玉木の服従宣言

今日はこの話題です。
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1.一致してやるなら賛成だ


11月3日、国民民主党の玉木雄一郎代表はフジテレビ番組で「恒久的な措置としてやりたい。年末の税制改正にぜひ入れてもらいたい」と「年収103万円の壁」の引き上げについて年末に政府・与党がまとめる税制改正に反映させたい考えを示しました。

国民民主は、政府が与党の議論を踏まえて年末に閣議決定する2025年度税制改正大綱への反映をめざし、自民、公明両党との政策協議に入る見込み。玉木代表は野党が足並みをそろえて企業・団体献金を禁止する法案を国会に提出した場合、「一致してやるなら賛成だ」と賛成する考えを示しました。

玉木代表は、自民党に対し、政党が議員に支給する政策活動費の廃止などの年内実現を求め、内閣不信任決議案の提出に関し「重い判断が求められる」と述べています。

国民民主が求める「年収103万円の壁」の引き上げについて、4日、TBS「ひるおび」に出演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、「出ますよ、そりゃ。12月中旬になりますけれども、交渉に入っていって、一体どれくらいになるかなんですよ……今が103万円で国民民主が求めているのが178万ですよね。たぶんね、その間で決着するんですよ。昨日、ある議員と話したら『130万かな、140万かな』みたいな感じですよ……178万までいくのは無理なんですよ、これは。無理なことはたぶん国民民主は分かっていて、でも『手取りを増やします』とずっと言ってきて、国民も求めているというので、どれくらいまで増やすかで130万から140万かなって話が出てきてるという段階です」とコメントしています。

実際、玉木代表は、10月31日の会見で、控除の増加幅について「交渉次第だ」とトーンダウンし、報道陣に対して「100%これをのまないと、1ミリでも変えたらダメだという気はない」と修正に含みを持たせています。


2.もはや陰謀論の類いです


その玉木代表ですけれども、11月3日、「石破政権の外交ブレーンである川上内閣官房参与がインタビューで「ディープステートとの戦い」や「Qアノンによる革命政権」を賛美するような発言をしています。もはや陰謀論の類いです。この見識を石破総理が共有しているなら、石破政権の外交・安全保障観は非常に危ういと言わざるを得ません。アジア版NATOもそうですが、石破内閣は、得意とされる外交・安全保障政策にこそ不安定さを感じます」とツイートしてネットで話題になっています。

ネットでは、「インタビュー全体は普通の分析なんですが。 そうやって記事読まない情弱を扇動するのいいかげん止めてください」とか、「Qアノンはともかくディープステートは陰謀論ではない」とか「あなたこそ米民主党系CIAのプロパガンダに毒されすぎではありませんか?」とか批判的コメントが目立ちます。

そもそも、玉木代表自身が他社を批判すること自体珍しいという意見もあります。

11月3日、TBS系の「サンデージャポン」に生出演した元衆院議員でタレントの杉村太蔵氏は、国民民主党・玉木雄一郎代表の印象について語っています。

杉村氏は事前に玉木代表と対談をしているのですけれども、「選挙戦をふくめて、玉木さんは意外なことに他党のことをとやかく言わないんですよね……とにかく『あなたの手取り増やします』『そのために全力尽くします』と。そういった選挙戦が非常に刺さったのでは?」と党の躍進の理由を分析しました。

そのとやかく言わない筈の玉木代表がここまでいうということは余程のことだということになります。




3.日本一わかりやすい米大統領選挙報道の見方


玉木代表が槍玉にあげた発言というのは、日刊サイゾーが10月22日付の記事で、拓殖大学教授で国際政治学者の川上高司氏に、アメリカ大統領選挙報道の“見方”を聞いたという内容です。

騒ぎとなっている「ディープステート」や「Qアノン」について触れている部分を引用すると次の通りです。
【前略】

――つまり、メディアが報じる大統領選のニュースを、もっと注意深く見る必要があるということですね。そもそもアメリカのメディアはトランプ氏に批判的で、追随するように日本も「また、トランプさんが過激な発言をしました」という報道が多く見受けられます。このトランプ氏とメディアの敵対関係はいつから始まったのでしょうか?

