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1.東京都知事選挙告示
6月20日、東京都知事選挙が告示され、7月7日の投票日に向けて17日間の選挙戦がスタートしました。
立候補したのは以上の56人で、過去最多だった前回・4年前の22人を大きく上回りました。
告示日前日の19日、立候補を予定している現職の小池百合子氏のほか、参議院議員の蓮舫氏、広島県安芸高田市の元市長の石丸伸二氏、航空自衛隊の元航空幕僚長の田母神俊雄氏4人が、日本記者クラブ主催の共同記者会見に参加し、それぞれが重点として掲げる政策を訴えました。
その模様はネットなどに上がっているので割愛しますけれども、こちらのNHK記事では、各候補者の発言を【最も訴えたいこと】、【少子化対策】、【明治神宮外苑の再開発】と切り口で紹介していて、まるで争点はマスコミが決めるといわんばかりです。
そもそも、56人も立候補しているのに共同記者会見に4候補しか呼んでいない時点で不公平なのですけれども、告示された後では建前では公平に扱わないといけないので、前日に共同記者会見をやったということなのだと思います。
56人も立候補しても、その殆どを「泡沫候補」扱いして、有力候補だけその主張を報じるのであれば、まったく公平とはいえませんし、有力候補の主張さえも、その論点を勝手に絞って報じるともなれば、民主主義というよりマスコミ民主主義というべきではないかとさえ思います。
2.ポスター掲示板ジャック
今回の都知事選で注目されている点の一つに選挙ポスター掲示板が話題に上がっています。
無論、これは、過去最多、前回の22人から倍以上の候補者が立候補しているからですけれども、特に、N国党が関係団体を含めて24人を擁立したことが大きく影響しています。
都が用意したポスター掲示板の枠は48ですから、都合8人のポスターが掲示板に貼れなくなってしまいます。
当然、掲示板を増設するのかと思いきや、なんと都選挙管理委員会は49番目以降の届け出候補にクリアファイルを配布し、掲示場に自ら貼ってもらうと発表しました。ある候補者によると、必要な量を選管から受け取ることになっているといい、この候補者は「クリアホルダー」と書かれたものを250枚を受け取ったそうです。
また、クリアファイルを受け取った候補者の1人は「増設してほしかったが、仕方ない。いきなりこれを出されて『このような形で貼ってもらうことになりました。申し訳ございません』と言われました」と話しました。
都選管はクリアファイルの使い方について、ファイルを2枚ほど重ねた「土台」にポスターを貼り、雨よけの透明ビニール袋に入れるとメディアに説明しています。
候補者56人のうち、N国党関係者が24人と、半数近くを占め、ポスター掲示板の枠が48ですから、ポスター掲示板(従来枠)の半分はN国党のポスターで埋まることになります。
N国党は1カ所5000円/6月1日~19日は1万/20日以降は3万を党に寄付すれば、都内約1万4000カ所にあるポスター掲示板のうち1カ所で独自に作成したポスターを最大24枚貼れると募集しています。
このポスター戦術について、N国党の立花孝志立党首は自身の動画チャンネルで次のように概要説明しています。
・1つのポスター形状に同じポスターが貼ってると、人間って見てないものをね日頃見てない見慣れてないものを見ると止まるんですよ。2度見になるんですよ。何これて。実際、女子キックボクサーの「ぱんちゃん璃奈」が自身の画像と「生活困窮者をなくせ!」の文字が入ったポスターを24枚張り出した掲示板には、大勢が立ち止まり、スマホで撮影する姿も見られたそうです。
・小池さん1枚なのに犬のポスターが30枚貼れてる、立花のポスターが24枚貼れてるってなると見るんですよ
・つまり見てもらうための工夫をしてるじゃないですか
3.逆襲される報道しない自由
当然こうしたやり方には眉を顰める人もいます。
