アメリカは制御できなくなりつつある

今日はこの話題です。
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1.黒幕はバイデン陣営説


トランプ前大統領暗殺未遂事件を受け、ネットやマスコミではこの話題で持ち切りです。

案の定というかやはりというか、黒幕はバイデン陣営だ説がぽろぽろ散見されます。

7月15日、経済評論家の朝香豊氏は、現在ビジネスへの寄稿記事「トランプ暗殺未遂事件報道に覚えた大いなる違和感と、状況証拠から見た『黒幕はバイデン陣営』説の信憑性」で分析しています。

件の箇所を引用すると次の通りです。
ところで今回の事件について、実はバイデン陣営側が仕組んだものではないかという疑いも生じている。それこそ「陰謀論」の類に思える見方だが、状況証拠の面から見ると、確かに「怪しい」と感じても無理からぬ話がいろいろと出ているのだ。

狙撃犯がどこかからトランプを狙っている可能性を警戒して、集会が開かれたオープンスペースの会場に隣接した建物の屋根には、トランプを警護するためのシークレットサービスが銃を構えて警戒にあたっていた。そしてその場所から130mほどしか離れていない建物の屋根で狙撃犯は銃を構えていた。

シークレットサービスが銃を構えていた屋根と、狙撃犯が銃を構えていた屋根の間には、障害となる建物は存在していなかった。しかもシークレットサービスがいた屋根のほうが高い位置にあるのだ。

普通に考えればシークレットサービスが狙撃犯に気づかなかった可能性は皆無に近い。だが、シークレットサービスは狙撃犯の動きを止めるための行動を、事前には何も行っていないのである。

ラリー会場にいたグレッグ・スミス氏は、銃撃の数分前にライフルを持った男が演説会場の外の建物の屋根を這うような姿勢でいることに気が付き、現場を巡回していた警察官に連絡をしたのに、警察もシークレットサービスも動いてくれず、トランプの演説がどうして続けているのかと思っていたら銃声が聞こえたと、BBCに証言している。

スミス氏はまた、銃撃犯が登った屋根についても、そもそもなぜあそこにシークレットサービスが上がっていなかったのかという疑問を呈してもいる。

スミス氏の疑問はもっともだ。シークレットサービスはラリーの行われる会場を事前に検討し、どこに人員を配置するか、狙撃犯が銃撃を行うとしたらどの地点が考えられるか、それを潰すにはどうすればいいかの具体策を決めていたはずだ。

狙撃犯が狙える屋根を事前に特定しながら、そこにシークレットサービスを張り付かせなかったのは、重大な落ち度ではないのか? 仮に割り当てられた人数の問題でその場所に人員を配置することができなかったとしても、そこに狙撃犯が現れる可能性を事前に想定していなかったということがありうるのか?

そして想定していなかったとしても、実際に現れれば、十分に視認できたのではないか? ラリー会場に来ていた一般参加者ですら気づいていたのに、シークレットサービスが見落としていたということが本当にありうるのか?

こうして考えていくと、警護のプロとしてのシークレットサービスが、ありえないミスを何重にも重ねていることになってしまう。

犯人がシークレットサービスに射殺される前に何発も発砲することができたことについて、FBIのピッツバーグ事務所の責任者であるケビン・ロジェック氏は驚きを隠さず、シークレットサービスはこの疑問に答える必要があると語っている。

さらに、マイク・ウォルツ共和党下院議員は、アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官が、トランプ前大統領に対するシークレットサービスによる保護の強化を何度も拒絶していたことを主張している。

大統領選挙でトランプ優勢が伝えられる中で、熱狂的な反トランプ派からトランプの命が狙われる可能性が高まっているのは自明であり、トランプの警備強化を図るのは当然の動きであっただろう。それなのになぜマヨルカス長官はこうした要請を拒み続けていたのだろうか。

この法案は、以前は保護されるべきとされていた人物が、有罪判決を受け極めて不名誉な状態になった際に、無限の安全と政府資源を割り当てることを否定するという内容で、建前としてはトランプだけをターゲットにしたものではないが、内容的には事実上トランプをターゲットにしたものであるのは明らかだ。

