マイナ保険証のメリットなんて真っ赤なウソだった

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1.悪意ある者にとってこれほど付け入る隙のある制度はない


10月4日、平将明デジタル大臣は会見で、現行の健康保険証について廃止に理解を求める発言をしました。

会見での件の質疑については次の通りです。
(問)マイナ保険証について、前回、マイナ保険証のトラブルは実装・運用する中で改善され、利用者も徐々に慣れていくだろうとおっしゃられたかと思います。本格運用開始から間もなく3年が経過しますが、当会の直近の5月から8月の調査では、7割の医療機関でトラブル・不具合が確認されており、「資格情報が無効と表示される」との回答も5割、負担割合の違いなども多数報告されています。これは制度の根幹に関わり、患者や医療機関側、いわゆるユーザーの慣れで解消されるものではありません。トラブル対応のためにも石破首相が総裁選でも言っておられたように、保険証を併用すべきではないかと考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

(答)就任記者会見でもご質問いただきましたが、石破総理の総裁選の時の発言と違うのではないかというご指摘を受けました。私も総裁選最中の石破候補の発言を確認しましたが、その中でも資格確認書、資格証明書というものを活用すると、これら資格確認書のことを言っていると思いますが、そういうものを活用しながら、配慮しながらやってまいりたいという発言をしておりますので、総理の考えと先般の就任時の発言とは齟齬はないと思っております。その上で、前回も申し上げましたが、実際使う中で、例えばちょっと角度が合わなかったとか、いろいろ軽微な問題でうまくアクセスできなかったといったことも多々あると我々は認識をしています。マイナ保険証と同時に、こういった紙の資格確認書もしっかり申請なくお届けをするという体制を整えておりますので、それを活用していただくことによって、ご指摘の点は解消されていくものと考えております。

(問)資格確認書というアナログの選択肢も残していくということで、一方で、前回保険証を残すことは二重の投資だともおっしゃっていましたが、マイナ保険証を持っている方全員にも「資格情報のお知らせ」という紙の確認できるものを配付するともされております。二重ということで言えば、健康保険証を残すことと変わらないのではないかと思います。また、保険者であったり、行政のコストや手間、国民や医療機関への周知ということで考えると、今、安定的に運用されている保険証を併用することの方がむしろ効率的で確実ではないかと考えられないでしょうか。

(答)二重投資も、是非金額の「桁」の認識を持っていただきたいと思います。データ化することによって、母数の大きい医療の効率化というのも図られてまいります。また、今の保険証は全く問題ないという認識は我々と違う認識で、前回も申し上げましたが、顔写真もない、ICチップもない、これは、いわゆるそういう不正を行おうという悪いお考えを持った人たちから見ると、これほど付け入る隙のある制度はないというふうに考えておりますので、そういった穴もしっかり埋めていかなければなりません。二重投資というワードだけが問題ではなくて、かかる経費と得られる便益のバランスを持って進めていくことが重要だと考えております。
平デジタル大臣は、現行の健康保険証について「悪意ある者にとってこれほど付け入る隙のある制度はない」と述べ、資格確認書について、現行の保険証とマイナ保険証を併用するのがコスト的にも一番ではないかとの指摘に、「データ化することによって、母数の大きい医療の効率化が図られてくる」と説明しました。


2.マイナ保険証のメリットなんて真っ赤なウソだった


平大臣はデジタル大臣への就任会見でも「母数の大きい保険医療のデジタル化で得られるメリットは桁が違う」とマイナ保険証に原則一本化する意義を強調しているのですけれども、政府のいうマイナ保険証のメリットは嘘だという指摘もあります。

9月15日、法的な悩みを抱えるユーザーに対し地域や相談分野から弁護士を探し、法律相談の問い合わせができるサイト「弁護士JP」は、「マイナ保険証の「メリット」は“真っ赤なウソ”だった?」という記事を掲載しています。 

件の記事の概要は次の通りです。
【前略】

・マイナ保険証の利用率がいっこうに上がらないことに業を煮やしたのか、2023年11月に政府は887億円もの補正予算を組んで、マイナ保険証の普及促進に乗り出しました。

・そのうちの217億円は、マイナ保険証を積極的に推進する医療機関へのインセンティブとして支援金にあてられています。そのほかポスターやチラシを大量に作ることや、全国の自治体や商業施設でマイナ保険証の体験会や相談ブースを設けたイベントなども開催されています。

