増税アドバルーン

今日はこの話題です。
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1.衆院選落選者との懇談会


12月8日、自民党は党本部で先の衆院選落選者との懇談会を行いました。

当時、現職閣僚だった牧原前法務大臣や、派閥の裏金事件にかかわり非公認となった高木元国対委員長、下村元文部科学大臣ら100人が出席する中、石破総理は冒頭、「先の総選挙、厳しいご審判をいただきました。総裁たる私の責任でございます。至らざるところ届かないところ多々あったと反省いたしております……忌憚のない意見を賜りたい。わたしどもは謙虚にうけたまわり、できるものはすべて実行に移す」と謝罪しました。

懇談会では、旧安倍派の衛藤征士郎元衆院副議長は「党として終結したと宣言すべきだ。いつまでも引きずられてしまう」と指摘。前政権の岸田・前総理と茂木・前幹事長についても、「『(裏金ではなく)不記載の問題』とビシっと何度も言っておけば、こんなことにならなかったかもしれない」と対応の拙さを批判しました。

同じく落選した旧安倍派の下村博文氏も、裏金議員の公認をめぐる混乱に触れ、「火に油を注いで野党の攻撃材料になった」と党執行部を非難し、「政治とカネ」問題にケジメをつけるよう述べました。

下村氏は懇談会後、石破総理ら党の執行部に辞任を迫るような意見は出なかったとした上で、「自民党を抜本的に解党的に出直すという意味での自民党再生実行本部等を作ってですね、その場合には我々も必要に応じてぜひ参加をさせていただいて、党改革をしていかないと、来年の選挙厳しいということを申し上げました」と来年の参院選などに向けて党改革の必要性を訴えました。

また、石破総理は同じく8日、衆院選の結果等について、全国47都道府県支部連合会の幹事長と党執行部との会議にも出席しています。

石破総理は「わが党が野党だった時、支えて頂いているのは地方組織。一人一人党費を集めて頂いている皆さんのことを片時も忘れてはならない」と述べ、森山裕幹事長は「総選挙では国民からの十分な理解が得られない結果となり申し訳なく思っている」と陳謝しました。

会議では、総裁選の決選投票における地方票の配分について、現在は各都道府県1票となっているものを見直すよう求める声があり、これに対して森山幹事長は、「同様の問題意識を石破総裁と共有している」と述べ、会議後、記者団に対して、来年の党大会を視野に、決選投票での地方票を現行の47票から拡大していく方向で検討する考えを示しています。

これについて、自民党のベテランは「石破総裁誕生の『正当性』を否定する声に対して、答える姿勢を見せなければならないほど執行部は追い込まれている」と指摘しています。


2.国民民主の政策は暫定ではない


始まった時から末期の様相を見せる石破政権ですけれども、一体、何ができるのか。

11月29日、石破総理は衆参本会議で所信表明演説を行いました。

所信表明の内容については、官邸のサイトで公開されていますけれども、見出しだけ拾うと次の通りです。
一 政権運営の基本方針
(民主主義のあるべき姿)

二 三つの重要政策課題への対応
(一)首脳外交を経た今後の外交・安全保障政策
(基本的考え方)
(首脳会談の成果)
(防衛力の抜本的強化)
(拉致問題)

(二)日本全体の活力を取り戻す
(基本的考え方)
(地方創生2.0)
(経済全体の活力)
(社会保障等)

(三)治安・防災
(基本的考え方)
(「防災庁」・防災対策)
(東日本大震災からの復興)
(治安対策)

三 経済対策・補正予算
四 政治改革への対応
五 憲法改正
六 結語
石破総理は、所信表明の最初に基本方針として、「民主主義のあるべき姿」を掲げ、次のように述べました。

民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯に政策を協議し、よりよい成案を得ることだと考えます。先般の選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第一党として、自由民主党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく、取り組んでまいります。

他党の意見を丁寧に聞くなんて、少数与党に落ちた影響だと思いますけれども、本来は少数だろうが多数だろうが、他党や国民の声は丁寧に聞くべきものです。

また、話題の103万円の壁撤廃やトリガー条項については、「三 経済対策・補正予算」で次のように述べています。

経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってまいりました。いわゆる「百三万円の壁」については、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げます。いわゆる暫定税率の廃止を含む「ガソリン減税」については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ます。これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得ます。

けれども、103万円の壁撤廃を打ち出している国民民主は、この政策は、いわゆる壁を意識した「働き控え」を改善するもので、その結果手取りが増える、としているのですね。

