

1.低迷する石破内閣
石破内閣が低迷を続けています。
12月の各社世論調査での石破内閣の支持率の最高は産経の45.9%で、最低は時事通信の26.8%。11月は5社が4割台だったのが、読売新聞など3社が4割を切りました。最も下落したのは日経で、前月比5ポイントのマイナス。増加は産経の2.1ポイント、朝日新聞の2ポイント。朝日は現状を「横這い」と報道しています。
不支持率は8社中6社で上昇し、毎日新聞が53%で最も高く、読売は6ポイント増で最大の伸びを示しました。時事の調査では、石破政権発足以降、一度も支持が不支持を上回らず、12月は不支持と支持の差が14.5ポイントまで広がり、時事は石破内閣の支持率を既に「末期状態」と指摘しています。
各社の世論調査の政党別支持率は、当然ながら、国民民主党が支持を伸ばしています。
24日閉会の臨時国会では、自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革に関する3法案が成立。使途が不透明だった政党から政治家個人に渡される政治資金「政策活動費」の廃止などが与野党賛成多数で決まるなど、少数与党となった自民、公明両党が野党側に配慮する姿勢が目立っています。
2.同時にやってはいけないというそんな決まりはない
そんな中、27日、石破総理は東京都内で講演し、来年の通常国会で内閣不信任決議案が可決されたり、令和7年度予算案や重要法案が否決されたりした場合について触れ「そういう事態が起きた時に、自分たちが正しい、国会のほうが間違っていると判断したとするなら、主権者たる国民の信を問うということは当然あるべきことだ……そういう場合に、衆院の意思と内閣の意思とどちらが正しいか、皆様方に決めていただきましょうということは、憲法の趣旨からして当然あるべきだ」と衆院解散・総選挙に踏み切る可能性もあるとの考えを示する一方で、「今それをやるとか、そんな物騒なことを言っているわけでは全くない」とも付け加えました。
更に、石破総理は翌28日の読売テレビ番組で、来夏の参院選に合わせた衆院解散・総選挙の可能性について、「これはありますよね。同時にやってはいけないというそんな決まりはない……今まで大平内閣、中曽根内閣で衆参同日選をやった。今なら勝てるだろうということではなくて、国民に決めてもらうのが大事だ」と述べました。
例年、年明けからの通常国会は6月から7月まで行いますからね。衆参同時をちらつかせることで、野党が一致して内閣不信任を出すことを牽制したものと思われます。
3.投票率を上げれば保守票も戻るだろう
衆参同時の可能性について、自民党の青山繁晴参院議員は、11月13日収録の自身の動画チャンネルで次のように述べています。
・世論調査で内閣指示率が43。この間は28でもうダメだダメだっていう、40何%って言ったら久しぶりに見る数字なんだよね石破総理は、夏に衆参同時すれば、離れていった保守層も少しは戻るだろう、少数与党から奪出できるかもしれないと考えているというのですね。とんでもない大甘な見通しだと思います。
・例えばあの海部政権の末期っていうか本当は末期じゃなかったのに小沢一郎さんが潰しちゃったけど、支持率が高いから海部総理は政治改革の実行を掲げて解散に踏み切るとして小沢さんに阻まれた
・でもその時の支持率が50%ちょいぐらい1番高くて55ぐらいあったんですけど随分支持率が高いことになるから届く風に見えるわけですよ
・そうなってる理由が、これ皆さんにはもうお馴染みなんですが、日本社会って社会の軸が左に寄ってるわけです。これ敗戦後もう一貫してGHQに躾られた通りになってるわけ
・だから、石破さんが野党寄りなのが好ましく見えるんでしょうと。
・自公国ってやって連立政権バチっと作って、103万円の壁やあるいは場合によっては消費減税まで飲み込んで、自公中心で行くと言うんじゃなくて、ゆるゆるにしてあっても立憲のことも聞く
し国民民主のことも聞くし、場合によっては共産党の主張の一部まで聞くかもしれないという方が社会からすると突っ張っているように見えないので、むしろ好感持たれてるんじゃないかと推測
ですよ
・世論調査、石破総理からしたら元々の数字だめなんだから、早期にやめてくださいって声がある中で、世論調査の支持率が上がっていくって、ほら見たことかなるんで。
・予算編成を自分でやって、年末に税制改正もご自分でやって、それで来年3月の予算委員会も予算委員長が立憲なのにこの予算案を修正はもちろんやらざる得ないと思いますが通したとね。
・そうすると予算を執行して景気を良くする。景気は実際良くなっていくので。経済が暗くないっていうのが今日本の救いなので。
・トランプさんの登場でアメリカ経済良くなるんで。実は中国は沈んでいるけど日米の経済は先行きやや、ややですけど明るいので。
・それを石破さんは根拠にすると、もうすぐ参院選でしょう。そん時に解散する。
・衆議を解散すると、これも例によって甘い話になるけど、いや前みたいには減らないだろう。
・甘甘ですね甘いけど、はいもう蠢きがはっきり分かった。この一両日で僕には。
・これ結構本気なんだよ。それでダブル選挙やると通常なら投票率が上がる。
・ダブルダブルと話出てくるのは投票率上げて普段投票に行ってくれない保守的な人々が投票してくれるってこと期待するんだけど
・もう自民はグダグダでそれ失ってるんだけど、まあ一般的に言うとやっぱ投票率は少し上がる。
・そん時にあの今回は派閥金問題でもう行きたくないって言って、今回だけはも入れませんと言った人が戻ってくるだろうと、一部であっても。
・そうするとうまくいけば少数与党から逃れられる。
