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1.政治生活の集大成で最後の戦い
8月24日、石破茂元幹事長が地元・鳥取県八頭町の神社で、「このたびの自由民主党総裁選に立候補致します。38年間の政治生活の集大成として、これを最後の戦いとして原点に戻り、全身全霊で皆様にご支持を求めて参ります」と自民党総裁選への立候補を表明しました。
石破元幹事長は衆議院鳥取1区選出で67歳。中選挙区制だった1986年の鳥取全県区で初当選し、当選12回を数えます。石破氏は、幹事長、政調会長など党の要職や防衛大臣、地方創生担当大臣など閣僚を歴任し、自民党総裁選には2008年以来過去4回挑戦し、いずれも苦杯を舐めてきました。
石破氏は、「金のための政治ではない、政治家のための政治ではない、それを確立することによって初めて自由民主党は政治は、国民の皆様方にもう一度信頼してもらえると思っています」と述べていますけれども、党内では今回、候補者が過去最多となる可能性も指摘され、上位2人による決選投票にもつれ込むだろうとの見方が大勢で、今後、2位の候補者が複数出た場合の対応についても検討することにしています。
2.強烈な引きはがし
マスコミは石破氏の立候補表明は、19日に立候補表明した小林氏に続いて2人目と報じていますけれども、正確には3人目です。というのも、マスコミがずっと無視している青山繁晴参院議員が昨年11月に総裁選立候補表明しているからです。
その青山議員は8月23日、国会内で記者会見を開き、自民党総裁選に改めて出馬の意向を表明しました。
記者会見で青山氏は「総裁選では別の選択肢があることをお示ししたい……個人の野心、野望ではなく、国家国民のために総裁選に出る」と出馬の理由を語り、政策の筆頭に「消費税の減税」を掲げました。「減税によって個人の購買力を高めることが必要だ。11人の候補者の中に財務省と対峙するという人はいらっしゃらない」と他の候補との違いを訴えました。
青山氏は、100人規模の党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会」の代表を務めているのですけれども、昨年11月に総裁選出馬の意向を表明し、支援者は40人を超えていたのだそうです。けれども、岸田総理が8月14日に不出馬を表明して以降、派閥の「強烈な引きはがしが起きて1人になった」と明らかにしています。
この辺りについて、青山氏は自身のブログ記事で次のように述べています。
【前略】なんと、マスコミが青山氏を無視したことで、青山氏を推薦する気でいた議員に、立候補を取りやめたんだと誤解させ、結果として引き剥がしの一翼を担っていたとは。つくづく酷いものです。
▼8時に終わると、国会へ飛んで行き、今日も議員をひとりひとり回りました。
現職閣僚で部屋に籠もってひたすら電話をなさっている方も複数、存在なさると聞いています。実際、その部屋の前も通りました。何人もの記者が張り付いていました。
しかしわたしは、すべての議員のうしろにいらっしゃる主権者を考えて、深い敬意を込めて、電話ではなくひとりひとり回り続けています。
そして会えば、じっくり話します。
電話に比べ、体力と時間を要し、効率が良くないです。それでも続けています。
▼「数人規模で協力するという約束を実行する」と仰った議員も居れば、「意義と決意があらためて良く分かったので、数人規模での協力を考えてみる」と仰る議員も居ました。
「NHKを視て、てっきり青山さんは出ないことになったと思っていた。なぜNHKは、出ないかのように扱って報道するのか、理解できない。ご本人が来てくれて、出ることに変わりないと分かったので、真剣に考える」と仰った議員も居ます。
NHKの「報道せず」は、他のメディアにも国会議員にも主権者にも影響が深くなり、このブログに「なぜNHKに報道されない。出馬するのかしないのかはっきりしろ」という怒りの声も届いています。
出馬は、昨年11月10日の「虎ノ門ニュース」ですでに明言しています。以後、一度も揺らいだことはありませぬ。何度も何度も繰り返し出馬を明言しています。
▼夕方になって、護る会メンバーの衆議院議員がふたり、それぞれ別々に来られ、いずれも「小林鷹之候補の支援に回って欲しい」と仰いました。
