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1.コロナパンデミックの事後評価
12月2日、アメリカ政府下院の新型コロナウイルス感染症特別小委員会が「Covid-19パンデミックの事後評価」の報告書を公表しました。
報告書は2年間の調査を踏まえ、520頁に及ぶ膨大なものですけれども、概略を記したプレスリリースから、筆者が注目した部分をピックアップすると次の通りです。
プレスリリース:最終報告書:COVID Select、2年間の調査を終え、教訓と今後の進路に関する500ページを超える最終報告書を発行報告書では、コロナウイルスが人工物かつ武漢研究所から流出した可能性が高いとし、アメリカ政府の対応の殆どが失敗だったと厳しく糾弾しています。
2024年12月2日、新型コロナウイルス感染症に関する特別小委員会が発表
・COVID-19の起源:COVID-19は、中国・武漢の研究所から発生した可能性が高い。「実験室からの漏出」説を裏付ける5つの最も有力な論拠は以下の通りである。
1)このウイルスは自然界には存在しない生物学的特性を有している。
2)データによると、すべてのCOVID-19の症例は、人間への単一の感染に由来している。これは、複数の感染拡大事象があった過去のパンデミックとは対照的である。
3)武漢には中国で最も優れたSARS研究施設があり、不十分なバイオセーフティレベルで機能獲得研究を行ってきた経緯がある。
4)武漢ウイルス研究所(WIV)の研究者は、2019年秋に、COVID-19がウェットマーケットで発見される数か月前に、COVIDに似たウイルスに感染していた。
5)科学のほぼすべての基準から見て、自然起源の証拠があるなら、それはすでに表面化しているはずである。
・機能獲得研究:機能獲得研究に関連する実験室での出来事が、おそらくはCOVID-19の起源である。この危険な機能獲得研究を監督するための現行の政府の仕組みは不完全で、極めて複雑であり、国際的な適用性にも欠けている。
・エコヘルス アライアンス株式会社 (ECOHEALTH) : ピーター ダザック博士の指揮の下、エコヘルスは米国納税者の税金を使って中国武漢で危険な機能獲得研究を推進した。特別小委員会がエコヘルスが国立衛生研究所 (NIH) の助成金の条件に違反している証拠を発表した後、米国保健福祉省 (HHS) は正式な資格剥奪手続きを開始し、エコヘルスへのすべての資金提供を停止した。
新たな証拠はまた、司法省(DOJ)がエコヘルスのパンデミック時代の活動に関する調査を開始したことを示している。
・NIHの失敗:NIHの、潜在的に危険な研究に対する資金提供と監督の方法は、不十分で信頼性に欠け、公衆衛生と国家安全保障の両方に深刻な脅威をもたらしている。さらに、NIHは、デビッド・モレンス博士と「情報公開の女王」マーゲ・ムーアの行動に見られるように、連邦記録保管法の回避を助長する環境を醸成した。
〇新型コロナウイルス感染症への対応と将来のパンデミックへの備えとして適用、制定、または検討されている連邦法または規制の実施または有効性
・世界保健機関(WHO):WHOの新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックへの対応は、中国共産党からの圧力に屈し、中国の政治的利益を国際的な義務よりも優先したため、完全に失敗した。さらに、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによって悪化した問題を解決するためにWHOが最近行った取り組みは、「パンデミック条約」を通じて、米国に害を及ぼす可能性がある。
・ロックダウン:長引くロックダウンは、アメリカ経済だけでなく、アメリカ国民の心身の健康にも計り知れない悪影響を及ぼし、特に若い世代に悪影響を与えた。最も弱い立場にある人々を優先的に保護するのではなく、連邦政府および州政府の政策により、何百万人ものアメリカ人が健康で経済的に安定した生活を送るために不可欠な要素をあきらめざるを得なくなった。
〇ワクチンと治療法の開発、および連邦政府職員と軍関係者に対するワクチン接種政策の開発と実施
