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1.国民民主に擦り寄る石破
10月28日、政府・与党は特別国会を11月11日に召集する方針を固めました。特別国会では、衆院選の結果を受けた首相指名選挙などを行う予定で、会期は14日までの4日間を検討しているとのことです。
この日記者会見した石破総理は、「厳しい安全保障、経済環境の中にあって国政は一時たりとも停滞が許されない」とし、11月中にも取り纏める総合経済対策と、2024年度補正予算案については「党派を超え、優れた方策を取り入れたい」と述べました。石破総理は、今回の総選挙で少数与党となったことから、野党の国民民主党の玉木代表に対し、政策ごとに連携する「部分連合」を呼びかける方針を固めたと見られています。
自民幹部によると、石破総理は玉木氏が重視する電気・ガス代の値下げなどの家計支援策を経済対策や補正予算案に盛り込み、国民民主の賛同を得て臨時国会で予算案を成立させたい意向のようです。
同時に石破総理は特別国会での首相指名選挙でも、自らの指名に向け、玉木氏に協力を要請することを検討していると伝えられています。自公315に非公認していた議員、無所属議員を取り込んでも過半数は厳しい。どうしても二桁議席を持っている野党に擦り寄らなければ、どうにもならないことははっきりしています。
2.総選挙は最高の結果
今回の選挙結果について「最高の結果」と評価している識者がいます。経済評論家の三橋貴明氏です。
三橋氏はその理由について自身のブログで述べていますけれども、引用すると次の通りです。
最高の結果
【前略】
特に、与党が衆議院で過半数を割った意味。
これは、予算を自分たちだけでは決められないという話なのですよ。
参院の過半数を割ったとしても、予算は衆院を通せば、30日で自然成立になります。つまりは、野党が参院で過半数を獲得するだけでは、与党側は予算が通せる。
それに対し、衆院の場合は違います。
予算を含む、全ての法案を通せなくなる。これが、重要なのです。
理由は、与党側が予算(だけではないですが)を通したいならば、野党と話し合わなければならないためです。ようやく、議論が始まる。
また、今回の議席配分について、わたくしが「最高の結果」と言ったことに反発が多いのですが、あのね。
わたくしは、「自公が過半数を大きく下回り、立憲民主党が比較第一党にならない」状況を望んでいたのですよ。そのまんまになった。
多くの視聴者の方々は、
「自民党はもっと減るべきだった」
「立憲民主党はここまで伸びるべきではなかった」
と、反発されていますし、わたくしもそう思いますが、これ以上は無理なのよ。理由は、衆議院選挙に立候補するためには、供託金が必要になるためです。衆院小選挙区で300万円。比例区は600万円ですよ。
供託金が高いと思っただろうし、わたくしもそう思うけど、それをここで吐き出しても意味がない。地元の政治家に言ってくれ。
供託金が高すぎるため、国民民主党、れいわ新撰組、参政党といった、まともな中小政党は、常におカネ(供託金)に苦労する羽目になる(議席が増えると、政党交付金が増えるため、少し楽になる)。
つまりは、今回の総選挙で国民民主党が数百人の候補を立てるなど、端から無理だったのですよ。実際、国民民主党は比例の議席数が増え過ぎたにも関わらず、比例名簿の候補者が足りず、三つの議席を他党に献上する羽目になった。とはいえ、三名を比例名簿に掲載するためには、1800万円(!)が必要なのだよ。
さすがに、解散時に国民民主の票がここまで伸びるとは誰も思っていませんでしたから、1800万円分の「追加コスト」を負担する判断は難しいよ。
というか、その判断を批判するのはおかしい。批判するべきは制度だ。
【中略】
特別国会は11月11日か。石破のことだから、11月26日(ギリギリ)まで引っ張るかと思っていた。(それまで、ひたすら無様に足掻く)
だいたい、動画で解説した通りにことが進んでいるでしょ?
玉木さんの「自らの名前を書く」という表現はなかなか秀逸で、
「第一回目から玉木雄一郎と書くならば、自公政権に協力しても構わないぞ」
と、揺さぶりをかけているように見えます。まあ、その時は国自公政権になってしまいますが。
もっとも、石破の目的は自公政権の存続ではなく、「自分が首相であり続けること」なので、玉木さんの誘いには乗らんでしょ。
となれば、決選投票の多数派獲得ということで、石破内閣が続くことになる。すると、全ての法案成立について、野党側と「議論」しなければならなくなる。
さもなければ、とりあえずは補正予算一つ通せない。
これですよ。これを望んでいた。
動画で、わたくしが「最高の結果」と表現した理由を、少しでも分かってもらえたかな?
