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1.領土割譲を匂わせたゼレンスキー
11月29日、イギリスのスカイニュースは、主任記者スチュアート・ラムゼイ氏によるウクライナのゼレンスキー大統領に対する単独インタビューを行いました。
インタビューの概要は次の通りです。
ーートランプ次期米大統領の戦争終結計画の一つは、ウクライナがNATOに加盟するのと引き換えに、モスクワがロシアに奪った領土をキエフが譲渡することかもしれないというメディアが報道しているが……今まで領土割譲はありえないとしていたゼレンスキー大統領ですけれども、この急激な態度の変化は、もちろんトランプ氏の次期大統領が決まった影響だと思われます。
・NATOの加盟要請自体がウクライナの国際的に認められた国境を認めるものである限り、戦争の「激戦期」を終わらせるためには、占領されていない国土にNATO加盟を申し出る必要がある
・戦争の激化を止めたいのであれば、我々が管理しているウクライナの領土をNATOの傘下に置く必要がある。
・我々はそれを迅速に行う必要がある。そうすれば、ウクライナの(占領)領土において、ウクライナは外交的な方法で彼らを取り戻すことができるだろう
・しかし「NATOの傘」はNATOの完全な加盟国ではない
ーーキエフはNATOへの完全な加盟と引き換えにモスクワに領土を全て明け渡す用意があるか
・ウクライナの一部だけ、あるいは他の一部だけをNATOに加盟させようと提案した者は誰もいない。それは可能かもしれないが、誰も申し出なかった
・多くの国々が停戦を提案した。問題は、どこで停戦するかだ。
・我々はNATOの保護を非常に必要としている。さもなければプーチン大統領は戻ってくるだろう。そうでなければどうやって停戦に至れるというのか? 我々にとっては非常に危険だ
ーートランプ次期大統領についてどう思うか
・最大の支持者を得るには新大統領と協力する必要がある
・彼の周囲にはさまざまな意見があるので、私は彼と直接協力したい。だからこそ、私たちのコミュニケーションを壊すようなことを周囲に許してはならない。それは役に立たず、破壊的なものとなるだろう
・私たちは新しいモデルを見つけなければならない。私は彼とアイデアを共有し、彼の意見を聞きたいのだ。
ーートランプ氏と話したか
・9月にニューヨーク滞在中に会談した。会話をした。とても温かく、良好で、建設的だった。非常に良い会談で、重要な第一歩だった。これからは会談を準備しなければならない
ただ、ウクライナ国民がそれをすんなり受け入れるとは限りません。
11月12日、キーウ国際社会学研究所(KIIS)が、10月に実施した世論調査の結果を公表しました。
調査報告書は、「10月初めの時点で、困難な状況にもかかわらず、ウクライナ人の58%と過半数がいかなる領土割譲にも反対している」とし、「領土割譲に応じる用意があると答えた人の割合は32%で、2024年5月から10月初めまでの間に実質的な変化はない」と指摘していますた。
ただ、紛争開始時の10%と比べると、割合は3倍に拡大しています。
2.ロシア・ウクライナ暫定休戦ライン構想
そのトランプ次期大統領ですけれども、11月27日、新設するウクライナ・ロシア担当特使にキース・ケロッグ退役陸軍中将を指名すると発表しました。
アメリカのウクライナ支援継続に長年懐疑的だったトランプ次期大統領は、就任前からロシアとの紛争を解決すると公言しています。
トランプ次期大統領は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「キースは、1期目のトランプ政権で非常に機密性の高い国家安全保障の役割を担うなど、軍とビジネスの分野で素晴らしいキャリアを築いてきた……彼は最初から私のそばにいた! われわれは共に、『力による平和』を確保し、米国と世界を再び『安全』にする!」と述べています。
ケロッグ氏は、ウクライナ軍事支援を停止する可能性も含め、戦争の早期終結を目指すトランプ氏の目標を支持してきた長年のアドバイザーで、第1次トランプ政権では、ペンス副大統領の安全保障担当補佐官でした。
現在、ケロッグ氏はトランプ氏に近い政策研究機関「米国第一政策研究所」で安全保障チームの共同議長を務めています。今年4月には「和平合意後、ロシアにそれ以上の侵攻をさせない」「和平協議参加をウクライナへの防衛強化の条件とする」「ロシアを協議に参加させるため、ウクライナが求める北大西洋条約機構(NATO)加盟を長期間延期する」などの提言を発表しています。