・オペレーション・ワープスピード:トランプ次期大統領のオペレーション・ワープスピードは、新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの迅速な開発と認可を促し、大成功を収め、数百万人の命を救うことに貢献した。
・COVID-19ワクチン:約束とは裏腹に、COVID-19ワクチンはウイルスの拡散や伝播を阻止することはできなかった。
・ワクチン接種義務:ワクチン接種義務は科学的根拠に基づくものではなく、有益性よりも有害性の方が大きかった。バイデン政権は、個人の自由を踏みにじり、軍の即応性を損ない、医療上の自由を無視して、何百万人ものアメリカ人に新型ワクチンを接種するよう強制した。政策決定を裏付けるに足る十分な証拠がないにもかかわらず、健康なアメリカ人に新型ワクチン接種義務の順守を強制した。
〇コロナウイルス・パンデミックへの備えと対応の監督に関連して、行政府およびその他の機関による議会、監察総監、政府説明責任局、その他の機関との協力
・HHSによる妨害:バイデン政権のHHSは、上院小委員会の調査を妨害し、公衆衛生当局の幹部職員を告発したり、彼らに不名誉をもたらす証拠を隠蔽しようとして、数年にわたる遅延、混乱、無反応のキャンペーンを展開した。HHSは、立法機関の監視要請に対応する部門に意図的に十分なリソースを割かなかったようである。
・ECOHEALTH OBSTRUCTION(エコヘルス妨害):エコヘルス代表のピーター・ダザック博士は、一般に入手可能な情報を提供し、スタッフに資料の作成範囲とペースを減らすよう指示し、一般公開前に文書を改ざんするなどして、選択小委員会の調査を妨害した。さらに、ダザック博士は議会に虚偽の陳述を行った。
・デビッド・モレンス博士:ファウチ博士の上級顧問であるデビッド・モレンス博士は、特別小委員会の調査を故意に妨害し、おそらくは何度も議会で嘘をつき、連邦政府のCOVID-19記録を違法に削除し、NIH助成金プロセスに関する非公開情報をエコヘルス学長ピーター・ダサック博士と共有した。
・ニューヨーク州の妨害:現在キャシー・ホーコール知事が率いるニューヨーク州行政会議は、文書を編集し、多数の不当な特権主張を行い、明白な法的根拠なしに数千件の文書を保留し、クオモ前知事のパンデミック時代の失敗に関する特別小委員会の調査を妨害した。
特に、アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)や、エコヘルス アライアンス株式会社 (ECOHEALTH)、ニューヨーク州、そして、ファウチ博士の上級顧問であるデビッド・モレンス博士が今回の調査を妨害したことを暴露しています。
また、今回の調査でエコヘルス アライアンス株式会社 が国立衛生研究所(NIH)の助成金の条件に違反したとし、正式な資格剥奪手続きを開始し、エコヘルスへのすべての資金提供を停止したと発表。更に司法省(DOJ)がエコヘルスのパンデミック時代の活動に関する調査を開始したとも付け加えています。
これも次期トランプ政権を意識しての動きなのかもしれません。
2.ワクチンによる免疫獲得より自然免疫が強い
今回の報告書は各所で衝撃を与えたようで、海外マスコミもこぞって報じています。
一例として、CNNの12月2日付の記事「下院の新型コロナ委員会がパンデミックへの公衆衛生対応を批判する最終報告書を発表」を引用すると次の通りです。
新型コロナウイルスのパンデミックと米国におけるその影響の幅広い側面を調査している共和党主導の下院委員会は月曜日、2年間の取り組みをまとめた最終報告書を発表し、この取り組みが「議会、行政、民間部門が将来のパンデミックに備え、対応するためのロードマップとして役立つ」ことを期待していると述べた。実に厳しい論調です。ワクチンによる免疫獲得より自然免疫が強いとか、掌返しと思えるくらいの書きっぷりです。
520ページに及ぶ報告書の中で、下院の新型コロナウイルス感染症特別小委員会は、ウイルスの生物学的特徴や2019年秋の武漢ウイルス研究所の研究者の疾病などの要因を挙げ、コロナウイルスは「中国・武漢の研究所から発生した可能性が最も高い」と結論付けている。
米国の諜報機関のほとんどは、ウイルスは遺伝子操作されたものではないとしているが、パンデミックがどのように始まったのかはまだ完全には明らかではない。昨年発表された 米国の諜報分析では、実験室起源か自然起源のどちらかの可能性があるとされており、この問題については社会で意見が分かれている。米国エネルギー省は昨年、実験室からの漏洩説に「信頼度が低い」と評価した。米国の連邦政府機関は、 COVID-19を引き起こすウイルスが生物兵器として作られたとは 考えていない。
