ハマス最高幹部殺害とG7国防相会合共同声明

今日はこの話題です。
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1.ハマス最高幹部シンワル死亡


10月17日、イスラエル軍はパレスチナのガザ地区で行った作戦で、イスラム組織ハマスのシンワル最高幹部を殺害したと発表しました。

ドローンから軍が撮影した48秒の「最期の時」とされる映像では、シンワル氏とみられる人物は破壊された建物の2階奥のソファに座っていました。粉塵まみれでドローンに向かって棒を投げ、映像はそこで切れています。近くからは防弾チョッキや銃、4万シェケル(約161万円)分の紙幣が見つかったとしています。

7月末に最高幹部イスマイル・ハニヤ氏が訪問先のイランで殺害されたことを受け、8月に後任に選出されていたシンワル氏は、イスラエル軍の兵士を殺害したとして1988年に終身刑を言い渡されていましたけれども、2011年の兵士との人質交換で釈放されていました。

イスラエル軍は、シンワル氏を1年以上にわたって追っていました。シンワル氏は昨年10月7日のイスラエル襲撃を指揮した直後、ガザ地区で姿を消していて、ボディーガードやイスラエルで拘束した人質を「人間の盾」として、共に、ガザ地区の地下トンネルに潜伏していると考えられていました。

けれども、実際には、そうした人質はおらず、シンワル氏の付き添いも少人数だったことから、気づかれずに移動しようとしていたか、護衛の多くを失っていたのではないかとも言われています。

シンワル氏は偶然に最期の時を迎えました。

イスラエル国防軍によると、16日、第828ビスラマッハ旅団の部隊が、ガザ南部ラファのタル・アル・スルタン地区をパトロールしていたところ、家から家へと走る3人の男性を発見。3人がばらばらになる前に交戦しました。

のちにシンワル氏と確認される人物は、1人で建物の一つに駆け込み、部隊はドローンでこの人物の居場所を突き止め、殺害しました。

この時点では、特に変わったことは見当たらなかったため、兵士らは翌17日朝に、現地に戻って死体を調べたのですけれども、そのうち1体がシンワル氏にかなり似ていることに気づきました。

ただ、爆弾が仕掛けられている懸念があり、死体はそのままその場に残し、指の一部を切除。鑑定のためイスラエルに送ったそうです。

その後、一帯の安全を確保した上で、死体を収容。イスラエルへと運びました。

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、「彼がそこにいると知らずに、活動を続けていた」と説明しています。

イスラエルのガラント国防相は、「シンワルは敗者として、追い詰められ、逃亡しながら死んだ。指揮官として死んだのではなく、自分のことしか考えていない人間として死んだ。このことは私たちに対立する、すべての敵への、明確なメッセージだ」とコメントしています。


2.徹底抗戦宣言をしたハマス


10月18日、ハマスはナンバーツーのハイヤ幹部がビデオ声明で「英雄、そして殉教者として殺害されたリーダーの死を悼む」と述べ、シンワル最高幹部の死亡を認めました。

ハイヤ氏は、その上で「この流血はわれわれの道を照らし、モチベーションを高める」と述べ、徹底抗戦を続けるとともに、イスラエル軍がガザ地区から撤退するまで、拘束している人質は解放しないと強調しました。

シンワル氏の死亡について、18日、アメリカのオースティン国防長官は訪問先のベルギーで記者会見し、「彼は、イスラエルとパレスチナの人たちの間の和平の可能性をつぶすことに生涯をささげてきた。彼はついに裁きを受け、大きな障害が取り除かれた。彼の死は、恒久的な停戦、そして、この恐ろしい戦争の終結を実現するためのまたとない機会をもたらしている」と述べ、ハマス側に拘束されている人質について「彼らやその家族は地獄のような経験をしている。これ以上、1時間たりとも苦しむべきではない。ただちに解放されるべきだ」と、最優先事項は人質の解放だとし、アメリカ軍としては、イスラエルの自衛を引き続き支援するとともに、中東地域で全面戦争に発展するリスクを高めないよう対応していく考えを強調しました。

一方、ハマスの後ろ盾であるイランはというと、同じく18日、ペゼシュキアン大統領は声明で「イスラエルによる容赦ない犯罪の明らかな証しだ。司令官や英雄、指導者が死んでも、抑圧と占領に対する抵抗を弱めることにはならないことを敵は知るべきだ」と非難しています。

