トランプ撃たれる

今日はこの話題です。
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１．トランプ撃たれる


7月13日、アメリカのトランプ前大統領が東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃を受け負傷する事件が発生しました。

トランプ前大統領が演説が開始して6分経過し、「我が国で歴史上最悪の大統領が就任し、我が国がどうなったか見て欲しい」と不法移民の増加について触れた時に、複数の発砲音が聞こえました。

トランプ前大統領は発砲音の後、右耳を押さえて演台の裏にしゃがみ込み、シークレットサービスが退避させようと近寄ると、「待て、待て」と言い、拳を突き上げて出席者から大きな拍手を受けました。

トランプ前大統領は右耳の辺りを負傷したとみられ、流血も見られた。警護担当に囲まれて降壇し、待機していた車両で会場を後にしました。

トランプ前大統領の報道官スティーブン・チャン氏は、「彼は元気で、地元の医療施設で検査を受けている……詳細は追ってお知らせします」との声明を出し、シークレットサービスの広報担当者アンソニー・ググリエルミ氏には、集会の観客1人が死亡、2人が重傷を負った。銃撃犯は死亡したと発表しました。

トランプ前大統領のシークレットサービスの広報担当者は、Ｘ(旧ツイッター)で、「トランプ前大統領の安全は確保した。現在捜査中で、情報が得られ次第公表する」と投稿しています。




２．何かおかしいとすぐに分かった


銃撃事件の約2時間半後、トランプ前大統領はトゥルース・ソーシャルへの投稿で、銃弾が「右耳の上部を貫通した……ヒューという音と銃声が聞こえ、弾丸が皮膚を突き破るのを感じたので、何かおかしいとすぐに分かった……大量の出血があり、その時何が起こっているのか分かった」と語っています。

もっとも、新たな報道によると、銃弾はトランプ前大統領に当たっておらず、テレプロンプターに銃弾が当たり、その破片が耳に当たっていたということです。

銃撃はシークレットサービスの警備境界線の外から行われたそうで、前述のググリエルミ氏は、容疑者は集会の外の高い場所から発砲したとし、シークレットサービスの職員が「犯人を無力化した」と付け加えています。

トランプ前大統領が降壇した後、聴衆は10分から15分ほど現場に残っていたのですけれども、その後、現場は犯罪現場であると告げられ、出席者全員が外に避難しました。

シークレットサービスはFBIとアメリカ連邦検事局に対し、発砲事件の捜査に協力するよう要請。FBIは声明で、捜査員が現場におり、シークレットサービスと共同で暗殺未遂事件として捜査を行うと述べています。

ただし、米当局者は、現時点では今回の攻撃が外国の関与と関連している兆候はないとしています。


３．意見はあるが事実はない


銃撃事件の約2時間後、バイデン大統領はデラウェア州リホボスビーチにあるホワイトハウスの緊急ブリーフィングルームから演説を行い、「彼が無事で元気だと聞いて嬉しく思う。さらなる情報を待つ間、彼と彼の家族、集会にいたすべての人々のために祈っている……ジルと私は彼を安全な場所に避難させたシークレットサービスに感謝している……アメリカにこのような暴力は許されない。これは病んでいる。これは病んでいる……これがこの国を団結させなければならない理由の一つだ。このようなことが起こるのを許してはならない……誰もがそれを非難しなければならない」と強調し、土曜日遅くにトランプ大統領と話をしたいとも述べています。

バイデン大統領は記者からトランプ前大統領への攻撃が暗殺の試みだと信じていたかと問われると、当時は「十分に知らなかった……意見はあるが、事実はない」と述べ、まずは全ての事実を集めたいと答えました。

バイデン大統領は銃撃事件の数分後に側近から「最初の報告」を受け、その後、アメリカシークレットサービスのキンバリー・チートル長官、国土安全保障長官アレハンドロ・マヨルカス氏、ホワイトハウスの国土安全保障担当大統領補佐官リズ・シャーウッド＝ランドール氏からより詳しい最新情報を聞くため治安当局者を招集していますから、なんらかの報告は受けているのでしょうけれども、「意見はあるが、事実はない」という発言の通りであれば、報告されたのは「憶測」ばかりで、確固とした事実の報告はまだないと思われます。

