イスラエルのイラン報復攻撃

今日はこの話題です。
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1.イスラエルのイラン報復攻撃


10月26日、イスラエル軍は、イラン国内の複数の軍事目標に精密攻撃を加えたと発表しました。今月1日にイランから大規模なミサイル攻撃を受けたことへの報復措置としています。

イスラエル軍は声明で、「イランからイスラエルへの数カ月にわたる継続的な攻撃に対し、イスラエル軍は現在、イラン国内の複数の軍事目標に対する精密攻撃を実施している……イランとその地域の代理人たちは、10月7日以来、イラン国内からの直接攻撃を含む7つの前線で、イスラエルを執拗に攻撃している」と述べています。

一方、イラン首都の緊急対応チームの関係者は、これまでのところテヘランとその周辺地域で援助を必要とする事件は記録されていないとし、緊急サービスは引き続き厳戒態勢を維持するとしています。

また、テヘランのメヘラーバード国際空港とエマーム・ホメイニ国際空港も通常通り運行。テヘラン市民はテヘラン西部と近隣のカラジ市で爆発音を聞いたと報告しているものの、イスラエル軍の攻撃とされる直後の様子を捉えた映像はまだありません。

イラン当局は攻撃に関してまだ何の声明も出しておらず、イラン軍もまだこの事態に対処していません。

26日未明、イラン革命防衛隊に近いメディアのファルス通信によると、テヘランの西部と南西部の複数の軍事基地がイスラエルの攻撃の標的になった模様だとしており、シリア国営テレビは首都ダマスカス近郊でも爆発音がしたと報じたようです。





2.アメリカは攻撃に関与していない


アメリカの国防当局者によると、今回の攻撃について、バイデン政権は、イスラエルの空爆が金曜の夜に行われることを数時間前に知らされていたとした上で、アメリカは今回の攻撃には関与していないと述べています。

アメリカ国家安全保障会議のショーン・サベット報道官は、「イスラエルは、自衛の行使として、また10月1日のイランによるイスラエルへの弾道ミサイル攻撃への報復として、イランの軍事目標に対する標的攻撃を実施していると理解している」と述べ、イスラエル当局者も「我々は、過去に脅威となった可能性のあるもの、あるいは将来脅威となる可能性のあるものをターゲットにしている」とイランの核施設や油田を攻撃しておらず、軍事目標に重点を置いていると語っています。

アラブ諸国の高官もテヘランへの最初の攻撃は兵舎や事務所、武器庫を標的にしたようだと語っていますから、レバノンに対してやっているように一発殴られれば二発殴り返すイスラエルにしては、自制した方なのかもしれません。


3.イラン各紙の論評


10月25日、イランのハメネイ師に近い超保守系の「カイハン」紙は、イランとイスラエルの間で起こり得る戦争に対するイスラム共和国の対応について「イランとシオニスト政権の紛争は、西アジアにおける2つの政治体間の紛争に過ぎず、他国はそれをただ傍観することはできない」と論じました。

実際、イランのアバス・アラグチ外相は、1か月足らずで西アジア地域の10ヶ国の首都を訪問し、地域の指導者や関係者に新たな展開に関するイランのメッセージを伝えています。

こうした状況について、イラン各紙は次のように分析しています。
イスラーム自由大学発行の保守系ファリヒテガン紙:BRICSのイランへの能力
経済的に見て、この連合はイランにとって価値がある。BRICSは銀行を創設した。BRICSにとって重要なことは、銀行開設後にロシアが強調したように、新通貨を創設してドルに対抗するものではなく、むしろ初期段階ではBRICS加盟国が自国通貨で取引することが期待されていることだ。現在、ロシアとイランの間の取引の約96%が自国通貨で行われている。これはイランに課せられた制裁を回避し、SWIFTのような金融制限に対抗する大きな一歩である。BRICSとその銀行の経済メカニズムを活用して、経済が繁栄しているインドや中国などの新興国や南半球と自国通貨で取引することは、イランの経済を活性化させ、イランの民間企業に繁栄をもたらすことができる

改革派系シャーグ紙:BRICSは反西側同盟
ロシアがBRICSを強化する目的は、BRICS加盟国の財政的自立を高めるとともに、地政学的リスクを可能な限り軽減することであり、これはイランも追求している目標である。わが国の外交官は、イランには経済圏の一員として、一方的な制裁を回避し、BRICS開発銀行の恩恵を受ける絶好の機会があると考えている。一方、BRICSがアメリカの選挙に与える影響は大きく、西側の専門家はこの反西側同盟を懸念すべきものと評している。しかし、ドナルド・トランプ氏が大統領になり、中国を西側市場から排除しようとすれば、この状況は変わるかもしれないと専門家は考えている。政治専門家は、BRICSの銀行制度の実施の成功を評価している。BRICS加盟国がアメリカの圧力にどの程度抵抗するか、またはBRICSで規定された銀行制度でそれを回避できるかが、BRICSの成否を測る鍵となる

改革派アルマン・エ・メリ紙:UAEの島に対する貪欲さを終わらせる方法
イランの3島に対するUAEの主張は以前からあったが、この主張は最近になってより頻繁に繰り返されている。UAEの主張に対抗するため、イランは経済・農業開発プロジェクト、軍事力の強化、そして最も重要なのは積極的な外交を議題にすべきだ。これらの政策により、イランはこの3島における経済・安全保障上の立場を強固にし、外国の主張に対してより強い立場をとることができる。また、政府は健全な政策により、これらの島を地域の拠点にすることができる。これを実現するために、これらの島に自由貿易地域を設定し、漁業と養殖業を発展させ、3島の治安を改善し、軍事構造を強化するとともに、島に対するイランの主権を安定させるために軍事基地を設置することが可能である
BRICSとの絡みでの分析が目立ちますけれども、BRICSを反西側同盟として機能させることで、イスラエルを牽制しようとする目論見もあるのかもしれません。

この後、状況がどう進展していくのか。余談を許しません。

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