壁協議決裂と国民の意識変化

今日はこの話題です。
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1.自公国壁協議決裂


12月17日、「年収103万円の壁」の引き上げに関する自公国協議が決裂しました。

国民民主党の古川元久税調会長は、浜口誠政調会長とともに会合に出席したのですけれども、10分もたたないうちに部屋を出て、廊下で待機していた報道陣に「打ち切りです」「終わりです」と述べ、怒りをあらわにしながら立ち去りました。

この日は、自民、公明、国民民主の政調会長や税調幹部が出席して、当初1時間の会合が予定されていました。

12月11日、「年収103万円の壁」を、178万円を目指して来年から引き上げることで自民、公明、国民民主3党の幹事長で合意していたのですけれども、自民党の宮沢洋一税調会長は13日に行われた与党と国民民主3党の税調幹部らの会合で、178万円には遠く及ばない123万円の額を提案してきました。

国民民主の古川元久税調会長は、協議の内容をゴルフに例え「グリーンも全然見えないような距離しか飛んでいない」と、与党側が示した123万円という額を一蹴。改めて17日に再協議を行うこととなっていました。

この日の協議後、取材に応じた自民党の宮沢洋一税調会長は、「新しい提案はあるだろうかという話があった。私の方から、前回『グリーンがどこにあるか見えない』という話があったことから、交渉ができるようなグリーンはどこにあるのか教えてくださいと申し上げた……それを受けていろいろ考えていきたい……交渉につながるような国民民主の考えを教えてくださいと申し上げたが、ともかく新たな提案がないのなら、これ以上協議はできません、ということだった……立ったままだったので、席を立ったというか、何というか分かりませんが」と国民民主側が協議を打ち切って退席したことを明かしました。

17日、国民民主党の玉木雄一郎代表は自身のX(旧ツイッター)を更新し、自公国3党会合が「打ち切り」となったことについて、「この期に及んで、『グリーンはどこですか?』と聞いてくる自民党宮沢洋一税調会長。178万円に決まっています……温厚な我が党の古川元久税調会長も席を立ったようです。3党の幹事長間で『178万円を目指す』と合意したのに、123万円では話になりません」と自民党側の対応を批判しました。

同じく17日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長も、国会内で記者団の取材に「あれだけ温厚な古川さんが怒るというのは、火に油を注ぐ天才だ……国民が一番怒っている」と述べ、年明けの通常国会で審議する令和7年度予算への賛成は「とても無理だ」と答えています。


2.本当に政治オンチ


けれども、自民党の宮沢洋一税調会長は「私としては、誠心誠意、対応してきたつもりだ」と、どこ吹く風。

宮沢氏は「協議なので、考えていることを全部お伝えしているわけではない」と、腹案も備えていることを示唆しながら、今後の展開について「時間がないので相談をしたいと思っている……こればかりは相手のあること。これで協議なしということにならないとも限らないが、ぜひなんとか協議を続けたいというのが、自民、公明の思いだ」と述べています。

これについて、政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、17日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、次のように述べています。
・よくよく考えても、この人は本当に政治オンチと思った
・123万というのはもともと財務省が考えていた数字。財務省と打ち合わせの上で言った
・それで決着するならいいが、国民から一蹴され、それ以上を出さないといけなくなった。もし『110万円くらい』と言って、それから123万円にしたら落ち着いたかもしれない。
・本音の部分を出してしまったので、それ以上出さないといけなくなった。本当にヘタだ
・参院は自公が多数で過半数をもっている。衆院が少数与党になっている現実に、考えがついていっていないのではないか
・178万円にすると、財務省の試算では7~8兆円の減収になるという。そこまでの財源を見いだすのは難しい。国民民主党の弱さは、財源を示していないことだ
・123万円から増える可能性はあるが、178万には至らないのではないか。最初は『130万円』くらいと聞いていたが、宮沢さんがやってしまったので、それで落ち着くかどうか
財源は今回の補正予算の中から捻出できると玉木氏が自身の動画で解説していたような記憶があるのですけれども、何を持って国民民主が財源を示してないというのか分かりません。

そもそも30年も壁を引き上げず、税金を取り過ぎている分際で、財源なんたらいわれても、国民はもう許さないと思います。


3.国民民主はもっと粘れ


一方、国民民主の対応に対し、「もっと粘れ」という意見もあります。嘉悦大教授の高橋洋一氏です。

高橋洋一氏は17日、自身のXで「あらま、国民民主から打ち切り??!!……まだ時間はあるぞ」とツイート。続けての投稿では「しばしば来年度税制改正がまとまらないと来年度税収見積もりが出来ず、来年度歳入が決まらず、来年度予算が出来ない、という言い方をするが、それは不正確……歳入は単なる見積もりであって、参考資料程度のもの。税制改正議論の尻は結構先なので、国民民主はもっと粘れ」と激励しました。

そして、「できるだけ長く議論し、自民の理不尽を国民に晒せば、活路が見いだせる……来年度税制改正議論は越年してもいいくらいだよ」と結論を焦らないよう提案しています。

