ボロが出始めた進次郎

今日はこの話題です。
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1.語気荒げ反論する進次郎


日本記者クラブ主催の自民党総裁選候補者による討論会が14日に行われました。

討論会終盤に、日本記者クラブ企画委員として代表質問した橋本五郎氏が、総理大臣になった場合は早期解散を行うとしている小泉進次郎氏に質問し、小泉進次郎氏が語気荒げ反論する一幕がありました。

そのやりとりは次の通りです。
橋本五郎「最後なんですけども、衆議院の解散問題これについては何と言っても小泉さんから聞かざる得ないでしょう。自分だけが解散を言ってるんだ、こう言ってますからね。聞かざるを得ませんけども、しかし何を基準に解散、国民は選んだらいいのかと、せめて、与野党の論戦があって、それによってああそうか新しい総理大臣っていうのはそういう態度でこういう態度でこれは国政を運営しようとしてるんだなと。それを分からずして、ただもうね、選べと言ったってそれは無茶な話ではないのかと。これについてはどういう具合に、先ほどもあまりはっきりしませんでしたね。いつやるかについては。ちゃんと予算委員会やってからやるのか。そうじゃなくていきなりやるのか。そのことについては意識的に触れないような感じしてたんですけどもいかがですか」

進次郎「これは橋本さんみたいなベテランの方 だったらお分かりで、今聞いてるんだと思い ますけど、それは何月何日とは言わないですよ…(橋本:それは言いませんよ直に)…できる限り早期にと言ってます。で、今まるで27日に総裁戦が終わって、その日に解散するかのような印象で、橋本さんもしくは一部の方々は言ってるかもしれませんがそれはできないんです。なぜならその後に首班指名を受けて……(橋本:そんなこと分かってます)……はい。ですから印象として間髪入れずって思われてる方は、いやまずそれはできないんですと。ただし、内閣総理大臣に指名をされた暁にできるだけ早期に解散をするというのは判断材料がないじゃないかというのは全く当たらないと思います。史上最長の総裁選ですよ。そして選ばれた首班指名を受けた時に、それまでの主張とガラっと変えて選挙を打つなんて人いますか。そして立憲民主党、代表戦ですよ。まるで早期解散を何逃げてんだってことを言ってる方がいますけど、野党が政権交代をしたいんだったら、早く解散しろっていうのは当たり前じゃないですか」

橋本五郎「これはね、総裁選にしろ、それみんないいことしか言わないんですよ、見てると。そのいいことしか言わないのを比較せよってどうするんですか。今度は総理大臣になって何をするかってことをやるわけですから、それとは全然、総裁選とは違いますよ」

進次郎「これ我々全員、総理大臣になったら何をするかを話してるんですよ。総裁になったらっていう範囲内で話している人は誰もいないですよ。総理大臣になったら何をやりたいかを話してるんですよ。それを選ばれた方が、この9人の中で誰か。いつ解散するかは私以外の方は分かりません。ただ私だったらできるだけ早期に解散するというのは、改革プランは明確に話しています、そのうえで政治と金の問題があって、はやく国民の皆さんに信を問うたことを礎としての政権運営をしなければ、どんな政策だって前に進まない。そういった判断と考え方は、私はご理解いただけるのではないかなと思います」と語った。

橋本五郎「まあ、一応、分かりました」
このやり取りを極単純にまとめると次のようになるかと思います。
橋本 「与野党の論戦なしで解散は無茶だ。判断材料がない」
進次郎「総裁選での主張をがらりと変えて解散なんて打てる訳がない」
橋本 「総理としての解散と総裁選は別だ」
進次郎「別じゃない。総裁選でも総理になって何をやるか話している」
橋本氏が、総選挙の判断材料は与野党の論戦を経て行われるべきだとしたのに対し、進次郎氏は総裁選の討論で十分だと答えているのですね。

けれども、国会論戦がないということは、野党のツッコミとその答弁がない訳ですから、揉まれ方が足りないという見方もできるかと思います。当然、新総理の答弁能力も分からないままの解散となってしまいます。




2.解雇自由化発言で逆風が吹き始めた


小泉進次郎氏は総裁選に当たって、自身が掲げた政策が物凄い批判を浴び、早くも逆風が吹き始めています。

小泉氏は9月6日の出馬表明の記者会見で、解雇規制見直しについて「4要件が満たされないと人員整理が認められにくい状況を変えていく」と述べたのですけれども、企業側の視点に立った説明が規制緩和と受け取られ、ほかの候補者から批判される羽目になりました。

