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1.トランプ勝利
11月5日、2024年のアメリカ大統領選が行われ、共和党のトランプ候補が勝利を収めました。
獲得選挙人では、日本時間11月6日19時現在、FOXニュースで、トランプ候補が277、ハリス候補が226。RealCrearPoliticsでは、トランプ候補が270、ハリス候補が226。
トランプ候補は、注目されていた激戦7州のうち3州で当確。4州で優勢。雪崩を打っての勝利です。
筆者は、ナントカ・ジャンプによってハリス候補が勝つのではないかと心配していたのですけれども、そんなのものともせずの勝利です。杞憂に済んで本当に良かったです。
トランプ氏は日本時間6日午後4時過ぎ、支援者が集まる集会場に姿を見せて演説を行いました。
トランプ氏は「我々は全員を擁していた。それは素晴らしいことだった。それは歴史的な再編であり、あらゆる背景を持つ国民を共通の常識の核心で団結させた……民主主義と自由にとっての大きな勝利だ……神が私の命を救ったのには理由があり、その理由は国を救うためだったと多くの人が言っていた……私は『約束は守る』というシンプルなモットーに従って統治する……過去4年間の分裂を乗り越える時が来た……団結する時が来た」と勝利宣言をしました。
ただ、まだ決まったのは選挙人の獲得で、大統領になった訳ではありません。また、ハリス氏も演説せず敗北宣言もしていませんから、まだ一悶着あるかもしれません。大統領就任まで、そして就任してからも油断はできません。
2.選挙結果がウクライナ、ガザ、そして世界紛争に何を意味するか
トランプの勝利し、ホワイトハウスに戻ることで何が起こるのか。
10月31日、BBCは「選挙結果はウクライナやガザ、世界の紛争にどんな意味をもつのか」という記事で、次の展開を予想しています。
件の記事から、トランプ氏に関するものを拾うと次の通りです。
【前略】記事を読む限り、トランプはアメリカに引き込もり、戦争を止めさせる以外には、他国にあまり干渉しなくなるだろうと予想しているようです。
軍事力
北大西洋条約機構(NATO)のローズ・ゴッテモラー前事務次長は、「こうした警告をきれいな言葉で言い表すことはできない」としたうえで、「ドナルド・トランプはヨーロッパの悪夢だ。NATOからの脱退という彼の脅しが誰の耳にも響いている」と述べた。
アメリカの防衛支出は、他のNATO加盟31カ国の軍事予算の合計の3分の2に相当する。NATOに限らずに比較すると、アメリカは、その次に軍事費の多い中国やロシアなど10カ国を合わせた額よりも多くの軍事費を費やしている。
トランプ候補は、他のNATO加盟国にGDPの2%という防衛支出の目標を達成させるため、強い姿勢で臨んできたと自賛している(この目標を達成したのは今年は23カ国にとどまった)。彼のとっぴな発言は、いまだ動揺を与えている。
【中略】
ゴッテモラー氏は、どうなるにしろ「NATOが崩壊しなければならないとは思わない」と言い、ヨーロッパが「一歩前に出てリードする」必要があるとする。
ピースメーカー?
次の米大統領は、冷戦後最大の大国間対立の危機に直面している世界で、仕事をすることになる。
シンクタンク「国際危機グループ」のコンフォート・エロ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「平和と安全保障に関して、アメリカは依然として最も影響力のある国際的な存在となっている」と言う。ただし、「紛争を解決する力は弱まっている」とする。
戦争を終わらせるのは、ますます難しくなっている。エロ氏は、「死者を出す紛争は、一段と手に負えなくなっている。大国間の競争が加速し、中堅国が台頭している」と、現在の情勢を説明する。ウクライナで起きているような戦争が複数の大国を巻き込み、スーダンで見られるような紛争は利益を争う地域のプレーヤー同士を対立させている。平和よりも戦争に投資する人もいる。
アメリカは道徳的優位性を失いつつある、とエロ氏は言う。「ウクライナにおけるロシアの行動と、ガザにおけるイスラエルの行動に対して、アメリカが別の基準を適用していることに、世界の国々は気づいている。スーダンにおける戦争ではひどい残虐行為が起きているが、後回しの問題といった扱いをされている」。
ハリス候補が勝てば、「現政権との継続性がみられることになる」とエロ氏は言う。一方、トランプ候補が勝利した場合、「イスラエルに対して、ガザなどの地域でさらなる自由を与えるかもしれない。ウクライナ政府の頭越しに、ロシアとウクライナに関する協定を追求する可能性も(トランプ候補は)示唆している」とする。
