
1.日本維新の会の代表は私です
維新の内部対立が表に出てきたと一部ネットで話題になっています。
12月27日、日本維新の会の吉村洋文代表は関西テレビ「newsランナー」に出演し、「年収の壁」の178万円までの引き上げを主張する国民民主党の玉木氏に対し、「地獄の底まで本気で腹をくくってやるなら、同じ天秤に乗ったらいいと思う」と、共闘を呼び掛けました。
番組で吉村代表は司会やコメンテーターの質問に次のように答えました。
司会 :「103万円の壁」の引き上げについてどういうふうに考えている?吉村代表は、自民が維新と国民民主を天秤に掛けているという報道を否定し、国民民主が本気で梯子を外さないなら一緒に103万の壁を178万にしようと述べ、最終決定権は前原氏ではなく自分にあると断言しています。
吉村代表:僕、これは賛成です。大賛成。よく(この問題のニュースなどで)前原さんの写真が出てくるんですけど、前原さんと玉木さんがぶつかったことがあるので、よく出されるんですけど、僕自身は当然、日本維新の会の代表ですし、『103万円の壁』の突破して178万円、これは絶対やるべきだと思います……できると思いますよ。国の税収は2020年で60兆だったのが今、78兆の予算ですから。ということは、20兆円弱ぐらい国税で増えてるわけです……僕はそれに加えて、予算も大きくなってるので、歳出改革も一緒にやったらいいと思うんですけど、でもこれは僕、絶対やるべきだと思う
司会 :「103万円の壁」撤廃も、「教育無償化」も2つとも実現する?
吉村代表:高校無償化は、ぜひ僕は本当にやりたい。本気なんです。大阪府知事として大阪府でやってますから。増税することなく、大阪の財政立て直して、改革で財源を生み出しててやってるので、大阪府民だけじゃなくて、全国やりたい。これはもう、偽りざる気持ちなんです
司会 :与党とすると、政策実現のためにかかるお金を考えると、「維新と組む方がいいんじゃないか」という発想にもなりますが、そのあたりは吉村代表としてはどう考えているのでしょうか。
吉村代表:今の説明でちょっと間違いがあったので、訂正させていただきたいんですけど、『これをすれば予算に賛成する』とは言ってないし、そのつもりも特にないです。だから予算に賛成しますという話じゃない。もちろん心の底から実現したいです。だけれども、だから本予算に賛成しますかがイコールの話じゃないと思ってます。
司会 :反対する可能性も?
吉村代表:もちろんです
司会 :国民民主と協力するつもりがある?
吉村代表:ありますよ。なぜかメディアでは『ぶつかっている』とか、維新が予算に賛成するから、それで玉木さん・国民民主の『103万の壁』ができなくなっているという話に持って行くんですけど、僕は全然、違うと思ってます。一緒にやったらいいと思います
司会 :なぜ今はできてないのですか?
吉村代表:僕は政治家で、コメンテーターじゃありませんし、評論家でもないです。だから政策は本気で実行したいと思ってます。政治の世界って、よくはしごが外れる場合が多いんです。だから僕は、本気で腹くくってある意味、自民党とバーンと対峙して、最後までやるっていう覚悟。国民民主党から『178万円目指して、維新さん一緒にやりましょうよ』と言われたら、ここまで覚悟を持って玉木さんに言っていただけるんだったら、僕は一緒にやるべきだと思います……途中ではしごを外すのはなし。そうするとどちらも実現できなくなる可能性もある。中途半端な気持ちだったらやらない
司会 :「103万円の壁」の引き上げ額について、国民民主党は「178万円」と譲っていません。維新としての落とし所はどうなるのか?
吉村代表:だまされてます。国に。皆さんが。178万できる。
司会 :財源は7兆から8兆かかりますが?