13日の共同記者会見では、高市経済安全保障相から「判例が積み上がって4要件が確立された。短い期間の議論で立法して判例を覆すのは容易ではない」と否定され、14日の討論会では、石破茂・元幹事長から「4要件を具体的にどのように見直していくのか。本当に労働者の権利が守られるのか」と疑問を呈されています。

小泉氏は討論会で解雇の要件として「企業の役割を新たに義務づける」と釈明に追われています。

現在、企業が経営悪化などの理由で整理解雇をする際は、判例に基づき、人員削減の必要性や解雇回避の努力など四つの要件を満たす必要があります。解雇回避努力には、配置転換などがありますけれども、小泉氏は討論会で、大企業にはリスキリング(学び直し)や再就職支援を新たに加える考えを改めて示しました。

小泉進次郎氏は自称、国会議員初の「人生100年時代」の提唱者。2016年4月、進次郎氏を中心とする自民の若手グループが「レールからの解放- 22世紀へ。⼈⼝減少を強みに変える、新たな社会モデルを⽬指して -」という社会保障に関する提言集をまとめています。

その中では次のように謳われています。
⼈⼝減少による少⼦⾼齢化、さらに「⼈⽣100年」⽣きていくことが当たり前になる未来に、もはや戦後のやり方は通⽤しない。レールによる保障は財政的に維持できないばかりでなく、私たちが望む⽣き⽅とズレが⽣じてきているのではないか。

「一度レールから外れてしまうとやり直しがきかない」そんな恐れから小さなチャレンジにも踏み出せない。価値観が多様化しているにも関わらず、⼈⽣の横並びばかりを意識し、⾃分らしい選択ができない。 かつて幸せになるために作られたレールが今、この国の閉塞感につながっている。

政治が、その「レール」をぶっ壊していく。
そして、2016年10月には「人生100年時代の社会保障へ」を発表。年金を受け取る時期を選べる受給開始年齢の柔軟化を訴え、「年金保険料はいつまでも納付できるようにする」「高齢者がより長く働くことが当たり前になる」とブチ上げています。

自民党関係者によると、「進次郎氏が18年10月に党厚労部会長に就く前後には、当時の安倍政権が年金受給開始年齢の上限を引き上げる議論を開始。2年後に改正年金法が成立し、22年4月から上限は従来の70歳から75歳まで伸びた。進次郎氏の提言はすでに結実しています」と指摘しています。

進次郎氏は「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス」と年齢前提の社会保障制度の見直しや、現在16~64歳の「現役世代」の定義を「18~74歳」に変更などと講演やインタビューで繰り返し、年金の受給開始年齢は「80歳でもいいのでは」と語ったことで、これも炎上しています。


3.年収の壁の撤廃改革発言で大炎上


また、進次郎氏の政策提言で叩かれているのが、「年収の壁」の撤廃改革です。

これについて、元内閣官房参与で京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡氏は、9月12日付の現代ビジネスの記事「小泉進次郎『低所得者を狙った大増税』改革が危険すぎる…!ウラで『国民的人気候補』を操る『組織の正体』」で強く警告しています。

件の記事を一部引用すると次の通りです。
【前略】

「年収の壁を撤廃。働いている方には原則厚生年金が適用されるように制度を見直す」

当方はこれを目にした時、その余りに酷さに心底仰天したのだが、一般の人には正確には理解できないのではないかとも同時に感じた。ついては一般の方々にこの文言を見せ、感想を伺ったところ「壁がなくなるなら、いいんじゃない?」「厚生年金の制度の幅も広がってなんか良さそうに思うよ」という反応ばかりだった。しかし、それは完璧なる「勘違い」だ。

結論から言うとこの進次郎提案は、「今まで低所得だから厚生年金の支払いが免除されてた人からも、一律に厚生年金を吸い上げるようにする」という「低所得者をターゲットとした”大増税”」に過ぎない代物なのだ(なお、ここでは保険料支払いも政府が国民から吸い上げるものであるという点で同じだという主旨で便宜上「税」という言葉で解説する。無論、年金は厳密に言えば税ではないが、例えば北欧諸国では税と保険料の区別はなく全て「税」と呼ばれており、両者の間に本質的差異はない)

以下、詳しく解説しよう。

まず、「収入の壁」というのは、扶養に入っている主婦やフリーターの若者等は年収106万円以下の人は厚生年金を払わなくてもいいとなっているから生じているものだ。つまり、年収が106万円を超えれば、それまで払わずに済んでいた厚生年金を払わないといけなくなるので、かえって「手取り収入」が減ってしまうという現象が「収入の壁」だ。