また、カマラ・ハリス副大統領も「ダグと私は彼が重傷を負わなくて良かったと安心しています……私たちは彼と彼の家族、そしてこの無分別な銃撃で負傷し影響を受けたすべての人々のために祈っています……このような暴力は我が国にあってはならない……この忌まわしい行為を非難する」よう全ての人に求めました。

更に、共和党のマイク・ジョンソン下院議長は、Xに投稿した声明で、法執行機関から説明を受けたと述べ、この襲撃を「平和的な選挙集会での恐ろしい政治的暴力行為……この国でこのようなことは許されず、全会一致で強く非難されるべきだ」と述べています。

そして、無所属の大統領候補ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は「今こそ、国を愛するすべてのアメリカ人が分断から身を引き、あらゆる暴力を放棄し、トランプ大統領とその家族のために一致団結して祈るべき時だ」と呼び掛けています。


４．民主党に有利に働く


民主党も共和党も無所属も、こぞって今回のトランプ銃撃事件を批判していますけれども、2017年に野球の練習中に共和党員に向けて銃撃され、負傷したルイジアナ州選出の共和党スティーブ・スカリス下院議員は、銃撃に至るまでの民主党の言動を非難しています。

スカリス下院議員は「民主党の指導者たちは数週間にわたって、ドナルド・トランプ前大統領が再選されればアメリカの民主主義は終わるというばかげたヒステリーを煽ってきた……明らかに、極左の狂人が暴力的な言辞で行動するのを過去に見てきた。この扇動的な言辞は止めなければならない」」とＸでツイートしています。

現在、トランプ陣営と共和党全国委員会の政治部長、ジェームズ・ブレア氏がスタッフに送ったメッセージによると、トランプ陣営は「完全な通信封鎖」状態にあるとのことで、「すべて順調です……現時点では詳細をお伝えすることはできませんが、近いうちにさらに詳しい情報をお伝えします」と述べています。

今回の銃撃事件が単なる「極左の狂人」によるものなのか、それともバックに黒幕がいるのか分かりませんけれども、BBCは現場の目撃者が発砲前に犯人を指摘したことを報じています。

目撃者は「私たちはその男を指差しました...彼がライフルを持っているのを見ました...警察は何が起こっているのか分かりませんでした。銃声が鳴り響く前にシークレットサービスに伝えました。その後、シークレットサービスが彼の頭を吹き飛ばした」とBBCに語っています。

銃撃がシークレットサービスの警備境界線の外から行われたとのことですから、単にシークレットサービスが、職務範囲外として動かなかっただけかもしれませんけれども、警察が何が起こっているのか分かっていなかったというのは少し気になります。



今後、その辺りの詳細も明らかになるだろうと思われますけれども、今後の展開について、日経新聞の滝田洋一・客員編集委員は次のように述べています。
①暗殺未遂事件。トランプ前大統領の顔右側と右耳に血がつき、右耳に手を当てている様子。シークレットサービスに守られ降壇する際の、右の拳を突き上る仕草が印象的です。
②トランプ前大統領の命に別状はないと発表されましたが、気になるのは頭部への打撃。ケガの状況や今後の大統領選に支障をきたさないかどうかについては、続報が待たれます。
③何よりも15日からの共和党大会にトランプ前大統領が現れるかどうか。登壇しガッツポーズを見せるか、ケガにより登壇を見合わせるかで、受ける印象は大きく変わってきます。
④前者なら強いトランプの印象が焼き付けられるでしょうし、後者だと２人の大統領候補の健康問題が最大の争点ともなりかねません。
この滝田氏のコメントのとおりだとすると、今回の事件は民主党にとって少し有利に働くような気がします。

というのも、もしトランプ前大統領を暗殺できていれば当然のこと、15日からの共和党大会にトランプ大統領が出れなければ、イメージダウンになるからです。

また、仮にトランプ前大統領が、共和党大会に登場し、ガッツポーズを見せたとしても、逆にバイデン大統領を大統領選から撤退させて若い代替候補を立ててやれば、今度は健康問題で優位に立てるからです。

今後、トランプ前大統領はもとより、バイデン大統領の警備も厳重になるでしょうから、暗殺される可能性は少し低くなったかもしれませんけれども、まだまだ何が起こるか分かりません。十分な警戒が必要だと思いますね。



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