トランプ再登場と揺れるイスラエル

今日はこの話題です。
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1.トランプ氏に祝意の中東諸国


大統領選に勝利したトランプ次期大統領に対し、各国から祝意が伝えられていますけれども、中東各国も例外ではありません。

11月6日、イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ氏の当選が正式に確定する前にX(旧ツイッター)に「歴史に残る素晴らしい復帰、おめでとう! ホワイトハウスへの歴史的復帰は、アメリカの新たな始まりであり、イスラエルと米国の同盟を力強く再確認するものだ。これは大勝利だ! 真の友情をこめて、 ベンヤミン・ネタニヤフ、サラ・ネタニヤフ」と投稿し、トランプ氏の勝利を祝福しました。

この日、ネタニヤフ首相はいち早くトランプ氏に電話し、イスラエルの安全保障のため協力することで一致。ハマスを支援するイランの脅威についても協議しています。

これについて、強烈な親イスラエルの立場で知られるトランプ政権下なら、自国に有利な形で停戦交渉や戦後のガザ統治を進められるとの期待があるとも見られています。

同じく6日、中東各国は相次いで祝意を表明しています。

エジプトのシシ大統領はトランプ氏に電話し、「地域の安定と平和に貢献するため、新たな任期中も引き続き協力していく」との意思を強調。カタールのタミム首長もXで「地域の安全と安定に向けて協力するのを楽しみにしている」との声明を出しています。

更にサウジアラビアで実権を握るムハンマド皇太子も6日、トランプ氏に電話し、2国間の「歴史的で戦略的な関係」をいっそう強化させたい考えを伝えたと報じられています。

中東諸国では、紛争に巻き込まれるのを避けたいトランプ氏が早期停戦を優先し、イスラエルに一定の圧力をかけるとの見方もあるようです。

もっとも、パレスチナ側には、トランプ氏の極端なイスラエル支持への警戒感も強く、6日、ハマスは声明で、トランプ氏に対して早期停戦の実現とともに、エルサレムを首都としたパレスチナ国家の独立など従来の要求も改めて強調。「米国の新政権がパレスチナの人々や権利、大義にどう対応するかによって我々の立場を決める」と慎重姿勢を示しています。




2.ギャラント解任


アメリカ大統領選当日の5日、イスラエルのネタニヤフ首相はヨアフ・ギャラント国防相を解任すると発表しました。

ネタニヤフ首相は声明で、「ギャラント国防相との間に、作戦の運営に関して大きな隔たりが生じ、こうした隔たりには、政府決定や閣議決定に反する発言や行動が伴っていた……溝を埋めようと試みたが、溝は広がるばかりで、信頼関係の危機が公になり、作戦の運営を妨げている」と、国防相の任期を終了することにしたとしています。

ネタニヤフ首相がギャラント国防相の解任を発表するのは今回が2回目で、2023年3月にネタニヤフ政権が推進していた司法改革にギャラント国防相が反対を表明したことから、3月26日に解任し、その後4月10日に復帰させていました。

このギャラント国防相の解任について、5日、ニューヨークタイムス紙は、「イスラエルのネタニヤフ首相、戦争へのアプローチの「ギャップ」を理由に国防相を解任」という記事を掲載しました。

件の記事の概要は次の通りです。
・ベンヤミン・ネタニヤフ首相は5日、ガザでの戦争遂行に関する意見の相違を理由に、ヨアヴ・ギャラント国防相を解任した。この動きは、エルサレムの首相官邸付近での大規模な集会を含め、イスラエル全土で抗議を巻き起こした。

・ギャラント氏は、ガザで拘束されている人質の解放を確保するための停戦協定を推進していたが、彼の解任により、イスラエル政府内でそのような協定を推進する主要人物がいなくなった。ギャラン氏とネタニヤフ首相は、国内政治問題、特に超正統派イスラエル人の徴兵制でも衝突した。

・ギャラント氏の解任に反対する大群衆は、テルアビブの主要幹線道路で交通を遮断し、かがり火を焚いた。

・ギャラント氏(65歳)は、首相に対抗する内弁慶との見方が強まっており、安全保障問題では政府内で穏健な立場をとってきた。ビデオ声明でこの決定を発表したネタニヤフ首相は、ギャラント氏との間に「戦争処理に関する大きな隔たり」が生じたと述べた。