そしてこの壁を撤廃するためにしばしば主張されてきたのは、その壁の金額水準の引き上げや、「壁」のせいで減った所得プラスαを補助金で補填するなどの国民の負担を「軽減」する対策だ。ところが、進次郎氏はそうした常識的な内容とは逆に、国民負担をさらに「増加」させるべきだという恐るべき提案をしているのだ。

すなわち、進次郎は、「低所得の人が年金免除されてるから壁ができてるだけじゃないか! だったら、低所得の人に対する、年金の免除やめちゃえばいいじゃないか!」という、血も涙もない”鬼提案”をしているのである。

この”鬼提案”がホントに通ってしまえば、現在扶養に入っており、年収が106万円以下の例えば100万円の労働者の場合には、年収の9.15%、つまり年間9万1500円も政府に余分に吸い上げられる事になってしまう。これは、いわゆる「パートの主婦」や「若者のフリーター」においは極めて平均的なケースだ。

これだけでも大増税だが、進次郎氏のこの年金改革では、労働者だけではなく、彼らを雇っている「企業」もまた、同じ金額の被害をうけることになる。

というのも、厚生年金というのは、労働者が支払った年金と同じ金額だけ、会社側(雇い主側)も支払わないといけない仕組みだからだ。

厳密に言うと、厚生年金は労働者の賃金の18.3%を会社と労働者が折半で払わないといけないという仕組で、例えば100万の賃金の人の場合、9万1500円を会社と労働者の「双方」が払わないといけないのである。

つまり政府の側から言うなら、100万円の労働者が一人いれば、小泉年金改革をやれば、それだけで18万3000円も余分に国民からカネを吸い上げることができるようになる、という極めて「オイシイ」話なのだ。しかし、それはあくまでも「吸い上げる側の論理」であって「吸い上げられる国民の側」にとってみれば、それは単なる天から降ってきた「災厄」と言うほかない。

ところで、今回ターゲットとされる年収100万円程度の労働者の多くが、正規雇用ではないパートやアルバイトというより弱い立場の方々であることを踏まえると、さらに恐ろしい次のようなケースが危惧されることになる。

例えば、「年収100万円のバイト」を1人雇っている会社を想定してみよう。その会社は小泉年金改革が決まってしまえば9万1500円も「余分」に政府に(保険料として)支払わないといけない、ということになるわけだが、それは勿論、会社にとっては是非とも避けたい話だ。だから中には、次のように考える会社が必ず出てくる事になる。

『俺(雇い主)は、このバイト君1人に100万円以上のカネなんて絶対払いたくない。だから、バイトにかかる金を100万円以下に抑えるために、俺の負担分の9万1500円も全部バイトに払わせるようにしてしまおう! もちろん、書類上は我が社が払ってるってっていう「体裁」を整えないといけないから、実際には次のすることにしよう。

1)まず、バイト代を92万弱にする
2)その18.3%の半分の8.4万円を、厚生年金としてバイト君が政府に払う。
3)そして、俺もそれと同じ8.4万円を政府に払う

こうすりゃ、俺がこのバイト君一人に払う金はトータルおおよそ100万ってことになって、俺にとっちゃ結局何もかわらねぇ。だけど俺がまるでこのバイト君のための厚生年金を半額負担してやってるって体裁になる、まぁ、バイト君はえらい災難だろうけど(笑)』

お分かり頂けただろうか?

要するに、全員を厚生年金に入れるっていう小泉年金改革をやれば、100万所得の労働者は最低でも9万1500円の増税になり、経営者がずる賢い奴なら、最悪16万8000円もの大大増税になるのである。誠にもって恐ろしい話だ。

とはいえこの年金改革は、進次郎氏が急に今回思いついたものでは断じてない。こうした年金改革は長年、財務省が進めたいと思い続け、温め続けてきた「改革」だ。財務省にとってみれば、「扶養」という仕組みによって守られ、保護されているという状況のせいで、一部の労働者から年金を吸い上げることができないという現状の仕組みは、まるで喉に刺さったサカナの骨のように「鬱陶しい」ものだったのだ。

そんな財務省(および彼らを中心とした諸勢力)が今回目を付けたのが、国民人気が高く、そして事の重要性をどこまで理解しているか曖昧な「軽い神輿」としての小泉進次郎氏だったという次第だ。