吉村代表:でも税収20兆円増えてるんですよ、国税だけで。僕は歳出改革も一緒にやるべきだと思ってます。ここは玉木さんと考え方が違うかもしれません。でも僕は大阪でも歳出改革もやりながら、増税に頼らず財源を生み出すことをやってました。国の予算も10年ぐらい前まで9兆円でしたけど、今もう115兆円です。やっぱり国の予算の支出でおかしいとこがないか。そういうところもやるべきだと思うんです。だから歳出改革と一緒にやったら今、税収これだけ上がってるから、この7兆円とか8兆円ぐらいは、生み出せますよ。だからこれ本気でやったらいいと思う
京都大学大学院の藤井聡教授:政治評論家などの間では、石破首相にも近いと言われる、前原誠司共同代表の影響で、天秤にかけられるような状況になるのでは、と危惧、懸念している人が多い
吉村代表:日本維新の会の代表は私ですから。決定権は私にありますから、最後の判断は私がやります。もちろん国会での活動はできないんですけれども、でも前原さんもそれは分かってくださってますので。経験のある方なのでやっていただいてますけど、前原さんも選挙で選ばれた代表じゃないっていうのは分かっていらっしゃいますから。メディアが面白おかしく前原さんと玉木さんを掲げますが、日本維新の会の代表は私です
関西テレビ・神崎博報道デスク:自民や公明の立場からすると、過半数には十数人の議員の数が足りないだけです。過半数を取るために協力するのは維新か国民のどちらかでいいのです。自民党的な考え方で行くと。両方の協力を取り付ける必要は、全くないので、与党側から見ると、6000億なのか、7.8兆なのか、というと、言葉が悪いのですが、お安く済む6000億の方だけ飲んで、なるべく維新を自分の近くに近づけたい。うまくいけば予算にも賛成してもらいたいという思惑があると思う
司会 :吉村代表は「年収の壁」も「高校無償化」も実現するのであれば、国民と維新でがっちりタッグを組み、ここから政局を変えていくというスタンスなのか聞いてみると。
吉村代表:もうこの改革については塊になるのはありだと思います。僕も高校無償化について一言言わせていただきたいのは、よく『お安く済む』とか言われるんですけど、本気でやりたいんですよ、これを。どんな家庭に生まれても、どんな家庭環境だったとしても、この学校、高校行きたいなと思えば、僕はその道が開けてる社会を作りたいと思ってる。だからこそ僕は、大阪で増税じゃなくて改革で財源を生み出して、財政立て直して実際やってるので。全国の子供たちの『自分の行きたい学校に行けるような社会に』という思いはあります。だから政局じゃないんです。ただ本気でやるんだったら、確かに一緒にやった方が難易度は上がると思います。それでも本気でやるなら、僕はやりますよ。賛成だから」
司会 :吉村代表は12月13日に「喫茶 たまき」とXに投稿。議員会館の事務所でお茶を飲みながら、玉木議員と会談していました。会談に呼ばれたんですか?
吉村代表:僕から言って、『喫茶しましょう』って。警護の関係があったので、最後、議員会館で喫茶したんですけど
司会 :何を話した?
吉村代表:色々、話しましたよ。社会保障の改革の話も少ししましたね。国境の議論ではないですけれども、『103万の壁』の引き上げに賛成だという話もしました。なのでもう1回、“喫茶 たまき”の開店時間教えていただいたら……でも、それも本気だったらですよ。中途半端な気持ちだったら僕は嫌です。政党が違うから、公約も違うし。でも僕はやるべきだと思ってるので、本気で地獄の底まで腹くくってやるっていうんだったら同じ天秤に乗った方が僕はいいと思う。その方が、国民にとってプラスだと思う
2.吉村系と馬場系
では、維新は、吉村代表と前原共同代表とで対立しているのかというと、状況はもう少し複雑です。
FNNプライムオンラインは12月29日付で「「大阪維新はこのままだと分裂する」日本維新の会「権力闘争」騒動記 前代表失脚狙った“吉村系”新体制に不満の“馬場系” 対立の裏で起きていたこと」という記事を掲載しています。
件の記事の概要は次の通り。
【前略】維新はもともと吉村代表系と馬場前代表系に分かれ、更にどちらにも属さない中立系も多い構成とのこと。吉村代表は大阪府知事で、国会にいない為、それに代わる国会の顔として、前原氏が共同代表に就任したという背景があります。