このように見た場合、バイデン民主党側はトランプに対する警護を手薄にしたいという意図があったのではないか、シークレットサービスが意図的に狙撃犯を泳がせたのではないか、という疑念さえ、考えられるシナリオとして浮上することになるだろう。

もっとも全容が解明されていない現段階で得られる限られた情報だけで結論を決めつけるのは不適切だろう。しかし、こうした当然の疑問に、シークレットサービスやバイデン民主党がどう答えていくのか、今後の動きに注目したい。
状況証拠をみる限り、バイデン陣営黒幕説が出ても宜べなるかなという感じです。




2.トランプ株の空売り


7月15日午前、アメリカ株式市場で、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)の株価が急伸。取引開始直後に一時50%上昇し、6月10日以来の高値を付けました。

トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)はその名の通り、トランプ前大統領によって設立されたアメリカのメディア及びテクノロジー企業です。

13日に起きたトランプ前大統領の暗殺未遂事件を受けて、大統領選でもトランプ前大統領勝利の可能性が高まったとの見方から買いが集まったと見られています。

けれども、ネットでは、その前の週、 7 月1日から7月12日までトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)株のいわゆる空売りが増加していたと指摘されています。

その空売り額は700 万から1500万、すなわち800万株に及んだとのことで、翌月曜の朝にはトランプ前大統領が死ぬだろうと思っていたからではないかとの疑問が呈されています。

まぁ、トランプ前大統領が狙われているというのは、前々から言われていましたから、空売りされること自体は不思議ではないのですけれども、暗殺未遂の前の週に一気に何百万株も空売りされるとなると、やはり事前に知っていたと疑られてもおかしくありません。




3.ブルズアイ


7月15日、バイデン大統領はNBCニュースのインタビューを受けたのですけれども、そこで、トランプ前大統領の暗殺未遂が起きる数日前の自身の発言について、「間違いだった」と言明しました。

これは、7月8日、バイデン大統領が献金者との会合で、「トランプを標的に据える(put Trump in the bullseye)時が来た」と呼び掛けたのですね。

ここで、バイデン大統領は、「ブルズアイ」という表現を使ったのですけれども、「ブルズアイ(Bullseye)」とは、いわゆる牛の目を射抜くと言う意味で、命中した事や命中点を意味します。

そのほかには、米軍の作戦における任意の地点を指し、あらかじめ市街地や建物などの任意の目標をブルズアイとして周知し「ブルズアイから北20マイル」と言い換えることによって情報の傍受を防ぐ使われ方をします。

件のインタビューでも、インタビュアーを務めたNBCニュースのレスター・ホルト氏はここを突いてきました。

件の箇所を抜粋引用すると次の通りです。
レスター・ホルト: では、これが引き起こした議論について話しましょう。それは言葉、つまり私たちが声に出して言うこととそれがもたらす結果についてです。あなたは、対立候補を実存的脅威と呼びました。1週間前の電話では、「トランプを的の中心に据える時が来た」と言いました。文脈については議論の余地がありますが、あなたは言葉が重要であることを理解していると思います。

バイデン大統領:私は照準を合わせるとは言っていません。焦点を当てると言っていたのです。実際のところ、私が当時話していたのは、トランプ氏の政策にほとんど焦点が当てられていなかったということだったと思います。

レスター・ホルト: ええ、その言葉は「ブルズアイ」でした。

バイデン大統領:その言葉を使ったのは間違いでした。私は「照準」とは言いませんでした。「的」と言いました。彼に注目しろ、と言いたかったのです。彼が何をしているかに注目しろ、彼の政策に注目しろ、討論会で彼が言った嘘の数に注目しろ、と。

焦点を当てるべきことは、つまり、さまざまなことです。私は初日に独裁者になりたいと言った男ではありません。選挙の結果を受け入れることを拒否した男ではありません。選挙の結果を自動的に受け入れないと言った男ではありません。勝ったときだけ国を愛することはできないのです。ですから焦点は、彼の発言、つまりその考えにありました。

レスター・ホルト:しかし、あなたは、バランスを欠いた人々を刺激する可能性のある発言について、一歩下がって少し反省したことがありますか?