小委員会の報告書では、ウイルスの自然起源の証拠が存在するなら、今頃表面化していたはずだと述べている。
科学者たちはパンデミックを引き起こした祖先のウイルスに感染した動物をまだ発見していないが、そのような調査は容易な作業ではない。例えば、最初のSARS流行の起源を特定するのに10年以上かかったし、エボラ出血熱の起源もまだ不明だ。
しかし、研究者たちは、パンデミックの自然な起源、おそらく武漢の華南海鮮卸売市場を示唆する 強力だが状況証拠 を何年も蓄積し続けている。
小委員会は新たな報告書の中で、世界保健機関(WHO)のパンデミック対策についても非難し、世界保健機関は中国共産党の政治的利益を世界中の人々を助けるという使命よりも優先させ、ウイルスの起源に関する調査を党にコントロールさせていると述べた。
WHOの新型コロナウイルス対策の技術責任者、マリア・ファン・ケルクホーフ博士は、パンデミックに関する中国の透明性の欠如を批判した。「データ開示の欠如は、まったくもって許しがたい。パンデミックの起源を理解するのに時間がかかればかかるほど、疑問に答えるのが難しくなり、世界はより危険な状況になる」と、彼女は昨年の論説で述べ、情報共有の失敗がウイルスの政治化を助長しただけだと認めた。
WHOは将来のパンデミックに備えた枠組みを強化するための条項を起草する委員会を設置したが、下院小委員会の新しい報告書は、いわゆるパンデミック条約の将来について懸念を表明している。「交渉の透明性について疑問が持たれてきた」とし、現行の条約草案は「COVID-19で明らかになった欠陥のいずれにもほとんど対処していない」としている。報告書によると、米国による条約改定は上院の承認が必要だという。
報告書は、一般的な新型コロナウイルス感染拡大防止策についても批判している。報告書は、社会的距離の確保やマスク着用義務は科学的根拠に基づいたものではなく、「長期にわたるロックダウンは、米国経済だけでなく、米国人の心身の健康にも計り知れない損害をもたらし、特に若い世代に悪影響を及ぼした」と述べている。
専門家らは、新型コロナウイルスに関する知識不足のため、こうした緩和策の推奨は他の呼吸器ウイルスの研究に基づく場合もあり、科学的知識が深まるにつれてガイドラインが変わる可能性があると述べている。
しかし、報告書は、トランプ政権がパンデミックの初期に導入した渡航制限を称賛し、それが人命を救うのに役立ち、外国人嫌悪として不当に批判されたと述べている。
政権はまた、新型コロナウイルス感染症のワクチンを迅速に開発する取り組みである「ワープ・スピード作戦」でも称賛されており、報告書ではこれを「科学の驚くべき偉業」と呼び、何百万人もの命を救ったとしている。報告書では、この作戦は国立アレルギー感染症研究所の元所長で小委員会の標的にされてきたアンソニー・ファウチ博士からも賞賛されたと指摘している。
しかし報告書は、保健当局とバイデン政権が、伝染や感染を防ぐワクチンの力を過大評価し、国民がコロナワクチンやワクチン全般を信頼していない一因となっている可能性もあると指摘している。
報告書はまた、公衆衛生当局が「自然免疫を無視し、反対意見を抑圧するための組織的な取り組み」に参加していると非難している。
研究によると、感染後の免疫防御は強力に思えるが、時間の経過とともに弱まることが示されており、専門家は新型コロナウイルスワクチンがその免疫ギャップを埋めるのに役立つと述べている。次期大統領ドナルド・トランプ氏が次期政権でFDAを率いるよう指名したマーティ・マカリー博士は、自然免疫の重要性を長年提唱しており、2021年の意見記事では、自然免疫はワクチン接種後の免疫よりも優れていると主張した。
報告書ではさらに、保健当局が、特に研究室からの漏洩説や、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンなど、米食品医薬品局がコロナウイルスに効果がないと主張する薬の適応外使用に関して、誤った情報を広めていると批判されている。