臨時国会で維新は、政府の補正予算案に賛成した。さらに2025年度予算についても、前原誠司共同代表は、賛成する「必要条件」に言及して協力を匂わせた。与党がまとめた「予算編成大綱」には、維新の要望である「教育無償化」と「社会保険料の負担減」が盛り込まれた。
ところが「盛り込んだ」とする中身が、党内に波紋を広げた。「教育無償化」については、「求める声があることも念頭に」の一節が加わったのみで、「現役世代等の社会保険料負担軽減を図る」との一節は、維新との協議前から入っていたという。
党内には「こんな大綱で喜んでいる執行部は、もうつぶれるのではないか」と、痛烈に批判する議員たちがいる。また、遠藤敬前国対委員長が、漆間譲司新国対委員長を連れ各党へあいさつ回りをすると、「そんなことまでしてやる必要があるのか」との声もあがった。いずれも馬場伸幸前代表に近い議員からの声だ。
本稿では、こうした議員を“馬場系”と呼び、逆に吉村洋文代表ら新執行部に近い議員は“吉村系”と呼ぶことにする。
維新は過去に分裂の歴史があるが、大阪府内選出の議員はいつも一枚岩だった。だが今回は、大阪の議員が“馬場系”と“吉村系”に分かれている。ある吉村系議員は取材に対し、「大阪維新はこのままだと分裂する。何とか食い止めなければ」と危機感を募らせる。
吉村系議員らは以前から、馬場氏と藤田文武幹事長(当時)の「高額飲食」に不満を募らせていた。「干されるから言えない。従順になるしかない」との声も漏れ、「強権」とも映った対応が不満に拍車をかけていた。
空気が一変したのは、6月26日の党内説明会だった。自民党との間で、政策活動費を廃止せず残した上で領収書の公開を10年後とする合意をした馬場執行部に、吉村氏と吉村系議員らが噛みついた。馬場氏が「今それを言うてるんやんけ!」などと声を荒らげる場面もあったが、“中立系”議員からも異論が続出し、政策活動費廃止への方針転換を余儀なくされた。
衆院選が近づくと、「馬場代表を代えなければ戦えない」と、党内に危機感が広がった。9月18日、猪瀬直樹参院幹事長が大阪に向かう。吉村氏のほか、大阪選出の浅田均参院会長、東徹参院議員(当時)も同席し、非維新系の大阪・大東市長が進める、健康寿命を伸ばす取り組みの勉強会をした。市長が帰った後、夜の会合で「馬場おろし」の話題になったという。
しかし党規約の仕組み上、「衆院選が終わらないと代表を代える手段がない」との結論に達したため、「高額飲食」を追及する方針に転換した。その1週間後、9月25日の幹部会合で浅田氏と猪瀬氏は、「政策活動費がどのように使われてきたか、チェックする党内チームが必要だ」と、馬場氏に迫ったのだ。
この直後、筆者はある吉村系議員に、「謀反を起こすのか。前原さんも同じ考え方か」と聞いてみた。その議員は、「考える方向性はだいたい一緒だが、前原さんは党の“顔”になる人。巻き込んだらかわいそうだ」と語った。今思えば、吉村新体制で国会議員団の代表に前原氏が就くことを、暗示していたようにも感じる。
10月27日の衆院選で、維新は比例代表で約300万票を失い、6議席の減となった。ただ、代表だった馬場氏は、大阪での全勝や、京都、滋賀、広島、福岡の小選挙区での勝利を強調し、辞任を否定した。
ここでまた浅田氏が動き出す。10月30日の幹部会合で、「あれだけ負けたのに誰も責任を取らない。代表と選対本部長(=幹事長)くらいは、辞意を表すべきだ」と、報道陣を前にしての退陣要求に踏み切った。目の前で起きた「クーデター」に、速報原稿を打つ手が震えた。
報道陣が退出し会合が非公開となった後、さらに激しい応酬があった。出席者によると、猪瀬氏も「即退陣すべきだ」と要求し、馬場氏が「特別国会はすぐ迫っている。こんな時に辞められない。国会スケジュールを知らないのか」と反論した。
藤田氏も「規約も知らない人がそういうことを言うのは、いかがなものか」などと反撃したという。維新の党規約では、衆院選・参院選・統一地方選の後に、代表選を行うかどうかを特別党員(国会議員・地方議員・首長・候補者)に諮る仕組みになっている。
投票の結果、代表選を行うことが決まった11月6日、馬場氏はSNSで不出馬を表明した。馬場系議員からは、「実は馬場さんは、衆院選の直後には辞めると決めていた」という美談も流れた。
11月29日、馬場氏最後の会見で、「実績と反省点」を質問してみた。馬場氏は「できることは一生懸命やってきた。みんなが支えてくれた…」と語ったところで、その目に光るものが浮かんだ。衆院で11議席しかなかった維新の「冬の時代」に話が及ぶと、何度もハンカチで涙を拭った。