バイデン大統領:そうですね、私は、大統領が彼のようなことを言うとき、現実の民主主義への脅威についてどう話せばいいと思いますか?誰かを刺激するかもしれないから何も言わないのですか?いいですか、私は、私は、私は、私は、そのようなレトリックには関与していません。

さて、私の対立候補は、そのようなレトリックに取り組んでいます。負けたら流血沙汰になるだろうと語っています。国会議事堂で起こったことで逮捕され、刑務所行きの判決を受けた人たち全員を許す、実際には刑期を一時停止すると言っています。私は、ナンシー・ペロシの夫がハンマーで殴られたときのドナルド・トランプの写真を思い出して、それをからかったり、冗談を言ったりしているわけではありません。

レスター・ホルト: でも、あなたは熱を下げているようには聞こえませんね。あなたは、

ジョー・バイデン大統領:いや、いや、いや、いや。私が拒否しているのは、我々が支持する民主主義に反するものがあるという考え方を、完全にやめなければならないということです。国内のすべての裁判所、120の控訴裁判所、そしてこの保守的な最高裁も我々が勝ったと言っているのに、「私は選挙に勝っていない」と言うこと、共和党のMAGAのメンバー全員から忠誠の誓いを立てること、共和党員全員ではなく、MAGAの共和党員が「いや、選挙に負けた」と言って、人々を煽動して、私は、あなたは、つまり、

レスター・ホルト: それで、少なくともあなたがコントロールできることで、世間の熱や言論を落ち着かせるために、何ができるでしょうか、また何をするつもりでしょうか?

ジョー・バイデン大統領:アメリカ国民にとって重要な事柄について語り続けてください。選挙の結果を受け入れるか否かが重要です。例えば、人々を害獣のように語るのではなく、国境をどう扱うかについて語るかどうかが重要です。つまり、こうしたことは重要なのです。そのような言葉は扇動的です。
レスター・ホルト氏は「ブルズアイ」という言葉を出し、「声に出して言うこととそれがもたらす結果」とまで指摘して、バイデン大統領の発言について厳しく追及しています。

バイデン大統領は、トランプに注目しろ、という意味で行ったと述べていますけれども、こちらのサイトでは、「注目」の一般的表現は「pay attention to」「draw attention to」「take notice of」などであり、「ブルズアイ(Bullseye)」は出てきません。

それを考えると「ブルズアイ(Bullseye)」はより的を絞ったというか、当てるというニュアンスが強いのではないかと思われます。

ここからは、映画やドラマの世界ですけれども、「ブルズアイ(Bullseye)」を暗殺の暗号というか隠語として使っていたのだとしたら、それを聞いた献金者達が、暗殺実行の合図だと受け取り、急いで、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)株を空売りした、と考えられなくもありません。

もちろんこれは筆者の妄想ですけれども、状況証拠を並べるといくらでもストーリーが作れてしまえそうです。これは裏を返せば、それだけ不可解な動きがあったということです。




4.イランのトランプ暗殺計画


今回のトランプ前大統領暗殺未遂事件を受けて、あることないこと様々な真偽不明の情報が飛び交っている訳ですけれども、CNNは、アメリカ当局がここ数週間、イランによるトランプ大統領暗殺計画に関する情報を入手し、シークレット・サービスがトランプ前大統領周辺の警備を強化したと複数の関係者が語ったと報じました。

アメリカの国家安全保障当局者は、シークレットサービスとトランプ陣営は土曜日の集会の前にこの脅威を認識していたとし、「NSCはUSSS(United States Secret Service)の上級レベルに直接連絡を取り、彼らが最新の報告を常に追跡していることを確かめた。USSSはこの情報を詳細責任者と共有し、トランプ陣営は脅威の増大を知った。脅威の増大に対応して、シークレットサービスはトランプ前大統領の警護のために資源と資産を増強した。これらはすべて土曜日に先立って行われた」と語っています。

であれば、なぜ、集会での警備不備や暗殺の実行犯とされるトーマス・マシュー・クルックス容疑者がどのようにして近くの屋上に侵入し、トランプ前大統領を負傷させた発砲に成功したのかという新たな疑問が湧いてきます。