アメリカはブリンケン国務長官を近くイスラエルに派遣するなど、仲介役を担ってきたエジプトやカタールとともに停戦協議の再開を模索するとしていますけれども、こんな状況で、そうすんなりいくとも思えません。


3.ドローンがネタニヤフ自宅を直撃


翌19日、イスラエル首相府は、レバノンから飛んできた無人機がネタニヤフ首相の自宅を直撃したと発表しました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、レバノンから飛んできた無人機が中部カイザリアにあるネタニヤフ首相の自宅を急襲。無人機3機のうち2機はイスラエル軍によって迎撃されたものの、残る1機が直撃したということです。

これについて、同じく19日、ニューヨークタイムズは、次のように報じています。
レバノンから飛来したドローンが土曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の私邸近くのビルを攻撃した。

首相官邸によると、ネタニヤフ首相夫妻は攻撃時に不在で、負傷者はいなかったという。

イスラエル北部の軍事基地でヒズボラの無人機攻撃により4人が死亡、数十人が負傷してからほぼ1週間後の出来事だった。

軍によれば、土曜日に発射された2機のドローンを阻止し、テルアビブのすぐ北にあるグリロットの軍事基地で防空サイレンを鳴らしたという。しかし、ネタニヤフ首相の自宅がある海岸沿いのシーサリアではサイレンは鳴らなかった。軍は、この事件は 「検討中 」だと述べた。
声明の中でネタニヤフ首相は、ドローンによる攻撃は彼を暗殺しようとしたものであり、「重大な過ち 」だと述べた。 また、「このことは、私やイスラエルが敵との正義の戦いを続けることを躊躇させるものではない」と付け加えた。

イスラエルは世界で最も高度で効果的な防空技術を有しており、イランやレバノンのヒズボラを含む地域の代理勢力によって過去1年間に発射された何千もの無人機、ミサイル、ロケット弾のほぼすべてを迎撃した多層的なシステムを持っている。

しかし、敵対勢力にとって安価に入手・運用できるドローンは、時折イスラエルの防空網をかいくぐっている。専門家によれば、ドローンはイスラエルにとって特別な難題である。なぜなら、ドローンは熱を発しにくく、金属を含まないことが多く、イスラエルが防空を主目的とするロケットやミサイルよりも低高度・低速で飛行するからだ。

土曜日、イスラエル軍が1機のドローンがどのようにしてシーザリアのシステムを回避したのかを突き止めようとしたとき、レバノンから数十機の「発射体」がイスラエルに入ってきたと発表した。

しかし、イスラエルの緊急サービスであるマゲン・ダヴィッド・アドムによると、アクレ市に向けて発射されたロケット弾の中で、1人が死亡、もう1人が負傷したという。

イスラエルが無人機に対して脆弱であることは、6月にも明らかになった。ヒズボラがイスラエル第3の都市ハイファの機密施設を撮影した映像を放送した際、北部の都市上空をホバリングしていた無人機が、一見発見されずに撮影したものだった。

ほぼ1週間前、4人の兵士を殺害したヒズボラのドローン事件は、カエサリア郊外のビニャミナ近くの軍事訓練基地で起きた。

そして7月、イスラエルは、同じくイランの代理人であるイエメンのフーシ派民兵が発射したドローンが、テルアビブのビーチフロントにある人気地区にあるアメリカ大使館支局近くのアパートに激突し、1人が死亡、8人が負傷したことに驚愕した。
ドローンの攻撃当時、ネタニヤフ首相と妻は自宅におらず、死傷者はいないということですけれども、ニューヨークタイムズは、イスラエルの防空システムはドローンに対しては脆弱だと指摘しています。

実際、ハマスとヒズボラがどれくらい連動・連携して動いているのか分かりませんけれども、タイミングを考えるとハマスのシンワル氏殺害に対する報復と見れなくもありません。ただ、ネタニヤフ首相が不在であることを知っていて攻撃したのか、たまたまだったのか。もし前者であったなら、警告ですし、後者だと報復の意味合いが強くなります。真相は分かりません。

今のところ、ヒズボラなどからの声明はありませんけれども、イランの最高指導者ハメネイ師は、親イラン武装組織のネットワークである「抵抗の枢軸」が止まることはなく、ハマスは生き続けるだろうと述べています。


