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1.自公国税制協議
11月25日、自民党と公明党は、来年度の税制改正に向けた議論を本格化させました。
26日に税制調査会の幹部が会合を開き、防衛財源を確保するための増税の開始時期や、高校生などを扶養する場合の所得税や住民税の扶養控除の扱いなどの項目について意見を交わしました。
勿論、与党が国民民主党と合意した「103万円の壁」の見直しに伴う基礎控除などの引き上げ幅や対象範囲、さらに、主に地方の税収減の手当。そして、「ガソリン減税」の具体的な枠組みをどうするかについても、話し合われたと見られています。
自民党の宮沢洋一税調会長は「ことしは昨年のように自公で決めたものが成案になるというわけではなくて、この税調と同時並行で国民民主党を入れた3党での協議というものも進みます」と述べています。
そして、28日、自民・公明両党と国民民主党の税制調査会幹部は、国会内で2025年度税制改正について議論しました。
協議前日、宮沢税制調査会長は、「前回、国民民主党の考えを承ったので、私たちの考え方をお返しする段階だ……国民民主党の考えをもう少し詳しく聞かなければいけない話もいくつかある」と述べていましたけれども、自公は源泉徴収に当たる企業などの事務負担にも配慮する必要があると指摘し、国民民主に対し、狙いや財源の詳細を示すよう求めました。
今回の協議では、与党は具体的な上げ幅を示しませんでした。
2.財務省の条件闘争
これら減税議論について、経済評論家の三橋貴明氏は、自身の動画で、財務省が暗躍していると解説しています。
件の動画の概要は次の通りです。
・国民民主がキャスティングボートを握って、減税政策の議論が始まった。財務省とその手下達がなんとか減税額を減らし、あわよくば潰せないかと条件闘争に入っているように見えます。けれども、ここまで注目されてしまうと、そのプロセスが可視化されてしまい、増々、財務省が「国民の敵」だと認知されてしまうような気がします。
・過去30年間日本国を暴落させた主犯と言って過言ではない財務省の問題がいよいよクローズアップされてきた。
・財務省は、国民民主党の減税政策について可能な限り小規模にするべく動いている
・財務省がやることってま大体決まっている。主に4つ。
・1つが政治家などへのレクチャー。御説明って呼んでます。
・2つ目が財政研究会。財務省の記者クラブです。記者クラブを通じたマスコミのコントロールやります
・3つ目は積極財政派に対するスキャンダル
・最後が国税庁による税務調査
・この4つの大きな武器を使って、潰しに来る
・少なくとも最初の1つ目と2つ目はもう行われてる。
・自民党の政務調査会の議員さんだと思うんですけど、財務省は与党の政策担当者を中心に熱心にレクに回っています
・物価や賃金推移などに関する大量の資料を持ってきて、消費者物価やパートの平均賃金は1995年と昨年を比較するとま1.1倍と。
・デフレだったってことなんだけどね。
・で物価上昇に合わせると103万円の壁を113万程度に引き上げるのが妥当で、国民民主党が言ってるような178ままで上げるのは
財政への影響が大きすぎると説明しているとのことです
・もし国民民主党の主張通り年収の壁を年収500万円のサラリーマンの皆さん、年間大体約13万円の減税になります。手取りが増える。
・財務省が主張しているようにま128万ぐらいに引き上げた場合は、それほど意味がある現状にはならない。
・少なくとも日本経済を成長させる牽引力は発揮できないでしょう
・国民民主党の最低賃金が95年と比べたら1.7倍ぐらいになってるのかな。はいというわけで、103万円の壁がですね最低賃金上がってるんだけど年収の壁上がってないからこれ生存権の否定だろ。
・生存権って何のことか言うと、憲法で保証されてますけども要は最低限生活に必要な所得については税金かけちゃいけませんって話なんです
・その最低賃金が1.7倍になったから3万円の壁も当然178万引き上げなくちゃいけないでしょうというようなそういう根拠になってます。
・これ実際うまくいくとこれは減収になるとは限りませんよ。経済成長しちゃうでしょうしね
・減税政策によってさらに税収弾性値があるんで、それ以上に税収が増えるということになります
・いずれにしても大した金額じゃないですよ、7兆円そこそこなんて
・今年度の補正予算が13兆円でしょ。補正予算で10兆円なり20兆円の予算を執行するのはま認めるけどこの玉木さんというか国民民主の減税政策は恒久減税なんで死んでも飲めないということでですね