中東に関しては、……トランプ候補も、「平和に戻り、人々を殺すのをやめる」時だと訴えている。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対しては「やるべきことをやれ」と伝えたと報じられている。
トランプ候補は自らをピースメーカー(紛争の仲裁人)だと誇るように言う。27日夜にはサウジアラビアのアルアラビアTVのインタビューで、「私は中東に平和をもたらす。すぐにだ」と明言した。
トランプ候補は、2020年のアブラハム合意の拡大を約束した。この合意は、イスラエルとアラブ地域の数カ国の関係を正常化した。一方で、パレスチナ人を蚊帳の外に置き、結果的に現在の前例のない危機を招いたと、広くみられている。
ウクライナに関しては、トランプ候補はロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような強者への憧れを隠さない。そして、ウクライナでの戦争を終わらせ、アメリカの多額の軍事・財政支援を終わらせたいと明言している。最近の集会では、「私は撤退する。私たちは撤退する必要がある」と訴えた。
【中略】
だが、誰が当選しても世界の情勢は悪化するのではないかと、エロ氏は懸念している。
中国とのビジネス
トランプ候補は、中国からの輸入製品のすべてに60%の関税をかけると提案している。これについて、イギリス人の歴史家で、中国研究の第一人者であるラナ・ミッター氏は、「世界経済にとって、ここ数十年で最大の衝撃」だと話す。
中国や他の多くの貿易相手国に高額のコストを課すことは、トランプ候補の「アメリカ・ファースト(自国第一主義)」政策の中でも、最も根強い脅しの一つとなっている。一方でトランプ候補は、中国の習近平国家主席と個人的な強いつながりがあると自賛している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルには、中国が台湾封鎖に動いてもアメリカが軍事力を行使する必要はないと説明。その理由については、習氏が「私に敬意をもっており、私の頭がおかしいと知っている」からだと述べた。
共和党も民主党も有力者はタカ派だ。双方とも中国について、最も影響力のある大国の立場をアメリカから奪おうとしているとみている。
しかし、いくつかの相違点もあると、ミッター氏は言う。……トランプ氏が勝った場合は、より「流動的なシナリオ」になると、ミッター氏はみている。一例として、アメリカから遠く離れた島の防衛に乗り出すことの是非について、トランプ候補はあいまいな態度を示していると指摘する。
中国の指導層は、ハリス候補もトランプ候補も手ごわい相手だと考えている。 ミッター氏は、「エスタブリッシュメント派の少数の人々は、『知っている相手の方がいい』とハリスを支持している。影響力のある少数派はトランプを、予測不可能で、可能性は低いだろうが中国相手に大取引をするかもしれないビジネスマンとみている」と話す。
気候危機
ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領によって設立された世界の指導者のグループ「エルダーズ」の議長で、国連人権高等弁務官も務めたアイルランドのメアリー・ロビンソン元大統領は、「アメリカの選挙は、その国民にとってだけでなく、全世界にとって大きな意味がある。気候や自然の危機が、差し迫った緊急課題となっているからだ」と話す。
「ごくわずかな方針の変化も、気候変動の最悪の影響を回避し、『ミルトン』のような壊滅的ハリケーンが当たり前になる未来を防ぐためには重要だ」
トランプ候補は、ハリケーン「ミルトン」と「ヘリーン」が猛威を振るうなか、この気候上の緊急事態に立ち向かうための環境計画や政策を「史上最大の詐欺の一つ」と一蹴した。トランプ政権になれば、1期目と同様、2015年のパリ協定から離脱するだろうと、多くの人が予想している。
【中略】
人道的リーダーシップ
紛争調停のベテランで、最近まで国連事務次長(人道問題担当)兼緊急援助調整官を務めていたマーティン・グリフィス氏は、「米選挙の結果は非常に大きな意味をもつ。アメリカの影響力は、同国が軍事や経済で大きな存在であることにとどまらず、世界的な舞台で道徳的な権威をもって主導する可能性もあることから、比類ないものになっている」と言う。
【中略】
しかし、トランプ候補は大統領1期目で、いくつかの国連機関への資金提供を打ち切り、世界保健機関(WHO)からも脱退した。他の支援国はその穴を埋めようと躍起となった。それはまさにトランプ候補が望んだことだった。
しかし前出のグリフィス氏は、アメリカが不可欠な大国だとなおも信じている。
