東京都知事選にみる対立軸の多極化

今日はこの話題です。
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1.小池3選


7月7日、過去最多の56人が立候補した東京都知事選挙が行われ、現職の小池百合子氏の3回目の当選が確実になりました。

投票は午前7時から始まり、投票率は60.62%と前回2020年7月の55.00%を5.62ポイント上回りました。

また、期日前投票を終えた人は、215万1251人で過去最多。前回の都知事選と比べると1.23倍、およそ40万人増え、有権者の18.65%を占めました。

小池氏の当確は、20時の開票直後に出る、いわゆるゼロ打ちで、出口調査を基にした獲得票割合は40%を超え、石丸氏、蓮舫氏の20%台を大きく引き離しての大勝です。

当確が出た後、小池氏は「このたび都民の皆さんの力強いご支持を頂き、3期目の都政のかじ取りをお任せ頂いた。熱い思いを届けて頂いたことでますます重責を痛感するところだ。2期8年にわたりさまざまな政策を達成してきた。改めて都民の皆さんからもっと改革を進め、もっと生活を支えてくれという思いを頂いた。何度も選挙を経験したが、これまでなかったような選挙戦だった。知事という席をめぐり私を含め56人が立候補という状況で、ポスターの掲示、さらには脅迫を受けたり、街頭ではやじの大合唱があったり、これまで経験したことがないような選挙戦だった。想定をしなかった事態に対しどう法的な課題の整理ができるか、そういった点も今回の選挙を通じて感じた」と述べました。


2.ステルス小池


小池氏の今回の都知事選戦略は、ステルスだったかと思います。

小池氏を支援する自民党、公明党、国民民主党都連、地域政党「都民ファーストの会」は「自主的な支援」という形をとりました。

小池陣営の関係者によると、自民党と一体と見なされて、他候補から与野党対決の構図に持ち込まれ、政治とカネの問題での逆風を受けることを避けるためだったとのことで、選挙前には、小池氏から自民党などに対し「あまり目立たないように」と釘を刺す場面もあったそうです。

選挙期間中は、自民党などの議員が小池氏と一緒に演説を行う姿はなく、党関係者によると、都議会議員らの主な活動は選挙運動用のハガキ出しやビラまきの手伝いが主なものだったようです。

7月2日、自民党都連が中心になって呼びかけ、小池氏のために各種団体を集めた決起大会でも、党所属議員の出席は許されませんでした。

自民党の都連関係者は、「自民党がこんなに静かな都知事選挙は初めてだ」と溜息をつき、選挙活動は事実上小池氏にコントロールされていました。

なぜそんなことになったのかというと、都知事選と同じく都議会議員の補欠選挙があったからです。

今回の東京都議会議員の補欠選挙は、9選挙区で各1名の欠員を巡って行われました。

選挙前、都議会は、最大会派が自民党で27議席、次いで都民ファーストの会が25議席、公明党が23議席、共産党が19議席、立憲民主党が15議席などとなっています。

この都議補選に、自民党は9選挙区のうち8選挙区に候補者を擁立しました。

御存知のように自民党は裏金問題で大逆風に遭い、もし、補欠選挙で大敗すれば都議会の運営だけでなく、衆議院選挙にも影響が及んでしまいます。従って、自民党は小池氏の知名度に縋るしかないという事情があるのですね。

小池氏は、表立った選挙活動をしない代わりに、公務を理由に19か所を視察、イベントや面会を16回行っています。

ただ、投票まで1週間を切った7月2日、平日は公務を優先するとしていた小池氏が突如、秋葉原で街頭演説を行い、その後も、平日、都内各地を回って、主張を訴えたのですね。その理由として、側近から「石丸が追い上げてきている、もっと街頭演説をやったほうがいい」との助言があったそうです。