【中略】

・それはともかく、2024年2月16 日からテレビCMも大々的に始まりました。YouTubeや新宿の屋外の大型ディスプレイでも流れていました。ところが、そのCMの内容が誇大広告を通り越して、真っ赤なウソなのです。

・民間のサービスなら、消費生活センターに苦情を持ち込めるレベルにひどいのです。

・CMはいくつかのタイプがあるのですが、その一つが、「患者本人がこれまで別の病院で受けた診療内容を忘れてしまっても、マイナ保険証に紐づいた過去の診療内容を病院側で共有して確認できるので安心だ」とアピールするものです。

・見逃していけないのは「過去」の診療内容を共有できるとしている点です。なぜわざわざ「過去」のとしているかというと、「最新」の診療内容は共有できないからです。

・共有できるのが役に立たない過去の情報にもかかわらず、CMの最後にアニメの患者に「安心」だと言わせているのは、景表法が禁じている「優良誤認」(景表法5条1号)と言ってもかまいません。

・ここで基本的な話をしておくと、最新の診療内容が共有できない原因は、次に申し上げるように根本の仕組み自体にあるので、ちょっとやそっとのことで解決できません。

・マイナ保険証で喧伝される「医療情報」とは、保険医療行為が行われたあと、その医療機関が指定の基金などに診療報酬の残り(3割は患者負担だから提供サービス価格の残りの7割)を請求した際に登録されるデータが元になっています。

・この診療報酬請求のプロセスを少し詳細に見ておくと、医療機関が診療報酬点数を計算したものを診療報酬明細書(レセプト)にして社会保険診療報酬支払基金などに送り、間違いがないかどうか審査を受けます。

・この際、不備がある際には差し戻しになったりしますが、審査が通ったレセプトは支払基金から管轄の保険組合(会社の健保や自治体の健保)に回り、それに基づいて保険組合が医療機関に診療報酬を支払います。

・全国のすべての医療機関を横断して共有できる患者の医療情報は、このレセプトに書かれた診療内容を蓄積したデータベースが元になっています。このデータベースがマイナ保険証に紐づけられています。

・レセプトの処理は1か月分をまとめて支払基金に送られ、さらに審査に時間がかかるので、診療が行われてからその医療情報が共有されるまでに、1か月半程度はかかるといわれています(この期間には幅がありますので、少し短い場合もあればもっとかかる場合もあります)。

・したがって、マイナ保険証に紐づいているデータベースを見ても、少なくとも直近1か月半ほどはどのような診療を受けたか、どのような薬が処方されたのかは確認できません。

・医療従事者が1か月半前のデータを見て、人命に関わる判断ができると思うでしょうか。そういう意味でよりよい医療が受けられるようになるというのはウソです。

・ちなみに、このデータベースには健康保険証に記載されている被保険者番号からもアクセスできるので、仮にそのデータに便益があっても、その点でもマイナ保険証特有のものではありません。

・実は、リアルタイムに医療情報を共有する方法はあるにはあります。巨大な電子カルテシステムを作って共有する方法です。こちらが実現すれば理論上はリアルタイムに情報が反映され、共有できます。

・ただし、大きなハードルがあります。

・一つは、そもそもカルテを紙でやっているところがまだまだ多いということが挙げられます。

・厚生労働省の資料によると、2020年の普及率は一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%と、ようやく半分を超えたか超えないかといったところです。

・調べてみると、厚生労働省は電子カルテの義務化に動いているものの、小規模病院などでは便益を感じにくいにもかかわらず多額の金銭的負担が生じるといった問題があります(補助金はありますが、金銭的負担はその上限を超えるとの指摘も散見されます)。

・もう一つが、電子カルテと一口にいっても2000年ごろから各医療機関がそれぞれに導入してきたために開発事業者が異なり、データの型がバラバラだという大きなハードルです。それを標準化しなければ、医療機関を越えて共有できないのです。

・つまり、政府CMのような、あたかも医療機関を横断してカルテ情報にリアルタイムにアクセスできるかのような広告は、贔屓目(ひいきめ)に見ても実態と著しく乖離(かいり)しています。