そう考えれば進次郎氏も半ば「あわれ」な存在と言うこともできるだろうが、何より「あわれ」なのはそんなことに気付かずにイメージだけで進次郎氏を支持し、その帰結として「大増税」をされてしまいかねない状況に追い込まれている我々日本国民だ。

だからこそ我々国民は政治家のイメージはさておき、その政治家が一体どのような政策論を主張しているのかを一つ一つしっかりと吟味する姿勢を何よりも大切にせねばならない。さもなければ、我々の日本はこれから何十年も、「失われ」続ける事になるのだ。

とりわけ今回の総裁選の有権者である国会議員、ならびに自民党の党員・党友各位には、そうした「真面目」な姿勢を、心から祈念したい。さもなければ来たるべく衆議院選挙、あるいはおそくとも来年の参議院選挙で、自民党は大敗を喫し、政権を明け渡しかねないだろう。「目先の人気者」ばかりに頼っているようでは、国政政党の未来が明るくなるようなこと等、絶対にないのだ。
藤井教授によると、小泉進次郎氏が総理になれば、改革という名の大増税が、財務省の振り付けの元で行われるというのですね。


4.進次郎はよく分からないで喋ってる


9月14日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」で、自民党総裁選の候補者の発言や政策を特集しました。

その中で小泉進次郎氏の「年収の壁」発言も取り上げられました。

先述した京都大学大学院の藤井教授も番組に出演し、「小泉さんが言ってるのは、収入の低い人からもお金とったらええやんか、と(いうこと)。大増税やんか。財務省が長年やりたいって言ってたこと。進次郎さんはめっちゃ人気やから、財務省は、進次郎さんに振りつけて客寄せパンダにのせて、やらせたろうと思っている」と怒りを爆発。

嘉悦大学教授で経済学者の高橋洋一氏も「多分、小泉進次郎はよく分からないでしゃべってる、と私は思う。何となくみんな、パートも主婦も(厚生年金を)適用しますって平気で言ってますけど、あれは大変なことなんだよね……はっきり言えば、ボロが出てるんですよね。(財務官僚から)軽く言われて、そのまま言っちゃった。って感じがします」と指摘しました。

また、 人気アイドルグループ「WEST.」の中間淳太氏「小泉さん、若い総理大臣になるのはいいかもしれないけど、僕が見てて思うのは、小泉さんが思っていることなのかな?っていうことばっかりなんですよ。他の人に入れられたことをしゃべってるだけやから。もしそうなった場合、めちゃくちゃ怖いと思います」と述べてしていますけれども、アイドルにまでこんなコメントをされるようでは、一般国民にも「底の浅さ」を見抜かれているのかもしれません。

またこの番組には、元日本テレビ政治部次長で政治ジャーナリストの青山和弘氏が出演。自民党総裁選情勢について解説しています。

その要点は次の通りです。
・トップと見られてるのが小泉さんですが、あんまり党員票が伸びてない。党員票トップは石破さんで全体では2位ぐらい。高市さんの党員票が伸びてきていて、最新の調査だと小泉さんを上回ってるんじゃないか
・小泉氏は菅義偉前首相の後押しで議員票を固めている。議員票では小林氏が2位につけている
・全体では小泉、石破、高市の三つどもえの戦いですが、小林さんがどれだけ党員票を伸ばしてこられるか。党員票で今伸びてきてるのは上川さん。この5人ぐらいの争い、他の方には申し訳ないんですけど三つどもえ+小林、上川がどう絡むか
昨日のエントリーで筆者は、日テレの調査をもとに石破氏・高市氏・小泉氏の三つ巴になると述べましたけれども、青山氏はそこに小林、上川の両氏が絡むと見ているようです。

それにしても、これまで圧倒的人気と見られていた小泉氏の党員票が伸びていない原因が、高橋洋一教授が指摘する「ボロが出てる」からだとすれば、史上最長の総裁選の中、ボロが拡大することはあっても塞ぐことは難しいのではないかと思います。

小泉進次郎氏の父である小泉純一郎元総理は、マスコミの取材に「総理にならない方がいいのにね」と述べています。もともと50歳になるまで総裁選には出るなとストップをかけていたのを、最終的に総裁選出馬にGoを出したといわれていたのに、今になってこのコメントはないのではないかと思いますけれども、現在の情勢をみて意外と本心ではないかと思えてきます。

投開票までの約二週間、どんな展開を見せるのか、ウォッチしていきたいと思います。




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