・ギャラント氏によれば、ネタニヤフ首相は、超正統派ユダヤ人の徴兵、人質解放の取り決め、2023年10月7日にハマスがイスラエルに仕掛けた攻撃をめぐる安全保障上の失敗に関する国家調査委員会の設置という3つの主な意見の相違を理由に、ギャラント氏を解任したという。

・「私の確固としたスタンスは、すべての軍人は入隊しなければならないということだ。彼らはイスラエル国防軍に入隊し、イスラエル国家を守らなければならない。これはもはや単なる社会問題ではない。私たちの存在と未来にとって最重要課題なのだ」。

・ネタニヤフ首相の連立政権を支える超正統派の議員たちは、ガザやレバノンでイスラエルの犠牲者が増えるなかでも、自分たちの有権者を徴兵するための抜本的な対策に反対してきた。もしギャラント氏が自身の立場を前進させることに成功していれば、ネタニヤフ首相の連立は危機に瀕していたかもしれない。

・発言の最後にギャラント氏は、イスラエル軍、戦死した兵士、人質とその家族に敬意を表した。

・首相の決断は、イスラエルにとって異常な時に下された。イスラエル軍は、ガザのハマスとレバノンのヒズボラ、イランが支援する2つのグループと戦っており、報復攻撃の連鎖の中でイランの攻撃の可能性に備えている。また、イスラエル占領下のヨルダン川西岸では、パレスチナ武装勢力を根絶やしにするための急襲作戦を展開している。

・イスラエルの最も近い同盟国であるアメリカは、中東戦争に対するアメリカのアプローチに大きな影響を与える可能性のある大統領選挙の投票中である。ギャラント氏はアメリカの高官と緊密な連絡を取り続けたが、高官はしばしばネタニヤフ首相の代わりにギャラント氏と連絡を取ることを選択し、イスラエルの首相をいらだたせた。月曜日には、アントニー・J・ブリンケン国務長官がガザとレバノン情勢について話し合うためにギャラント氏に電話した。

・ホワイトハウスの国家安全保障会議は、ネタニヤフ首相を直接批判することは避けた。ホワイトハウスの国家安全保障会議は、ギャラント氏について「イスラエル防衛に関するあらゆる問題で重要なパートナーである」とし、次期イスラエル国防相と「協力的に働く」ことを約束した。

・ネタニヤフ首相は、安全保障の経験が乏しいイスラエル・カッツ外相を新国防相に指名した。首相の盟友であるカッツ氏は、停戦協議に対するネタニヤフ首相のアプローチを邪魔することはないだろう。また、レバノンでの戦闘期間やイランからの脅威への対応についても、首相に同調すると見られている。

・ネタニヤフ首相は、カッツ氏の後任として強硬派のギデオン・サール氏を外相に指名し、彼の小さな右派政党を正式に連立政権に参加させると述べた。強硬派で、かつてはネタニヤフ首相を激しく批判していたサー氏は、9月に野党から政権に参加したが、彼の派閥は連立協定に署名しなかった。もしサール氏の党が正式に連立に加われば、ネタニヤフ首相に政治的安定を与えることになる。
ギャラント氏は、ネタニヤフ政権での「歯止め役」とされていたのですけれども、アメリカ政府高官が、ネタニヤフ首相の頭越しにギャラント氏と連絡を取っていたとなれば、氏の重要度が分かります。

ネタニヤフ首相は、ギャラント氏の解任について3つの意見の相違があったと述べていますけれども、解任に当たってギャラント氏は演説でその理由について触れています。

該当部分を引用すると次の通りです。
私の解雇は、主に以下の 3 つの問題に関する意見の相違に起因している。

1つ目は、徴兵年齢に達したすべての人がイスラエル国防軍に従軍し、イスラエル国家を防衛しなければならないという私の確固たる立場だ。

この問題はもはや単なる社会問題ではなく、イスラエル国家とシオンに住む人々の安全という、私たちの存在にとって最も重要な問題なのだ。

この作戦で、我々は何百人もの兵士を失い、何千人もの負傷者や障害者を出し、そして戦争は今も続いている。

今後数年間、私たちは複雑な課題に直面することになるだろう。戦争はまだ終わっておらず、戦闘の音も止んでいない。私たちはこれらの将来の課題に正面から立ち向かい、備えなければならない。