普段は明るい馬場氏の涙に、「そこまでの思いで仕事に取り組んでいたのか」「もらい泣きして会見動画をまともに見られない」などと、馬場系議員のみならず、党内に感動の輪のようなものが広がった。
だが、吉村氏に対する圧倒的な期待感は変わらなかった。代表選では4人が争い、約8割の支持を得た吉村氏が、新代表に選ばれた。
吉村氏は大阪府知事なので、国会にはいない。それに代わる国会の顔として、前原氏が共同代表に就任した。幹事長、政調会長、総務会長、国対委員長はみな若手議員になった。
すると新執行部が物事を決めるたびに、馬場系議員が裏で批判する状況が続いた。政府の補正予算案に賛成したときには、報道陣の目の前で、馬場系の浦野靖人衆院議員から「口約束で決めるほど、我が党の賛否は軽いのか」と、厳しい批判が飛び出した。
前原氏は、調査研究広報滞在費(旧文通費)の改革や、政策活動費の廃止について、事あるごとに「馬場前代表や旧執行部のご努力のおかげ」と繰り返す。馬場系議員らとの決定的な対立を避けたい思惑が見える。
馬場系と吉村系に分かれていると言っても、所属議員には、どちらにも属さない“中立系”が多い。前原氏は代表選で、吉村陣営の会合に出席していたが、それまで2人に特段の関係性があったわけではない。むしろ馬場氏の方とは、昼夜問わず何度も語り合った仲だから、前原氏も“中立系”と呼べるかもしれない。
前原氏はその立場を生かし、党内をひとつにまとめ上げることができるのか。様々な党の代表職を何度も務めた、国会議員生活31年のベテランの手腕に、全てが懸かっている。
その前原氏は、共同代表になったとはいえ、吉村氏と特別な関係にあった訳ではなく、むしろ馬場前代表に近い方だというのですね。
冒頭で取り上げた「newsランナー」番組で吉村代表の発言ぶりを聞く限り、維新の代表は自分であるという強い自負を感じます。
3.政界の死神
吉村代表は12月1日に行われた日本維新の会の代表選で、約1万票中、約8500票を獲得し、他の3人の候補を圧倒し新代表に就任しました。吉村氏は代表選後の記者会見で、「野党第1党は目指さない。自民党とは1人区で1対1の対決をすべきだ。ほかの野党と協議したい」と馬場前代表の「全国政党化」路線を修正する方針を早々に示しています。
これらについいて、デイリー新潮の政治部デスクは「10月の衆院選で維新は大阪の19ある小選挙区すべてで完勝。吉村氏の人気の高さを見せつけたものの、ほかの地域では退潮が目立ち、公示前の44議席から38議席に後退しました。結果、党内で“馬場おろし”が起こったのです……大阪府知事の吉村氏が代表に就任したことで、維新はかつて存在した『おおさか維新の会』時代と同様、大阪系議員に重きを置く党に再び逆戻りするでしょう」とコメントしています。
ただ、吉村代表が、前原氏を共同代表に抜擢したことについて、ある維新関係者は「吉村氏は地方の首長ですから、国会議員団を束ねる共同代表が必要なのは分かります。ですが、前原氏は民進党の代表時代に小池百合子東京都知事が率いる希望の党に合流しようとして失敗。民進党を事実上、つぶしています。その後、希望の党、旧国民民主党、教育無償化を実現する会と渡り歩きましたが、どの党も消滅しました……ついた綽名が“政界の死神”。そんな人物が共同代表に就いて大丈夫なのかと、党内では心配する声が上がっています」と述べ、別の維新議員も「前原さんはこの間の衆院選前に合流したばかりで、“外様”だからね。しょせんはお飾り。実際に党内外の調整など彼にはできないでしょう」と切り捨てています。
更に、旧執行部の一人は維新の新執行部について、「思い通りにならないことはいっぱいあると思うよ……次の代表は最初から吉村さんで決まっていました。それでもほかの候補者に推薦人を回してまで代表選を実施したのは、党勢を少しでも回復させる目的があったから。ですが今、世間の注目は国民民主党の玉木雄一郎代表や兵庫県の斎藤元彦知事に集まっていて、正直、うちの代表選が盛り上がったとは言い難いよね」とチクリ。
また、維新所属のある地方議員は「先の都知事選で善戦した石丸伸二氏が、来年夏の都議選に向けて新党を立ち上げるという話がありますよね。僕らは“身を切る改革”のせいで、被災地などへの寄付に手取りを抜かれているのですが、正直財布が厳しい。吉村氏が“身を切る改革”を継続し、かたや石丸氏がわれわれと近い主張をするならば今後、維新を離れて新党に合流する人間も出てくる可能性がある」とコメントしています。