川上教授 政権を握っていたときから、彼は「ディープステート」という表現でマスコミをすべて目の敵にしていました。その挙げ句にTwitter(現・X)などSNSも凍結されるという憂き目に遭います。そのため、今でもマスコミを敵対視しているわけですね。唯一、Xを運営するイーロン・マスクは味方になってくれたため、アカウントも復活してSNSでの勢いを取り戻しました。

このように双方がいがみ合っているため、9月10日にABCテレビで行われたテレビ討論会はメチャクチャでした。私は英語で見ていましたが、司会者はハリス氏寄りの質問を投げかけ、その後も彼女が優勢だったという報道ばかりでした。

【中略】

――1960年のリチャード・ニクソンとジョン・F・ケネディの時代から、アメリカ大統領選でテレビ討論会は重要な役割をもたらしてきました。ただ、トランプ氏は次の出演を拒否したように、本人の希望次第で出なくてもいいのですね。

川上教授 いいんですよ。日本と違いますから。

――そうなのですね。そもそも、テレビ討論会は複数回行われる印象です。

川上教授 通常であれば3回行われます。6月に行われたバイデン氏とのテレビ討論会のあと、彼は撤退したため、本来は8月に行われるものが9月に行われ、大統領候補たち不在の中、3回目が10月に行われたということですね。

――10月10日のロイター通信によると、保守派のFOXニュースが両候補による2回目の討論会を打診していたそうです。ハリス氏は同意したものの、トランプ氏は「再試合はない」と自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿しました。これも世紀の一戦になりそうだったのですが、残念ですね。

川上教授 9月の討論会はハリス氏の弁が立ったため、メディアの評価ではハリス氏の勝利でした。ただ、このハリス旋風もいざ蓋を開けてみると、大統領選にどれだけ影響するかは不明瞭です。つまり、メディアの評価と実際の有権者の考えは大きく乖離しているのです。

――前出の「海外セレブが支持」と似たところがありますね。そうなると、本当に無党派層への呼びかけが重要になってくると思いますが、そこでもメディアの評価がどれほど響いているのか……。ところで、なぜアメリカのメディアは民主党びいきなのでしょうか?

川上教授 単純にトランプ氏が嫌いなのでしょう(笑)。というのも、トランプ政権のときはすごかった。彼は既存のあり方をすべてひっくり返して、すべてを自分でテコ入れすることで、ワシントンD.C.のロビイストたち、つまりエリート集団を全員敵に回しました。シンクタンクも(保守系の)ハドソン研究所だけが残り、あとはすべて民主党側に回りました。

――トランプ氏はこれまでの決まり事をすべて覆すため、大統領にさせたくない者たちが、メディア以外にもいるということですね。

川上教授 そうですね。というのも、彼が大統領にならないことで利権を得ている人たちが多くいるからです。そのような既得権益もそうですが、彼の支持者というのは、白人の中間所得層の中でもかなり所得が少ない者たちで、さらに移民に職を奪われていると感じている。これまで「日の目を浴びてこなかった者たち」のためにも彼は戦っているのです。彼の言葉を借りるなら、ディープステートとの戦いです。

――日本だと陰謀論でしか聞かない言葉ですが、結局トランプ氏のいうディープステートとは一体なんなのでしょうか?

川上教授 私は「権力」そのものだと思うんですよね。巨大産業、マスコミ、知的エリート層……。それらはすべてディープステートなのでしょう。しかし、明確に定義していないですよね。しっかりと、「ディープステートとは〇〇のことを指します」といってしまうと、一気に支持されなくなってしまいます。

――そこは、あやふやにしておいて、あとは個々のイマジネーションに委ねるということですね。

川上教授 そうです。ディープステートっていうひとつの単語を言っておけば、あとは支持者たちが「多分あれのことだ」「いや、これのことだ」と勝手に解釈してくれます。

――その「見えない何か」と戦っていたQアノンたちが、2021年にアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件を引き起こしたのですね。

川上教授 独立宣言には「抵抗権(革命権)」が記載されています。そのため、当時の私は「ついに、革命が起きたのか」と思いながら見ていましたが、人数が足りなかったのと、手際も悪かったので、どのみち無理だったでしょう。

――確かに、アメリカ合衆国の独立宣言には、そのような文言も盛り込まれていますが……。ということは、もし、あのときトランプ氏が先陣を切っていれば、革命は成功したかもしれないのでしょうか?

川上教授 いえ、当時のトランプ氏はSNSで煽動するのが精一杯で、それ以上の動きはできませんでした。ただ、議会を占拠して入念に準備をして、「我々は新しい国を作るんだ! 南北戦争の中にあって我らは北軍なんだ!」と独立宣言をすれば、成立していた可能性もあります。

――まるで、映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ですね。

川上教授 実際、今回の大統領選挙でどちらが勝ったとしても、「アメリカは南北戦争になるのではないか?」とよく言われています。

――国民が気になるのはトランプ氏が大統領になったときです。これこそ、あまり報道されませんが、日米関係はどうなるのでしょうか?