4.全てはネタニヤフ次第


シンワル氏の殺害について、18日、BBCは「ハマス最高指導者シンワル氏を殺害、イスラエルが発表」という記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
・イスラエルから「死刑囚」と呼ばれていた人物が死亡した。

・イスラム組織ハマスの最高幹部、シンワル政治局長をパレスチナ自治区ガザ地区で殺害したことは、イスラエルにとっての重要な勝利だ。1年間追跡の対象となっていたシンワル氏は、イスラエル史上最悪の死者を出したテロ攻撃の黒幕と目されている。

・さらにシンワル氏の死により、ガザでの泥沼の戦闘が終わりに近づく可能性があるとも専門家らは指摘する。イスラエルとその友好国とが好機を捉えるならという条件付きだが。

・テルアビブ大学のモシェ・ダヤン中東アフリカ研究センターで上級研究員を務めるハレル・チョレブ氏はCNNの取材に答え、シンワル氏の死がハマスにとって致命傷になる可能性があると指摘。その理由はシンワル氏による組織運営の手法にあるとした。

・今回の戦闘が起こる前、ハマスの権力は分散していた。チョレブ氏によると、ガザにおける政治部門のトップだったシンワル氏は、多数いるリーダーの一人に過ぎなかった。

・しかし、この1年で状況は変わった。

・「シンワル氏は唯一の意志決定者となり、当然ながら権力は強まる一方だった。イスラエルが(ハマス軍事部門トップの)ムハンマド・デイフ氏など重要人物を次々に殺害していったからだ」と、チョレブ氏は説明する。

・1年にわたるイスラエルの猛攻撃でガザは壊滅。膨大な数の民間人が死亡した。ハマスも著しく弱体化し、今回のシンワル氏殺害で大きな権力の空白が生じるだろう。イスラエルとその友好国が現状を最大限に利用しようとするのは間違いない。

・自分が死亡した場合に何をするべきかについて、シンワル氏が何らかの指示を言い残していたのかどうかは不明だ。

・後継者候補には複数の名前が浮上している。シンワル氏の兄弟で同じく強硬派のムハンマド氏や、カイロでの停戦協議でハマス側の交渉責任者を務めるハリル・ハヤ氏などだ。ただいずれもシンワル氏ほどガザで知られた存在ではない。

・「イスラエルはこの状況に付け入らなくてはならない。恐らくハマスのメンバーの間では大変な混乱が広がっている」(チョレブ氏)

・イスラエルのネタニヤフ首相はハマスの完全な殲滅を自らの目標に掲げるが、専門家の多くはかねて、それが達成できない可能性について警告している。

・ハマスは著しく弱体化したとはいえ、依然としてイスラエルへ向けてロケット砲を撃ち込むだけの戦力を有する。一方でイスラエル軍は最近、ハマスが再び勢いづいたとしてガザ北部に改めて侵攻している。

・ダイアン・アンド・ギルフォード・グレイザー・ファウンデーションで政治研究のシニアディレクターを務めるシラ・エフロン氏は、シンワル氏殺害によりネタニヤフ氏が勝利を主張する機会を得たと指摘。戦争での勝利を宣言し、ガザでの戦闘を段階的に縮小しつつ、現状とは別の現実に向けて進むことが可能だとの見方を示した。

・しかしエフロン氏によれば、ネタニヤフ氏がシンワル氏の死を紛争激化の合図と位置づける恐れもあるという。

・「全てはネタニヤフ氏とその同調者による政治的計算によって決まるはず」(エフロン氏)

・シンワル氏の殺害が、人質と停戦の合意に道を開く可能性もある。同氏が合意の阻止を主導する人物の一人と考えられていたからだ。

・本人がイスラエルにとっての第一の標的であることを考えれば、シンワル氏には交渉に応じる個人的な動機がほとんど無かった。

・人質の家族からはネタニヤフ氏に対し、合意に向けて圧力をかけるよう強く迫る声も上がる。ある家族は、もしネタニヤフ氏がこの状況を利用しないのであれば、それは同氏が人質を見捨て、戦争の長期化と自身の支配の強化を図っていることを意味すると指摘。シンワル氏が死亡した今、人質の奪還は以前より若干容易になったかもしれないと見る向きもある。

・次に何が起きるのかは、ほぼネタニヤフ氏次第となるだろう。

・長期にわたり首相の座に就く同氏は、極右の連立相手から寄せられる要求の調整に余念が無い。米国をはじめとする友好国からは、停戦合意を結び、ガザにおける民間人の犠牲を最小限にするよう圧力がかかる。