・そもそも電子カルテシステムはマイナ保険証と何の関係もなく、マイナンバーを使わないと技術的にできないことなどありません。

・ここまでマイナ保険証を活用しても、医療の質が向上しないことを説明してきました。しかし、問題はそれにとどまらず、医療の質を低下させる事態も起こり得ます。

・それは、マイナ保険証を「救急医療」に利用することによって生じる事態です。

・マイナ保険証の救急医療への利用とは、交通事故や心筋梗塞、脳梗塞などで救急車が出動した際、「傷病者が意識のない状態であっても、マイナ保険証でマイナポータルにログインすれば資格確認もできるし、過去の診療履歴や投薬履歴を得られるので、適切な救急活動が迅速にできる」というものです。

・しかし、これが「外に出して恥をかく前に誰か止めなかったのかな」と思ってしまう話なのです。

・すでに述べてきたとおり、マイナポータルにログインしても、最新の診療履歴も投薬履歴も得られません。最も新しい場合でも1か月半前の情報です。

・直近1か月半の間に、どんな医療を受けて、どんな薬を飲んでいたかわからないような情報は、使い物になりません。

・また、一刻を争う緊急事態にあって、資格確認なんて必要ないでしょう。マイナ保険証をカードリーダーで読んでマイナポータルにログインする作業は救急活動のじゃまになります。

・認証に時間がかかりますし、エラーが出る場合もあり得ます。病院に到着するまでの搬送中に、できうる限りの救急処置を施さなければならない救急隊員が、マイナ保険証を扱っている暇などありません。

・そもそも傷病者が全員、マイナンバーカードを携帯しているかどうかもわかりませんし、マイナンバーカードを持っていてもマイナ保険証に登録しているかもわかりません。

・その一方で、全国のすべての救急車にカードリーダーを搭載しなければならないという大きなコストも発生しつつ、緊急時にあるかどうかもわからないカードを本人の身体からガサガサと探さないといけないのです。

・なんらメリットがないだけでなく、救急活動を阻害し、医療の質を低下させるのは目に見えています。

・マイナ保険証の救急医療への利用は、このように、どこからどう見てもうまくいくはずのない施策ですが、どうやら行政側は本気です。

・消防庁は実施に向けて、実際の救急活動においてマイナ保険証を活用した実証実験を2022年度に行っています。従来の救急活動と、マイナ保険証を利用した救急活動を比較するというものです。

・この実証実験に参加したのは、群馬県前橋市、石川県加賀市、滋賀県彦根市、兵庫県姫路市、熊本県熊本市、宮崎県都城市の6つの消防本部の30隊です。

・救急車にカードリーダーを搭載し、救急隊員に事前に操作方法を習得してもらい、実際の救急活動の場面で傷病者の状態から無理がないと判断された場合に、マイナ保険証を使って傷病者のマイナポータルにアクセスして医療情報を確認するという手順です。

・実施期間は2022年10月下旬~12月下旬。そして、総務省消防庁の「令和4年度(2022年度) 救急業務のあり方に関する検討会報告書」(令和5年(2023年)3月)で実証実験の結果が報告されています。

・さて、従来の救急活動と比較した結果はどうなったか?

・やる前からわかるような話ですが、救急車が現場に到着してから出発するまでの時間が、マイナ保険証を利用したほうが6分26秒長くなっているのです。一刻を争う事態に呑気な話です。

・さらに到着から車内収容までを比較すると、2021年の実績の平均が7分15秒(1分10秒+6分5秒)に対して、実証実験は6分43秒(55秒+5分48秒)と32秒も縮まっています。

・救急活動において32秒も時間短縮できたのは、救急隊員の頑張りによる大きな成果です。

・この大きな成果を台なしにしたのがマイナ保険証です。

・車内収容から現場出発を比較すると9分41秒から16分43秒へと7分2秒もよけいに時間がかかっています。ひとえに、マイナ保険証で役に立たない医療情報を確認したりしているからです。

・これでは助かる命も助かりません。救急隊員の方は、さすがに相手にしないでしょう。しかし、そんなもののためにも金銭的コストは生じます。
なんと、マイナ保険証で共有できるデータは早くても一カ月半前のものなのだそうです。いくらスケールメリットで「母数の大きい医療の効率化」をしたところで、肝心のデータが古くては、緊急時には役に立ちません。

また、デジタル化ということで電子カルテが効率化できるかというと、各社の規格が統一されておらず共有化できないとのことです。共有化できないバラバラのデータセットをいくら集めたところでスケールメリットは働きません。

実際、マイナ保険証を使った実証実験をしたところ、救急車が現場に到着してから出発するまでの時間が、マイナ保険証を利用したほうが6分26秒長くなっているという体たらくですから、何をかいわんや、です。