パンデミックから得た具体的な教訓について、報告書は戦略国家備蓄と米国のサプライチェーンの弱点を指摘している。報告書は、各州が緊急医療物資の備蓄を独自に持つことを推奨しており、これにより、より迅速な対応が可能になり、地域のニーズに合わせた対応が可能になる可能性がある。
また、国内製造、特に医薬品の生産増加も奨励している。「米国人が服用する医薬品の多くは海外で製造されている。しかしさらに、これらの医薬品の有効成分、医薬品の製造に使われる化合物は、圧倒的に中国製である。そのため、中国は全国で流通する医薬品の化学成分を「世界的に締め上げている」と表現されている」と報告書は述べている。
オハイオ州選出の共和党下院議員で足病医のブラッド・ウェンストルップ氏が委員長を務める小委員会は、報告書を議会記録に提出する前に、水曜日に修正会議を開く予定。
委員会の公聴会はしばしば党派的な内容で、議員らは辛辣な言葉を交わしたが、ウェンストルップ氏と他の共和党議員らは、パンデミックの検証を策定する際にトランプ大統領は考慮に入れられていないと主張した。
「COVID-19パンデミックはリーダーシップへの不信を浮き彫りにした。信頼は獲得されるものだ。説明責任、透明性、正直さ、誠実さが、この信頼を取り戻すだろう。今後のパンデミックには、私利私欲や偏見のない人々による全米規模の対応が必要だ。我々は常に改善できるし、将来の世代のアメリカ人のためにもそうしなければならない。それは可能だ」とウェンストルップ氏は月曜日、議会に宛てた書簡で述べた。
また、報告書では「イベルメクチンやヒドロキシクロロキンなど、薬の適応外使用に関して、誤った情報を広めている」と批判していますけれども、報告書から「イベルメクチン」について記載している部分を拾ってみると次のように報告されています。
〇 P.300どうやら、本当は効いていた「イベルメクチン」を、反イベルメクチンキャンペーンをして、使わせなくしていたというのですね。
・米国食品医薬品局およびその他の公衆衛生当局者は、イベルメクチンが馬と牛にのみ効くと偽っていた。
・パンデミックの間中、治療法がほとんどない致命的な病気を前に、多くの医師が他の適応症ですでに承認されている薬剤の使用を検討した。
・ このような行為は「適応外使用」と呼ばれ、医療業界では当たり前のことである。イベルメクチンは馬や牛のための動物用医薬品であり、人間のためのものではないとほのめかしたFDAの悪名高い声明である。
・ 具体的には、FDAは2021年8月21日、公式ツイッター(現在はX)アカウントから、「あなたは馬ではない。あなたは牛ではありません。マジで、みんな。やめてくれ。」
・ これは、イベルメクチンの適応外処方を、人間が意図的に医師なしで動物用医薬品を服用するのと同じであると混同しているようだ。
・イベルメクチンはヒトの特定の寄生虫を治療するためにFDAに認可されており、「馬」や「牛」のためだけの薬というのは明らかな誤りである。
〇P372-P374
・しかし、パンデミックの間、COVID-19に対する治療法の適応外使用は迅速かつ組織的に悪者扱いされた。医師たちはしばしば叱責され、脅迫され、検閲され、あるいは解雇された。連邦政府は公衆衛生機関を武器に、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンといった薬剤にまつわる恐怖を煽った。最も悪名高いのは、FDAがツイッター(現在はX)の公式アカウントでつぶやいた「You are not a horse. あなたは牛じゃない。まじめな話、みんな。やめてくれ"。
・このツイートは、イベルメクチンの適応外処方を、人間が意図的に医師なしで動物用医薬品を服用するのと同じであると混同しているかのようだった。そうすることで、FDAはこの問題を政治化し、再利用薬がCOVID-19に効くかもしれないという主張の信憑性について、今後の議論を永遠に毒することになった。同様に、2021年8月29日、ファウチ博士はCNNの『State of the Union』にジェイク・タッパー氏とともに出演し、イベルメクチンは「抗寄生虫馬薬」に過ぎないというタッパー氏の含みを正すことができなかった。
・Q. ミシシッピ州やオクラホマ州などでは、コロナウイルスに感染しないようにイベルメクチンと呼ばれる抗寄生虫馬薬を使おうとしているアメリカ人がいるため、毒物管理センターからの問い合わせが急増しているとのことです。その薬の服用を考えている人にどう伝えますか?