・同時に国内では、複数の刑事捜査と辞任を求める大規模なデモにも直面する。

・米国のバイデン大統領など批判的な人々は、かねてネタニヤフ氏がガザでの戦争を長引かせ、権力にしがみつこうとしているのではないかと懸念を表明してきた。本人はそのような意図を否定している。

・依然としてイスラエル社会の大部分では非常に不人気ながら、ネタニヤフ氏を取り巻く状況はこの一年で目を見張るほど好転。過去数年の間に失った支持者の一部を取り戻した。

・ネタニヤフ氏は以前、直近の紛争終了後もイスラエル軍の一部は引き続きガザに駐留するべきだと主張した。連立相手の中からはさらに踏み込んで、ユダヤ人の入植地をガザの中に創設するべきだと示唆する声も上がる。

・イスラエルのガラント国防相は以前、ガザにおけるイスラエル軍の支配を継続するとのネタニヤフ氏の計画を代償が大きいとして批判した。

・ただ前出のエフロン氏とチョレブ氏が示唆するところによれば、シンワル氏殺害という結果が出たことでネタニヤフ氏は自らの判断を正当化できるという。

・イスラエル人の多くは、昨年10月7日のハマスによる奇襲を巡ってネタニヤフ氏を非難している。2011年の人質交換でイスラエルの刑務所からシンワル氏を釈放することに同意したのもネタニヤフ氏だった。

・そうした過去を持つネタニヤフ氏にとって、今回のシンワル氏殺害は大きな成果だとチョレブ氏は分析。「彼が賢明なら、この後で首相職を退くだろう」と述べた。

・しかし、シンワル氏殺害によってハマスがかつてないほど弱体化した可能性はあるものの、ハマスの壊滅それ自体が平和な未来を保証するわけではない。

・1年にわたるイスラエル軍の激しい爆撃と地上作戦で、ガザは荒廃した。数千人の子どもたちが孤児となり、手足を失い、心身に傷を負った。

・イスラエルに今必要なのは、自分たちがよりよい未来をもたらせるとの確約に他ならない。さもなければ、過激化しかねない新たな世代が生まれるリスクを背負うことになる。
BBCは、シンワル氏を除いたことによって、人質を取り戻すチャンスが訪れたとする一方、全てはネタニヤフ首相次第だとも指摘しています。

ただ、筆者は、ここまで殺戮をするのを是としておいて、今更止めるとも思えません。ネタニヤフ首相はどれだけ人が死のうが中東大戦に向けて戦線を拡大し、イランとアメリカを引きずりこもうとしているのではないかと思います。


5.G7国防相会合の共同声明


それでも、さすがにイスラエルの横暴に、西側諸国もドン引きし始めています。

10月19日、先進7ヶ国(G7)は、イタリアのナポリで国防相会合を開きました。会合ではパレスチナ自治区ガザでの即時停戦や人質の解放を改めて求め、イスラエル軍の攻撃を受けた国連レバノン暫定軍(UNFIL)に対する支援の必要性を盛りこんだ共同声明を採択し、閉幕しました。

会合は、セッション1の「中東」の他、「アフリカ」、「インド太平洋」、「ウクライナ」、「防衛準備態勢」と幅広く議論されたのですけれども、共同声明から中東に関する部分を引用すると次の通りです。
我々は、中東におけるエスカレーションについて懸念を表明する。

我々は、2023年10月7日のハマスによる残忍なテロ攻撃に対する断固とした非難を改めて表明する。我々は、即時停戦及び全ての人質の迅速な解放を求める。この攻撃は、暴力の連鎖を引き起こし、イスラエルやヒズボッラーを巻き込み、民間人に深刻な影響を及ぼしている。攻撃と報復の危険な連鎖は、中東における制御不能なエスカレーションを助長する危険性を有しており、それは誰の利益にもならない。我々は、全ての当事者に対し、現在の緊張を緩和するために建設的に関与するよう促し、全ての当事者が国際人道法を含む国際法に従って行動することの重要性を強調する。我々は、一般市民の保護が絶対的に必要であること、及び、絶対的な優先事項として、完全で、迅速で、安全で、妨げのない人道的アクセスがなければならないことを改めて表明する。