3.石丸に乗っかる者達


今回、猛追して2位に食い込んだ石丸氏の戦いについて、ITジャーナリストの深田萌絵氏は自身の動画で次のように解説しています。
・今回ねやっぱりねあの都知事選始まる前から結構面白い動きがあった
・そこそこあの有力な議員、人気のある議員なんかにいろんな選挙コンサルがやってきて都知事選に出て名前売りませんか、都知事選で名を上げてその勢いで新党を立ち上げたらいいじゃないですかっていう人が結構出てきた
・石丸陣営もそういう流れを作ろうとしているんじゃないのかなっていうことは噂には上がっています。
・石丸陣営には、維新の選挙の神様がついている。
・今維新がゴタゴタしているが、石丸さんが維新に一度はすり寄って維新から断られたっていう話と、維新が石丸さんにするよって寄って、石丸さんがそれを断ったってどっちの噂もある
・維新の中でも石丸さんを応援したいっていう人と石丸さん応援したくないっていう人に別れている
・石丸さん応援したいっていう人たちがいるとすれば、維新もそろそろやばいんじゃないのかなって、ちょっと計算している維新陣営の人たちもいる
・もし維新がこのままダメになるっていうのは、今万博問題でバスガス爆発じゃないんだけど、トイレガス爆発みたいなねことがあったり、至るところでメタンガスが発生してえ基準値を超えている。
・その万博側の対策が、なんとメタンガスの危険性に対して大げさに解釈してる人がいるのでメタンガスは危険じゃありませんプロパガンダキャンペーンやりますみたいなそういうソリューションを打ち出して、おいそうじゃねえだろみたいなそういう大阪府民の不満の声、国民の怒りの声も上がっている
・万博やらIRのためにですねかなり巨額のお金、何兆円っていうお金、インフラ投資が必要だということが発覚した。
・最初言ってた万博も全然国のお金使いませんみたいな話がもう大嘘で、結局は国の金に頼って国民の血税使うんじゃねえかよっていうところでかなり維新側も信頼をを落としている。
・維新も今、大阪以外の選挙は弱いっていうことで、じゃあ維新に乗るのが得なのかみたいな、じゃあなんか新しい新党の風に乗った方がいいんじゃないのかみたいな風なことを維新の内部にいる人たちが考えてもそれはおかしくないな
・やっぱり今回の万博の件とかIRとか上海電力の件でかなり世の中の信用を落としてるという気もします
深田氏によると、石丸陣営のバックには維新がついており、維新の信用が落ちている中、石丸氏に乗っかろうという動きすらあるというのですね。

もしそうだとすると、次の衆院選や参院選で、維新から石丸氏が出馬することも考えられます。




4.立憲共産に足を引っ張られた蓮舫


一方のよもやの3位に沈んだ蓮舫氏。

蓮舫陣営が選挙を戦うにあたって意識したのは、幅広い勢力の結集でした。

6月12日、蓮舫氏は、小池氏の立候補表明にタイミングをあわせて立憲民主党を離党。政党色を薄めることで、無党派層を中心に支持の獲得を図りました。

けれども、実際は、立憲民主党や共産党が党を挙げて支援しました。

立憲民主党は泉健太代表をはじめ、枝野幸男氏や野田佳彦氏、共産党は参議院東京選挙区選出の吉良よし子氏らが連日、街頭に立ち、声を張り上げて蓮舫氏の支持を訴えました。

けれども、選挙戦中盤に入ると、立憲、共産それぞれのから疑問の声が漏れるようになったそうです。

立憲民主党の都議会議員の1人は「共産党が前に出すぎている。『立憲共産党』のイメージがついて回り、無党派層などに支持が広がっていないのではないか」と零す一方、共産党の都議会議員の1人は、「『政党色を出したくない』というのはよくわかるが、こちらの陣営からは『立憲民主党の宣伝になっている』という不満が噴出している。当初はかなりの熱があったが、みんなしらけつつある」と不満を漏らしました。

こうしたことから、立憲民主党のベテラン議員は「蓮舫は苦しいかもしれない。無党派で石丸に負けるという記事も出ているし、支持の広がりがない。3位になることはないと信じたいが、もし3位になったら蓮舫の今後は厳しい」と述べました。