・A. やめましょう。その薬が効くというエビデンスはまったくありませんし、今おっしゃったように、とんでもない量を服用して体調を崩し、毒物管理センターに運ばれた人がいるように、毒性を持つ可能性もあります。これが効くという臨床的根拠はありません。
・特定の適応外処方、特にイベルメクチンに対するこのキャンペーンは、訴訟の対象にもなっている。2023年9月1日、第5巡回区連邦控訴裁判所は、FDAの行為によって評判が不当に傷つけられたと主張する医師グループからの訴訟を復活させた。
・最終的に、和解の一環として、FDAはこのツイート(およびいくつかの関連するソーシャルメディアへの投稿)を削除し、再投稿しないことに同意し、2021年3月5日に投稿された消費者アップデート記事を削除した。
・特別小委員会の2023年9月14日の公聴会で、ジェリー・ウィリアムズ医師は、COVID-19パンデミックの前と最中に、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンなど、適応外の薬を何度も処方したと証言した。
・彼はまた、政府の圧力キャンペーンによって、これらの薬の入手がより困難になったと信じていると証言した。
3.長崎大エボラ施設
件の報告書は、一言でいえばアメリカ当局の対応が間違っていた、というものですけれども、裏を返せば、今までの対応はダメだといっていることになります。
これは、武漢ウイルスへの対応について、アメリカやWHOに追従してきた日本にも当てはまります。
武漢ウイルスが研究所から漏洩したとされた以上、日本にあるウイルス研究所にも改めてチェックを入れるべきではないのかと考えるのは自然なことです。
そんな折、11月15日、エボラウイルスなど致死率の高い病原体を使った実験をするために、長崎大が稼働を目指すバイオセーフティーレベル(BSL)4施設について、可否を審査していた厚生労働省が必要な要件を満たす「合格」の判断をしたと報じられています。
早ければ来月下旬に必要な政令を改正し、厚労相が指定する見通しとしています。
このBSL-4施設については、長崎大が自身のサイトで次のように説明しています。
長崎大学が計画するBSL-4施設一見大丈夫そうに説明していますけれども、漏洩したと報告された武漢ウイルス研究所だってBSL-4施設です。
BSL-4施設は、さまざまな感染症から社会を守り、社会の安全・安心を確保することを目的としています。 したがって、施設自体の安全性に対する信頼を得ることが必要です。 そのためには、地震や台風等の自然災害への対策、廃液や排気への対応、施設使用に伴う手順や研究者のトレーニング、 施設の監視体制などに対して感染症予防法などやWHOの指針などにより設定された厳しい要件を満たさなければなりません。
まず、病原体を安全に取り扱うための基準があります。さらに、施設の基準があります。BSL(バイオセーフティレベル)とは、 細菌・ウイルスなどを取り扱う実験施設の分類です。取り扱うことのできる病原体の危険度は、致死性、感染性、伝搬様式(例えば空気感染、食物感染等)、 病原体の自然界での生存能力などを勘案して4つのレベルに分けられており、もっとも厳しい基準がBSL-4です。ヒトまたは動物に感染症を引き起こすうえ、 感染能力が高く、かつ有効な治療、予防法がない病原体にも対応できる安全性を備えた施設がBSL-4施設です。例えばエボラウイルス、マールブルグウイルス、 天然痘ウイルスなども実験施設内に完全に封じ込めて取り扱うことができます。
ウイルス・細菌などの病原体は生物学的な危険度に応じて分類されています。 実験室での取り扱いにあたり、その病原性、ワクチンや治療法の有無、公衆衛生上の重要性を考慮してBSL(バイオセーフティーレベル)-1~4に分類されており、 BSL-4は最も厳しい基準です。
BSL-4施設にはグローブボックス型実験室とスーツ型実験室の2つの種類があります。 前者はセーフティーキャビネットに備え付けられたグローブで操作するタイプで、操作の自由度が限定されます。 それに対して、後者は実験者が宇宙服型の陽圧気密防護服を装着しているため、前面開放型のセーフティーキャビネットで比較的自由に操作できます。 そのため、近年新設されているBSL-4施設は、ほとんどがスーツ型実験室です。