これら、ケロッグ氏が過去1年に公表した複数の文書は、トランプ次期大統領の公約の実現に向けた道筋の提言となっていると見られています。
ケロッグ氏はウクライナに武器供給を絶つと脅してロシアとの協議への参加を迫るよう呼びかける一方で、ウクライナが外交を追求するなら強力な立場から交渉できるよう、支援を継続するとも示唆しています。
更に、トランプ陣営では次期副大統領のJ・D・バンス上院議員も9月にウクライナのロシア占領地内に「非武装地帯(DMZ)」を設置し、戦闘を停止させる案に言及しています。
朝鮮戦争では最初の1年こそ激しい戦闘が行われたものの、その後は戦線が動かない 膠着状態に陥りました。核保有国間の緊張激化を恐れた米国とソ連が休戦に向けた協議を1951年に開始しました。そして、約2年後の1953年7月に、北緯38度線付近の軍事境界線を引き、「非武装地帯(DMZ)」を設置する休戦協定が締結されています。
このように、ケロッグ氏やバンス氏らの主張は、朝鮮戦争が休戦に至った方式に似た部分があると指摘されています。
勿論、戦線の「凍結」はロシアとウクライナの双方にとって大幅な妥協が必要となり、受け入れは困難ではないかとも囁かれています。
11月28日、ロシア通信はセルゲイ・リャプコフ露外務次官が停戦交渉を行う条件として、「プーチン大統領による提案を認めること」を米欧やウクライナに求めたと伝えていますけれども、プーチン大統領は、ロシアが併合したウクライナ東・南部4州からのウクライナ軍の完全撤退とウクライナのNATO加盟断念を求めています。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は冒頭で取り上げたスカイニュースのインタビューでも、ウクライナがNATOの傘下に入る必要があると条件を付けています。
3.ヴァルダイ国際討論クラブ
プーチン大統領はアメリカの仲介に応じるのか。
プーチン大統領は、11月に行われたヴァルダイ国際討論でこれについて触れています。
一部引用すると次の通りです。
【前略】プーチン大統領は、トランプ次期大統領と話し合うとしながらも、今後、ウクライナが西側(海の向こう)に操られないようにすることを求め、具体的にはイスタンブール合意案に基づいて交渉すると前提条件をつけています。
フョードル・ルキャノフ・ヴァルダイ国際討論クラブ開発支援財団研究ディレクター:この観点から見ると、次期大統領はどのような人物でしょうか?
ウラジーミル・プーチン:ご存知のとおり、彼をどう評価しても構いない。結局のところ、当初、つまり大統領としての初任期中は、彼は主にビジネスマンであり、政治についてはあまり理解しておらず、間違いを犯す可能性があると誰もが言っていた。
しかし、まず最初に言っておきたいのは、暗殺未遂事件に直面した時の彼の行動には本当に感銘を受けたということだ。彼は勇敢な男だった。そして、それは単に手を挙げて、共通の理想のために戦うよう呼びかけただけではありませんだった。もちろん、これは反射的な行動だったのだが、それだけではなかった。男は異常な状況で自分らしさを発揮する。そして、私の意見では、彼は正しい方法で自分らしさを発揮した。男として、勇気を示したのだ。
大統領就任後最初の任期中の政治について、私が言うことが大統領に届くかどうかは分かりないが、それでも私は今、こう言っている。私は心からこう言っている。大統領はあらゆる方面から追い詰められ、何もさせてくれないという印象を受けた。左へ、右へ一歩踏み出すこと、余計な一言を発することさえ恐れていたのだ。
これから何が起こるかは分からない。全く分からない。結局、これが彼の最後の任期だから、選択するのは彼次第だ。しかし、これまで公に語られたことは、ほとんど…大統領選挙運動中に言ったことについては今はコメントしたくない。意識的に票を獲得しようとして言ったのだと思うが、それはともかく。そして、ロシアとの関係を修復し、ウクライナ危機を終わらせる手助けをしようとしたことについては、少なくとも注目に値すると私は思っている。
この機会に、私は、彼がアメリカ合衆国大統領に選出されたことを祝福したいと思う。私は、アメリカ国民の信頼を得ている国家元首であれば誰とでも協力すると既に述べた。私たちはこの約束を守る。
フョードル・ルキャノフ:そして、もし彼がずっと話してきたことをすべて実現し、就任式の前にあなたに電話して「ウラジミール、会おう」と言ったらどうしますか?