選挙戦終盤になると、蓮舫陣営は、情勢への危機感からか親しみやすさを全面にアピール。序盤の平日は夕方に街頭演説を1回行うのみだったのが、昼間の時間を使って商店街を練り歩いたり、蓮舫みずからが選挙カーに乗って街に繰り出したりと、有権者に顔を見せる機会を増やしていきました。

更に、フォロワー50万人以上の自らのXでも、多いときで10分に1回のペースで発信。インスタライブでは、Tシャツの部屋着姿で登場して愛犬や子育て経験を語るなど、普段と異なる一面も見せていました。

当初、政界関係者の間では、蓮舫氏は都知事選には立候補しないと見られていました。

ところが、出馬に至ったのは、地方選挙で野党系の候補者が相次いで勝利していたことに加え、党の情勢調査で小池氏との差が大きくなかったという結果から、仮に勝てなくても、良い勝負ができれば、次の衆議院選挙に向けて勢いづくという読みがあったからなのだそうです。

けれども、蓋を開けてみればダブルスコアに近い大敗を喫した上、石丸氏にもかわされ、3位という結果。前述した立憲のベテラン議員ではありませんけれども、次の衆院選は苦しくなった可能性は高いと思います。


5.暇空、反注、そして多極化


さて、一部で注目を集めていた暇空氏ですけれども、都知事当選は叶いませんでした。

まぁ、バックも何もない、いわゆる「泡沫」扱いの上に、オールドメディアが、都知事選そのものや情勢調査すら報じないという強権を発動して封じ込めようとしたのです。それ程の「危険物」扱いされた暇空氏ですけれども、爪痕は残しました。

NHKの期日前出口調査では、小池氏、石丸氏、蓮舫氏、田母神氏に続いての5位に食い込みました。割合としては、田母神氏の半分程度ですから、”ひまそら”の名を挙げることなく、その他大勢として一緒くたに括ってしまうことも出来た筈です。それをわざわざ「ひまそらあかね」とグラフに出した。

NHKにも、一ミクロン程の良心が残っていたのかもしれません。

暇空氏は全体でも7位と大健闘です。この結果は新しい動きを予感させるものだと思います。

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今回の都知事選について、ジャーナリストの宮原健太氏は、「既存政党への失望」から、「保守vs.リベラル」という従来型の対決軸に代わって、「既存政党vs.新興勢力」という構図が生まれ、その流れで思わぬ候補が一気に躍進するようになったのではないか、と述べています。

これに関連して、先述した深田萌絵氏も自身の動画で次のように述べています。
・今回も内海さんがぐっと伸びたということで、今回のテーマは「反注派」がかなり伸びた。
・4月5月ってパンデミック条約反対のイベントで、多くの人がね集まってくださっていますしいろんなところでパンデミック反対の集会やデモがあの頻発しているんですよ。
・で、もう数がどんどん伸びている、それでもメディアは語らないっていうところなんですが、この波がかなり来てるんだな。例えメディアは報道しなくても、国民の声っていうのはどんどんこうね大きくなりつつあるっていうことが示されてる選挙だったと思います
内海氏は、今回の都知事選で主要4候補に続く6位と大健闘しています。ここまで支持が集まったのは、やはり、それだけ「反注派」が増えたということなのだと思いますし、その声が大きくなっていくにつれ、国やマスコミも無視できなくなってくると思います。

その意味では、「保守vs.リベラル」という対決軸ではなく、「既存政党vs.新興勢力」という対立軸でもなく、各々の主張が乱立し、それぞれに支持が集まるという”多極化”の選挙が始まっているのかもしれませんね。



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この記事へのコメント

  • ルシファード

    今回の暇空氏の結果は残念でしたが彼の存在を世間に知らせるのは良いタイミングでしたね マスゴミ連中さぞ万歳だろうな(笑)
    2024年07月08日 14:27

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