはない」とも表明しました。

ハマスが運営するガザ保健当局によると、少なくとも45人が殺害され、さらに数百人が重度のやけどや骨折、爆弾の破片による傷などで手当てを受けたとしています。

ネタニヤフ首相は非戦闘員に危害を加えないよう最大限の努力をしている、と述べていますけれども、パレスチナ赤新月社は、空爆されたのは、ラファ中心部から北西に約2キロ離れたタル・アル・スルタン地区で、国連施設近くに設けられた複数の避難者用テントが標的にされたとしし、「クウェート平和キャンプ1」と書かれた横断幕の横で建造物が燃えている様子や、救急隊員や付近の人々が遺体を運んでいる様子を報じています。

更に、27日、NGO「国境なき医師団(MSF)」は、自分たちの現地施設の一つで、女性や子どもを含む少なくとも28人の死者を収容し、負傷者180人を治療したと発表しています。

国境なき医師団(MSF)は、今回の攻撃は精密に実施したとするイスラエルの主張を否定。「ラファのいわゆる『安全地帯』にあり、人が大勢密集するキャンプを攻撃したことはつまり、ガザ住民の命をまったく考慮していないと示すものだ」と批判しています。

これまでのところ、地上部隊の攻撃で一度に大勢が死傷する事態にはなっていないものの、26日の空爆は、すでに悪化しているイスラエルのイメージを更に悪化させたのは間違いないところです。


2.もはや正当化できない


今回のラファ空爆については、当然ながら、国際社会からも非難が出ています。

欧州連合(EU)は、国際司法裁判所(ICJ)が先週、ラファ攻撃を停止するよう命じたのを尊重するよう、イスラエルに求めており、EUの外交トップのジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表は、、X(旧ツイッター)への投稿で「ラファから届いた、イスラエル軍の攻撃で幼い子供を含む避難民数十人が死亡したというニュースに恐怖を覚える」と攻撃を非難しました。

そして、「ガザには安全な場所などない。こうした攻撃は直ちに止めなければならない。国際司法裁判所の命令(国際人道法)はすべての当事者によって尊重されなければならない……国際社会がどのようにしてこの決定の実施を強制できるか、これはまさにジレンマだ」と国際司法裁判所の命令に従ってイスラエルが軍事行動を停止するよう改めて要求しました。

カタール外務省は、「今回の爆撃により進行中の調停努力が複雑化し、即時かつ恒久的な停戦合意の達成が妨げられる」と外交上の影響を及ぼす可能性があり、停戦や人質解放に向けた協議を妨げる可能性があると表明。サウジアラビア外務省も「最新の攻撃はラファ北西のUNRWA倉庫付近のパレスチナ避難民のテントを標的にしている」と非難しています。

また、トルコのエルドアン大統領は、「我々は人類とは全く関係のない野蛮人や殺人者に責任を負わせるために全力を尽くすつもりだ」と、ネタニヤフ首相を「野蛮人」扱いで批判。フランスのマクロン大統領もXに「ラファで多くの避難民を殺害したイスラエルの攻撃に憤慨している……これらの作戦は中止されなければならない。ラファにはパレスチナ民間人にとって安全な地域はない。国際法の完全な尊重と即時停戦を求める」と投稿しています。

更に、イタリアのクロゼット国防相は、スカイTG24テレビで、「パレスチナの人々がハマスとは何の関係もない罪のない男性、女性、子供たちの権利を無視して圧迫されるという困難な状況がますます深刻化しており、これはもはや正当化できない」と語っています。

そして、現地の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)も、「ラファから避難を求める家族へのさらなる攻撃についての情報が流れており、恐ろしい……殺害された人々の中には子どもや女性も含まれ、多数の死傷者が出ているとの報告がある。ガザは地上の地獄だ。昨夜の映像はそれをさらに証明している」とXに投稿しています。

イスラエルの四面楚歌っぷりが際立ってきました。


3.フォンデアライエンへの捜査要請


空爆から遡ること、5月22日、ジュネーブ国際平和研究所(GIPRI)は、国際刑事裁判所(ICC)に対し、国際平和と未来研究財団(TFF)の2人の研究員、リチャード・フォーク教授とヤン・オバーグTFF所長の署名入りの文書を提出し、ガザを含むパレスチナ占領地での戦争犯罪への共謀の疑いでウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長を捜査するよう要請しました。

ジュネーブ国際平和研究所(GIPRI)は「欧州委員会委員長によるイスラエルへの軍事、経済、外交、政治の無条件の支援が戦争犯罪とガザでの継続的な大量虐殺を可能にした……パレスチナ占領地でIOFが犯し、現在も犯し続けている戦争犯罪、人道に対する罪、大量虐殺の一部について個人的に刑事責任を負い、処罰を受ける責務がある……こうした犯罪の実行または実行の試みを幇助、教唆、その他の形で支援した」とし、これを支持する様々な人権団体や著名な学者、国際刑事法の専門家らが提供した情報に基づいて捜査を開始するよう検察に要請したと述べています。

更に、ジュネーブ国際平和研究所(GIPRI)は、フォン・デア・ライエン氏が国際刑事裁判所規程第27条に定める職務上の免責特権の恩恵を受けていないことを指摘し、フォン・デア・ライエン氏が欧州委員会委員長としての公的な立場で規程第6条、第7条、第8条に違反する行為に加担していると考えられる行為を次のように列挙しています。
・「イスラエル」への軍事支援:フォンデアライエン氏は、2019年から2023年の間にEU加盟国であるドイツから武器を受け取る第3位の国である「イスラエル」への武器提供を確保する上で重要な役割を果たしている。
・「イスラエル」への経済的・財政的支援:イスラエルによるガザ侵攻が続く中、EUと「イスラエル」の連合協定の一時停止や、EUと「イスラエル」の新たな協力手段の推進に向けた措置を取ることを拒否した。
・イスラエル政府への外交支援
・さまざまな声明を通じて「イスラエル」への政治的支援
ジュネーブ国際平和研究所(GIPRI)は、フォン・デア・ライエン氏が、上記の犯罪の実行を幇助することで関与していることを十分に認識していると断言。国際司法裁判所(ICJ)が2024年1月26日の暫定措置命令で決定したように、彼女はそのような犯罪、あるいは少なくともその可能性を知っていたと、厳しく批判しています。

とうとうイスラエル側に立つ人にも火の粉が降りかかってきました。イスラエルを巡ってEUも揺らいできています。イスラエルの暴走がこのまま続くと、下手をすれば、欧州の分裂・瓦解の切っ掛けとなってしまうかもしれませんね。



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