前述した「ぱんちゃん璃奈ポスター掲示板」の前で、足を止めた男性会社員は「何これ?と思った。これが問題ないなら何でもあり。政策も全く伝わってこない」とあきれ顔。大阪府の女性は「お金を払えば掲示板の枠を買えるというのはおかしい。選挙を愚弄しているように感じる」と漏らし、ある署名サイトでは「掲示板ジャックに反対します」との活動が始まり、20日時点で2万6千筆を超えたそうです。
こうした動きについて、法政大学大学院教授の白鳥浩氏は、次のように解説しています。
こうしたYouTubeや、SNS時代の選挙に、現在の選挙行政、選挙法制が対応しきれていないという問題がある。白鳥氏は、お目当ての候補者のポスターを発見することはできないかもしれないとして、有権者の「知る権利」を侵害していないかとの懸念を述べていますけれども、たとえば、その候補者のポスターを剥がしたり、張ることを禁止したのなら、それは有権者の「知る権利」を侵害したことになると思いますけれども、そうでないですからね。
都知事選の候補者のポスターを掲示するところに、予想されたように「ポスター掲示板ジャック」が起こってしまった。しかしながら、これを妨げる手立てはない。
そして、こうした状況をYouTubeなどを利用して、経済的利益を得る可能性も考えられる。
こうした中では、有権者はお目当ての候補者のポスターを発見することはできないかもしれない。候補者の「表現の自由」はあるが、有権者の「知る権利」もある。
今後は何らかの対策も必要となる。
お目当ての候補者のポスターを見つける、見つけられないは、その有権者の責任です。掲示板の前でじっくりと端から端までみれば見つかるのですから、筆者は「知る権利」を侵害したとは思いません。
もっとも、何らかの対策も必要となるという白鳥氏の意見は同意します。というか、今の時代、アナログなポスター掲示板がそ必要なのかという疑問もあります。
ネット選挙が解禁された今、ポスターなんぞに頼らなくても、いくらでも候補者を知ってもらう手段はあります。
更に、そもそも論でいえば、マスコミが「報道しない自由」を行使して、少数意見や自分達に都合の悪い意見を黙殺してなかったことにする姿勢に対する不満が、こうした掲示板ジャックという形で「逆襲」されていると見るべきで、白鳥氏の「お目当ての候補者のポスターを発見することはできないかもしれない」論は、マスコミの「報道しない自由」にこそ、よりフィーチャーされるべきではないかと思います。
4.第二の参入障壁
N国党の立花党首は前述した自身の動画で、掲示板ジャックについて、今、選挙制度の問題提起をしているのだ、と述べています。
これについて立花党首は動画で概略次のように述べています。
・ポスター貼るのに業者に依頼したら普通1ヶ所500円、高いところで1000円。14000カ所だと1400万大組織はポスターを全部の掲示板に貼れるが、殆どの候補者はそんなことはできない。こういう話を聞くと、ポスター掲示板というシステムそのものが一種の参入障壁になっているように感じます。
・印刷すると1枚300円、400万かかる。貼るのと合わせると最低1000万かかる。
・でも金も人も集まる大組織はそれをやる
・でも他の殆どの候補は全部は貼れない。
・だからポスターなんてやめようって言ってるだけです。
・選挙には50億くらいかかるが、その3分の1くらいはポスターのベニヤ板などのゴミなんですよ
・ネットでやりゃいいじゃん、それを私は私は言ってるだけ。
・でもいくら言ってもそこにポスター掲示板が立つんだから、であれば有権者の皆さんの主張してください
・選挙に行こう投票に行こうって呼びかければいいじゃん
・何も応援する政党や政治家がいなくても投票に行こうよっっていうだけでも政治に参加することになるわけです
・だからこういう形で私は問題提起をしてる
更に立花党首は、都知事選出馬資格についても、動画で次のように疑義を呈しています。
・東京都知事選挙はそもそも法律で30歳以上しか立候補できない、これ差別でしょ供託金とは、選挙に立候補する場合、一定の金額もしくは相当する額面の国債証書を地方法務局に預けるという制度で、当選する意思のない人が、売名などの理由で無責任に立候補することを防ぐための仕組みです。
・30歳未満で納税してる人、何千万円納税してる人って僕何人も知ってますよ