ガザ地区における紛争や劇的な人道危機は、更なる軍事的なエスカレーションを回避し、安定して永続的な安全保障情勢を達成するために必要な政治的プロセスを始める必要性を浮き彫りにしている。したがって、我々は、ガザ地区での永続的な停戦、安定的な安全保障情勢、そして無辜の一般市民に対する人道的支援の拡大され妨げられない流入に向けて、引き続き取り組む必要性を再確認する。

我々は、国連安保理決議第2735号を歓迎し、主権を有する、自立可能で民主的なパレスチナ国家と共に、イスラエルの正当な安全上のニーズの双方に対処しながら、イスラエルとパレスチナの長期的で平和裡の共存を確保するための唯一の選択肢として、国連安保理決議第2735号を歓迎し、二国家解決の実現に向けた政治プロセスを支持するという我々のコミットメントを再確認する。

我々は、パレスチナ自治政府の治安部隊を訓練し助言するためのイニシアティブを称賛し、パレスチナ人のための改善となる、パレスチナ市民警察を対象とするものを含む能力構築イニシアティブの成功という前向きな経験に基づく、治安及び司法分野のより広範な改革を支持する。

我々は、他のパートナーと共に、関係する国際機関の枠組みの中で、紛争後の安定化、統治及び治安のための実行可能な解決策を特定する必要性を再確認するとともに、この点に関して、治安環境が許せば、地域の安定化を目指す戦後のイニシアティブを支援する準備ができている。

我々は、地域の人々の保護を含めて、レバノンとイスラエルとの国境線での安全と安定の回復を支持する。

我々は、レバノンにおける最近の事案と更なるエスカレーションの高まりの危険性を懸念する。我々は、レバノン軍による基本的な安定化の役割を認識し、UNFILの不可欠な役割を再確認しつつ、国連安保理決議第1701号の完全な履行と整合的な形での敵対行為の完全な停止及び戦闘の外交的解決についての我々の要請を改めて表明する。UNIFILの安全に対する全ての脅威に対し懸念を表明する。平和維持要員の保護は全ての紛争当事者の責務である。

我々は、イランのイスラエルに対する弾道ミサイルによる大規模攻撃を明確に非難し、全ての当事者が国際人道法を含む国際法に従って行動することの重要性を強調する。

我々は、イスラエルの安全に対するコミットメントを明確に改めて表明する。

我々は、弾道ミサイル、UAV、軍事装備品及び機微技術の供給を含む、制裁レジームの回避を目的にしたイランとロシアとの間の軍事協力の強化に対して深刻な懸念を表明する。

我々は、国連安保理決議第2722号にのっとり、航行の自由を維持し、シーレーンを保護し、紅海、アラビア海及びアデン湾におけるホーシー派による攻撃から船員及び船舶を保護することにコミットする。我々は、ホーシー派に対し、地域の不安定性を増大させエスカレートさせる取組を直ちに中止し、船舶「ギャラクシー・リーダー」及びその乗組員を直ちに解放することを求める。我々は、この地域における海洋安全保障イニシアティブに対するG7の重要な貢献を歓迎する。

我々はまた、紛争の地域全体への拡大を防ぐことも極めて重要であると信じている。我々は、地域全体を不可逆的に不安定化させ、世界中に更なる緊張と不安定をもたらす状況となる全面戦争を回避することを全ての当事者に呼びかける。
G7の国防相会合は初めてのことです。G7の安全保障協力の重要性が高まっているとして議長国イタリアが開催を呼びかけ実現しました。

声明では、ハマスを批判しつつも、「即時停戦と人質の解放」を求め、イスラエル/パレスチナ問題の唯一の解決策として、国連安保理決議第2735号を支持し、二国家解決の実現を訴えています。

イタリアのグイド・クロセット国防相は会合で「差し迫った困難な課題に対処する決意を示すため、ここに集まった重要性を強調したい」と述べていますけれども、声明くらいで停戦できるなら、とっくにそうなっていると思います。

声明では「弾道ミサイル、UAV、軍事装備品及び機微技術の供給を含む、制裁レジームの回避を目的にしたイランとロシアとの間の軍事協力の強化に対して深刻な懸念を表明する」としていますけれども、では西側がイスラエルに武器輸出しているのはどうなんだという反論が出てきそうです。

イスラエル軍が、国連レバノン暫定軍(UNFIL)を攻撃したことを考えると、声明でUNIFILの安全に対する懸念を出すだけでなく、武器輸出停止など、なんらかの実効力を伴った行動が必要なのではないかと思いますね。




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