収賄疑惑の岩屋毅外相

今日はこの話題です。
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1.アメリカ司法省が潘正明を起訴


11月18日、アメリカ司法省は、中国のオンライン賭博業者「500ドットコム(現ビットマイニング)」の元CEO(最高経営責任者)潘正明被告を、「海外腐敗行為防止法」違反などの疑いで起訴しました。

司法省のプレスリリースは次の通りです。
・元CEOが日本政府関係者への賄賂に関与したとして起訴。BIT Mining Ltd.が外国贈賄捜査を解決

本日、500.com(現BIT Mining Ltd.)の元CEOで中国国籍の潘正明氏を海外腐敗行為防止法(FCPA)違反で告発する起訴状が公開された。BIT Mining Ltd.は、日本政府関係者への賄賂支払いの腐敗計画への同社の関与に起因する関連FCPA違反に関する司法省と証券取引委員会(SEC)の捜査を解決することに同意した。

BIT Mining は、ニュージャージー州で提出された、FCPA の贈収賄防止および帳簿記録規定に違反する共謀の罪 1 件と、FCPA の帳簿記録規定に違反した罪 1 件の刑事告訴に関連して、3 年間の起訴猶予協定 (DPA) を締結しました。

ニュージャージー州の連邦大陪審は6月18日、パン氏に対する起訴状を提出した。パン氏は、FCPAの贈賄防止条項および帳簿・記録条項に違反する共謀罪1件、FCPAの贈賄防止条項に違反した罪1件、およびFCPAの帳簿・記録条項に違反した罪2件で起訴されている。

「BITマイニングは、当時のCEO、チェンミン・パンの指示の下、日本での高収益リゾートとカジノの開設契約を獲得するため、日本政府関係者に約200万ドルの賄賂を支払うことに同意した」と司法省刑事部長のニコル・M・アルジェンティエリ首席副司法次官は述べた。「パンは、会社のコンサルタントに賄賂を支払うよう指示し、偽装コンサルティング契約を通じて不正な支払いを隠蔽した疑いで起訴された。本日の解決とパンに対する告訴は、法人と個人の両方の犯罪者に犯罪の責任を負わせるという司法省の継続的な取り組みを示すものだ。」

「外国政府関係者への賄賂は重罪です。当時500.comとして知られていたBIT Miningの最高幹部は、日本に大規模リゾートをオープンする入札に勝つためにコンサルタントに日本政府関係者への賄賂の支払いを指示しました」とニュージャージー州連邦地方検事フィリップ・R・セリンジャーは述べた。「この違法な計画はトップから始まり、同社のCEOは不正な支払いの指示とその後の隠蔽工作に全面的に関与していたとされています。同社は罪を認め、1000万ドルの罰金を支払うことに同意し、当時のCEOは計画における役割で起訴されました。この合意と起訴により、企業体と最高幹部の両方が責任を負います。」

「本日、BIT Miningの元CEOが日本政府関係者への賄賂の罪で起訴されたことは、違法行為の責任を個人に負わせるというFBIの取り組みを強調するものである」とFBI犯罪捜査局のチャド・ヤーブロー副局長は述べた。「この種の犯罪行為は、商慣行の健全性を損なうものである。FBIは、不当な利益を生み出す違法な計画に関与した者を容赦なく追及し、彼らが法の完全な罰を受けるようにする。」

裁判所の文書によると、2017年から2019年の間に、当時500.comとして知られていたBIT Miningは、当時のCEOであるパン、従業員、代理人が、賄賂と仲介人への支払いとして約190万ドルを支払うことに同意したことを認めました。そのお金は日本政府関係者への賄賂に使われることを知っていました。賄賂の目的は、500.comが日本で統合型リゾート(ホテル、カジノ、小売店、レストラン、コンベンション施設、娯楽施設を含む大規模リゾート)を開設する入札に勝つのを支援することでした。パンは500.comに代わって、500.comがこれらの賄賂を支払い、隠蔽するのを支援するために第三者のコンサルタントを雇ったとされています。500.comはこれらのコンサルタントを通じて、現金、旅行、接待、贈り物の形で賄賂を支払いました。パン氏らは、コンサルタントと偽装契約を交わし、経営顧問料などの正当な経費として支払いを虚偽に記録するなどして、賄賂の支払いを隠蔽したとされている。結局、この賄賂計画を実行したにもかかわらず、500ドットコムは日本での統合型リゾート入札を勝ち取ることはできなかった。