3.試算から除外された隠れコスト


前述した記事はシリーズもので、9月29日に第二回記事「マイナ保険証へ一本化で「コスト削減」の政府試算は“幻想”だった…莫大な税金のムダ遣い? 試算から除外された「隠れコスト」の正体」がアップされているのですけれども、件の記事の見出しだけ挙げると次の通りです。
・厚労省は「年間76億円〜108億円程度のコスト削減」と試算するが…
・社会的費用がかさみ、役所も保険組合も疲弊するおそれ
・「インフレ」ですでに試算が狂っている
・試算から除外された巨大な「隠れコスト」も
・「普及促進キャンペーン」のための人件費等も「試算外」
・“1兆円超”と推測される「システム開発・運用費」も「試算外」
・莫大な税金を使い、無意味な業務を増やし、医療現場は大迷惑
・保険組合に過大な業務負担を与える
・“事業破綻”する保険組合が続出する恐れ
コスト削減の政府試算はその前提から穴だらけだと指摘しています。こんな状況でよくも莫大なメリットがあるといえたものです。

平デジタル相は今の紙の保険証について「不正を行おうという悪いお考えを持った人たちから見ると、これほど付け入る隙のある制度はない」と批判していますけれども、それなら、厚労省のコスト削減試算の中に「試算を不正してでもマイナ保険証をゴリ押ししよう」という悪いお考えを持った人達がいないかを先に調べるべきだと思います。

9月19日、全国保険医団体連合会(保団連)はマイナ保険証に関する調査の中間集計結果を発表しているのですけれども、回答した1万242医療機関のうち69.7%に当たる7134が5月以降に不具合を経験。端末で読み取れなかったり、読み取った名前や住所が不正確だったりした。他人の情報がひも付けられていたとの回答も155医療機関であったとしています。

不具合時の対応としては、結局、現行の保険証で保険加入の資格を確認したケースが多かったそうです。

こういった現状について、厚労省は「マイナ保険証の利用自体は推進しているが、マイナ保険証の利用者を優先してくださいとも、区別しないでくれとも示したことはない」とほっかむりしています。

現在、マイナ保険証の利用率は6%ほどにとどまっているため、政府はマイナ保険証の普及を進めるために、「マイナ保険証の利用者を増やした病院に最大20万円、クリニックや薬局に最大10万円の一時金を支給」や「利用率が高い医療機関や薬局を表彰」といった取り組みを進めていますけれども、マイナンバー制度と法律に詳しい中央大学の宮下紘教授は「マイナ保険証の利用率が高い医療機関に政府が一時金を出すので、マイナ保険証の患者を優先的に取り扱うという現象が起きているのでは。本来あるべき医療の質を高めることより、マイナ保険証の利用率を高めることに焦点が移っている……事務手続きの短縮など、合理的な理由があれば、優先順位をつけることに法的な問題はない」としながらも「保険証の種類で、患者が受けられる医療行為に差があってはならない。“マイナ保険証を使ったから優先”というのは、患者に寄り添った方針ではない」と指摘しています。


4.保険証廃止一体誰がどう決めたのかの記録はない


救急医療が遅くなり、デジタル化した医療データも古くて使えないとなると、やること自体無駄としか思えません。

マイナ保険証なんて、誰がどうやって決めたのか。

これについて、東京新聞が検証記事をシリーズ化していますけれども、9月25日、「「保険証廃止」一体誰がどう決めたのか 「記録はない」と判明…首相報告や閣僚間のやりとり 経緯は闇の中へ」という驚くべき記事を掲載しています。

件の記事を引用すると次の通りです。
現行の健康保険証の廃止がどのように決まったのか、その決定経緯が分かる記録を政府が残していなかったことが、東京新聞の情報公開請求や関係者への取材で分かった。

事実上のマイナンバーカード取得義務化にも等しい大きな政策転換だったにもかかわらず、政府内でどのような議論があったのかブラックボックスになっている。

政府が現行保険証の廃止の方針を示したのは、2022年10月13日。河野太郎デジタル相が記者会見で、「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明した。後に政府は2024年12月廃止と決定した。
それまで政府は「原則廃止」としながらも、「強制はしない」と現行保険証の選択の余地も残していた。
東京新聞は今年6月、厚生労働省とデジタル庁に、「完全廃止」を決めるまでの政策決定のプロセスが分かる文書の開示を求めた。