・野党との間柄はすごく良くなってる自分が野党のことを取り入れたから
・そうすると長期政権も見えてくる。
・大体そういう筋道で今考えておられるだろうっていうのが、この一両日僕にはすっごく見えてきたんですよね
・あのやっぱ体力はないので、これはは課題ですけど、居眠りしたり緊張感がないように見えるけど、服装も指摘されたようにでも実はこのそうやって神経すり減らして次の手から明日明後日の手、その先の手、来年の夏以降の手まで考えてるから。
・こういう単調な議事進行だと疲れが出る。疲れが出るってのは体力に課題がある面もあるけれども、実はすっごく神経すり減らして次に手を打っていってる
・それが究極は来年夏のダブル選挙。
・普段なら公明党が嫌がるんですが、公明党今発言権をかなり失ってるんで。
・新しい斎藤さん、公明党のトップは温厚な人で、前の石井さんだったら公明党の利益を考えて言うべきはガーンと言うだろうけど
・斎藤さんはやんわりですから、ダブル打ちやすい環境ではあるのは事実だと思いますよ
・解散権は依然として石破総理だけにありますからね
4.悲しくなっているのは国民
青山参院議員の話を聞くと、石破総理は世論のことが見えてないのかと思ってしまうのですけれども、石破総理自身にも多少は届いているようです。
27日、石破総理は、東京のグランドプリンスホテル新高輪で行われた内外情勢調査会全国懇談会で講演し、激務に追われる日々について「普通の大臣の何倍もしんどい。なんせしんどい……新聞読んだら誰も褒めてくれないし、ネット見たら何だか本当、悲しくなるし。寝る時間はほとんどないし……」とボヤキ、会場の笑いを誘いました。
そして、仮に9月の自民党総裁選で岸田文雄前首相が出馬していた場合、どう対応したかを問われると「どれだけ重荷を分担できるかを考えたと思う」と総理を支える存在の重要性を切実に訴えました。
また、「できるだけ首相は続けたほうが国家のためになる場合が多い。しょっちゅう代わることがあってはならない……みんなで選んだ首相であれば、それぞれがどれだけ首相の負担を減らせるかを考えることは大事だ」と語りました。
これまで何度も、後ろから弾を打ちまくっていた御仁が、自身が撃たれる立場にたって、支えて貰えないことで、身に沁みたのかもしれませんけれども、まぁ、自業自得、カルマの刈り取り中に見えて仕方ありません。
また「みんなで選んだ首相なら支えてくれて当然だ」みたいに述べていますけれども、そもそも、みんなで石破総理を選んだのか、と国民がそう思っているかは疑問です。10月の総選挙で国民の答えが出ている訳で、それを自覚せずに総理を続けるというのなら、再び国民の鉄槌が下ることになります。
ただ、ちょっと気になることは、来年夏に衆参同時をするとして、その直前に103万円の壁を178万とか200万にするとかいって、宮沢洋一税制調査会長を更迭させるようなことでもすれば、国民の支持が戻る可能性が考えられることです。
これについて27日、デイリー新潮が「玉木「国民民主党」にイラ立つ石破「自民党」…それでも悪者と化したラスボス「宮沢洋一」を交代させられないワケ」という記事を掲載しています。
その一部を抜粋すると次の通りです。
「自民サイドから最終的な考えが見えない国民民主サイドへの不満が高まるばかり。そこで石破茂首相・森山裕幹事長は来年度の本予算を通すべく、日本維新の会への傾斜を強めている。この記事によると、自民は依然として、維新と国民民主を天秤に掛けて予算を通そうとしているとのことですけれども、もし、自公維で手を握って、103万の壁が今の123万で止まったとしたら、自民と自民に協力した維新は「国民の敵」となって、衆参同時でも参院選だけでも国民の審判を受けることになると思います。
「石破首相の目下の不安材料は本予算を通せるかどうかです。その中で唯一の希望は鉄道仲間でもある前原誠司共同代表と関係がよく、連携しやすいこと。いまの維新の幹事長は2回生議員なので、森山さんの交渉相手はもっぱら前原さんです。教育無償化で粉をかけたら軽く乗ってきてくれた。しかし、当の維新は一枚岩ではなく、旧執行部は現執行部とかなり距離を置いている。維新が補正予算に賛成したことにも維新のベテラン議員は不満を募らせています。このまま、自民との協議がうまくいくかはまだまだ見通せません」
そのため、維新との交渉が暗礁に乗り上げれば、再び国民民主との妥結を模索していくことになる。
「来年の参院選を控える中で、減税を回避しようとする宮沢さんが完全に『悪者』になっており、今後、自民内、特に積極財政派から『宮沢交代論』が出てくる可能性もあります。宮沢さんは岸田文雄前首相のおかげで税調会長になったようなものですから、交代させない理由はあまりない。ただ、宮沢さんの代わりがいるかといえばいないんです。税は特殊な世界なのでその代わりは税調のインナーである後藤茂之さんくらいしかおらず、後藤さんになったとしても、ドラスティックに178万円に引き上げるということはしないでしょう。また、引導を渡すなら、森山幹事長ですが、森山さんはいま自民党の国対を事実上、牛耳っており、党内からは“幹事長なのに国対委員長のような動きをしやがって”と批判する向きもあります。ここで税調会長まで交代させるなんてことがあれば、さらに森山さんに権力が集中することになる」
新年を迎えても解決までの道筋はなかなか描けない。石破首相の悩みは尽きることがなさそうだ。
果たして、石破総理が、どういう結論をするのか。
石破総理は「悲しくなっている」のは、国民のほうが遥かにそうだということを認識していただきたいと思いますね。
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