

1.若者は国民民主支持
昨年12月14、15の両日に産経新聞社とFNNが実施した合同世論調査で、国民民主党の若者人気が改めて浮き彫りになっています。
18歳、19歳あるいは20代で25.4%が、30代は15.6%が国民民主を支持し、それぞれの年代で、国民民主が最も支持される政党となりました。18歳、19歳あるいは20代の男性は33.0%が国民民主を支持。2位は自民党の17.3%。3位がれいわ新選組で4.6%。立憲民主党は4.1%です。30代も2位は自民の13.5%。3位の立憲民主党は4.9%にとどまっています。
男女別でみると、国民民主は18、19歳あるいは20代の男性で、自民党支持の20.2%を上回って最も支持され、30代男性は13.2%で自民に次ぐ2位。40代男性では24.8%が支持し、この年代のトップとなっています。そして、18、19歳あるいは20代の女性では国民民主は17.3%、30代女性も18.2%で、それぞれトップ。
国民民主党の支持層に限ると、18歳、19歳、20代、30代、40代の年代を合わせて計67.5%と3分の2が若年層、現役世代となっています。
一方、立憲民主党の支持層はこの年代で計25.1%、自民党も計27.4%などと実に対照的な結果です。
国民民主党の全体の支持率は11.3%と、前回11月2~3日の調査から1.2ポイント増加。立憲民主党の9.0%(前回比4.7ポイント減)を抜き、自民党の28.1%(同2.3ポイント増)に次ぐ2位と躍進しています。
2.裏目に出た石破支持
石破内閣が発足して丸三カ月。10月に53.3%で船出してからの内閣支持率は、43.8%、45.9%と低位に沈んでいます。
ただ、自民党支持層での内閣支持率では、政権発足の10月に7割後半、総選挙に大敗し、内閣支持率が10ポイント急落した11月でも、自民党からの支持はむしろ上昇して8割になり、12月も引き続き8割に迫る支持を得ています。一方、政党支持率では、自民は10月に34.3%、11月25.8%、12月28.1%と減らしています。
政党支持率が減っているのに、党内支持率が高くなっているということは、自民党を支持する母数が減る中、石破寄りの層が残った。要するに保守が抜け、リベラルが残ったということだと思います。
昨年年初には絶対安定多数あった自公が、たった1年で少数与党となってしまった。
昨年12月30日、産経新聞はこの政局を作ったのは、石破総理、岸田前総理や菅元総理にあるとして、それぞれの番記者による対談記事を掲載しています。
その内容は次の通りです。
──令和6年の政局は、8月の岸田氏の総裁選再出馬断念から大きく動き出した
永原「岸田氏は首相(党総裁)として派閥パーティー収入不記載事件の収拾に追われ、内閣支持率が低迷する中、9月の総裁選で再選を目指し、出馬するかどうかせめぎ合っていた。今夏の段階でも出れば勝てるとの自信はあったが、最終的に身を引く決断をした。自民を何とか浮かび上がらせるためだ」
──その岸田氏を、菅氏は冷めた目で見ていたように思うが
大島「派閥解消など不記載事件への対応にはだいぶ不満をためていたようだ。首相を交代させたいとの思いはあっただろう。ただ、それも自民を守るという思いからだ」
永原「2人は安倍晋三政権時代からライバルで、因縁が深かった。菅氏は岸田氏を『ちょっと頼りない』と思っているし、岸田氏からすれば『何で自分が嫌われるのか』と食い違いがあった。それを払拭できなかったのは岸田政権にとっても不幸だった」
大島「安倍政権でともに重要閣僚を務めたのに、もう何年も一緒に会食もしていないはずだ」
──では、菅氏は「ポスト岸田」のシナリオをどう考えていたのだろうか
大島「令和5年から小泉進次郎元環境相を推そうと考えていたようだ。ただ、石破首相も、加藤勝信財務相も候補だったと思う。最終的には小泉氏が出馬を決断したことで応援しようとなった」
──石破首相は7月、東京都内の中華料理店で菅氏や武田良太元総務相と会食した。総裁選への協力要請かと思ったが…
大島「石破首相は出馬を調整していたが、菅氏に対し『総裁選、お願いします』と言わなかった。それで菅氏も武田氏も『なぜ言わないのか』『石破さんでいいのかな』との印象を受けたようだ」
──小泉氏は総裁選で決選投票にも進めず失速した
大島「菅氏にとっては想定外。『こんなに落ちてくるとは…』とぼやいていた。ただ、菅氏は当初から小泉氏の一本足打法ではなく、石破首相にも片足を載せていた」