冒頭の「newsランナー」番組で吉村代表が103万の壁撤廃について国民民主が「本気でやるなら」「梯子を外さないなら」と何度も強調していたのを、筆者は不思議に思っていたのですけれども、こうした党内情勢を考えると、吉村代表は「絶対に失敗」できない状況に置かれている、少なくとも本人はそう自覚しているものと思われます。
4.喫茶たまきはいつでも開いている
一方、今や国民の注目を集める国民民主ですけれども、玉木代表は、同じく関西テレビ「newsランナー」に、吉村代表の後につづいて出演しています。
玉木氏は、番組で司会と次のようにやり取りしています。
司会 :『喫茶たまき』はいつ開いているのか?玉木氏のいうとおり、国民民主が103万の壁引き上げに本気で取り組んだ結果、それでも与党が飲まず、国民民主が内閣不信任を提出したら、維新も賛同しなければならなくなります。そのとき立憲民主がどう動くか分かりませんけれども、自公の与党と国民民主・維新の4党三つ巴の駆け引きが来年度予算成立までの一つの注目ポイントになるかと思いますね。
玉木氏:「いつでも開いてるんですけど、ちょっと従業員がいないんですね。いつでもオープンですから。この前もいろんないい話ができまして。吉村さんとは、年代もそんなに変わらないので、いろんなお話ができるかなと思いましたので、これから率直にお話をしていきたいと思います
司会 :前回では、「じゃあ一緒に行こう」っていうことにはならなかったってことですか?
玉木氏:いろんな話をして、主に社会保障制度の、現役世代の負担をこれ以上広げないように、何ができるかなということを話をしたってことが中心でした
司会 :自民党は国民民主党と日本維新の会を天秤にかけているようにも見えます。これについて、維新の吉村代表は番組で「一緒に天秤に乗ったらいいんじゃないか」と話していました。この発言を玉木議員はどのように受け止めるのでしょうか。
玉木氏:別の番組に出ていた橋下徹さんと(関西テレビの)出口で会って、『仲良くしてくれ』って言われたので。いや、別に仲悪いわけじゃなくて、やることはやりますよっていうことで。我々やっぱり政策本位でやるっていうことを結党以来、2020年以降言い続けてきたので、誰と組むかよりも、何を成し遂げるかってことで判断基準を持ってやってきたので。高校の無償化についても我々申し上げていますから、合う政策については、協力してやっていきたい。例えば与党でも、この前、『政治とカネ』の問題の第三者機関を作るという法案を出したんです。これ公明党さんと非常に中身が似ていたので一緒に出して、そこに自民党さんも乗ってきてもらって、成立したということがありますから。党対党でやると、なんかこうちょっときな臭い感じがするんですけど、やっぱり政策ごとにきちんと協力しながらやるところはやっていきたいと思いますね
司会 :「103万円の壁」の引き上げが上手く進まないのは、「維新が教育無償化の話も議論しているからじゃないか」という牽制にも見えますが、意図は何なのでしょうか。
玉木氏:私も財務省大蔵省にいたので、主計局という予算をつくるところにいたので、これ当たり前なんです。これで今、自民党・公明党が過半数を割っている状況の中で、どうやって予算を成立させるのかということを言うと、我が党だけじゃなくて、維新の皆さん、あるいは立憲民主党に協力していただいたら、簡単に通るんですよ。だからそういった政党の意見とかどういう政策を実現したいのかっていうことを聞いて、それを予算に取り込んで成立を図るのは、これ財政当局としては当たり前なので。なんか陰謀論的なことではなくて当然の働きかけだというふうに思いますし。だから我々は『178万円』まで引き上げ、維新は「高校の無償化」って言ってますけど、立憲さんだと、例えば少し増税してでも、財政安定させようってことで合意するかもしれないし、わからないですこれ、何が起こるか
司会 :そんな、「わからない」中でも、維新・吉村代表は、維新と国民でしっかりとタッグを組んで、与党にプレッシャーをかける、「ただ中途半端では駄目だ」と話していました。
玉木氏:もともと我々、中途半端にやるつもりはなくて。だから選挙で掲げて、それに議席を得て、もう何としてもやるんだということで、大変抵抗も強いんですけども、この間ずっと自民党・公明党とも交渉してきたとということですね