・このものすごい政争が起きてるわけなんだけど、私大丈夫かなと思うのは、財務官僚にしてもあるいは自民党の国会議員たち、要は減税を圧縮しようとしてる国会議員たちにしても、今、自公って少数与党だっていうのを覚えてんのかなと思っちゃうわけなんですよ。
・国民民主党としてはですね、もう分かりましたと、じゃあもう協議やめましょうと。皆さんの責任で手取りが増えなかったんですと。つきましては我々は補正予算とには賛成できませんよ、という武器持ってるわけなんですよね。それを忘れてんじゃないかなと。
・しかもそれをやると国民民主党は懸命に手取りを増やそうとしたんだけど、もう明らかに財務省と自民党の官僚が妨害したというですね。そういう事実が生まれてしまうわけですよね
・その状況で自民党の国会議員たち、特に参議院議員ですけども来年の7月の参議院選挙戦えるんですかね
・あるいはもう通常予算だって通らない可能性がありますよ
・あるいは3月末に通常予算通したとして、多分立憲民主党が内閣不信任案出してくるからそこに国民民主党が賛成したらポーンと内閣が終わっちゃうわけなんですよね。
・この状況についてなんか気づいてないんじゃないかなっていう気がするんです
・なんでかと言うとこの本格的な少数与党って戦後初めてだからですね
・戦後初めてだから特定の党、今回国民民主党だけど国民民主党がキャスティングポート完全に握るっていうような状況はですね。戦後は少なくとも1回も起きてないんです。
・はい少数与党って、かつてはありましたけどあれすぐ潰れちゃったんで
・是非国民民主党の議員の皆さんには頑張っていただいて、緊縮的な減税政策になるんだったら協議から離脱するべきだと思います。
3.玉木減税を潰せ
これら財務省の玉木減税潰しについて、マネーポストWEBが11月25日付の記事「国民民主党に譲歩したふりで「103万円」から“少額上乗せ”で着地シナリオ 落とし所が「128万円」なら「減税額が3分の1」に」で、そのやり口について詳しく記事にしています。
件の記事の概要は次の通りです。
【前略】前にもいいましたけれども、元名古屋市長の河村氏に減税による税収増についてクローズアップして、地方自治体の首長は教えを乞うべきですし、マスコミも大々的に報じるべきです。けれどもそんなことをやらない。さすがに国民もそのおかしさに気づきだしているように思えます。
自公両党は、国民民主党との間で「年収103万円の壁」の引き上げ、いわゆる“玉木減税”の実施で一応、合意した。
だが、具体的な「手取り増」がいくらになるかは今後の税制改正の議論で決まる。その減税交渉を前に、財務省は減税の規模を小さく抑え、国民の手取りを増やさないための工作を展開している。自民党政調関係者が語る。
「財務省は与党の政策担当者を中心に熱心にレクに回っていますよ。物価や賃金推移などに関する大量の資料を持ってきて、消費者物価やパートの平均賃金は1995年と昨年を比較すると約1.1倍。物価上昇に合わせると、103万円の壁を113万円程度に引き上げるのが妥当で、玉木の言うように178万円まで上げるのは財政への影響が大きすぎると説明している」
国民民主の主張は所得税の「年収103万円の壁」(課税最低限)が1995年から変わっていないことから、基礎控除を増やして課税されない年収の壁を178万円まで引き上げるというものだ。年収500万円のサラリーマンならざっと年13万円の減税となり、その分、手取りが増える。減税規模(所得税・住民税の税収減)は7.8兆円だ。
それに対して財務省側が与党議員に説明しているように、課税最低限を「113万円」までしか引き上げない場合、税収減(減税規模)は1兆円程度に抑えられる。
さらに、石破茂・首相の側近として知られる佐藤正久・自民党幹事長代理は11月17日のテレビ番組で別の案を提示した。
「生活物資という部分(の物価上昇率)に注目すれば、128万円とか(が引き上げ上限になる)」
課税最低限を128万円にした場合の減税規模は約2.6兆円、年収500万円の手取り増は約3万7500円となる。
「財務省が主張する1兆円減税では玉木は納得しないから、官邸の意向を汲んだ佐藤さんが落としどころとして128万円を示した。これなら玉木減税を3分の1に抑えられる。財務省が大きく値切り、自民党が国民民主に譲歩したふりをして少し上乗せする。全部財務省のシナリオです」(前出・自民党政調関係者)
財務省の減税潰し工作の司令塔とされるのが新川浩嗣・事務次官だ。