2カ月後、両省庁から開示されたのは、2022年6月に政府が原則廃止を決めた「骨太の方針」、22年9月29日と10月12日に開かれた「マイナンバーカードの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議」の議事概要や資料、廃止を表明した関係大臣の会見概要だけ。
ほとんどはホームページで公表済みだった。
連絡会議の議事概要は、2回分を合わせて7枚。厚生労働省は「連絡会議も決定経緯を示す一部」と説明するが、いずれの会議も記されていたのは河野氏の発言だけだった。

河野氏は会議で、マイナ保険証をカード普及の「切り札」と述べ、「各種カードとの一体化はどんどん前倒しでやらせていただきたい」と意欲を示していた。
保険証廃止の経緯が分かる記録として開示された連絡会議の議事概要。河野氏以外の発言はなく、関係府省庁からの意見は「なし」と書かれている

議事概要では、関係省庁からの意見が「なし」と記され、保険証廃止を議論した形跡はうかがえない。「2024年度秋」とする廃止時期の言及もなかった。
両省庁は、東京新聞の取材に連絡会議とは別に大臣間でも協議していたことを認めたものの、「大臣間の協議の記録はない」とした。

河野氏は廃止を表明した2022年10月13日の会見直前、厚労、総務の2大臣とともに岸田文雄首相に保険証の廃止方針を報告している。
だが、両省庁から開示された文書の中には、首相報告時の記録もなかった。
内閣官房や総務省にも、首相報告時のやりとりや廃止の経緯を記した文書がないかを尋ねたが、いずれも「記録はない」とした。
内閣官房の担当者は「デジタル庁が事務局となっている連絡会議に基づいての報告。(記録を取るとすれば)デジタル庁ではないか。内閣官房が関与しているものではない」とした。
総務省の担当者も「基本的に現行の保険証廃止の決定に至る調整は、厚労省とデジタル庁の間でなされている。総務省は主体的に政策決定に関わる立場ではないので、議事録も我々の方で作成するものでははない」と説明した。

公文書管理法では、「閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む)の決定又は了解及びその経緯」も作成すべき文書の一つに定めている。
公文書管理法 公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と定義。軽微な場合を除き、行政の意思決定過程や事業実績を検証することができるよう、文書の作成を義務付けている。閣議や閣僚らで構成される会議の決定のほか、法令の制定や改廃、その経緯などが対象となっている。

デジタル庁の担当者は「公文書管理法に定める意思決定に至る過程として、連絡会議の議事録を作成し、開示している」と説明。「大臣間の協議は適時・適切に行われており、記録はない。総理への報告は、連絡会議の報告をしたものであり、特段の記録はない」と答えた。
厚労省の担当者は「首相への報告はあくまで報告なので記録はない。大臣間で協議や報告、確認の作業はしていると思うが、我々が保有しているものは開示請求で示した通り」と話した。

公文書管理法を所管する内閣府公文書管理課の担当者の話
「合理的な跡付けや検証にどのような文書が必要かは、公文書管理法や行政文書に関するガイドライン等に則って規定がある。規定では、大臣間のやりとりであっても、事務事業の実績で残すべきものや、必要な意思決定過程は文書にしなければならない。ただし、個別具体の判断は各省庁に任せている」

東京新聞は、現行保険証の廃止決定に関わった当時の3大臣に、どのような協議があったのかを尋ねた。
河野氏は8月末の閣議後会見で、「マイナ保険証のメリットを早期に多くの方に体験してもらうため、政府内、関係省庁で議論の上、決定した」と述べた。
当時厚労相だった加藤勝信氏は、自民党総裁選への出馬を理由に「今は回答が難しい」。総務相だった寺田稔氏は「お答えできない」とのことだった。

公文書管理に詳しい山口宣恭弁護士の話
「保険証廃止はマイナンバー法や医療保険各法の運用に関わるものであり、大臣間や省庁間の協議は公文書管理法の趣旨に照らして文書作成の義務がある。ましてや保険証廃止の影響は、国民皆保険制度の下で国民全体に波及するもので、その決定過程を残すのは重要だ。政府が国民への説明責任を果たしているとは言えない」

【以下略】
記録がなく口頭ベースで進めたと、あり得ない対応です。盥回しというか、責任逃れというか、無茶苦茶です。

こんな鵺みたいなマイナ保険証制度は百害あって一利もありません。廃止すべきは、保険証云々ではなく、「不正を行おうという悪いお考えを持った人たち」であり、真相を暴き広く世論に知らしめるべきではないかと思いますね。



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