事情を知る関係者によると、シークレットサービスの職員らはトランプ陣営に対し、シークレットサービスがアクセスをより適切に管理できるイベントよりもリスクが高い屋外集会の開催を控えるよう繰り返し警告していたようで、シークレットサービス広報担当者のアンソニー・ググリエルミ氏は「シークレットサービスと他の機関は、常に新たな潜在的脅威情報を受け取っており、必要に応じてリソースを調整する措置を講じている……シークレットサービスは脅威を深刻に受け止め、それに応じて対応しているということ以外、特定の脅威の流れについてコメントすることはできない」と述べています。

NSCの広報担当者エイドリアン・ワトソン氏は、「土曜日のトランプ前大統領暗殺未遂事件の捜査は活発に進行中だ。現時点では、捜査では銃撃犯と国内外の共犯者や共謀者とのつながりは確認されていないと警察は報告している」とワトソン氏は述べています。

また、イラン・イスラム共和国の国連代表部も「これらの非難は根拠がなく悪意に満ちている。イラン・イスラム共和国の観点からすると、トランプ氏はソレイマニ将軍の暗殺を命じた罪で法廷で起訴され処罰されなければならない犯罪者だ。イランは彼を裁きにかけるために法的な道を選んだ」と、イランがトランプ大統領を暗殺する陰謀を企てている可能性を否定しています。

ソレイマニ将軍とは、2020年1月にバグダッド国際空港で米軍の空爆により殺害されたイラン革命防衛隊の司令官、カセム・ソレイマニ氏のことです。

CNNのファリード・ザカリア記者は、イランのアリ・バゲリ・カニ外相代行に対し、イランによる暗殺計画疑惑はトランプ政権時代に起きたソレイマニ氏の殺害に対する報復なのかとインタビューで詰め寄ったのですけれども、カニ外相代行は「ソレイマニ将軍暗殺の実行犯と軍事顧問を裁判にかけるため、国内レベルと国際レベルで法的手続きと司法の枠組みに訴えると明確に伝えた」と一蹴しています。

ザカリア記者は、さらに、暴力的手段を使わないことを意味するのかと食い下がったのですけれども、カニ外相代行は「我々はイランおよび国際的な法的・司法的手続きにのみ頼るつもりだ……これまで我々はそうしてきたし、これは我々の権利であり、もちろん今後もそうし続けるだろう。そしてアメリカはイランの上級軍司令官を暗殺したと公然と述べている。だからこの問題を追及するのは我々の当然の権利であり、この件で告発された人々は公正な法廷で裁かれるべきだ」と突き放しています。


5.アメリカは制御不能に陥りつつある


実行犯とされるクルックス容疑者は、既に射殺されています。死人に口なしで動機や背景を尋問することもできません。

7月16日、ロイターとイプソスが有権者登録者992人を含む全米の成人1202人を対象にオンライン世論調査を行いました。

それによると、共和党の大統領候補トランプ氏が登録有権者の間で43%対41%で民主党のジョー・バイデン大統領をわずかにリードしていることが判明し、トランプ氏の暗殺未遂事件が有権者の感情に大きな変化をもたらさなかったとしています。

その一方、民主党と共和党の支持者も同程度の割合で、有権者の80%が「国は制御不能に陥りつつある」という意見に同意すると答え、有権者の約84%が選挙後に過激派が暴力行為を起こすことを懸念していると答えています。

これは、5月に実施されたロイター/イプソスの世論調査でも有権者の74%が同様の懸念を抱いていて、そこよりも更に増加した形です。

また、政党内の誰かが政治的目標を達成するために暴力を振るうことは容認できると答えた回答者はわずか5%で、2023年6月に行われたロイター/イプソスの世論調査の12%から減少しています。

これらのことからアメリカ国民の大半、いやほぼ全ては。政治目的を達成する手段としての暴力行為を否定する一方、8割が制御不能だと答えているのですね。

果たしてこんな状態で、大統領選挙が普通に行われるのか。楽観はできないと考えた方がよいのではないかと思いますね。



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