永原「ここが不思議だが、岸田氏にとっての最初のベストシナリオも小泉氏だった。(旧岸田派ナンバー2の座長だった)林芳正官房長官が首相になれば一番良かっただろうが、今回の総裁選で実務型の林氏は、人気者の小泉氏や石破首相に対して勝ち抜くのは厳しい。そこで比較的政策が近く、『岸田外交』を引き継いでくれる小泉氏に目を付けた。総裁選は呉越同舟で菅氏と岸田氏が手を組んで小泉氏を推す構図だったが、小泉氏の失速は岸田氏にとっても誤算。セカンドシナリオで石破首相を推すのも、菅氏と一致していた」
大島「2人が一致していたのは、やはり自民党を勝たせるというゴール。衆院選で自民党を勝たせるのは小泉氏か石破氏…。そう考えていたが、石破首相が誕生しても通用しなかった。いつのまにか旧来型の『選挙の顔』となっていた」
──石破首相の担当記者としてどうか
末崎「総裁選への出馬意欲は当初、高くなかったのではないか。出馬を前に『自分は前回で終わった…』とこぼしていた。ただ、人気は高かった。報道で注目を集める中で次第にボルテージも上がった」
「それでも誰かに後ろ盾になってもらいたいという考えではなかった。好意を持ってくれた菅氏に対しても、積極的に支援を訴えることはなかったでしょ。総裁選になんとか出馬した後も厳しい状況は続いていたが、やはり討論が始まると、小泉氏が失速し、討論を長所にする石破首相に対する党内の雰囲気は変わった」
──高市早苗前経済安全保障担当相や小林鷹之元経済安保担当相との関係は
末崎「そもそもスタンスが違う。保守路線を取る2人に対し、石破首相の脳裏には中道的な支持層もあると思う。その支持を取るためには、高市、小林両氏と競るのではなく、対小泉氏が念頭にあったと思う」
──石破茂首相が総裁選で菅氏の力に頼らなかったのは、その後に人事などで自身が主導権をとる狙いだったのだろうか
末崎「振り返ると、石破首相は人事を含めて積極的に主導権を握ろうとするタイプではない。実利よりも理想を優先する人。イデア(理想)の世界に生きている。『イデアがないと政治家じゃないだろう』と言ったことがあって。まさしく、そういう原理で動いている。だから会食も行かない。推薦人や支援者を裏で回してもらうことを、極端に自分のポリシーじゃないと思っているところがある。『表の俺で選んでくれ、これだけ俺は議論しているんだから』。自負もあるのだろう」
──直近3首相は高市早苗前経済安全保障担当相や小林鷹之元経済安保担当相に主導権を渡さない点で一致していた
永原「岸田政権のレガシーは日韓関係の改善だ。高市氏が首相になると日韓関係がこじれ、米国との関係も悪くなり、積み上げてきた岸田外交が崩れる可能性があると考えたのだろう」
──菅氏も同じか
大島「そうかもしれない。党内には『右に寄り過ぎると真ん中が抜け落ちる』との危機感が一定数ある」
末崎「石破首相本人は幅広い無党派層に対するアプローチだった。選択的夫婦別姓の導入を否定しないのは、幅広い支持層を獲得する狙いがあるのだろう。ただ、石破首相自身の根幹は保守政治家だ。憲法改正では(戦力不保持などをうたった)9条2項の削除論を原則とするし、対米関係では自主独立路線であることに揺らぎはない」
──選挙に勝つために石破首相を誕生させたのに、自民は先の衆院選で少数与党に転落した
永原「岸田氏はじくじたる思いだ。自分が腹を切って政治とカネの問題を背負って退く決断をしたのに、(派閥パーティー収入不記載事件に関係した議員の一部を非公認にするなど)石破首相が問題を再び注目させた面はあるのでないか。非公認候補が代表を務める政党支部に党が2千万円を支給した問題もあり、完全に野党の土俵に上って衆院選をしてしまった。経済や外交でどう国民生活を豊かにするか、明瞭に語らなかったことも敗因だろう」
──選挙後は、「年収103万円の壁」問題を巡り、国民民主党の要求に耳を傾けざるを得ない状況になっている
永原「岸田氏にとっては『103万円の壁』以上に、『資産運用立国』など岸田政権で積み上げた経済政策の方が重要だと思っているのでないか。その延長上でデフレからの脱却はできる。衆院選で『ハングパーラメント』(宙づり議会)の状況になってしまい、そこはがっかり(している)」
──菅氏は党の副総裁となったが、今は石破首相を強力に支えている印象がない