キャスティングボート本当に三橋氏の指摘通りになるのであれば、確かに「最高の結果」といえるかと思います。
【前略】
首班指名選挙では、一度目の投票では大抵自党の党首や代表を書きますので、誰も50%に到達せず、上位二者による決選投票となります。
つまりは、石破総理と野田代表の決選投票ということになります。
自公が石破に、立憲(及び共産)が野田に入れるとして、いずれにせよそれだけでは勝ちが確定しない。
他の政党はどうするのか。
れいわ新撰組は、恐らく白票。参政党と日本保守党は、全体を変えるだけの議席数は無い。
となると、キャスティングボートを握っているのは、国民民主党と維新ということになります。
石破総理は、これから死に物狂いで玉木さんや馬場さんに頭を下げ、懇願することになります。
とりあえず、玉木さんも馬場さんも自公との連立を否定しましたが、当然です。自分たちの票を、高く売らなきゃ。
維新の場合、何しろ大阪で完勝してしまったため、公明党から憎悪されています。
というわけで、自民党が最も組みやすいのが、国民民主党。
【中略】
手取りを増やす。
今回の総選挙で、恐らく国民の心を最も掴んだであろう、このフレーズを現実のものとするため、
◆所得税減税
・基礎控除等を103万円から178万円に拡大(1995年からの最低賃金上昇率に基づく)、年少扶養控除を復活
◆消費税減税
・実質賃金が持続的にプラスになるまで一律5%、インボイス廃止
◆現役世代の社会保険料軽減
◆電気代負担軽減
・再エネ賦課金徴収停止、安全基準を満たした原子力発電所の建て替え・新増設
◆ガソリン代負担軽減
・トリガー条項凍結解除、二重課税廃止によるガソリン減税
上記の「手取りを増やす」政策の実現を条件に、首班指名選挙で石破総理に投票する、あるいは連立への参加を検討する。
もちろん、石破内閣のバックにいる財務省は激怒するでしょう。簡単に話は進みません。
とはいえ、これが民主制なのですよ。もちろん、国民民主党は比較第一党になったわけではありませんが、キャスティングボートは握った。
議論が始まる。当然、表の議論のみならず、裏でもドロドロした交渉が行われる。
これで、良いのです。
実質賃金を引き上げるといいながら、最も効果がある消費税減税について、
「検討していない」
と、議論もせずに切り捨ててきた自民党が、少なくとも検討せざるを得ない状況になるでしょう。
これが、主権者が持つ票の力なのですよ。
このように三橋氏は、自公が過半数を割ったことで、予算一つ通せなくなった。石破自民は、国民民主と組まないといけなくなり、国民民主のいうことを聞かざるを得なくなった。それで、これまで歯牙にもかけなかった、議論すらしなかった減税について議論するようになる。こうした理由で「最高の結果」と指摘しています。
3.若者に人気がありすぎる国民民主
石破総理は、総選挙の敗因ばかり云々していますけれども、負けた理由を探すよりも、なぜ、国民民主が躍進したのかを探った方がよいような気もします。
なにせ国民民主は、公示前の4倍の28議席を獲得、さらに出口調査によると20代の若者の投票先のトップになっています。余りの得票に比例代表名簿に登載された名簿が不足し他党に譲るまでになっています。
これについて、 国民民主党の伊藤たかえ参議院議員は「投票してくださった方々、本当にありがとうございます。ただ一方で、名簿が不足していた、我々がしっかりと候補者を立てられなかった点について本当に申し訳ない。来年の選挙、参議院選も各地の自治体選挙でしっかりと候補者を立てるという教訓としたい」と述べています。
それでも大躍進した事実は揺るがず、JX通信社 代表取締役の米重克洋氏は「国民民主が元々20代、30代の特に都市部の男性を中心に支持を集めていることは世論調査で示唆されていたが『ここまで伸びるのか』というのが率直な感想だ。『年代別 比例投票先』(ANN)において、20代は自民党=21%に対し、国民民主党が26%もあり、30代でも自民党と並ぶほどの支持がある。一方で、最大野党である立憲民主党を見ると、どちらかというと高齢の方、60代、70代のウエイトが非常に大きくなってくるという“対照的な支持構造”になっている」と分析しています。
なぜ、今回の選挙で国民民主の訴えが、若者世代の多くに刺さったのか。
これについて、先述の伊藤たかえ参議院議員は「『もし議員数が7議席から議員立法が提出できる21議席になればこんな法律を作ってこんなことを変えられる』と極めて具体的に話すように意識してきた。例えば、私たちが納めた健康保険の半分は自分たちもしくは自分たちの家族のために使われているが残り半分は後期高齢者の制度を支えるために使われている、などと明らかにした上で『同世代の支え合いを機能させる』『ちゃんと公金を入れて社会保険の負担を下げる』などと極めて具体的に訴えた」と説明しています。
この説明通りであれば、猶更、国民民主の社会保険料軽減、減税政策を譲ることはできなくなると思われます。
もしも、国会で減税議論が行われ、石破総理が財務省を敵に回してでも、それが実現するのであれば、現在の絶望的な石破内閣の支持率も回復する可能性が見えてくるかもしれません。
4.もしも豊臣秀吉が総理大臣になったら