川上教授 ようやく日本が独立できます。というのも、トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を掲げているため、日米関係もNATOも米韓関係も、どうでもよいのです。彼が政権を握っていた当時は、日本も安倍晋三元首相で馬が合ったため関係も良好でしたが、もう同氏もいないため、日本に対しても厳しい姿勢を取るでしょう。つまり、日本はこれまでのようにアメリカからの支援を受けられなくなるため、日本独自の外交政策を展開しなければならなくなります。

そこで、防衛力の抜本的強化という議論になるわけですが、そのためにはアメリカだけではなく、中国、ロシア、北朝鮮とのパワーバランスを上手に取る必要があります。そうなったときに、日本にチャンスが来るはずです。日本が「真の独立国」となって、主導権を握ることができます。

それから、今の日本の上空は85%が“アメリカの空”です。土地もかなりの面積を米軍基地が持っています。ハッキリいってこれは異常。そのため、米軍基地を減らしていって、「普通の国」にならなくてはならない。いよいよ自分たちの戦略で外国勢力から、この国を守る必要があるのですが、トランプ氏が大統領になることで、それが初めてできる環境が整うことになります。

【後略】
この記事を読む限り、米大統領選の分析の一つであって、「ディープステートとの戦い」や「Qアノンによる革命政権」を賛美する内容は見当たりません。

ディープステートという単語はトランプ前大統領自身が口にした言葉ですし、Qアノンに至っては、川上教授ではなく、インタビュアーの言葉です。

この記事について、自民党の長島昭久衆院議員は、「危うい表現もあるが、よく読めば米大統領選と米国社会の一面を捉えた彼の見立てに過ぎない。大騒ぎするほどのことはない。危ういところは、私たち政治家レベルできちんと正します」とツイートしていますけれども、この辺りがバランスの取れた見方ではないかと思います。




4.玉木の服従宣言


では、他をとやかくいわない玉木代表がなぜ、このタイミングで、川上内閣官房参与を叩くツイートをしたのか。

これについて、ネットの一部では、アメリカの圧力に対する降伏宣言ではないかという意見も出ています。

11月3日、玉木代表がエマニュエル駐日米大使と近く会談する方向で調整していることを関係者が明らかにしたと報じられています。

会談はアメリカ側からの呼びかけで、7日にエマニュエル駐日大使と大使館で会談する方向で調整しているようです。

会談では、今後の政治情勢について意見交換する他、日米関係の重要性を確認するものとみられていますけれども、この報道が出た3日に玉木代表は件の「もはや陰謀論の類いです」のツイートをしているのですね。

ネットでは、件の投稿と、エマニュエル駐日米大使との会談を結び付け、「岸田が米国訪問した4/10に出迎えたエマニュエル氏。反TRUMP派が、玉木雄一郎を脅す可能性がある気がする。そして、大統領選では不正が既に起きているようなので、玉木雄一郎が自民党に加勢するよう圧力が掛けられてしまう不安しか無い」、「このタイミングでのこの投稿は服従宣言と言っても過言ではない。Qアノンはアホの集まりだが、「ディープステート」を陰謀論扱いとは呆れ果てる」といった書き込みが散見されています。

タイミングといい、上川教授のインタビュー記事といい、一概に否定しきれません。

件の上川教授の記事では、最後に次のように述べられています。
川上 日本はアメリカ追随であり、バイデン政権の傘下にありました。そのため、民主党に批判的な発言をする者は、政界でもテレビのコメンテーターでも弾かれたのです。そのバイデン政権も終わりを迎えつつありますが、その後任にはハリス氏が控えています。そうなると、引き続き日本は、民主党政権の傘下に入るため「ハリス氏が勝つだろう」という主張が通るわけです。

しかし、先の自民党総裁戦で石破茂氏が総裁、そして第102代内閣総理大臣になり、自民党も大きく変わりました。そして、仮にアメリカでトランプ氏が大統領として復活を遂げた暁には、先に述べたようにこれまでとはまったく違う日米関係が出来上がるでしょう。
アメリカ民主党政権が石破政権をどうみているか分かりませんけれども、これまでとは違う日米関係が出来上がることを嫌っていることは十分考えられます。

また、別の意見では、玉木代表を筆頭に、元財務官僚などが今後の経済政策を「実現可能」とし、財務省がひた隠しにしてくた数々の事実が明るみに出てきたことで、自分らでは消化できなくなってしまったと判断した財務省が裏ボスとしてエマニュエル大使を召喚したって説まで出る始末。

いずれにせよ、玉木代表の件の投稿が「服従宣言」であるならば、残念なことであるし、エマニュエル大使との会談も大使館ではなく、議員会館なり大使館でない別の場所で行うくらいの気概というか、完全服従した訳ではないところを見せてもいいのではないかと思いますね。






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