「世界的な紛争と不確実性の時代に、世界はアメリカが責任ある、原則に基づくリーダーシップを発揮するよう強く望んでいる。(中略)私たちはより多くを求める。より多くを受けるに値する。そして、より多くを恐れずに望む」
3.選挙の結果はロシアにとって何も変えない
一方、トランプ氏が大統領になっても何も変わらないという意見もあります。ロシアのメドベージェフ元首相です。
メドベージェフ氏はテレグラムで次のように投稿しています。
全世界が不安な期待に凍りつき、遠い「米国」の地での大統領選挙の結果を待っている。それに対して大きな期待を抱く理由はない。また、メドベージェフ氏はロシア国営通信社RTに対し、「死の直前、すでにかなり高齢だった彼(キッシンジャー)は、まるで後悔しているかのように、ウクライナをNATOに加盟させる以外に選択肢はないと述べた……彼はそれでもまだこの点で間違っていたと思う。そのような先入観はない。なぜなら、いくつかの約束と第三次世界大戦開始の可能性のどちらかを選ぶか、その選択は依然として極めて明白だからだ」と述べています。
1)選挙の結果はロシアにとって何も変えないだろう。両候補とも「ロシアを倒さなければならない」という同じ超党派の合意を共有しているからだ。
2)カマラは愚かで、経験が浅く、コントロールしやすい。彼女は周囲のすべての人を恐れているだろう。実際の意思決定はすべて、一群の最高大臣と顧問、そして(間接的に)オバマ夫妻によって行われるだろう。
3)「彼らに取引を持ちかける」や「私は…と非常に良い関係にある」などの決まり文句を吐き出すエネルギーの低いトランプは、システムとそのルールに従わざるを得ないだろう。 彼は戦争を止めないだろう。1日でも、3日でも、3ヶ月でも。そしてもし彼が本当にそれをやろうとしたら、彼は新たな JFK になるかもしれない。
4)唯一重要なのは、新大統領が遠い国で戦われている他国の戦争に資金を提供するために、議会からどれだけの現金を絞り出せるかということだ。アメリカの軍産複合体を養い、ウクライナのバンデラ派のクズの懐を肥やす現金だ。
5)だからこそ、アメリカの最高職の候補者 2 人を喜ばせたいなら、11 月 5 日に行うべき最善のことは、キエフのナチス政権を攻撃し続けることだ。
そして、メドベージェフ氏は、ロシアは現在の米国と欧州の政治体制にはキッシンジャー氏のような「先見性と繊細な思考」が欠けており、クレムリンの核警告を真剣に受け止めるべきだと考えていると語っています。
更に、メドベージェフ氏は11月2日、スカイニュースに対し、「第三次世界大戦を避けるために米国はロシアの核警告を真剣に受け止めるべきだ」と警告しています。
件のスカイニュースの記事は次の通りです。
モスクワは米国に対し、第三次世界大戦を回避するためにロシアの核警告を真剣に受け止めるべきだと警告した。メドベージェフ氏は、アメリカ議会が「ロシアを倒さなければならない」というコンセンサスがあるため、それに逆らえないという見方のようです。
ロシアの安全保障会議副議長で、2008年から2012年まで同国の大統領を務めたドミトリー・メドベージェフ氏は土曜日、米国に対し、「ロシアが一定の一線を越えることはない」と信じるのは「間違い」だと警告した。
同氏はロシア国営放送局RTに対し、モスクワは現在の米国と欧州の政治体制には故ヘンリー・キッシンジャー氏が示した「先見性と繊細な思考」が欠けていると考えていると語った。
「我が国の大統領が繰り返し述べてきたように、また私の部下も述べてきたように、また他の人々も述べているように、我々の国家の存続について語るのであれば、もちろん、我々に選択の余地はない」とメドベージェフ氏は述べた。
ロシアは数週間前から西側諸国に対し、米国とその同盟国がウクライナを支援してロシアの奥深くまで長距離ミサイルを発射すればモスクワは対応すると警告してきた。
米国の外交官らはこれまで、米国はウクライナでの戦争をエスカレートさせるつもりはないと述べてきた。
メドベージェフ氏がウクライナ紛争の深刻なエスカレーションを警告したのは今回が初めてではない。
9月には、ウクライナのロシア領クルスクへの侵攻がロシアに核兵器を使用する正式な根拠を与えたと警告した。
【以下略】
筆者は、そうではなく、トランプ大統領が戦争を止めていくと思っていますけれども、トランプ政権の面々によっては、相当に流れが変わっていくと思います。
果たして、トランプ大統領の日本のカウンターパートナーが石破総理で務まるのか。それとも新たな新総理になるのか。注視していきたいと思います。
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