石破総理は28日の記者会見で「今回の厳しい結果は、わが党の改革姿勢に対する国民の皆さま方の厳しいご叱責と受け止めている。”もっと謙虚、真摯、誠実に国民と向き合え。自民党は反省が足りない”の声を頂戴したと強く認識している」と述べていますけれども、本気でそう思っているのなら、政治と金よりももっとやるべきこと、国民が求めていることをやらなければならないと思います。
ここ数年の政治状況について、これまで筆者は、戦国乱世の様相を呈していると何度か述べてきましたけれども、もしも豊臣秀吉が総理大臣だったら何をやるのか、を考えてみるところに一つのヒントがあるような気がしています。
もちろん、金のバラマキではありません。それは「検地」・「追放」・「刀狩」です。
「検地」とはいわゆる「太閤検地」のことです。
戦国時代、大名たちは自分の領地を把握するために検地を行いましたけれども、そのほとんどは申告制だったため、正確ではありませんでした。秀吉は、「検地奉行」を任命し、直接現地に向かわせて調査させることで、田畑を正確に調査し、漏れなく年貢を取り立てることができるようになりました。
これを今に当てはめると、税金逃れの摘発の徹底は元より、既得権益団体などへの予算や補助金の精査。暇空茜氏がWBPC(若草/BOND/ぱっぷす/Colabo)への金の流れを追及しているように、一部が私腹を肥やしているような金の流れを正すことと、予算付けについて、その理由と共に広く見える化して国民に広報していくことになるかと思います。
次の「追放」はいわゆる「伴天連追放令」のことです。
1587年、九州を平定した秀吉は、しばらく薩摩に滞在して戦後処理をすませると、帰国の途につき、途中、博多に立ち寄りました。っそこで秀吉は、日本人が奴隷として、ポルトガル商人の準備した船に乗せられる様を目撃しました。
驚いた秀吉はその年の6月、5ヶ条にわたる伴天連追放令を発布。そのポイントは、次のとおりです。
①日本は仏教国・神国なので、キリスト教の布教は不適当である。更に、秀吉はイエズス会の日本支部準管区長を務めるガスパール・コエリョを引見し、次のようなやり取りが記録されています。
②宣教師は人々にキリスト教への改宗を強要するので、仏法が破滅する。
③宣教師は、20日以内に日本から退去すること。
秀吉「ポルトガル人が多数の日本人を買い、その国に連れて行くのは何故であるか」悪いのは奴隷を売る日本人の方だなどと、なんとも太々しい言い訳をしています。これで秀吉が納得するはずもありません。
コエリョ「ポルトガル人が日本人を買うのは、日本人が売るからであって、パードレ(司祭職にある者)たちはこれを大いに悲しみ、防止するためにできるだけ尽力したが、力が及ばなかった。各地の領主その他の異教徒がこれを売るので、殿下が望まれるならば、領主に日本人を売ることを止めるように命じ、これに背く者を重刑に処すならば容易に停止することができるであろう」
これを今に当てはめると、いうまでもなく、不法入国者の追放でしょう。川口クルド人問題を例に挙げるまでもなく、日本の法を無視して好き勝手やる輩をバンバン強制送還する政策です。
最期は「刀狩」です。
「刀狩り」とは、日本において、武士以外の身分である僧侶や農民などから刀をはじめとする武器を接収し、放棄させた政策のことを指します。当時の「刀狩り令」の現代語訳は次の通りです。
1条:百姓が、刀・脇差・弓・槍・鉄砲、その他武具類を所持することを固く禁ずる。武具を持つことで年貢を怠ったり、一揆を起こしたりして、役人に逆らう者は罰する。代官は武具を集め、進上すること。当時の刀狩り令は、出自が農民であっても才能次第で戦国大名になることができる「下剋上」の時代を終わらせる狙いがあったともされています。
2条:取り上げた武具は、建立する方広寺(ほうこうじ:現在の京都市東山区)の大仏の釘や鎹(かすがい)に利用する。そうすれば今世のみならず、来世まで百姓は安泰となる。
3条:百姓は農具さえ持ち耕作に励めば、子孫代々無事に過ごせる。百姓のためを思ってのことであるため、ありがたく思って耕作に精を出すように。
これを今に当てはめると、おそらくネット規制になるのではないかと思います。誹謗中傷を禁止するために、実名登録制とか許可制とかネットへの書き込みについて何等かの制約を課すということです。
もちろん、賛否あると思いますけれども、もし、秀吉が総理大臣ならば、現代の「検地」・「追放」・「刀狩」をやることは十分考えられます。
これらのうち、少なくとも「検地」と「追放」の二つについては、国民が求めているものであり、本当にやれば、支持率は回復する可能性はあると思います。
逆にいえば、窮地にある石破総理の逆転する目がここにあるともいえ、これまで党内野党として批判ばかりしていた自身を大きく変えることができるのかどうかがポイントになると思います。
石破総理が、総理で居続けたいのであれば、党の改革云々ではなく、まず自分自身を改革すること。できるかどうか分かりませんけれども、今の石破総理に残された最後の生き筋ではないかと思いますね。
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