このような状況下では選択の余地はなく、全員がイスラエル国防軍に入隊し、イスラエル国を守る任務に参加しなければならない。

数万人の国民をこの負担から免除する差別的で腐敗した法律がクネセトで可決されることを許してはならない。変化の時が来ている。

2つ目の問題は、誘拐された息子や娘をできるだけ早く、できるだけ多く生かして家族の元に連れ戻すという私たちの道義的義務と責任だ。

私の役割、経験、そして過去1年間の軍事的成果に基づき、現実を冷静に見据えて、これは達成可能だが、イスラエルが耐えられ、イスラエル国防軍が対処できる痛みを伴う妥協を伴うと私は断言する。

亡くなった人質を連れ戻すことはできない。

捕虜を捨てたことに対する償いは存在せず、今後も存在しない。それはイスラエル社会と、この誤った道に導く人々の額にカインの印を残すことになるだろう。

3 つ目の問題は、徹底的かつ適切な調査を通じて教訓を引き出す必要性だ。国家レベル、つまり政治、安全保障、軍事レベルになると、真実を明らかにし、そこから学ぶための機関がある。それは国家調査委員会だ。

私はこれまで何度も言ってきたし、繰り返すが、過去 2 年間の安全保障体制の成功と失敗に対して責任を負っている。明るみに出ることと真実に基づいた調査だけが、私たちが学び、将来の課題に立ち向かう力をつけることを可能にする。
ギャラント氏は「国民皆兵」、「人質救出」、「真実調査」と至極真っ当な主張をしているように筆者には思えるのですけれども、これらがネタニヤフ首相と意見対立したということは、ネタニヤフ首相は妥協を伴うガザ停戦など考えていないと思わせます。


3.大統領就任までにガザ戦争を終わらせろ


ネタニヤフ首相は7月にトランプ次期大統領と会談しているのですけれども、その際、トランプ氏の大統領就任までにガザ戦争を終わらせるように要請されていたことが明らかになっています。

10月30日、タイムズ・オブ・イスラエル紙は、トランプ氏がネタニヤフ首相に対し、大統領就任までにガザ戦争を終わらせるよう望むと語ったと情報筋が伝えたとする記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
・ドナルド・トランプ前米大統領は、選挙に勝利した場合、自身が首相に復帰するまでにイスラエルがガザでの戦争を終わらせることを望んでいるとベンヤミン・ネタニヤフ首相に伝えたと、事情に詳しい2人の情報筋が今週、イスラエル・タイムズ紙に明らかにした。

トランプ政権の元当局者とイスラエル当局者によると、このメッセージが最初に伝えられたのは、共和党の大統領候補が7月にフロリダ州のリゾート「マール・ア・ラーゴ」でイスラエル首相をもてなした時だった。

・トランプ大統領はネタニヤフ首相に対し、イスラエルが早く戦争に勝利することを望んでいると伝えたことを公式に認めているが、タイムズ・オブ・イスラエル紙に語った情報筋は、その要求に期限が付いていたことを初めて明らかにした。

・元米国政府高官は、トランプ大統領はネタニヤフ首相に具体的な要請をしておらず、エルサレムが正式に戦争を終結させれば、ガザ地区におけるイスラエル国防軍の「残存」活動を支持する可能性もあると強調した。

・ネタニヤフ首相は、戦争後も当面の間、イスラエルがガザ地区の治安管理を全面的に維持すると長らく強調しており、他のイスラエル当局者も、イスラエル国防軍がガザ地区内に緩衝地帯を維持しながら、ハマスが再集結しようとしているのを察知すると、定期的にガザ地区全域に再進入すると語っている。

・しかし首相は月曜日、イスラエルはまだ紛争終結の段階に至っていないと示唆し、すぐに流出した派閥会議の録音の中で、リクード議員に対し、依然として拘束している101人の人質と引き換えに戦争を終わらせるというハマスの要求には同意できないと語った。

・トランプ大統領はここ数週間、イスラエルに決定権をより自由に与える考えを示しており、10月1日のイランの弾道ミサイル攻撃に対するエルサレムの報復の潜在的標的を限定しようとしているジョー・バイデン米大統領を非難している。