おふたりとも、その地元での講演や、幾度もの選挙応援という支援を致してきたひとです。
わたしは淡々と「いえ、わたしは降りたりしません」と応えました。
理由も丁寧に述べましたが、得心はされていないようでした。
出馬会見に24人の議員を集め、20人必要な推薦人に比べ4議員の「余り」 ( 集まった議員 ) すら出ている候補者の陣営がなぜ、わたしに『諦めて、こちらの支援に回れ』と求めるのか。
すでに、総裁選本番での決選投票のことを考えておられるのでしょう。
わたしは、小林候補が岸田総理と会われ、経済を含めて路線を継承すると話されたことを指摘し、「それでは増税政策の継承であり、消費減税のために財務省と対峙する覚悟のわたしと、政策が真逆なので応援はできません」と述べました。
その経済政策の違いは、きょう、極めてタイトな日程のなか無理を押して収録した「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」でも話しています。
【後略】
会見で青山氏は政策を幅広くかつ分かりやすく語ったのですけれども、候補に必要な推薦人20人を確保できているかは明言せず、「告示日にそろっている自信はある」と述べるにとどめています。
青山氏の改めての立候補表明について、政治評論家の有馬晴海氏は「自民党の伝統、中心からは逸脱していて、仲間を集めるのは難しいだろう。政治の世界は一匹おおかみでは厳しい……国民の間で『青山さんの言うように、もっと自民党変われよ』という声が大きくなれば別だが、『党内でとがったことが言える。懐が深い』と捉えられてしまっては、結果的に自民党にとって、ありがたいだけの存在になってしまう」と、」とむしろ、青山氏の言動が国民の不満のガス抜きになるとも指摘しています。
3.活発に動き出した各候補
では石破氏と青山氏以外に総裁選へ立候補するとされる方の24日の動きは次の通りです。
小林氏: 能登半島地震の被災地を訪れ、石川県珠洲市では仮設住宅や倒壊したままになっている住宅の様子などを視察。記者団に対し「被災しても、ふるさとに残って立て直していくんだという強い思いを感じた。感じたことをしっかりと政策に落としていきたい」と述べ、石破元幹事長の立候補表明については「石破氏は私が初当選した時の幹事長で大先輩だ。胸を借りるつもりで挑戦したい」と述べました。各氏、地方や地元に戻って総裁選へアピールしています。
河野デジタル相:24日朝、地元の神奈川県平塚市で、大相撲の高砂部屋の力士たちが夏の合宿で稽古を行う様子を見学。ちゃんこ鍋を試食したり、力士たちと一緒にスマートフォンで写真を撮り、記者団に対し「世界的に混迷を深めており、有事と言ってもいい時期だ。私の経験をしっかり生かして国をリードしていきたい」と決意を述べました。また、石破元幹事長と小泉進次郎氏が今回それぞれ立候補を表明することについて、「3人がそれぞれで頑張っていく。総裁選挙が終われば自民党としてみんな一つになるのでご心配なく」と述べました。
夕方には、日本を訪れているアフリカの3か国の閣僚と国会内で相次いで会談。その後記者団に対し「今までと違い、世界の形の話をしなければならない最初の総裁選挙だ。外務大臣、防衛大臣の経験を生かし、世界の中で日本が何をしなければならないのか、日本がどういう世界を作っていこうと思ってるのか、しっかり議論をしていきたい」と述べました。
小泉氏:24日夕方、地元の神奈川県横須賀市の神社を訪れ、浴衣姿で祭りに参加。境内に集まった人たちと握手を交わしたり、記念撮影に応じ、子供達に「お祭り楽しんでね。暑いから水分をとってね」と声をかけていました。
茂木幹事長:茂木幹事長は沖縄県宜野湾市で講演し、「地元の栃木県からも全国の多くの地域からも『茂木さん頑張れ』という声をいただいている。国会の仲間からも、『総理大臣として課題解決の先頭で頑張ってほしい』という大きな期待の声をいただいている。どう期待に応えられるか近々決断したい……5年後の日本、10年後の沖縄のビジョンを掲げるだけでなく、仲間の力、チームの力で実行していくことが大切だ。それがあすに希望が持て、どんな世代でも楽しく安心して暮らせる日本につながっていくという思いで、さまざまな改革を進めていきたい」と述べました。
