

1.過去最大の来年度予算
12月27日、政府は、一般会計の総額がおよそ115兆5000億円となる来年度予算案を閣議決定しました。
当初予算としては当初予算としては3年連続で110兆円を超え、昨年度の114兆3800億円を上回って過去最大です。
歳出の内訳は、高齢化に伴い医療や年金などの社会保障費が拡大し、38兆2778億円となるほか、防衛力の抜本的な強化に伴い防衛関係費は8兆6691億円に増え、いずれも今年度の当初予算を上回りました。またm地方交付税交付金は19兆784億円、国債の償還や利払いにあてる国債費は、長期金利の上昇を背景に過去最大の28兆2179億円となります。
そして、予定外の支出に備える予備費には1兆円をあてますけれども、今年度は、別枠として1兆円を計上していた物価高騰などに対応するための予備費は廃止するとのことです。
一方、歳入では、堅調な企業業績などを背景に税収が過去最大の78兆4400億円になると見込んでいて、不足する財源は、国債を新たに28兆6490億円発行するとしています。
この来年度予算案は来年の通常国会に提出され、政府・与党は、野党の賛同も得て早期の成立を目指す方針です。
2.全く税収が足りていません
テレビでは、「よく皆さん本当にやっていると思います、このままで。暴動も起きずに、よく生きているなと思います。なんのための税金ですか。考えてもらいたいです」とか、「払っていることによって、いまの生活が厳しくなっている。物価も上がって、矛盾していると感じます」とか「必要なことが、ちゃんと国民に伝わる形で、実質的に増税してもらればいいんだろうと思うけど、何に返ってくるか、よくわからないということが多い」などという街の声を伝えています。
またネットでも、「税収は毎年上がるのに、日本国民は増税や社会保険料の値上げ、物価高などで実質賃金が下がり、貧困になっていく一方だ。貧しい高齢者が多くて、生活保護に使う税金が半端じゃないのはわかるが、支出の見直しもしっかりやってほしい」とか「おいおい、、自民党と財務省 物価高で貧困化している日本国民からどんだけ税金取るんや! 日本国民に還元しろや!」などと批判の投稿が相次ぎ、中には「「最近の若者はいったい何にお金使っているんだ」 という高齢者からの高圧的な質問に対して、「税金です」と答えるとその場が沈黙するのでオススメです」という皮肉めいた書き込みもあります。
物価がどんどん上がっていることから、消費税による税収は、来年度、さらに増えることが予想されますけれども、流石に税金を取り過ぎだ、還元しろ、の声が上がるのも当然です。
国民民主党の古川元久代表代行は「取り過ぎているわけですから、国民の懐を温かくする、手取りを増やすという政策を訴えている」と至極まっとうなコメントをしているのですけれども、マスコミは財務省関係者の「無駄な支出があるんじゃないかって声は受け止めないといけないけど、財政再建には、全く税収が足りていませんから。そもそもが大幅な赤字財政なんですよ」とのコメントを伝えています。
3.引き上げは十分実現可能です
いまのところ、日本の政党ではっきりと取り過ぎた税の還元を主張しているのは、国民民主くらいですけれども、国民民主の玉木代表は来年度予算案について次のようにツイートしています。
来年度予算案が閣議決定されました。この状況では減税を求める声は増々高まるばかりです。
税収を見ると、178万円への引き上げは十分実現可能です。
▪️国税
78.4兆円
(昨年度当初予算から8.8兆円増)
▪️地方税・地方譲与税
48.4兆円
(昨年度当初予算から3.0兆円増)
国・地方あわせて
11.8兆円
昨年度より税収が増える見込みです。
123万円→178万円への引き上げで7兆円減収との見込みですが、仮に7兆円減収になっても、昨年度当初予算の税収より約5兆円も多い計算です。
問題ありません。
仮に7兆円分、特例公債の発行を増やしたとしても、昨年度の発行額28.9兆円より小さい額にしかなりません。
インフレ増税が効き過ぎているのです。
今こそ基礎控除を引き上げ、このインフレ増税効果を緩和しないと、家計が圧迫され、景気を冷やす可能性があります。
地方税収のみならず地方交付税交付金も1.3兆円増えており、地方財政に悪影響を与えず、178万円への引き上げを行うことは十分可能です。
国民の手取りを増やし、日本経済を元気にするためにも、来年度予算案を修正できるよう、年を越してもがんばり続けます。
応援よろしくお願いします。