施設の建設については耐震基準に基づいた耐震安全性を確保します。 施設の運用については病原体等の漏洩がないようにWHOの基準である「実験室バイオセーフティマニュアル」を遵守します。 また、安全性確保のための設備の点検、緊急時の処理と連絡方法についても具体的に規定を整備します。
BSL-4実験区域内の器具、廃液はすべて、加熱処理や燻蒸消毒、化学的な処理などによる殺菌を行い、排出する前に完全に汚染を除去します。 また、室内の空気は2層の「ヘパフィルター」を通して排気し、病原体が戸外に出ない構造になっています。 実験室内の作業が安全に行われていること、ヘパフィルター、滅菌、排水処理施設等の設備が適切に稼働していることをモニタリングし、作業及び環境の安全管理を徹底いたします。 さらに、自然災害時に備え、施設稼働に十分な能力をもつ非常用電源装置を整えます。
エボラウイルスなどは感染症法で「1種病原体」に規定されていて、所持するには厚労相から指定されなければならないことになっています。今のところ、所持者は国や独立行政法人に限定しているため、厚労省は11月15日から12月14日まで意見公募した後、年内にも政令を改正して長崎大を追加するとしています。
いくら、世界保健機関(WHO)の指針に基づく病原体の封じ込め対策が施されるといっても、同じBSL4レベルの施設から漏洩した以上、漏洩の原因が判明するまで追加するのは見送るべきではないかと思います。
4.プランデミックの布石
このBSL4施設建設について、近現代史研究家の林千勝氏は、11月30日、次のようなツイートで警告しています。
いつもご活躍にエールを送らせていただいています。住宅地にある長崎大のBSL4施設は元より、東京都武蔵村山市の住宅街にある国立感染症研究所村山庁舎のBSL‐4研究施設も都心に移設されるというのですね。
さて、致死率90%とも言われるエボラウイルスが、住宅に囲まれた長崎大学や、都心(武蔵村山市から移転予定)のBSL4施設に搬入され、レプリコンワクチン開発などがなされようとしています。
そもそも、日本でのエボラの感染実験(や機能獲得実験)、或いはワクチン開発がどうしても必要なのか。 安全対策上、せめて、何故、離島や人里離れた立地としないのか。内外の識者がプランデミックの布石とも言います。
長崎県長崎市の住宅街にある長崎大学が稼働を目指すBSL(バイオセーフティーレベル)-4研究施設について、厚生労働省が必要な要件を満たしたと判断したことが本年11月15日報道された。 中西部アフリカで発生し致死率80%から90%とも言われるエボラ出血熱の原因となるエボラウイルスなど「1種病原体」の所持施設は現行では国や独立行政法人に限定されており、同大を対象に追加する感染症法施行令改正が必要となっている。
そのため、同省は同日に改正案を公表し、来月14日までパブリックコメントを実施している。
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495240239&Mode=0&fbclid=IwY2xjawG3gJBleHRuA2FlbQIxMAABHd4ZKJWd5hvzlSiMzbYOmumf_qIW79GFlMBxK_o7DJuAxTN8YnfcrYxBeg_aem_28Ej32r81pnqYKGv4Euozw
同省は、近隣住民から反対がある中、年内の改正を目指し、改正後、施設指定の手続きに移り、厚労相が指定すれば、エボラウイルスなどに対するレプリコンワクチンを含むmRNAワクチンの開発などを目的とする研究が始まる見通しとなっている。
https://youtube.com/watch?v=GWFjJCKHOPM&t=10s&fbclid=IwY2xjawG3gFlleHRuA2FlbQIxMQABHaX97OOgQYzx2L1Vjmv6JDo9rVXst_gQry0S3IPHC3Kdr6ucRXpN0Fz96Q_aem_g-xXXFFKP4GRrle03bRiTA
一方、東京都武蔵村山市の住宅街にある国立感染症研究所村山庁舎のBSL‐4研究施設では、エボラウイルスなどをマウスに感染させる動物実験を本年2月末までに開始し、開始後の3月27日に住民らを対象とした説明会でその事実を明らかにした。
同研究施設は、2019年(令和元年)7月 近隣住民の事故に対する不安を受けて提出された 「国立感染症研究所村山庁舎の運営等に関する要望書」(武蔵村山市)に基づいて「市外の適地」へ移転予定である。