ウラジーミル・プーチン:ご存知のとおり、私が彼に電話することは恥ずかしいことではないと思っている。私がそうしないのは、西側諸国の指導者たちがほぼ毎週私に電話していた時期があったのに、突然電話しなくなったからだ。もし彼らが電話したくないのなら、それで構いない。お分かりのように、私たちは健在で、発展し、前進している。
もし彼らのうちの誰かが連絡を再開したいのであれば、私はいつも言ってきたし、また言いたいのだが、私たちはそれに反対することはない。私たちは連絡を再開し、話し合いをする用意がある。しかし、話し合いを望む人は大勢いるし、ここには聴衆が大勢いる。しかし、そうでない場合は、その時話し合う。
フョードル・ルキャノフ:これはトランプ氏と協議する準備ができているという意味ですか?
ウラジーミル・プーチン:もちろん準備はできている。
フョードル・ルキャノフ:よかった。
【中略】
フョードル・ルキャノフ:大統領、国境についての議論を踏まえて、私は尋ねざるを得ません。私たちはどの国境内でウクライナを認めているのでしょうか。
ウラジーミル・プーチン:ご存知のとおり、私たちはソ連崩壊後の合意で定められたウクライナの国境を一貫して認めている。しかし、ロシアが支持するウクライナ独立宣言には、ウクライナを中立国と規定していることにご注目いただきたいと思っている。これに基づいて私たちは国境を承認した。しかしその後、ご承知のとおり、ウクライナ指導部は憲法を改正し、北大西洋条約機構への加盟を希望すると表明した。これは当初の合意に反するものだった。これが第一の点だ。
第二に、私たちはウクライナを含むいかなる国家クーデターも支持したことはなく、現在も支持していない。私たちはこの違憲のクーデターに反対した人々に共感し、支持しており、彼らが自らの利益を守る権利を認めている。
私はこの問題について国連事務総長(アントニオ・グテーレス)と何度も話し合ってきたが、ここには秘密はない。私がこう言っても彼は気分を害さないと信じている。彼は、ウクライナで敵対行為を開始したことで、私たちが国際法の規則と原則、そして国連憲章に違反したと主張する人たちと同調している。私は以前にもこの件について言及したが、あなたの質問は私たちの行動の背後にある理論的根拠を改めて述べる機会を与えてくれる。
すべての人々の自決権を認める国連憲章第1条を考慮すると、違法かつ違憲行為である国家クーデターに反対したクリミアとウクライナ南東部の住民には、自決権があるのは確かだ。正しいか?その通りだ。
国際司法裁判所は、コソボの件を審議する際に、独立を宣言する地域は、宣言の時点でその地域が属していた国の中央当局の意見や許可を求める必要はないとの判断を下した。これは正しいか。確かに正しい。これは国際司法裁判所の結論だ。
したがって、ノヴォロシアやドンバスを含むこれらの地域には、その主権について決定する権利がある。それは正しいか? 確かにそうだ。これは現在の国際法と国連憲章に一致している。そうであれば、私たちにはこれらの新しく設立された国々と適切な国家間条約を締結する権利がある。それは正しいか? 確かにそうだ。私たちはそうしたか? 私たちはそうしたのだ。
これらの条約には相互援助に関する規定が含まれている。私たちはこれを批准し、一定の義務を負うた。その後、これらの新興国はこれらの条約に基づいて私たちの援助を要請した。私たちは対応する能力と義務の両方を持っており、2014年にキエフ政権が開始した敵対行為を阻止するために実際に対応した。私たちはいかなる介入や侵略も扇動していない。私たちはそれを阻止しようとしている。
事務総長はこれをすべて聞いて、静かにうなずき、「そうだ、わかった。しかし、攻撃したのは、やはりあなた方だ」と述べた。冗談ではなく、これはそのままの発言だ。合理的な回答はない。この推論のどこに欠陥があるのか? 何を間違って述べたのか? 国際法と国連憲章のどこで違反したのか? どこにも違反はない。
もしそうであれば、ウクライナの国境は、私たちが歴史的土地と呼んでいる特定の地域に住む人々の主権的決定に従って画定されるべきだ。すべては現在展開している展開にかかっている。
フョードル・ルキャノフ:大統領、あなたの推論の最初の点に戻ると、中立が確立されれば国境についての議論が行われると解釈すべきでしょうか?