これに対し、加藤財務相は、「そこ(税収増)だけ切り取って、大規模な減税ができるという、そうしたことは、そうした見方は必ずしも適当ではないというふうに考えています」と増えた税収を充ててもなお28.6兆円の国債を新規に発行しなければならない現状などを挙げ、税収の増加のみを理由に大規模な減税ができる状況にはないと説明しています。
新規国債を発行するから減税できない云々という説明をしたところで、もはや、政治家や財務省その他省庁の給与をカットしてからでないと、とても国民は納得できないと思います。あまりにも税負担が重すぎます。
来年度予算案が閣議決定されました。
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) December 27, 2024
税収を見ると、178万円への引き上げは十分実現可能です。
▪️国税
78.4兆円
(昨年度当初予算から8.8兆円増)
▪️地方税・地方譲与税
48.4兆円
(昨年度当初予算から3.0兆円増)
国・地方あわせて
11.8兆円
昨年度より税収が増える見込みです。… pic.twitter.com/bmmR8Ujhpu
4.本当の国家予算
12月26日、政治ジャーナリストの青山和弘氏が、林官房長官に「税の議論」についてのインタビューを行っていますけれども、林官房長官は、そこで「このお金はもう要らなくなった、という税は、たぶんないでしょう」と述べていますけれども、これは取る側からみた理由付けに見えます。
少し前、国の予算、319億円が中抜きに次ぐ中抜きの末、実際に仕事する会社には9億円しか渡っていなかったことが報じられ、ネットでも話題になりましたけれども、税を取る目的として、要らないものはなかったとしても、それが、効率よく効果的に使われているかどうかまでしっかり検証する必要があります。先ほどの319億円の例でいえば、その中抜き率はなんと97%。これではいくら税金をむしり取っても足りなくなります。
少し前から「公金チューチュー」という言葉が流行っていますけれども、国民の目は取った税金の使われ方に向かいつつあると思うのですね。

10月22日、集英社オンラインに泉房穂前明石市長の寄稿記事「裏の国家予算・特別会計は436兆円…なのに「日本に金が無い」は本当か? ムダ遣いに明け暮れる国土交通省の実態」が掲載されました。
その中から一部を引用すると次の通りです。
【前略】泉房穂氏は、財務省が出す数字を誰も検証しないとするのみならず、裏の国家予算にあたる特別会計を含めた「本当の国家予算」については議論もされていないと指摘しています。
あえて言わせていただくと、財務省へのエリート信仰は、いわば思いこみにすぎないのではないでしょうか。政治家にしてもマスコミにしても、思いこみが強いから、受験競争を勝ち抜いた財務省主計局とはケンカができない。だから財務省が出してきた数字を、なんの検証もせずに信じる。
【中略】
財務省の言うことが正しいと思いこんでいるから、そんな当たり前のことすら見えていない。国民が見えていないし、見る気もないようです。
そんな財務官僚の中にも面白い人はいて、私にも仲良くしている方はいます。主計局出身のその方いわく、「財務省の数字は適当ですよ。私も噓ついてましたから」とのこと。「誰も反論しないし、議論しようともしないから、マスコミなんてイチコロです」と彼は言っていました。正直で屈託のない男です。
「お金がない」というセリフは財務省の決まり文句ですが、そもそも財務省の発表している数字が本当であると、検証した人がいるのでしょうか?
まずひとつは、表の国家予算である一般会計から算出したプライマリーバランス(基礎的財政収支)だけをもとに、財務省は「お金がない」「財政赤字縮小のための増税を」とのパフォーマンスをしている節があります。そして政治家もマスコミも、その数字を鵜吞みにして「お金がない」と言っています。
また仮に財務省の数字を信じるとしても、プライマリーバランスの早期黒字化の見通しが立っている現在、これ以上「財政赤字縮小のための増税」は必要ないはずです。
表の国家予算である一般会計に対して、裏の予算である特別会計があります。財務省によれば、2024年度の予算は一般会計が112兆717億円。それに対して、裏の国家予算にあたる特別会計は約4倍の436兆円で、一般会計と特別会計の行き来を差し引きした歳出総額の純計額は207兆9000億円です。
特別会計についてはブラックボックス化されたままで、石井紘基さんが追及していた「本当の国家予算」については、いまだ議論されていません。
本当に日本にお金はないのでしょうか?
