日向灘地震と南海トラフ

今日はこの話題です。
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1.日向灘地震


8月8日午後4時43分ごろ、宮崎県日向灘を震源とする大地震が発生しました。震源の深さは30キロ、地震の規模はマグニチュード7.1。

各地の震度は次の通りです。
震度 6 弱 宮崎県日南市
震度 5 強 宮崎県宮崎市、都城市、串間市、鹿児島県大崎町
震度 5 弱 宮崎県小林市、三股町、高原町、国富町、高鍋町、新富町、鹿児島県鹿児島市、鹿屋市、垂水市、曽於市、霧島市、姶良市、東串良町、肝付町
また、津波については注意報が、愛媛県宇和海沿岸、高知県、大分県豊後水道沿岸、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方に出されましたけれども、こちらは8月8日22時までにすべて解除されています。

この地震により、9日午前8時半の時点で、宮崎県と鹿児島県、そして熊本県では、転倒したり、倒れてきた物に当たったりして、あわせて13人がけがをしたということです。

このほか、鹿児島県の東串良町と肝付町の石油コンビナートで、43基あるタンクのうち37基から少量の油漏れが確認されたということですが火災のおそれはないということです。

これから被害状況が明らかになってくるのでしょうけれども地震の規模の割には人的被害は意外と少ない印象です。


2.南海トラフ地震臨時情報


今回の地震を受け、気象庁は、巨大地震との関連を調べる南海トラフ地震臨時情報を初めて発表しました。

「南海トラフ地震臨時情報」とは、南海トラフ沿いで異常な現象を観測された場合や地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合等に、気象庁から発表される情報です。「南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合」と「調査を継続している場合と、観測された異常な現象の調査結果を発表する場合」に発表されるものです。

南海トラフ評価検討会・平田直会長は、「南海トラフ巨大地震が起きる可能性のある、想定震源域の中で大きな地震が発生したので、この地震によって南海トラフ巨大地震が発生する可能性が平常時に比べ高くなったのかどうかを検討した。これは普段よりも数倍地震が発生する可能性が高くなったという評価となった」と説明していますけれども、「南海トラフ地震臨時情報」は、情報名の後にキーワードが付記され「南海トラフ地震臨時情報(〇〇)」等の形で情報発表されます。

キーワードには「調査中」「調査終了」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」の4つがあり、それぞれの意味は次の通りです。
南海トラフ地震臨時情報(調査中)
観測された異常な現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合

南海トラフ地震臨時情報(調査終了)
巨大地震警戒、巨大地震注意のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)
南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界において M8.0以上の地震が発生したと評価した場合

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)
・南海トラフ地震の想定震源域内のプレート境界において M7.0以上、M8.0未満の地震が発生したと評価した場合
・想定震源域のプレート境界以外や、想定震源域の海溝軸外側 50km 程度までの範囲でM7.0以上の地震が発生したと評価した場合
・ひずみ計等で有意な変化として捉えられる、短い期間にプレート境界の固着状態が明らかに変化しているような通常とは異なるゆっくりすべりが観測された場合
気象庁は今日8日(木)19時15分に、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しています。

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3.南海トラフの割れ方


南海トラフとは、、静岡県の駿河湾から四国の南の海底にかけて、大陸側のユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込む約700キロメートル、水深約4000メートルの溝状の地形を指します。

このプレート境界を震源とする大規模な地震を、いわゆる「南海トラフ地震」と呼んでいます。

南海トラフ地震は、大津波を伴う地震が特徴で、最大クラスの地震が起きた場合、静岡県から宮崎県にかけての一部地域では震度7となるとされ、関東から九州にかけての太平洋沿岸の広い地域を10mを超える大津波が襲うことが想定されています。

南海トラフ地震は、過去には100年から150年間隔で繰り返し発生しているのですけれども、1944年の昭和東南海地震や1946年の昭和南海地震が起きてから70年以上が経過していて、平常時においても、今後30年以内に発生する確率は、70から80%と切迫性が高まってきています。