民主党の野田佳彦政権時代には主税局税制二課長(消費税担当)を務め、「ミスター消費税」と呼ばれた勝栄二郎・財務次官の下で民主、自民、公明の3党合意「税と社会保障の一体改革」をまとめて消費税引き上げのレールを敷いた人物だ。
「気さくな人柄で記者との飲み会でもニコニコしながら冗談を飛ばすから人気がある」(財務省担当記者)との評価がある一方で、後輩官僚には別の顔を見せている。
財務省関係者が語る。
「新川さんは確かに温厚だが、こと財務官僚出身の政治家に対する評価は厳しい。岸田内閣の頃は木原誠二・前幹事長代理の国会対応のまずさを手厳しく批判していた。
財務省出身の玉木代表は新川さんと同じ香川出身で入省年次は6年後輩にあたるが、省内での玉木代表の能力評価は“入省同期の木原のさらに下”で一致している。新川さんも財政規律を考えずに減税ばかり主張するポピュリストと見ている。とくに玉木代表が減税の財源について『7兆円をどこから削るかは政府・与党が考えることだ』と発言したのは、財務官僚出身の政治家として無責任すぎると相当腹に据えかねているようだ」
財務省の減税潰し工作の司令塔とされるのが新川浩嗣・事務次官だ。その新川次官は石破首相がAPEC首脳会議に出発する直前、11月12日と13日の両日にわたって加藤勝信・財務相とともに官邸を訪ね、首相と膝をつき合わせて減税問題を協議している。 「総理の外遊中にある与党と国民民主との減税協議の対応を確認する打ち合わせと見ていい。減税で地方財源に深刻な影響が及ぶと説明し、国民民主の要求をどこまでなら飲めるかという腹合わせでしょう」(財務省関係者)
その新川次官の指示で“減税潰し”工作を担っているとされるのが、寺岡光博・総括審議官と藤崎雄二郎・官房審議官を中心とする財務省の“特命チーム”だ。
「菅・岸田政権で秘書官を務めた寺岡さんは口八丁手八丁で、他が思いつかないようなディープな工作も厭わないタイプ。藤崎さんは全体の絵図面を描くのが得意で即断即決型。政治家に財政政策を説明するのもうまく、“小泉進次郎総理”が誕生していたら総理秘書官になると目されていた人物です。減税問題で議員レクの先頭に立っている主税局の幹部たちは、主に2人と相談しながら動くかたちです。その“実働部隊”となっている主税局幹部は、青木孝徳・主税局長と坂本成範・総務課長らが中心となって宮沢洋一・税調会長と減税阻止工作について謀っている」(財務省中堅) 玉木減税を値切るシナリオは、こうした財務省の特命チームの工作の一環とみられている。
財務省に聞くと、「通常の業務として、国会議員等の求めに応じ、事実関係等についてご説明を行なっている。ご指摘のような(新川次官、寺岡氏、藤崎氏が中心となって減税反対工作を行なっている)事実はありません」(広報室)と答えた。
その財務省と連携して動いているのが総務省だ。 減税をめぐっては全国知事会が地方の減収を理由に反対を表明したが、その背後で、村上誠一郎・総務相から知事会に反対するように依頼していたと玉木氏が暴露し、知事会の反対の緊急提言などまで作成されていたことが報じられた。
総務省に聞くと、「大臣から知事会に働きかけをした事実はない。提言文書については、作成に至る詳細も経緯も把握していない。財務省からの働きかけもない」(市町村税課)と回答したが、元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授はこう言う。 「国税を所管する財務省と地方税を所管する総務省は税制に関して常に連携しています。政府税制調査会の事務局は財務省と総務省だから両省の税務担当者は日常的に一緒に仕事をしているんです。今回の件も、財務省が『103万円の壁引き上げで地方財源が減るよ』と一言言えば、総務省は財源を失うわけにはいかないから躍起になって動き出すのです」 加えて、財務省の工作の“標的”には立憲民主党も含まれているという。
高橋氏はこう語る。 「野田氏は国民民主に対抗するように『より深刻なのは130万円の壁のほうだ』と主張し、新聞・テレビまで同調している。これは財務省にはありがたい援軍です。というのも、103万円の壁は所得税・住民税の減税の話だが、130万円の壁は社会保険料負担の議論で、意味が全く違う。それをごちゃ混ぜにすることで減税から議論をそらせる。財務省の常套手段です」
減税を阻止したい財務省と、その走狗となって踊らされている与野党。これは国民への裏切りそのものではないか。