そんな中、政府・与党は20日にも決定される来年度の税制改正の与党案に、引き上げ額を「123万円」と盛り込むことで調整しています。

関係者によると、政府・与党は、来年度の税制改正に向けた方針を20日にもとりまとめる方向で最終調整していて、その与党案に、「103万円の壁」の引き上げ幅について、「123万円」と盛り込むことで調整しているようです。

来年度予算案を年末までに閣議決定するためには、税制改正の方針を先に決める必要があるため、与党側は、国民民主の合意を得ないまま、「123万円」と盛り込む見通しとのことですけれども、政府内には、「年明けにかけて修正協議をすれば良い」といった声もあるようで、高橋洋一氏が提案したように、更に粘れる余地は残されているかもしれません。


4.擦り寄る維新の国民の意識変化


ただ、自民が103万円の壁について手の平返ししたのは、そうしても予算が通せる目論見があるからだと見るのは普通の発想です。

16日のエントリー「国民民主はキャスティングボートを握り続けていられるか」で取り上げましたけれども、やはりここで維新が出てきました。

17日、日本維新の会の前原共同代表は、2024年度補正予算の成立を受けて開いた会見で、2025年度予算についても言及しました。前原氏は、2025年1月に始まる通常国会で政府が提出する予定の2025年度予算案について、「所得制限のない高校無償化を、予算編成に盛り込んでもらいたい。来年4月から実施する、これが予算に賛成する必要条件だ」とコメントしました。

2025年度予算案をめぐっては、岩谷幹事長が民放のBS番組で、維新が求める教育無償化や社会保険料引き下げが実現した場合、賛成する可能性を示唆していたのですけれども、前原共同代表の発言は、それを裏付けるものです。

維新は19日から、与党と教育無償化についての協議を始める予定ですけれども、前原氏は、「賛成には『必要十分条件』が整わなければいけない」と、0~2歳児の保育料、学校給食の無償化や、奨学金負債の免除など、「フルスペックの教育無償化」も求める考えを挙げた上で、「予算案の衆院通過までに、本当にそういった議論ができるかは、なかなか疑わしい」とも述べています。

自公は国民民主と維新を天秤に掛けて、自分達に都合のよいように動かしていこうとしていますけれども、その天秤はあくまで永田町だけに通じる天秤であり、それを外から見ている国民の目にどう映っているかをどこまで意識しているのか。

ここ2カ月程の国民民主の頑張りによって、国民生活を苦しめる「国民の敵」、ラスボスの姿が国民に認識されるようになりました。

今の世論の流れをみていると、与党だろうが野党だろうが、国民は自分達の敵をやっつける存在を求めているのであって、そうでなければ、重鎮だろうが何だろうが、速攻で見放されてしまう空気になっているように感じます。

仮に石破総理が退陣して、保守の総理が誕生したとしても、その人がラスボスを退治できないと見切られたら最後、もう支持は戻ってこないのではないかとさえ。

来年夏の参院選。自公にとって、単純に総理の首を挿げ替えるだけでは、うまくいかなくなるかもしれませんね。



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この記事へのコメント

  • 原因

    戦前の日米関係と戦争の原因について、日本人に正しい理解が必要

    最近の若者は、歴史修正主義の影響を受けて、アメリカの悪意によって日米戦争が引き起こされたと誤解している人が多く見受けられます。しかし、もっと公平な視点で歴史を見る必要があります。

    例えば、太平洋戦争開戦前の1939年頃、ボーイング社が日本に対して最新のB-17爆撃機を売り込もうとした事実があります。このことから、戦前の日米関係が極端に悪かったわけではないことが分かります。もし本当に関係が悪ければ、アメリカが最新の軍用機を日本に売り込むことはなかったでしょう。

    日米関係が悪化した大きな要因の一つは、日中戦争で日本が蒋介石と対立したことにあります。蒋介石とアメリカのルーズベルト大統領の関係が良好だったため、日本がアメリカから批判されることが増えました。さらに、日本が英国と戦争中のドイツと軍事同盟を結び、ドイツに降伏したフランスの海外領土に強引に軍を駐留させたことに対し、アメリカが反発したのです。これにより、アメリカは日本への石油禁輸を実施し、日米関係は緊迫しました。

    これらの経緯を普通に見れば、アメリカの反応は自然なものであり、むしろ日本の方が冒険主義的な行動をとったために自業自得の結果を招いたと理解できます。それをルーズベルト陰謀論などを持ち出して、アメリカの非によって日米戦争が起きたと考えるのは、大きな認知の歪みと言えるでしょう。

    日本の若者がこのような誤った歴史認識を持ち、反米意識を高めることは、日本の対外関係に悪影響を及ぼす可能性があります。正しい歴史認識を啓蒙することが大切ではないでしょうか。

    戦前の日米関係と戦争の原因を考えると、石油や鉄など資源の大半をアメリカに依存していた日本がアメリカに甘えており、アメリカを非常に甘く見ていたことが伺えます。日本がさらに甘えようとして厚かましい行動に出たため、アメリカも我慢の限界に達しました。それに対して、日本が逆切れした為に大戦争に発展したのだと理解することができます。
    2024年12月19日 09:40