また、南海トラフ地震のもう一つの特徴に、マグニチュード8クラスの地震が発生した後、残る領域でも地震が続発していることがあります。

1854年には東側で安政東海地震が発生し、そのわずか32時間後に西側で安政南海地震が発生しています。そして、1944年には、南海トラフの東側で昭和東南海地震が発生し、東海3県では三重県南部などに大きな被害が出たのですけれども、その2年後の1946年には西側で昭和南海地震が起きています。

現在、国は、南海トラフで発生する地震を規模や被害に応じて、次の4つに分類しています。
全割れ=南海トラフの想定震源域の広い範囲が破壊され、南海トラフ沿いのすべての地域で被害が生じている。
半割れ=南海トラフの想定震源域のうち破壊されていない領域があり、南海トラフ沿いに、大きな被害が出ている地域と、まだ被害が出ていない地域がある。
一部割れ=南海トラフの想定震源域のうち狭い領域のみが破壊され、被害が出ている地域は南海トラフ全体と比べれば、限られた範囲。
局所割れ=破壊はごく限られた領域のみであり、震源近傍においても被害はほとんどない。
気象庁は、今回の地震を、南海トラフ地震の想定震源域で起こった「一部割れ」の地震と判断していますけれども、この中で最も警戒が必要だと懸念されているのが「半割れ」です。

なぜなら、「半割れ」は、マグニチュード8以上の巨大地震が時間差で連発するからです。

前述した安政東海地震や昭和東南海地震も「半割れ」のケースですし、更に1707年の宝永地震も「半割れ」とされています。




4.南海トラフ巨大地震による震度分布


今回の日向灘地震について、気象庁では地震専門家による検討会が開かれ調査を行っています。

南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会委員の横田崇・愛知工業大教授は、「発生した地震の断層の面積や地震の規模を調べ、プレート境界の地震かそうでないのか、地震の起こり方を調べる。どちらの地震か、どんな地震が起きたのかを調べている……過去の南海トラフの地震は大きな地震が起きた後、32時間あるいは2年後、引き続き大きな地震が起きた。マグニチュード8以上の地震が起きると、引き続きマグニチュード8程度の地震が起きる可能性がある。大きな地震が起きた直後ほどその可能性が高い」と解説しています。

そして、南海トラフ地震臨時情報について、横田教授は「ひとつが臨時情報(巨大地震警戒)。プレート境界の地震で、マグニチュード8以上だった場合、同じプレート境界型の地震が引き続き発生する可能性があるということになる。後発する地震に警戒しておいたほうがいい、という情報を出します。もう一つのパターンとしてプレート境界型の地震でもう少し小さい地震、マグニチュード7クラスの場合は臨時情報(巨大地震注意)を出す。マグニチュード8を超えるような大きな地震を起こす可能性はあるんですけども、それほど高くはない。念のため注意しましょう、という情報を出します」と説明しています。

今後、検討会は、臨時情報の続報を発表する予定ですけれども、政府は日頃からの地震への備えを再確認することなどを呼び掛けています。

こちらに内閣府から「南海トラフの巨大地震による津波高・震度分布等」の資料が公開されていますけれども、震度の最大値の分布図をみると、太平洋沿岸部どころか、北陸から山陰にかけての内陸まで震度5弱となっています。

まぁ、最大値ですからぎょっとする程広範囲ですけれども、ないとはいえませんからね。

ただ、翌9日には神奈川県西部で震度5弱の地震が起こってますけれども、伊豆半島の向こうで、南海トラフの予想域とは外れてますので、専門家の見解では無関係とのことです。

あと、今回、やたら南海トラフを煽るかのような報道が目立つのが少し気になります。

今年4月17日に豊後水道で震度6弱の地震が起こっていますけれども、ここまで南海トラフがー、との報道はなかったように記憶しています。

ネットの一部では、恐怖を煽って、緊急事態項目の憲法改正をしたいのだ、などという意見もあるようですけれども、備えておくことに越したことはありません。

特にここ一週間は、警戒と備えはしておくべきではないかと思いますね。

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