・元米国政府高官は、トランプ大統領がイスラエルにガザでの勝利を勝ち取らせたいと願っている就任式前の勝利には人質の帰還も含まれると明言した。

・トランプ氏自身も7月の共和党全国大会で、自分が大統領に就任する前に海外でアメリカ人人質を解放しなければ「非常に大きな代償を払うことになる」と警告した。

・トランプ陣営とネタニヤフ首相の事務所はコメントの要請に応じなかった。

・トランプ大統領とネタニヤフ首相は7月のマール・アー・ラーゴでの会談以来、数回にわたって会談しており、トランプ大統領は先週、首相が2日連続で電話をかけてきたと発言した。

・今月初め、イスラエルの高官2人がタイムズ・オブ・イスラエルに対し、トランプ氏がイスラエルに対しガザ戦争を早期に終わらせるよう繰り返し呼びかけていることを懸念しており、トランプ氏が来週の選挙で勝利し、1月に大統領に復帰した場合にイスラエルがそうすることができず衝突につながることを恐れていると語った。

・「戦争を早く終わらせるには国内の政治的制約がある」と当時、イスラエルの安全保障当局者の一人は語った。

・同氏は詳細には触れなかったが、ガザでの恒久的な停戦を条件とした人質取引案に反対してきた極右勢力を含むネタニヤフ首相の連立政権の構成について言及したとみられる。

・ネタニヤフ政権内でも、パレスチナ自治政府にガザの統治に関与させるのに反対する意見がほぼ一致している。イスラエルの別の当局者は、これが戦争の長期化の一因になっていると述べ、エルサレムはガザの権力の空白を埋める実行可能な代替案を見つけようと苦戦し、その結果、イスラエル国防軍が撤退した地域でハマスが再び勢力を回復するのを許している。

・匿名を条件に語った野党議員は、1月20日の就任式まで戦争を長引かせることは、11月にカマラ・ハリス副大統領が勝利した場合には、彼女との関係を悪化させることにもなるだろうと認めた。

・しかし、「ネタニヤフ氏は大きな代償を払うことなく民主党大統領との衝突を乗り切ってきた。実際、彼は彼らに対抗する能力をアピールして選挙運動を行っている」と議員は語った。

・「トランプ大統領との争いは、首相にとってこれまで実際に対処しなければならなかったことではなく、避けたいことだと思うが、(ベザレル財務大臣の)スモトリッチ氏と(イタマール国家安全保障大臣の)ベン・グヴィル氏がそれを許さないかもしれない」と同議員は付け加えた。同議員は、首相が権力の座にとどまるために支持を必要とする極右閣僚らに言及した。
トランプ氏の大統領就任式は来年1月20日、それまでにガザ戦争を終わらせるようにトランプ氏がネタニヤフに要請したというのですね。

イスラエル側は、戦争を終わらせるには国内の政治的制約があるとの立場のようですけれども、もし、その制約の1つが「ギャラント国防相」だったのだとしたら、突然の解任の説明にもなるような気もします。

つまり、「戦争を早く終わらせる」ために、ガザのハマスを徹底的に殲滅する道を選んだのではないかということです。その為には、「国民皆兵」、「人質救出」、「真実調査」を主張するギャラント氏が邪魔になった。ゆえに解任した。と考えると説明できるような気もします。


4.イスラエル軍はガザで何もすることがなくなった


そのギャラント氏は、イスラエル軍はガザで何もすることがなくなった、と発言し注目を集めています。

11月7日、ガーディアン紙は「イスラエル軍はガザで何もすることがなくなったと発言した」とする記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
・イスラエルの解任された国防大臣ヨアブ・ギャラント氏は、軍がガザでの目的をすべて達成し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が自らの治安当局の助言に反して人質引き渡し和平協定を拒否したと述べたと報じられている。

・ギャラント氏はネタニヤフ氏に解任されてから2日後の木曜日に人質の家族と話をしており、その発言はすぐにイスラエルのメディアで報じられた。

・「ガザにはもう何も残っていない。大きな成果はすでに達成されている」とチャンネル12のニュースは同氏の発言を引用した。「ただそこに居たいという願望があるからというだけで、我々はそこに留まっているのではないかと懸念している」

・報道によると、同氏は家族らに対し、安定を生み出すためにイスラエルがガザに留まらなければならないという考えは「兵士の命を危険にさらすほど不適切な考えだ」と語ったという。