DPA に従い、BIT Mining は、米国量刑ガイドラインの適用に基づき、適切な刑事罰は 5,400 万ドルであることに同意しました。しかし、BIT Mining の財務状況と、米国量刑ガイドラインに基づいて算出された罰金を支払う能力がないことが証明されたため、BIT Mining と司法省は、同省の支払い能力がないという指針に従い、BIT Mining が合計 1,000 万ドルの刑事罰を支払うことに同意しました。司法省は、並行して行われている調査を解決するために、BIT Mining が SEC に支払うことに同意した民事罰に対して最大 400 万ドルを差し引くことに同意しました。

BIT Mining はまた、進行中または将来の刑事捜査において、詐欺課およびニュージャージー州連邦検事局に引き続き協力することにも同意しました。さらに、BIT Mining は、DPA の 3 年間の期間中、コンプライアンス プログラムを継続的に強化し、是正措置およびコンプライアンス対策の実施に関する報告書を司法省に提出することにも同意しました。

司法省は、犯罪の性質と重大性など、いくつかの要素に基づいて、BIT Mining とこの解決に至った。BIT Mining は、司法省の捜査に協力したことで評価された。その協力には、(i) 外国のデータプライバシー法と関連刑法を順守しながら、関連文書、財務データ、その他の情報 (外国のものも含む) を自発的に提出し、限られた数の文書を翻訳したこと、(ii) 内部調査中に判明した事実を政府に提供したことなどが含まれる。しかし、協力は受動的であり、程度と影響は限られていた。

BIT Miningは、適時に一定の是正措置を講じました。これには、(i)取締役会によるコンプライアンスリスクと監査結果のガバナンスと監視の強化、(ii)全社的なコミュニケーションを通じたコンプライアンスと倫理の促進、(iii)上級管理職の業績評価へのコンプライアンス基準の組み込み、(iv)年次リスク評価の実施、(v)汚職防止ポリシーの作成と、それを促進するための全社的なトレーニングとコミュニケーションの実施、(vi)汚職リスクの低い業界へのビジネスモデルの移行と高リスク地域での存在の削減などが含まれます。これらの考慮事項に照らして、米国の量刑ガイドラインに基づいて算出されたBIT Miningの刑事罰は、適用可能なガイドラインの罰金範囲の下限から10%の減額を反映しています。

FBIの国際汚職捜査班がこの事件を捜査している。

刑事部詐欺課のジル・サイモン弁護士とリジア・マークマン弁護士、およびニュージャージー地区のジェニファー・コザール連邦地方検事補がこの事件を起訴している。

この件に関しては、司法省国際問題局と日本の当局が支援を提供した。
このプレスリリースにBITマイニング社の最高幹部が「日本政府関係者への賄賂の支払いを指示しました」とがっつり書いています。


2.収賄疑惑の岩屋毅外相


では、旧500ドットコム社が賄賂を渡したという日本政府関係者は誰だという話になるのですけれども、この件は2020年頃騒ぎになりました。

この件については、2020年1月のエントリー「IR汚職事件と中国の新国家情報法」で取り上げましたけれども、当時、内閣府副大臣でIR担当だった秋元司氏が逮捕され、2024年3月に東京高裁が760万円相当を賄賂と認定。懲役4年と追徴金の実刑判決を受けています。

当時、特捜部の事情聴取を受けたのは自民党で現外務大臣の岩屋毅議員、中村裕之議員、宮崎政久議員、船橋利実議員、さらに日本維新の会(当時)の下地幹郎議員でした。

旧500ドットコム社がコンサルタントに仲介させた額はおよそ200万ドル(約3億円)にのぼるとされていますけれども、外国政府高官の買収は重罪になりますから、アメリカ司法省は、BITマイニング社(旧500ドットコム社)に5400万ドル(約84億円)の罰金を科す方針だったのですけれども、捜査協力を条件に、600万ドル(約9億円)程度まで減額される可能性があるとされています。要するに司法取引です。

公開された起訴状や広報資料によると、2017年12月には、複数の政府関係者をマカオに招待し、プライベートジェットのフライト代、ギャンブル用のチップ、高級品、食事、売春婦、5つ星ホテルの支払いが含まれ、賄賂を現金で渡す機会として利用され、費用は、およそ22万ドル(3400万円)。更に、「セリーヌのバッグ」をお土産に渡されたとしています。