ウラジーミル・プーチン:中立が達成されなければ、ロシアとウクライナの間に何らかの良好な隣国関係が生まれることは想像しにくい。
なぜか?それは、中立がなければ、ウクライナはロシア連邦の利益に反して外国の手先として利用され続けるからだ。そうなると、関係正常化に必要な基本条件の創出が妨げられ、状況は予測不可能になる。私たちはそれを絶対に避けたいのだ。
それどころか、私たちは長期的な解決のための条件を整えることに全力を尽くしている。そうすれば、ウクライナは最終的に、第三国の利益のために利用される道具ではなく、独立した主権国家となることができるのだ。
例えば接触線やクルスク地域で現在何が起きているか考えてみてくれ。彼らはクルスク地域に侵入し、莫大な損失を被っている。わずか3か月の戦闘で、キエフ政権の死傷者は昨年の1年間の死傷者数を超え、3万人を超えている。今年は戦車の損失が少なく、昨年の240台に比べてこれまでのところ約200台だが、これは単に戦車の数が減って、使用頻度が減っているからにすぎない。
なぜ彼らは、これほどの大きな損失にもかかわらず、まだそこにいるのか。それは、民主党政権のウクライナ戦線での努力が無駄ではなかったことを示すために、少なくとも選挙まではいかなる犠牲を払ってでも、絶対にいかなる犠牲を払ってでも、陣地を守り抜くよう海の向こうから命令されたからだ。いかなる犠牲を払ってでも持ちこたえろ、と彼らは告げられた。そして、これが彼らが払っている代償だ。私は、これはウクライナ国民にとっても、ウクライナ軍にとっても、恐ろしい悲劇だと見ている。
正直に言うと、これらの決定は軍事的考慮によるものではなく、政治的考慮によるものだ。我々は現在、敵軍を包囲し、クピャンスク地区を含む特定の地区に2つの包囲網を確立した。軍がこれを発表したかどうかは知らない。包囲網の1つは事実上完全に封鎖されており、約1万人のウクライナ軍が貯水池の近くに釘付けになっている。クピャンスク包囲網には約5千人の敵兵がいる。敵は少なくとも一部の人員を救出するために桟橋を築こうとしていますが、我々の砲兵が即座に彼らを撃破している。
我々の中央グループの管轄地域には、2、3の包囲地帯がある。2つは確実に、3つ目はすぐに実現するだろう。ウクライナの軍事指導者たちは、このことが起きるのを予測しているが、決定は政治的なレベルで下されており、ウクライナ国家、ましてやウクライナ国民の利益を考慮に入れたものではない。
このような状況がいつまでも続くと、長期的に近隣諸国間の平和、安定、協力を回復するための好ましい条件は生まれない。これはまさに私たちが目指すべきものであり、ロシアが目指すものでもある。
だからこそ、私たちはこう言うのだ。「私たちは和平交渉の用意はできているが、それは月ごとに変わる要求に基づいているわけではない。私たちは現在の現実と、今日の現実に根ざしたイスタンブールで達成された合意に基づいて交渉する用意がある。
しかし、これは弾薬を備蓄するための30分や6か月間の一時的な休戦ではない。今日の言論やロシアとウクライナの間の悲劇的な出来事によってどれほど緊張が高まったとしても、疑いなく兄弟関係にある2国間の将来の関係と協力を回復するための好ましい条件を作り出すことだ。したがって、私たちの立場は明確かつ一貫している。私たちはこの方向で行動し、前進し続ける。
イスタンブール合意案は、2022年3月末にトルコ・イスタンブールで纏まりかけたとされる停戦合意案です。
この合意案は公表されていないのですけれども、ロシア軍が侵攻前の地点まで兵を撤退することや、ウクライナがNATO加盟を放棄し、代わりとして、関係国によるウクライナの安全を保障すること、クリミア半島の軍事的解決の15年間放棄などがウクライナ側から提案され、ロシア側も前向きに評価しているとされています。
4.越境攻撃という交渉カード
11月15日、ゼレンスキー大統領は、ウクライナラジオ「ススピルニ」とのインタビューで、ウクライナ東部戦線の困難な状況を認める発言をしています。
発言の概要は次の通りです。
ーーロシアとウクライナの交渉の可能性について一方、ウクライナは夏にロシア西部のクルスク地域への越境攻勢に踏み切り、第二次世界大戦以来初めてロシア領土の一部を占領しています。
・もし我々が、いくつかの重要な要素によって強化されない状況で、単にプーチン大統領、つまり単なる殺人者と話をするのであれば、これは入り口でウクライナにとって負ける状況だ。弱い立場では、この交渉でできることは何もない」とゼレンスキー氏は
ーートランプ大統領がキエフにロシアとの交渉に参加するよう要求したのか?