・ハアレツ紙はまた、この会話に詳しい情報筋の話として、ガラント首相がイスラエル国防軍(IDF)はガザでの目的をすべて達成したと述べたと報じた。同紙の報道によると、人質取引に関する首相の検討は「軍事的でも政治的でもない」という。

・ギャラント氏は遺族らに対し、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人の釈放と引き換えにハマスによるイスラエル人人質の解放と、当初は一時的な停戦という取引を行うかどうかを決定できるのはネタニヤフ首相のみだと伝えたと伝えられている。

・バイデン政権は、5月に米国大統領が段階的合意の青写真を発表し、ネタニヤフ政権がそれを受け入れたと主張して以来、そうした合意の仲介を試みてきたが、イスラエル首相は合意条件から距離を置く一連のコメントを発表した。

・彼はその後、ガザとエジプトの国境にあるフィラデルフィア回廊にイスラエル国防軍の駐留を維持することを条件に合意したが、これはハマスにとって受け入れられないことだった。米国当局はネタニヤフを少なくともハマスと同じくらい大きな和平の障害とみなすようになった。

・伝えられるところによると、ギャラント氏は人質の家族に対し、その土地を保持する軍事的理由はないと語ったという。

・「イスラエル国防軍司令官と私は、フィラデルフィア回廊に留まる安全上の理由はないと言った」と同氏が語ったとチャンネル12は報じた。「ネタニヤフ首相は外交上の配慮だと言ったが、私は外交上の配慮などなかったと言っている」

・ギャラント氏の連立政権離脱により、極右が多数を占める内閣からネタニヤフ首相の最後の主要ライバル、そして最後の比較的穏健派が排除されることになる。クネセトは木曜日、ネタニヤフ首相のリクード党員が提出した法案を可決した。この法案は、追放対象者がイスラエル国民であっても、テロ犯罪で有罪判決を受けた者の近親者の国外追放を認める内容となっている。

・法律の条文には明記されていないものの、この新法は有罪判決を受けたユダヤ人テロリストの親族ではなく、イスラエル在住のパレスチナ国民に適用されることを意図していると広く考えられている。

・ギャラント氏の木曜日の発言はイスラエルで政治的に爆発的な衝撃を与えた。ガザに拘束されている人質の家族、その支持者、イスラエルの野党は皆、ネタニヤフ首相がガザでの紛争を継続させているのは新たな選挙を先送りし、政権を失うリスクを冒すためだと非難している。

・ガザでの停戦が成立していないことでレバノンでの紛争も長期化しており、レバノンではシーア派民兵組織ヒズボラが、ガザでパレスチナ人が爆撃されている限りイスラエルへの攻撃を続けると誓っている。

・レバノンの民間防衛局は、水曜日にイスラエル軍がベカー高原のバルジャの町のアパートを空爆し、30人が死亡したと発表した。イスラエル国防軍は、24時間以内にヒズボラ戦闘員60人が死亡したと主張している。レバノンの通信社は、付近で2機のドローンが走行中の車を狙っていたと伝えた。

ガザ地区の保健当局は、木曜朝までに27人が死亡したと発表した。そのほとんどは、イスラエル国防軍が民間人に避難を命じているガザ地区北部で発生した。

・国連やその他の援助機関から一般的に信頼できるとみなされているハマスが運営する保健当局の推計によると、過去13か月にわたるイスラエルの爆撃でガザ地区では4万3000人以上のパレスチナ人が殺害された。

・同じ期間に、イスラエルによるレバノンへの攻撃で3,000人以上が死亡しており、その大部分は過去6週間に起きたものだ。
ギャラント氏は解任されて尚、停戦と人質救出を主張し、ネタニヤフ首相の歯止めになろうとしているように見えます。とくに「人質解放と停戦を決定することができるのはネタニヤフ首相のみだ」と言及し、それが報じられたことは重要な点だと思います。

なぜなら、「ネタニヤフ首相さえいなくなれば、停戦と人質解放の道が開かれる」という認識が公のものになったと思うからです。

実際、イスラエル国内では強硬姿勢を貫き戦闘を継続するネタニヤフ首相への批判が広がっていて、ガラント前国防相の発言を受け、停戦と人質解放に向けた合意を求める声が高まるともいわれています。

トランプ大統領が就任する来年1月までに、ネタニヤフ首相がどのように動くのか。目が離せません。




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