バイデン撤退とイスラエル

今日はこの話題です。
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1.バイデン大統領コロナ陽性


7月17日、アメリカのホワイトハウスはバイデン大統領が武漢ウイルスの検査で陽性と確認され、軽い症状が出ていると発表しました。

カリーン・ジャン=ピエール報道官によると、バイデン大統領はワクチン接種を受けており、追加接種もしているとのことで、これまで2度、検査で陽性となっています。

バイデン大統領は、デラウェア州の自宅で隔離する予定で、「その間、すべての職務を」全うするとしています。

主治医のケヴィン・オコナー氏によると、バイデン大統領は鼻水や咳など上気道感染症の症状が見られ、抗ウイルス薬「パクスロビド」の投与を開始したと述べています。

バイデン大統領はこの日、ラスベガスの支持者らを訪ね、集会で演説していたのですけれども、夜には選挙演説が予定されていたがキャンセルしています。

バイデン大統領はラスベガスの空港で記者団に体調を聞かれると、親指を立てて「体調はいい」と答えてはいます。

バイデン大統領をめぐっては、6月末の例の討論会で精彩を欠いたことを受け、高齢を理由に大統領選挙から撤退するよう求めるプレッシャーが高まっています。

17日には民主党のアダム・シフ下院議員が、トランプ前大統領を相手にバイデン大統領が勝てるのかどうか、深刻な疑念を抱いていると発言。「アメリカ史上、最も影響力のある大統領の1人」だと呼んだ上で、他の民主党員に道を譲ることで、「リーダーとしてのレガシーを確固とする」ことができると述べ、後継者に「バトンを渡す」よう求めています。

また、議会民主党トップ2のチャック・シューマー上院院内総務とハキーム・ジェフリーズ下院院内総務が最近、バイデン大統領と個別に会談。バイデン大統領が党候補者になれば、大統領選と同時に実施される上下両院の選挙にもマイナスの影響が及びかねないと、深い懸念を伝えたようです。

この報道について、ホワイトハウスのアンドリュー・ベイツ報道官は、「大統領は両院内総務に対し、自分が党の候補者で、勝利するつもりだと伝えた。また、働く家族を支援するための100日間のアジェンダを可決するため、両者と協力することを楽しみにしていると話した」と述べています。

けれども、当のバイデン大統領は、17日、アメリカのケーブルテレビチャンネルの「ブラック・エンターテインメント・テレビジョン:BET」のインタビューで、大統領二期目を過渡的な政権と考え2年以内に大統領の座をハリス副大統領に譲るかどうかとの質問に対し、「私が何らかの病状にあると言われた場合だけで、そのようなことはない」と答えています。

バイデン大統領は「私はトランプ氏より3歳年上なだけだ。健康状態は彼よりも少し良いと思う」と発言。1年ごとに職務について再考するかどうかの質問には「実際問題としてはそうだ。しかし、そのようなことが起こりそうだと考える理由はない」と答えています。

要するに、病気だと診断されれば大統領職を辞すると発言したのですね。

15日のエントリー「トランプ撃たれる」で筆者は、「バイデン大統領を大統領選から撤退させて若い代替候補を立ててやれば、今度は健康問題で優位に立てる」とする一方、トランプ暗殺に失敗した以上、バイデン大統領の暗殺は難しくなったと述べましたけれども、武漢ウイルス罹患による撤退は考えていませんでした。

けれども、いわれてみれば、一番「平和裏」にバイデン大統領を撤退させる手段のように見えてきます。

既にアメリカのメディアでは、バイデン大統領は撤退すると報じているようです。




2.イスラエル黒幕説


昨日のエントリーでは、トランプ大統領暗殺について「民主党黒幕説」を取り上げましたけれども、ネットでは、イスラエルロビーが民主党にさせたのだと、「イスラエル黒幕説」までも流れているようです。

なんでも、民主党政権が続かないとイスラエルがもたないから、というのがその理由だというのですね。

けれども、トランプ前大統領もイスラエル支持派でネタニヤフ首相と仲がよいことで知られています。そのトランプ前大統領をイスラエルが暗殺しようとすることなどあり得るのか。

バイデン大統領の撤退論が噴き出す切っ掛けとなった、6月28日の大統領選討論会で、ガザでのイスラエル軍とハマスの戦闘への対応を問われたバイデン大統領はイスラエルについて「多くの罪のない人々がいる人口密集地では、彼らはあまりうまくいっていない」と答え、ガザの現状に配慮する姿勢を示したものの、「私たちは世界の誰よりもイスラエルを支援している」と語りました。

