

1.大連立する選択肢はある
1月1日、石破総理はこの日放送した文化放送ラジオ番組で第2党の立憲民主党を含む大連立について問われ、「大連立をする選択肢はあるだろう」と述べる一方で、何のためにというのがない大連立というのは、一歩間違うと大政翼賛会になってしまうので、そこは気をつけなければいけない」とコメントしました。
また、立憲民主党の野田佳彦代表と日本維新の会の前原誠司共同代表との関係に触れ「中道政治を目指し、相通じるものがある。長い友人で信頼でき、裏切られたことが一度もない」とも述べ、秋波を送っています。
大政翼賛会とは、日中戦争の長期化に伴って1940年10月近衛文麿とその側近によって組織された官製国民統制組織です。各政党は解党してこれに参加。総裁には首相が、各道府県支部長には知事が就任することで、行政補助的役割を果たしました。
大政翼賛会は太平洋戦争の進展とともに国民統制力を強め、1942年4月の翼賛選挙を推進。この年の6月には従来各省の管轄下にあった国民組織運動団体をその傘下に収めました。今では、全体主義の代名詞とも目されています。
石破総理は先月29日のTBS番組で、野党と連立を組む可能性については「その都度どれだけ多くの党に賛同いただけるかということで、連立を視野に入れながらやっていくことではない」と否定的な考えを示していましたから、またブレたのかと見る向きもあります。
2.障害となるのは今の選挙制度だ
同じく1日に放送された日本放送のラジオ番組で、公明党の斉藤鉄夫代表は「大連立の障害となるのは今の選挙制度だ。大きな合意のくくりができるような制度を考える時期に来ているのではないか」と衆院小選挙区制度改革の議論を加速する必要性を指摘。24日召集予定の通常国会を念頭に、「合意形成の要となり、頑張りたい。結果的に大連立につながるような合意形成が図られる役割の先頭に立つ」と述べています。
実際、斎藤代表は先月28日に石破総理と会談していますから、水面下で立憲との大連立の話が進んでいるのかとも考えられなくもないのですけれども、石破総理の大連立も選択肢発言は、先月24日に収録されたものです。一連の発言を時系列で並べてみると次の通りです。
24日:石破総理、ラジオ番組収録 大連立は選択肢発言石破総理の発言は28日を境に変わったことが分かります。あるいは、28日の公明の斎藤代表との会談で、衆参ダブルと大連立の可能性について話をしたのかもしれません。
28日:石破総理、斉藤公明代表と会談
29日:石破総理、連立を視野に入れながらやっていくことではない発言
1日:公明代表、「大連立」へ選挙制度議論
けれども、その場では斎藤代表から色よい返事はもらえなかった。だから、翌日になって「連立を視野に入れながらやっていくことではない」といったのではないかという気もします。
一方、公明の斎藤代表は、連立相手との合意形成ができるのなら、大連立は否定しないが、そのためには、今の小選挙区制の改革が必要だ、と条件を付ける形で返答したとも受け取れなくもありません。
現在の小選挙区制では、一選挙区から1人しか当選しないため、立候補者は、どうしても、多くの得票が期待できる多数派に主張を寄せていくことになります。その結果、立候補者の主張がそれぞれ似通ってしまい、結果として少数派の主張がかき消されていきます。
公明にしてみれば、与党とはいえ、衆院24議席の少数政党です。自民と立民で大連立を組まれることで、公明党の主張が埋没し、次の選挙で更なる敗北を喫することを避けたい思惑もあるのかもしれません。
3.自民党の多くの議員は大連立を受け容れません
大連立も選択肢といいながら、大政翼賛会にしてはいけない、大連立を視野に進めるということではない、とかどこか保険というか、何かと「踵に重心」を残しながら発言する石破総理ですけれども、自民の青山繁晴参院議員は、1月1日、自身のブログで石破総理の発言に真っ向反発しています。
件の記事は次の通りです
▼石破総理がこの年末年始、盛んにオールドメディアに登場され、元日に放送の文化放送の番組では立憲民主党をはじめ野党との「大連立」について「大連立をする選択肢はあるだろう」と発言されました。一方で、年末放送のTBSの番組では「連立を視野に入れながらやっていくということではない」と逆の考えにとれる発言をされています。実に痛烈な批判です。青山議員は、大連立を掲げて参院選に突入すれば、我慢強く自民党を支え続けてきてくれた支持者さえ離れていくと警告しています。