この時の様子は潘氏からコンサルタントに「商品を購入します。セリーヌの商品ですか? では、いくらか見てみましょう。彼は国会議員ですから……どう思いますか? 買ったほうがいいのであれば、私たちが買ったほうがいいかもしれません。お金はすでに用意しています」という音声記録まで残っているそうです。

この招待旅行はマカオだけではありません。

2018年2月頃、同社は日本政府関係者と家族を北海道へのスキー旅行に招待し、6871ドル(約110万円)を支払っています。潘氏は参加しなかったものの、リフト券、スキー用具、スノーモービル、温泉訪問、そのほかのエンタメなど、旅行中のすべての費用を支払っています。

この旅行に同行したコンサルタントは、現地から「ある政府関係者は息子の様子を見て『ふだんはこんなことをしないので、とても幸せです』と食事中に話し、『IR誘致に全力を尽くす』と言った。」と潘氏に報告すると、潘氏は「これはいい知らせだ」と小躍りした、とのことです。

ここまで具体的にレポートされてしまうと、本当にあったのだな、と思ってしまいます。


3.不正には関わっていない


この問題が明るみにでた当時、東京地検特捜部の任意聴取を受けた5人の議員のうち、日本維新の会(当時)の下地幹郎氏は、100万円の受け取りを認め離党したのですけれども、ほかの4人は授受を否定しました。

その4人の中に岩屋毅外相も含まれています。

岩屋氏は、2020年1月4日、記者会見で、「中国企業から現金を受け取ったことはない。天地神明に誓って、不正には関わっていない」と受領を否定。「500」社側との面識について「名刺交換した中にいたかもしれないが、記憶にない。何かを頼まれたことなど一切ない……政治資金規正法上からも外国企業から金銭を受け取ることはありえない」と現金の受け取りを強く否定していました。

当時の東京地検特捜部の調べでは、現金を渡したと供述したのは、旧500ドットコム社顧問で元沖縄県浦添市議の仲里勝憲容疑者です。

中里容疑者は、衆院解散当日の2017年9月28日に秋元議員に300万円を渡し、同じころに岩屋氏ら国会議員5人に「それぞれ100万円前後を渡した」と話しています。

岩屋氏は、外国企業から金銭を受け取っていないと否定していますけれども、では、仲介者を通して受け取ったらOKなのか。

なにか、中国産アサリを、一度国内の海岸にばら撒いてから、拾い集めなおして、国産アサリとして販売する「産地偽装」のような手口に見えてしまいます。

日本では、収賄・受託収賄行為から5年、贈賄行為から3年で時効になるので、2017年から2019年の間の賄賂はほぼ時効になっている筈です。けれども、アメリカではこの種の罪には時効がないそうで、実際に賄賂の受け取りが明らかになれば、罪に問われる可能性があります。

現職の外相がアメリカから罪に問われる。こんな事態になったらとても外相の仕事などやれたものではありません。


4.石破総理にノーを突き付けたトランプ政権


総理になってからというもの、過去の自分の発言がブーメランになっている石破総理ですけれども、この件についてもブーメランをかましています。

2020年1月、IR汚職が報じられた際、石破氏は初詣で地元・鳥取市内の神社を訪れた際に、「国民に向かって説明する場が、裁判だけでいいはずがない。国会審議を通じて明らかにすべきことは、明らかにしていかなければならない」と記者団に語っています。

この問題を野党がスルーするとも思えず、石破政権は次の国会で追及されることになると思います。なにせ予算委員長を立憲に譲り渡されてますからね。テレビが入っている中、ばっちり中継される筈です。

もしも、追及に手心が加えられたり、テレビ・マスコミが忖度して碌に報じなかったとしたら、それはそれで、「オールドメディアは真実を隠す」と断じたどこかの党首の言を証明することになります。

日本政府関係者によると、「アメリカ司法省はこの問題に、並々ならぬ強い意欲を持っている」とのことですけれども、トランプ政権が始まる前というタイミングで、起訴と司法取引がされた。

誤解を恐れずにいえば、これは、トランプ次期政権からの石破政権に対する「ノー」という外交メッセージではないかと思います。トランプ大統領に会いたければ、中国の工作を綺麗に掃除にしてからこい、ということです。

政権発足から末期症状を見せている石破政権。国会をどう乗り切るのか。暗黒の未来しか見えないですね。




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