京都大学大学院・藤井聡教授:国民としては本当に『178万』まで絶対やってもらいたい、とことんやってもらいたいと思っているわけです。しかし、我々国民として一番恐れているのは、やっぱり立憲民主党と組まれて、今おっしゃったような『178万』も『高校無償化』も潰してしまうというのが恐ろしいことになるわけですから。そうなってしまうのは、向こうの駆け引きがあると思いますので、そうならないように、ぜひ野田さんともよく話もしていただいて、抜け駆けしないようにしていただきたいなと思いますね
玉木氏:やっぱり国民の皆さんの応援が最後一番大事なんですよ。どういう予算を組むのか、あるいはどういう負担にするのかっていうことを、国民の皆さんが考えていただいて、後押ししていただければ、大きな政策実現の追い風になると。1つ言うと、きょう、実は来年度予算が閣議決定されたんですけども、去年と今年と1年間比べるだけでも、例えば税収は国・地方合わせて11兆も増えてるんですよ。11兆も増えているんですよ。1年間でですよ。一番増えているのが申告所得税で、今サラリーマンの皆さんが『源泉』で引かれるこれが、去年に比べて約5兆円増えてるんですよ。11兆円増えるうちの半分ぐらいがサラリーマンの皆さんが賃上げとかで増えた分で、ガーッと取られていると。これ『ちょっとお返しした方がいいんじゃないか』っていうのが、178万円まで基礎控除を引き上げようということなので。『みずほリサーチ&テクノロジー』さんが出した、今年1年間の物価上昇に伴う家計の負担増は9万円ほどなんですよ
玉木氏:それで、与党案は見ていただくとわかるんですけど、年収200万、300万とかその辺だと、年間の減税額が5000円しかないんですよ。1カ月で400円ぐらいでしょう。今キャベツ385円ぐらいなんですよ。『キャベツ1個買ったら終わり』みたいなね。それはちょっと家計支援としてどうなんですかということを、真面目に考えたほうがいいんじゃないですかと。国ばっかり、1年間で11兆もお金が入ってきて、家計は厳しいと。やっぱり政治の責任は、国の懐を豊かにすることよりも、国民の懐を豊かにするのを最優先に考えましょうってことを言ってるんです。
司会 :FNNの世論調査で「103万の壁」をどこまで引き上げるべきかを聞いたところ、もっとも多いのが「150万円程度」で、32.6%でした。では、その落としどころは一体どこになるのかということで、先ほど、維新・吉村代表は、「ここは178万です」と明言しました。玉木議員の顔がニヤッとしたように見えましたが……
玉木氏:『178』でいいんです、これは。これ理由があって。やっぱり生きるために必要なコストを賄う最低限の所得からは税金取らないと。それはちゃんとお手元に残しとかないと生きて行けなくなる。1995年、今から30年前はこの最低賃金がまあ660円ぐらいで、そのそこから今1.7倍ぐらいになってますから、だったらそこぐらいあげましょうよと。その額が『178万』っていうところですね。1.73倍にしてるんですね
司会 :この額を自民党には強く求めて、交渉決裂も覚悟してやっていくのでしょうか。
玉木氏:我々が国民と約束した政策ですので、できなければ予算は反対して。『すみません。できませんでしたけど、まだまだ我々力が足りないので、次の参議院選挙でまたお力をいただけませんか。その大きな力で、この政策を実現します』と言っていますから。
司会 :折り合いがつかないとなったら、石破政権に対して「不信任」を突きつけるようなことはあるのでしょうか。
玉木氏:それも選択肢として十分あると思いますね。我々は別に石破政権の延命のためにやってるわけではないので。やっぱり約束した政策を実現する。ご協力いただけるんだったらその範囲で協力するし。協力していただけないんだったらこちらもなかなか協力できないということだけなので。あとは選挙で問いなおすと言うことだけですね
司会 :維新・吉村代表はXで、「地獄の底まで本気で腹くくってやる、一緒に178万円目指してやろう、というなら協議しましょう」と発信しています。これについては…
玉木氏:『地獄の底までつき合う』ではなくて、一緒にどうせら天国に行ったほうがいいと思うので。上、上にね、こうすごいデフレ的な、こうなんかこう悪い悪いっではなくて、みんなでみんなで一緒に上に行こうと。どんな人も、みんなの所得をあげようということを力を合わせてやりたいなと思いますね
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