何様のつもりでしょう。減収減収ばかり唱えて、減税による経済押上げ効果は何もいわない。そのくせ、39兆円の総合経済対策はポンと出す。39兆出せるなら、7兆だか8兆だか簡単に手当できそうに思えます。兎に角理屈に合わないことが多すぎる。
4.やりたい放題の政府や自民税調
この姑息な「玉木減税潰し」の動きについて、11月27日、嘉悦大教授の高橋洋一氏は夕刊フジZakZakに「財務省〝暴走〟放置の石破政権 安倍政権下で開店休業状態も…やりたい放題の政府や自民税調 国民負担率は「五公五民」と比較も」という記事を寄稿しています。
件の記事の概要は次の通りです。
【前略】この記事を読むと、いわゆる「インナー」で隠されていることをいいことに「やりたい放題」やっていたのではないかという印象を受けます。
首相の諮問機関である政府税制調査会は、各省の審議会と同様に財務省の別働隊、隠れ蓑だと筆者は考える。事務局を事実上、財務省が仕切り、委員の人選その他も財務省の意向通りで、報告書も実質的に財務省が書いているといっていい。つまり。政府税調の答申に書かれる内容は、財務省がやりたいことだ。
国会に提出される毎年税法には自民党税制調査会での議論の内容が反映される。役割分担は、政府税調は中長期、自民党税調は各年・短期だ。
もっとも、自民党税調も実質的には財務省が関与するので、両方とも財務省の〝手のひらの上〟といえなくもないが、自民党税調の方が、経済団体らの陳情を受けることもあり、政府税調よりも民意にやや近い。毎年の税制改正は自民党税調が仕切るので、この意味では、自民党税調の方が上だ。
第2次安倍晋三政権や菅義偉政権では、政府税調は開店休業状態だったが、岸田文雄政権で息を吹き返した。
今年1月には、政府税調の会長に日本総合研究所理事長の翁百合氏を女性で初めて就任させた。翁氏は、経歴を見れば明らかだが、「財政の健全性」を主張しており、財務省にとっては好都合な人物だ。
正直にいえば、翁氏を財務省にリクルートしたのは官僚当時の筆者だ。日銀に入って間もなく、役職にも就いていなかった翁氏に接触し、軽めの勉強会の委員に就任するよう要請した。その後、翁氏は日銀から日本総研に移り、順調に出世した。
財務省はこうした審議会委員の「青田買い」をよく行っていた。その時の基準は、「女性」「自己主張しない」だった。その後の経歴をみると、財務省が大事に育てたのがわかる。
岸田政権で復権した政府税調の答申が実際に税法に反映される確率は、安倍・菅政権に比べると格段に高くなっている。
自民党税調は宮沢洋一氏が会長で、森山裕幹事長、後藤茂之元経済再生相、石田真敏元総務相、福田達夫幹事長代行が幹部を務める。
一方、顧問だった甘利明元幹事長が10月の衆院選で落選し、小委員長だった林芳正氏が官房長官に、小委員長代理だった加藤勝信氏が財務相に就任、塩谷立氏は引退したためそれぞれ幹部から外れた。
この4人に代わり小渕優子党組織運動本部長、斎藤健前経産相、上野賢一郎元財務副大臣、小林鷹之元経済安保相が幹部入りした。
自民党税調の幹部は「インナー」とよばれる上記9人だが、このうち、財務省の官僚出身が3人、総務省の官僚出身が1人、経産省の官僚出身が1人、その他4人という構成だ。ここでも、財務省の影響力は否定できない。
財務省は増税を仕掛けてくるので、安倍政権ではその影響力を削ぐために、政府税調を開店休業状態とし、自民党税調に対しては衆院選を使って牽制していた。
岸田政権ではその縛りがなくなったので、石破茂政権でも財務省は自由自在だろう。
それならば、与党が過半数割れして、国民民主という減税を訴える政党がキャスティングボートを握る今の状態の方が、「インナー」で隠されていた議論が表に出る分、よっぽどマシではないかと思えてきます。
なんとなれば、自民党総裁選で、高市氏が敗れて、保守層ががっかりした反面、人気がない石破総理になった御陰で、逆説的に「理想的」な状況を作ったともいえなくもありません。
件の記事は、冒頭、名古屋市長選では「市民税減税」を公約した日本保守党推薦の広沢一郎氏が当選したこと、そして「国民負担率」は「五公五民」と比較されるほど高くなったことを取り上げ、「有権者は投票という形で〝一揆〟を起こしている」という見方もあると評していますけれども、なるほど、「投票一揆」というフレーズは流行らせてよいように思います。
来年夏の参院選という国政選挙のみならず、県知事選、市長選、町長選、村長選、ありとあらゆる場所で「投票一揆」を起こして民意を伝えていく。
こうしたことが大事ではないかと思いますね。
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