私の感覚でいくと、明石市長を12年務めての結論は「お金はなんとかなるし、人もやりくり可能な状況だ」でした。市長になったころは私も「日本にはもうお金がない」と思っていたので、私もだまされていたのでしょう。市の財政部局とも何度もケンカしました。
2011年、明石市長に就任してまず、財政部から「将来見通しでは3年後に破綻する」と聞かされました。当時の明石市の年間予算は、一般会計と特別会計を合わせて約1700億円。
市の貯金額は70億円でした。財政部の出してくる予測では、貯金がすぐに崩れてなくなっていきます。そのままで行けば、たしかに3年で財政は破綻します。
私も最初の3、4年は、財政部の言葉を真に受けていました。しかし一向に破綻の兆しは見えてきません。5年目に堪忍袋の緒が切れて、担当者を問い詰めました。「初年度の予測どおりなら、もう財政破綻しているはずではないか。しかし現実には、借金は返済できているし、貯金も積み増してきている。どういうことなのか?」と。
結論から言うと、財政部が出していた数字は、最悪の事態を想定した現実的ではないものでした。「市にお金が最も入ってこない可能性」と、「市がお金を最も使う可能性」を組み合わせて算出していた数字だったのです。そんな計算方法では、いずれ財政破綻するに決まってます。
でも現実の世界、実際の行政では、そのような「最悪の事態」は起こりません。
これはいかにも官僚的な、リスク回避の発想です。明石市のような地方自治体の職員にしても、中央省庁の官僚にしても、基本的に役人というものは、自己保身と組織防衛の論理で動いています。
彼らにとって最もリスクが少ないケース、つまり最悪の事態を前提に計算するから、「3年後に財政破綻」というような、現実から乖離した数字がためらいもなく平気で出てくるのです。
私はもうすこし幅を持たせるように、「お金が最も入ってくる可能性」と「お金を最も使わない可能性」を組み合わせた見積りも出すように指示したのですが、担当者は「国の数字が出てこないから、それはできない」と言います。
国からお金がいくら来るかわからないから、数字を置き換えて計算することができない。それが地方自治体の限界なのだと。
実際に国は数字を出してきません。ですから市の財政部も、気の毒な面もありました。
地方財政で困るのは、交付金措置です。「地方間の平準化」の名のもとに、地方の財源を国がいったん集めて、「地方交付金」として各地方へ分配していきます。たとえるなら、親が兄弟3人の貯金箱を取り上げて、言うことを聞いた子からお金をあげるようなシステムです。
それだけでも理不尽な話ですが、なんと、そもそもその交付金の計算方法が「明確ではない」のです。
たとえば明石市に交付金が総額100億円振りこまれたとして、どういう計算で100億が明石に来たのか、その明確な内訳は誰にもわからないのです。交付金として来たかどうかも、わかりません。ある金額が振りこまれて、国はただ「交付金措置をしました」と言うだけです。
言うなれば、国が好き勝手に数字を出して、どういう計算で増減して「100億」という数字になったのかは、ブラックボックスの中。財務省に内訳を問い合わせても「所管省庁が幅広いから説明できません」と答えようとしません。
私も相当彼らとケンカをしましたが、納得のいく回答はついに得られませんでした。「中央省庁が上で、地方自治体が下」という前時代的な特権意識で、お金がどのように流れているのか、わからせないようにしているとしか思えませんでした。
【中略】
私に言わせれば、「ムダ遣い大会」です。官僚にとって大切なのは、自分の所轄でいかに多くの予算を獲得するかで、総コストを抑える発想などありません。一番お金を使った者がその後、局長になっていくような世界です。こんな時代に、右肩上がりの競争を官僚同士でしている。私は呆れていたのですが、みなさん真面目に戦っているから、なおさらタチが悪い。
公共工事の予算については、自治体側からも要望を行ない、私は県の会長として、兵庫の41市町を束ねて要望書を提出しました。ですが驚くことに、要望書に具体的な予算額を書かせないのです。かつ、工事のスケジュールも書かせません。
書かされたのは、工事の予定地だけ。緊急性のない工事も含めて、県内の山や河川を10ぐらい羅列させて、その中の2、3の工事を、担当課長の権限で許可するという段取りです。言うなれば、工事予定地の水増し申請。明石市の公共工事については、私は当初、本当に必要な2、3の工事予定だけを申請しようとしたのですが、「市長、そんなことをしたら、ゼロか1になります」と市の職員に止められました。
国交省のやり方に異を唱えたと見なされて、予算をつけてもらえなくなると。
そして要望書を提出した後も、具体的な予算額と工期は不明のままで、こちらから再度うかがいを立てなければならないのです。まるで「早く工事を始めたいのなら、そちらから頭を下げてこい」とでもいうような見下した態度で、腹が立って仕方がありませんでした。
工事のコスト見積りを安くでもしようものなら、なぜか怒られてしまいます。官僚社会では、大きな金額の仕事をする者が偉いのです。予算額を上げると、実際の工事の発注金額との差額が生まれます。官僚の自由裁量で使える予算なので、差額を返す必要はありません。その差額がどこに行っているのか?その行方は、透明化されていないブラックボックスの中です。
ある道路部門の課長は、「道路は造れば造るほど国民が幸せですよね」と本気で言っていました。道路は広いほうがいい、きれいなほうがいい、長いほうがいい、等々。この方も、予算は大きければ大きいほどいいとの考えをお持ちでした。
災害対策も同様で、「お金が大きいほど、できることが大きくなる」という発想のようです。担当の課長は、「山奥にある1軒の山小屋を土砂崩れから守るために、何10億円を使った」という話を美談のように語っていました。
「災害対策のための工事」と言われると、つい反対しづらくなりますが、安全な場所に新しい小屋を作るという方法もあります。数百万円の山小屋を守るために、税金で何十億円もかけて、大がかりな土砂対策の工事をする必要があるのでしょうか。疑問でしかありません。
103万円の壁引き上げを切っ掛けに国民の目は税とその使われ方に向けられていますけれども、さらに隠し財布がまだあると知られようものなら、今以上に批判の声が上がるに違いありません。そろそろ、政府、財務省も年貢の納め時というか、隠してきたことを国民に白状するときが近づいてきたように思いますね。
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