所信表明にある、三つの重要政策課題への対応の「(二)日本全体の活力を取り戻す/(社会保障等)」で、次のように述べられています。

本格的な人口減少の中にあっても、現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者を始め女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を生かして支え合う、全世代型の社会保障を構築していきます。

103万円の壁を撤廃する政策は、まさに「現役世代の負担を軽減」し、「意欲のある高齢者を始め女性、障害者などの就労を促進」することに直結します。

その趣旨からいえば、103万円の壁撤廃は、経済対策・補正予算の範疇ではなく、三つの重要政策課題への対応の「(二)日本全体の活力を取り戻す/(経済全体の活力)、(社会保障等)」に入れるべきだと思います。

それが、三の「経済対策・補正予算」のは、この103万円の壁撤廃は、一時的な、暫定対策レベルのものだという認識しかないことを示していると思います。あるいは、そうしたい財務省辺りが手を入れてそう喋らせたのかもしれません。


3.トランプが石破に会わない理由


石破総理は所信表明で、三つの重要政策課題の筆頭に外交を上げました。

石破総理は「首脳会談の成果」とぶち上げた割には、トランプ次期大統領との会談は出来ませんでした。仮にできていたら、嬉々として、所信表明に入れていたに違いありません。

トランプ次期大統領はなぜ、石破総理と会わなかったのか。

石破総理は、トランプ氏は国内法で大統領就任までは誰にも会わないとしているから会えなかったのだ、と説明していますけれども、実際のトランプ氏は、先日のフランス・ノートルダム大聖堂再開の式典開催で、フランスのマクロン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談するなどしていますから、石破総理の説明は全くの嘘だったと分かっています。

これについて、ジャーナリストの加賀孝英氏は、11月12日の夕刊フジ「ZakZak」のコラムで説明しています。

件の記事は次の通りです。
米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。来年1月20日の就任式後、ホワイトハウスへの凱旋(がいせん)を果たす。

2022年7月8日、あの奈良での凶行さえなければ、安倍晋三元首相はひそかに意欲を燃やしていた3度目の首相登板を果たし、「トランプ&安倍」という全世界が認めた黄金コンビが復活していたはずだ。日本がもう一度、この危機的状況の世界で「真に輝ける国」になれたのではないかと思うと、心底残念でならない。

こうしたなか、旧知の米政界関係者や米情報当局関係者から驚愕(きょうがく)情報を入手した。

すでに、トランプ氏の政権移行チームは、来年の第2次政権スタートに向けて、「MAGA(米国を再び偉大に)2・0」戦略を本格始動させている。トランプ政権が展開する「中国封じ込め戦略」の要として、日米同盟を重視する姿勢は変わらない。

だが、トランプ氏は、石破茂首相を「合わない」と感じ、優先順位を下げているという。初めての電話会談も、たった5分。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は25分、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12分だった。トランプ氏の態度の理由は、概略以下の通りだ。

「トランプ氏は、盟友である安倍氏が生前、石破首相について『絶対に首相にしてはならない』と周囲に語っていたこと、その理由についても情報を得ている」

「トランプ氏は、中国からの輸入品に60%の関税をかけるなど、中国共産党を追い込む対中強硬策をやる方針だ。一方で、トランプ陣営は、石破内閣について『親中』傾向が強いとみている」

石破首相は、15~16日にペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、18~19日にブラジルで開催のG20(20カ国・地域)首脳会議に出席する予定。これに合わせて、ジョー・バイデン米大統領、中国の習近平国家主席とそれぞれ会談する意向だ。

これが、トランプ氏周辺を刺激したという。前出の米政界関係者と米情報当局関係者の情報は、次の通りだ。

「問題は、バイデン氏との日米首脳会談だ。石破首相は会談の目的を『日米同盟の強化』と『岸田文雄前首相の路線継承を伝える』と説明している。トランプ氏は、バイデン政権のウクライナへ支援などを厳しく批判し、『戦争を終わらせる』と繰り返し発言してきた。岸田路線とはバイデン政権への追随と見ており、トランプ氏が石破首相を遠ざけるのは当然だ」

加えて、石破首相は、米シンクタンク「ハドソン研究所」のホームページに、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」や「日米地位協定の見直し」などの持論について寄稿し、国内外の専門家を「荒唐無稽だ」とあきれさせた。