一方、トランプ前大統領はパレスチナの独立を支援するかについて問われたのですけれども、NATOの話題などに切り替え、イスラエルとパレスチナについては多くを語りませんでした。

ただ、トランプ前大統領は3月25日、イスラエルの保守系新聞Israel Hayom(イスラエル・ハヨム)とのインタビューで、イスラエルはハマスとの戦争を終わらせるべきだと述べ「あなたの国は多くの国の支持を失っている」と警告。イスラエル軍の攻撃で破壊されたガザ地区の写真を公開したイスラエルに対し「非常に大きな間違いを犯した」と述べ、彼らは「世界にとって非常に悪い写真」を送ったと語っています。

これを字句通りに捉えるならば、イスラエルにとっては、トランプ前大統領よりも、バイデン大統領の再選の方が望ましいことになります。


3.イスラエルを例外とするアメリカ第一主義


ただ、今の状況をみると、バイデン大統領の討論会でのやらかしと、トランプ前大統領暗殺未遂によって、トランプ大統領の返り咲きの流れが出来つつあるのは間違いありません。

トランプ暗殺が失敗した今、イスラエル・ロビーがここから逆転させる手など残されているのか。

仮にバイデン大統領を、武漢ウイリス罹患による健康問題だなんだと理由をつけて引きずり下ろしたとしても、今のトランプ前大統領に勝てる候補が現れるとも思えません。そんなことが出来るなら、もっと前からやっている筈です。

ひとつ考えられることがあるとすれば、トランプ大統領ではなく、トランプ政権の方を親イスラエルに大きく傾けてやる手が考えられます。つまり副大統領にバリバリの親イスラエル派にするという手です。

今回、トランプ前大統領は副大統領候補にJ・D・ヴァンス氏を指名しました。

偶然か必然か、このJ・D・ヴァンス氏がバリバリの親イスラエル派なのですね。

ヴァンス氏の外交政策について、アルジャジーラ紙は「ヴァンス氏はガザにおけるイスラエルを全面的に支持しているが、イランに対しては慎重になり、中国に焦点を当て、ウクライナへの支援を減らすことを望んでいる」という記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
◇ヴァンス氏はイスラエルとガザについてどのような立場を取っているのか?
・ヴァンス氏の外交政策は「イスラエルを例外とするアメリカ第一主義」と推測できる。
・昨年10月7日にハマスが攻撃を実行したとき、ヴァンス氏はパレスチナのグループを支援したバイデン政権に責任を押し付けた。
・米国に拠点を置く団体、PAIRS財団のCEO、セス・アイゼンバーグ氏は「ヴァンス氏はイスラエルへの軍事援助継続を支持し、イスラエルの安定が地域の安定に寄与し、米国の戦略的利益に合致することを強調している。同氏は、不安定な地域における民主主義国家としてのイスラエルの役割を認識し、緊密な外交・防衛協力を主張している」と指摘
・ヴァンス氏はイスラエルへの援助に対するいかなる制限も拒否している。
・ヴァンス氏は、イスラエルに対する全面的な支持はキリスト教の信仰によるものだとしている。
・ヴァンス氏は、5月にクインシー研究所で行った演説で「この国の国民の大多数は、救世主が、そして私自身もキリスト教徒であるが、地中海沖のあの狭い地域で生まれ、亡くなり、そして復活したと信じている……世界のその一角をあまり気にかけないアメリカの外交政策が存在するという考えはばかげている」と述べた。
・ヴァンス氏は昨年11月にジョー・バイデン米大統領に書簡を送り、パレスチナ人を「潜在的に過激化する集団」と呼び、パレスチナ人に対する特別な移民保護を実施しないよう求めた。
・ヴァンス氏はイスラエルのガザ戦争に反対する野営地や抗議活動が行われている大学への連邦資金を差し控える法案も提出した。

◇米国の中東介入についてはどうでしょうか?
・ヴァンス氏は中東のさまざまな紛争への米国の関与を繰り返し疑問視してきた。「ヴァンス氏は、こうした介入の多くは目的を達成できなかっただけでなく、アメリカの資源と命を浪費したと考えている」とPAIRS財団のアイゼンバーグCEOは述べた。
・アイゼンバーグCEOは、国家安全保障に対する明白かつ直接的な脅威がない限り、米国は外国の紛争に関与することには慎重になるべきだとヴァンス氏は考えており、この見方は、2000年代初頭の特徴であった介入主義政策に対してますます警戒心を強めている共和党の一部の広範な傾向と一致していると述べた。
・それでも、ヴァンス氏は介入主義には批判的だが、孤立主義を主張しているわけではない
・トランプ大統領が副大統領候補に選んだ人物は、共通の安全保障上の課題に対処するために欧州やアジアの主要パートナーとの同盟関係を維持することを信条としているが、これらの同盟国が集団防衛の取り組みに公平に貢献するよう求めてきた