2020年(令和2年) 10月の 「BSL-4施設のあり方検討会における倉根班報告書」、11月の 「第1回 国立感染症研究所BSL-4施設の今後に関する検討会 議事録」、12月の 「第2回 国立感染症研究所BSL-4施設の今後に関する検討会 議事録」によれば、検討会において出された移転先の立地要件は下記の如くとなっている。 その後、 厚労省内にそのための準備室が設置されている。
<移転先の立地要件>
・厚労省本省と近距離
・国立国際医療センター(新宿区)と距離が離れない ・新幹線や空港からのアクセスが良好
・移転先の地域の方々の理解を得る
等
検討会では、立地要件として、関係者にとっての利便性が考慮され、「離島や人里離れた場所」に移転することはあり得ないということが確認されている。事故のリスクや不安は検討の俎上にない。
本年8月になされた同施設の移転先に関する行政文書開示請求に対しては、10月 4日付で「『移転先候補となる土地のリスト及びその地図に関する部分』は『公にすることにより、素直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるものであり』不開示」と決定通知されている。
これらの事実が広く知られるにつれ、万が一の事故に対する不安のほか、内外の一部の識者はプランデミックの布石なのではないかとの懸念すら抱き始めている状況となっている。
一、中西部アフリカから遥か離れた日本の、しかも市街地で、事故のリスクがあるエボラウイルスの感染実験や機能獲得実験、或いはワクチン開発を行う理由は何か。
二、安全対策上、BSL-4施設の立地は「離島や人里離れた場所」とすべきと考えるが、何故、移転先に関する厚労省の検討会では、そのような観点が完全に欠如していたのか。
三、厚労省は、検討会が出したBSL-4施設の「移転先の立地要件」を堅持しているのか。
長文にて失礼いたしました。ご参考にしていただければ幸いです。
(ご参考) 厚労省検討会議事録およびレジメ https://mhlw.go.jp/stf/newpage_15033.html https://mhlw.go.jp/stf/newpage_15775.html https://mhlw.go.jp/content/000704679.pdf
林氏によると厚労省が出している移転先の立地要件は「厚労省本省と近距離」「国立国際医療センター(新宿区)と距離が離れない」「新幹線や空港からのアクセスが良好」「移転先の地域の方々の理解を得る」等だそうです。
研究者や厚労省の利便性だけ考え、そこに住む人のことを考えた立地要件とは思えません。
万が一、都心でエボラ出血熱が漏洩したらどうするつもりなのか。
筆者なら、都心とは全く逆の僻地に移転すべきと考えますし、なんとなれば、尖閣諸島に置けばよいとさえ思うくらいです。
尖閣にBSL4施設を置いて定期便でも常時出せば、「経済活動」をしているということで施政権を主張できますし、あるいは、尖閣にエボラがあるということで、中国軍もビビッて近づかなくなるかもしれません。
今年4月のエントリー「新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案と次なるパンデミック」で武蔵村山市BSL4施設の地元住民への説明について取り上げていますけれども、なんども繰り返し説明してようやく武蔵村山に置いてもらっているBSL4施設を都心にとなると、もっともっと説明が必要だと思います。
移転先の立地要件である、「移転先の地域の方々の理解を得る」が十分になされたのかどうか分かりませんけれども、地元住民のみならず。国民全体がもっとこの問題に関心を持ち、監視の目を向けるべきではないかと思いますね。
いつもご活躍にエールを送らせていただいています。
— 林 千勝 Hayashi Chikatsu (@ChikatsuHayashi) November 30, 2024
さて、致死率90%とも言われるエボラウイルスが、住宅に囲まれた長崎大学や、都心(武蔵村山市から移転予定)のBSL4施設に搬入され、レプリコンワクチン開発などがなされようとしています。… pic.twitter.com/FbJso2Xwkx
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