怒りを込めていう。石破首相の迷走は最悪だ。日本に危機を呼んでいる。中国と北朝鮮、ロシアが暴走を始めている。このままでは日本は潰れてしまう。
やっぱり、という感想しか出てきません。やはり石破総理は「シンゾーの敵」認定されているようです。あるいは総理でいるうちは一度もトランプ大統領とは会えないかもしれないのではないかとさえ。


4.増税アドバルーン


石破政権が碌な外交ができないとなると内政で点数を稼ぐしかないのですけれども、それとて少数与党である以上、よほどうまくやらなければ、何もできずに終わることだってあり得ます。

12月8日、報道アナリストの新田哲史氏は、同じく夕刊フジ「ZakZak」のコラムで「石破政権は「防衛増税」に踏み切るのか 産経新聞の「加熱式たばこ先行」報道で波紋 国民直撃、消費増税4%分の打撃!?」という記事を寄稿しています。

件の記事の内容は次の通りです。
来年度の税制改正を決める政府・与党の税制調査会(税調)シーズン真っ盛りだ。筆者が夕刊フジでも何度か取り上げてきた「防衛増税問題」は、今回が見直しのラストチャンスであるが、ここまでは「103万円の壁」問題の陰に隠れがちだった。

防衛増税の対象は、法人、所得、たばこの3税。27年度時点で1兆円強を確保する方針で、増税の開始時期が焦点になっている。

増税反対派の間で「注目度が低いうちにシレッと増税が決まるのでは」(たばこメーカー関係者)との観測が上がるなか、朝日新聞は5日朝刊で、与党の26年度からの防衛増税実施方針を伝えた。さらに、産経新聞が冒頭の「加熱式たばこの先行増税」検討の動きを伝え、波紋は広がる。

ここでカギになるのは「103万円の壁」突破の立役者である国民民主党である。

玉木雄一郎代表(役職停止中)は先月中旬、筆者の取材に対し、「1兆円の増税がなくても必要な防衛力は拡充できる」と述べ、外為特会(外国為替資金特別会計)などの活用を訴えた。その後も、玉木氏や榛葉賀津也幹事長が記者会見で防衛増税に言及する場面が増えている。

防衛増税が始まった場合、国民生活にどれだけのインパクトがあるのだろうか。

ここで紹介したいのが、駒沢大学の江口允崇、大阪大学の安田洋祐両教授らが、「ステルス増税の見える化」と題し、防衛増税をした場合の経済的な打撃を消費税率に換算したシミュレーションだ。筆者が、玉木氏を取材した際も引用した。

これによると、中間層や低所得層に対する負担感が大きく、年収200万円未満の喫煙者の場合、税率にして紙巻きたばこなら約2・4%、加熱式たばこなら約4%相当の打撃となるという。4%は歴代の消費増税の引き上げ幅で最多の3%を超える。

「たばこは嗜好(しこう)品だから増税しても構わない」という容認論もしばしば聞くが、法人税や所得税への波及を考えると、喫煙者ではない筆者でも、防衛増税に対する〝防衛ライン〟は上げておきたいと考える。

折しも政府は24年度の税収見通しが、今年度を1兆円以上上回る73兆4350億円になると発表した。「103万円の壁」が注目されるのは、国民や企業が頑張って税金を払っているのに、還元が不十分と思っているからだ。

来年夏の参院選は、衆院選とのダブル選挙の憶測もくすぶっている。それでも、石破政権は防衛増税に踏み切るのだろうか。
この記事のように、防衛増税だ、タバコ税増税だ、富裕層へ課税強化だ、なんだかんだと「増税」案が報じられているのは、財務省肝いりで政府がアドバルーンを上げて、世論の反応を見ようとしているのだと思いますけれども、だとすれば、なぜ、国民民主の「103万円の壁」撤廃があれだけの支持を集め、財務省がヘイトを集めているのか全く理解していないといわざるを得ません。

これでもし、石破自民が衆院選で大敗せず、過半数の議席を持っていたと考えたら、ぞっとします。

その意味では、少数与党となったのは逆によかったのではないかと思います。なぜかというと自公が好き勝手できず、野党の声を聞く過程で、これまでブラックボックスで行われていた議論が公に出てくるようになってきたからです。

今後、春や夏に石破政権が倒れ、新しい総理に変わって、衆参ダブル選挙を打ったとしても、自公は少数与党のままで居た方がよいのかもしれませんね。



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