◇ロシアのウクライナ戦争についてヴァンス氏はどのような立場を取っているのか?
・ヴァンス氏は、ロシアとの戦争の最中に米国がウクライナに資金を提供することに反対している。
・全国保守会議での最近の演説で、ヴァンス氏は米国のウクライナ介入には「達成に近づいている明らかな結論や目標さえない」と述べた。
・副大統領候補の選出により、欧州は軍事防衛のより大きな分担を担うよう促され、米国は中国がもたらす脅威への取り組みに集中できるようになった。
・ヴァンス氏は「我々は欧州の成功を望んでいるが、欧州は自らの安全保障においてより大きな役割を果たさなければならない」と2月のミュンヘン安全保障会議で述べた。
・ヴァンス氏の指名はすでにヨーロッパで騒動を引き起こしている。
・JD・ヴァンス氏の副大統領候補指名は、欧州の安全保障と主権を欧州自身がさらに守る努力を続けなければならないことを示していると、ドイツ国会議員メティン・ハクヴェルディ氏はXへの投稿で述べた。
・ヴァンス氏はミュンヘンで、米国がウクライナへの支援を縮小する必要がある現実的な理由もあるとし、米国は「東ヨーロッパでの戦争、中東での戦争、そして東アジアでの不測の事態に対応できるだけの軍需品を製造していないと述べた。
・ウクライナは、パトリオット迎撃ミサイルであるPAC-3を、米国が1年間に生産する量を1か月で消費しているとヴァンス氏は例を挙げた。
・ヴァンス氏は、紛争はすべての関係者間の「和平交渉」を通じて終結する必要があると付け加えたが、これはトランプ自身の構想と一致している。

◇ヴァンス氏は中国との関係についてどのような立場を取っているのか?
・ヴァンス氏は中国を主要な戦略的競争相手とみなしており、北京の影響力の高まりに対抗するために米国のより積極的な姿勢を求めている。
・ヴァンス氏は、米国の中国製造業への依存を減らし、重要なサプライチェーンを保護する措置を支持しており、また、中国の知的財産窃盗や不公正な貿易慣行に対する強力な措置を主張している。
・ヴァンス氏は今年初めのミュンヘン会議で、米国の外交政策は今後40年間、東アジアに重点を置くべきだと語った。
・3月、ヴァンス氏は、中国政府が国際貿易法を遵守しない場合、米国の資本市場へのアクセスを阻止する法案を提出した。

◇ウクライナのほかに、ヨーロッパに関連する他の問題について、ヴァンス氏はどのような立場を取っているのでしょうか?
・ヴァンス氏は、主に中国に焦点を当てるという自身の見解に沿って、米国はヨーロッパから方向転換すべきだと述べている。
・さらに、ヴァンス氏は、新首相のキール・スターマー氏の下で英国労働党が政権に復帰したことについても批判している。
・ヴァンス氏は「核兵器を手に入れる最初の真のイスラム主義国はどこでしょうか? イランかもしれませんし、パキスタンはすでにその数に入っています。そして、労働党が政権を取ったばかりなので、英国が実際に核兵器を手に入れるかもしれないと最終的に判断しました」と英国が核兵器を持つ最初の「イスラム国家」になるかもしれないと述べた。
アルジャジーラ紙が端的にまとめているように、ヴァンス氏の外交政策は「イスラエルを例外とするアメリカ第一主義」がピタリと当てはまるように見えます。

もし、イスラエル・ロビーが工作をするとするなら、このヴァンス氏を経由、あるいは操って、次期トランプ政権に超・親イスラエル政策を取らせようとするのではないか。

最初からヴァンス氏が、イスラエル・ロビーが送り込んだ人物なのかどうか分かりませんけれども、ヴァンス氏は38歳と若いですし、トランプ前大統領にもしものことがあれば、一躍大統領になれる立場ですからね。

仮にトランプ前大統領が返り咲くとしても、その外交政策が、ウクライナを捨てて、イスラエルに寄り添うものになるのかどうか。注視していきたいと思います。



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