・我々は独立国家だ。そしてこの戦争中、我々国民も私個人も、米国、トランプ、バイデン、そして欧州の指導者たちとの交渉において、『座って話を聞く』というレトリックは我々には通用しないことを証明した
・彼は戦争を終わらせたいが、支援したいとも言っている。そして彼はウクライナを支援する側にいて、我々の強さ、誠実さ、勇気を評価している。つまり、我々の会談の雰囲気は今のところ良好だ。
ーーアメリカが奨励できるウクライナの交渉における「越えてはならない一線」とは?
・トランプ氏が大統領権限をすべて獲得した後、それについて公に話し合う
ーー2024年5月に動員に関する新しい法律が施行された。国家保安委員会のオレクサンドル・リトヴィネンコ書記長は10月末、さらに16万人を召集する計画であると発表し、合計で15万人の国民が召集された。
・この法律の施行後、どれだけの人数が動員されたか知っているか?知っている。十分か?ノー。……正確な数字を言うのは間違いだ。国家安全保障会議の長官には驚いている。彼がこの情報を広めていたとは知らなかった。
・戦争は終わるだろうが、正確な日付はない。今ホワイトハウスを率いているこのチームの政策により、戦争は間違いなく早く終わるだろう。これが彼らのアプローチであり、社会に対する彼らの約束であり、彼らにとって非常に重要なことだ
ーー軍部隊の恣意的な戦線離脱については?
・一般的に、それについて話すのは難しい。『耐え難い状況』。例えば、理想的なチームでは、通常の訓練、選抜、雰囲気がある。そして、そのような旅団でさえ、AWOL(戦線離脱)や脱走が発生する瞬間がある。しかし、この旅団の状況が『耐え難い』とは言えない。AWOLなどに関することを一般化したくはない。理由はそれぞれ違うし、人によって態度も違う
ーーウクライナ東部戦線の状況は?
・ロシア軍はゆっくりと圧力をかけ、前進している。これにはいくつかの理由があるが、特に、ウクライナ旅団を訓練された人員で満たし、武器を装備するというプロセスが非常に遅いためだ。一部の武器の配達は、米国議会での合意以来12ヶ月も待たされている。
・また、軍隊にはローテーションが必要だ。なぜなら、人は疲れるからだ。他の旅団が彼らの場所に来るべきだが、人員が不足しているかもしれない。
・ウクライナはロシアのように彼らを「肉のように」投げ込むべきだろうか。誰もそんなことは望んでいない。だから、我々はいくつかの陣地から撤退しなければならない。ロシア軍は誘導爆弾で陣地を攻撃し、すべてを破壊する。
・交代を行うためには、1つの旅団を別の旅団に置き換える必要がある。これは『新しい』と呼ぶことができる。だからこそ、誰も何十個もの新たな旅団を創設しなかったのだ。
・ロシア軍は前線で多大な損失を被りながら前進しており、1日当たり1500人から2000人が負傷、死亡している。このような損失を抱えながら軍は継続的に前進することはできない。今、彼らを阻止するには、予備軍や装備された旅団が適しているだろう。
・ウクライナは多くの防空システムに関して「かなり良い立場」にある。
・我々の側としては、来年戦争を終わらせるためにあらゆることをしなければならない。外交手段によって。これは非常に重要だ。
ゼレンスキー大統領はこの作戦について、ロシア軍をウクライナ戦線から引き離すことが目的だと説明していますけれども、専門家らは、クルスクで確保した領土が将来の和平交渉における交渉カードとなる可能性を指摘しています。
筆者は、ウクライナが越境攻撃を始めた直後の8月14日のエントリー「ザポリージャ原発火災とプーチンが一番困ること」で「越境攻撃で、幾ばくかのロシア領土を占領することができれば、のちの和平交渉で、互いの占領地の交換を持ちかけることも考えられなくもない」と述べましたけれども、やはり、交渉カードとして使う意思はあるのではないかと思います。
トランプ大統領が無事ホワイトハウスに入れば、停戦交渉が始まることになります。行方に注目したいと思います。
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