・医者や弁護士、実業家そういう30歳以下の人を排除しておいて、供託金を300万円よりも高くしたら若者が参加しづらくなるって、なめてんのかっちゅう話なんですよ
・今回のポスター掲示場のジャックに関しては、当然僕はおふざけのようにホストやホステスの写真貼ればいいって言ってますが、内心1番怒ってほしいのは30歳未満の特に18歳から29歳までの若者には怒ってほしいですよ
・なぜ私たちは立補できないんですかって立候補さしてあげればいいじゃん、当選しなきゃいいんだから。
・そんな年齢で区切るんだったら、もう80歳以上立候補させないとかね、そっちの上限も作れよって話ですよ
その金額は公職選挙法で決まっていて、都道府県の知事選挙は300万円、都道府県議会選挙は60万円、政令指定都市の市長選挙は240万円(政令市以外は100万円)、政令指定都市の市議会選挙は50万円(政令市以外は30万円)となっています。
供託金は、選挙で一定の得票数を得ないと、没収されて、国や都道府県、市区町村に納められ、税金と同じように使われることになっています。
要するに、立候補したい人を”供託金”で篩にかけていこうということですけれども、たとえ、その篩に残ったとしても、実はポスター張りの費用(選挙費用)という「第二の篩」が用意されている訳です。
そう考えると、選挙は、誰にでも参加できるように見えて、実は「金持ち」か「大組織持ち」しか当選できないという「既得権益」と化しているように見えなくもありません。
5.ひまそらあかね
ただ、今回、そうした「既得権益」に真っ向戦いを挑む候補者が現れました。暇空茜氏です。
今回の都知事選で、暇空氏が「ひまそらあかね」名義で立候補を届け出ています。
なんでも暇空氏が立候補手続きに現れたときには、報道陣がざわついたそうですけれども、ひまそら氏は自身のX(旧ツイッター)で、「①公金チューチューをなくす ②東京都をデジタルで楽しませる ③政治献金の一切を受け取りません。個人献金、企業献金、政治資金パーティの全て0」と投稿し、ユーチューブで、公金支出について「本当にきちんと行われているのか調べる」としています。
はやくもネットでは、マスコミが「ひまそら候補」を扱うのか、これまで無視してきた「公金チューチュー」を扱うのかなどと話題になっているようです。
どうやら暇空氏は、街頭での選挙活動はやらず、政見放送すら行わず、完全ネットだけで戦うようです。
もう15年も昔の話ですけれども、筆者は「政治におけるネットの現実社会への影響力」というエントリーで、ブログの閲覧数と投票率の積から、ネットが政治にどれくらいの影響力があるのかを見積もったことがあります。
その答えは0.6~6%程度だったのですけれども、当時はSNSも動画もありませんでしたからね。今は大分違うと思います。
果たして、Xで27.5万フォロワーを持ち、若年層から支持されているであろう「ひまそらあかね」候補がどれだけの得票を得るかは、今のネットの実世界への影響力がどれくらいあるのかを図る試金石になるのではないかと思います。
もし。「ひまそらあかね」候補が、予想外に多くの得票を集めることになれば、それこそ選挙における「既得権益」が崩れていく狼煙になるかもしれませんね。
「ひまそらあかね」を名乗る謎の立候補者が手続きに現れ、報道陣がざわついています。おそらくどのメディアも事前把握していなかった飛び込みの候補者です。 pic.twitter.com/wfpxux0SOQ
— 中村眞大 / Masahiro Nakamura (@NakamasaTube) June 20, 2024
どうですか?
— ひまそらあかね(東京都知事選候補) (@himasoraakane) June 20, 2024
ひまそらあかねの公約①~③の
①公金チューチューをなくすを
カットして報道する毎日新聞
選挙運動における候補者の主張は「そのまま公表する」が原則のはずです。
これこそ、僕が本物で、本当に戦ってて、マスコミが今の利権や権力と癒着してる何よりの証左です。
僕はやります。 pic.twitter.com/x9uupr6mFB
この記事へのコメント
ルシファード