日本国内閣総理大臣の発言がこれでは困ります。
評論家ではないのですから、国家観、歴史観をはじめ哲学をどっしりと根っこに据えた、ぶれない発言をされなければならないと考えます。自由民主党の現職議員として、諫言申しあげます。
▼大連立云々については、公明党の斉藤代表もニッポン放送の番組で「少数与党というなかで ( 公明党が ) 合意形成の要となり、結果的にそれが大連立につながるように先頭に立ってまいりたい」と発言しています。
公明党がどうであれ、自由民主党の多くの議員は、大連立を受け容れません。これは主観的見方ではなく、客観的情勢を申しています。
もしも石破総理が立憲民主党との大連立なるものを本気で進めようとされるのなら、それは隠れもない増税派の野田立憲民主党代表と組むことであり、また、総理時代から母系天皇の容認が持論の野田代表と組むことであって、この場合、わたしと同志議員は自由民主党の内部から強い異論を発することになるでしょう。
石破総理はまた、維新とも組むかのような発言を、この「大連立」をめぐってされています。わたしは自由民主党の大阪府連会長として維新に奪われている議席を取り戻す新しい努力を、府連の議員 ( 国会議員、地方議員 ) や自由民主党員と共に始めています。そこに総理総裁が、冷水を浴びせるような発言をなさっていいのでしょうか。
▼冒頭の写真は、総選挙に大敗したあと、去年11月に国会議事堂内で開かれた、自由民主党の両院議員総会です。
石破総理が敗北の責任を取られないまま、うつむいて紙を読まれて挨拶なさっています。総理、なぜ席がこのように空いているのでしょうか。うしろから撮ったこの写真ではよく分からなくても、実際は空席が目立ちました。これまでは満席で、立ったままの議員も多かった同じ部屋で、このように空席がある、戻れなかった衆議院議員が数多く居る、それが総選挙の大敗です。
大敗のもっとも根本的な原因は、自由民主党が本来の政策を見失って、岩盤の支持層をはじめ多くの支持者を喪失したことにあります。自由民主党中央のある党組織が、党本部に役員を集めて敗因を分析したとき、わたしを含めた出席役員が一致したのもこの点でした。大連立などに走れば、どれほど我慢強く踏みとどまってくださっている支持者も、去っていかれます。その客観的な現実がお見えにならないのですか。夏の参院選でまさか、大連立を掲げて、あるいは大連立を匂わせて、戦えるとお考えですか。
主権者の切実な日々の願いよりも、永田町の政党の数合わせをお考えであれば、わたしは不肖ながら背筋を伸ばして異論と諫言を申しあげます。
▼不肖わたしは、この夜が明ければ、国際テロ防止のための自主的な海外出張に出ます。
民主主義諸国の軍、治安機関、政府と連携して、また議論すべきは真正面から議論を戦わせて、民間専門家の時代から四半世紀を超えて続けている出張です。しかしこれほど、祖国への深い懸念を残して出発するのは初めてです。
石破総理、先に100歳で亡くなったカーター元合衆国大統領は、当時のソ連にひたすら宥和政策を採りました。それがソ連の他国への暴虐行為に繋がり、世界に新たな不安定と暴力を引き起こしました。カーターさんがのちにノーベル平和賞をお取りになっても、その事実は変わりません。
石破総理の対中政策は、その誤謬を思い起こさせます。
外交政策、国内政局のハンドリング、いずれも深刻でリアルな懸念と反感を、自由民主党の内部、そして広く主権者に呼んでいる現実を、立ち止まって正視してください。それが石破政権の年頭の優先課題であるべきです。
まぁ、総理をやっていると国民が何を考えているか分からなくなるといっているようでは、話になりません。このままでは、石破総理が居座れば居座るほど、自民はどんどんジリ貧になっていくのではないかと思いますね。
石破茂「総理大臣をやっていると世の中の人が何を考えているのかわからなくなる」
— 🇯🇵あるちゃん (@ZMBLb7B9fV7xKpN) January 1, 2025
は・や・く・や・め・て・く・だ・さ・い✨pic.twitter.com/DJIMst5IQR
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