上川外相:24日、東京都内で開幕するTICAD=アフリカ開発会議の閣僚会合の共同議長を務めるとともに、10か国余りの外相らと会談。開幕に先立って会場のホテルで記者団の取材に「TICADの枠組みをさらに伸ばしていくために、全力で取り組んでいきたい」と述べ、総裁選の立候補に向けた推薦人確保の状況については「いよいよ着地の姿が見えてきたという印象だ。思いを一人一人に伝え、改革のチームに入っていただくよう動いているところだ……立候補の表明時期は決まっていないが、いずれそういう場面が来るかと思う」と述べました。
野田氏:地元・岐阜市で講演し「出馬の意欲は毎日持っている。常にそういう気持ちで、緊張感を持って国会議員という仕事をしていかなければならない。『女性が幸せになることがこの国を豊かにする』ということを、しっかりと形に残すための総裁選挙だ」と述べました。一方、24日の会合では岐阜選挙区選出の渡辺猛之・参議院議員が挨拶で「野田氏の推薦人集めに飛び回っているが『推薦人はちょっと』という返事ばかり返ってくる」と発言し、野田氏が「ちょっとしゃべりすぎだ」とくぎを刺す場面もありました。
林官房長官 :林官房長官は、来週にも立候補を表明したい考えで、台風10号の状況を踏まえ判断することにしています。
高市経済安保相:近い議員が「推薦人の確保にめどがついた」としていて、表明する時期を探っています。
4.コバホークの表と裏
中でも、いち早く名乗りを上げた小林氏は精力的に活動しています。
小林氏は22日放送のBS日テレ「深層NEWS」に出演。政治と金の問題に関連し、政党から議員に渡される政策活動費の使途公開に関して、法改正で領収書公開が10年後となったとし「国民の感覚からすると、10年後はあり得ない」と批判。自身が総裁に就任した場合は「きちっと議論しなければいけないが相当短縮しないと国民の理解は得られない……1年だったら1年でできればいいですけど、技術的にできるかって話はある。2、3年とかそれくらいのスパンでやらないと国民の理解は到底得られない」とし、「裏金議員の処遇」については、「一度下した処分を変える事はあり得ない」と語りました。
そして、「党の正式処分に該当しなかった方たちについては、私が総裁に就任したら、やはり、就任したら、国民の皆様の理解を得られるようにしっかりと党改革を進めつつ、人事は適材適所、その時の状況を見ながら決めていく」と述べました。
けれども、そんな小林氏が代表の自民党千葉県第2選挙区支部が、2021年衆院選時に小林氏へ無償提供した事務所費28万円について、政治資金収支報告書に記載していなかったことが、8月23日に明らかになりました。
実際の資金の動きはなかったそうですけれども、政治資金規正法は政治団体の収支全てを公開する趣旨から、賃料相当額の記載を義務付けています。
小林氏の事務所は「当時の経理担当者が退職しており、記載漏れの理由は確認できていない。記載について適切に対応する」と話し、小林氏は「選挙管理委員会と話して訂正することになる」と金沢市で記者団に語りましたけれども、国民の理解云々といった手前、訂正しても理解が得られなかったら、更に何かをしないといけなくなるかもしれません。
小林氏は、総裁選候補内での支持率はほぼゼロから急上昇し、メディアは小泉・小林両氏のトップ争いなどと、随分持ち上げていますけれども、「党員・党友」の支持状況を巡る一部メディアの事前調査では「現状では小泉氏らに到底届かない」との結果も出ているようです。
また、当然、持ち上げられる分、注目が集まり、一部週刊誌では東大法学部同期で結婚した愛妻が立憲民主党にも招かれるリベラル派弁護士であることなど「タカ派エリートを巡るネガテイブな情報」が次々取り上げられていることもあり、ある政治ジャーナリストは「足を引っ張ろうとするメディアの洗礼をどう乗り越えるか」という指摘もされているようです。
筆者としては、ただの人気投票ではなく、青山氏含め各候補者の間で、しっかりとした政策論争を行っていただきたいと思いますね。
この記事へのコメント
ルシファード
季節旅行者
波乱要因的視点から分析した方が、誰もが見落とした意外な点がみつかるかもしれません。
小林、河野、上川、林、石破あたりは、決戦投票の際の、閣僚ポスト取引の駒であろうとみております。青山議員は本当に推薦人を集められるのか、疑問視しています。