大島「菅氏のスタンスは副総裁に就任した頃から『俺が前に出るわけじゃないから』だ。逆に言うと石破首相はもう少し菅氏を頼ればいいと思う。菅氏は国民民主党の榛葉賀津也幹事長とはツーカーの関係で、日本維新の会も旧執行部を含め、吉村洋文代表(大阪府知事)と連絡を取り合う仲だ」
──官邸の「独り相撲」的な部分が目立つ
末崎「いや。自らがっぷり四つに組み合うスタイルでなく、人に取ってもらって、結果黒星が目立ってしまっている状態だ。人に相撲を取ってもらっている感じだろう。岸田氏は首相時代はリーダーシップがあった。ただ、石破首相は『103万円の壁』や政治資金問題で具体的にどこで折り合うかなど、細かいところまで指示を出したようには見えなかった。聞くのは『そこは政策担当者が…』『政策担当者が…』。いや、そこは政権の命が懸かっている場面なので、『ここは折れないぞ』と指示を出すべきではないか」
──立憲民主党が求める企業・団体献金の禁止はのまない。ここは揺らいでいないと思うが
末崎「現時点では、死守するつもりだ。ただ今後の展開次第では、それすら危うい。支出先を非公開にできる『公開方法工夫支出』についても、当初は『必要』としていたが、党の幹部に『のまなければどうしようもない』といわれて『分かりました。見送る』というパターンだ。事前に防衛ラインを決めないから、どんどん下がっていってしまう。最終的に企業・団体献金の維持が最後の防衛ラインになった。3カ月、4カ月後はどうなるか分からない」
──菅氏も岸田氏もリーダーシップをとるタイプの首相だったが、石破首相の政権運営をどう見ているのだろうか
大島「石破首相は頭で考え過ぎだ。『民主主義はこうあるべきだ』とか『こうあらねばならんのだ』。そうではなくて、トップとして決めるべきときは決めに行く大胆さが求められるのではないか。あと、有力な側近がいないと政権は早期に危うくなる」
永原「思うに石破首相は、〝陰キャ〟である自分にあぐらをかき過ぎているのでは。私自身も陰キャなので、気持ちは分かる。海外首脳と交わることができないからスマートフォンをいじっちゃうというように。首相は仲間づくりが必要だ。岸田氏も菅氏も会合を重ね、味方を作って政権を運営してきた。石破首相は会合もやらず、本を読むのがスタイルだといっても、それを貫けるポジションではない」
末崎「その通りだと思う。今まで〝党内野党〟として敬遠されており、仲間づくりに踏み出せない面もあるだろう。ただ、もう少し手練れの政治家を周囲につけて、例えば一緒に会食している姿などを表に出せば求心力につながるのではないか。内閣発足から2カ月で会食がわずか9回にとどまっているという記事も読んでくれたようなので、今後に期待したい」
──石破首相の長所は
末崎「面倒見が悪いとか、他人への関心が低いなどと指摘されがちだが、そんなこともない。例えば衆参の予算委員会では、対峙した議員の経歴など与野党問わず細かく覚えている。総理番に対するぶら下がり取材も『お待たせしました』『あら、こんなに集まって』などと一言入れる。場が和らぐのは石破首相のキャラクターでしょう」
──令和7年に「石破おろし」の動きはあるか
大島「菅氏は動かないと思う。ただ、党内で『石破おろし』が起きた際、それを押さえ込むかどうかまでは見通せない。ただ…石破政権の奇妙で不思議な安定ぶりは続いていくのではないか。石破首相は答弁力もあるし、派閥の力学もなくなり、なんとなくヌルヌルとしながら7月の参院選までたどり着く。その後は選挙結果次第でしょう」
──有権者の支持を集めるためにカギになるものは
大島「何を打ち出すか。有権者は希望を持てる政策を求めている」
永原「自民党は国民を活気づかせるような政策を出せていない。国民民主党が打ち出した政策には民意が応えた。党内には活気があるし、自信もついている。自民が欠けている面だ」
──「ポスト石破」を考えると…菅氏は小泉進次郎元環境相をどう評価しているか
大島「恐らく、しばらくは勉強期間と思っているのでは。先の自民総裁選で小泉氏を支援した議員の間でも『ちょっとしばらく無理だ』という声が聞こえる。先の衆院選直後に党選対委員長を辞めたのも『敵前逃亡だ』と評判が良くない」
──岸田氏が再登板する可能性は
永原「可能性はある。外交、経済が滅茶苦茶になり、経験者で岸田氏にお願いするしかないという〝救国内閣〟が必要になった際はやると思う。それ以外のパターンではまずないだろう」
──石破首相は昨年10月の就任直後から「おろし」の可能性が指摘されている
末崎「首相自身は、今年の参院選前に降ろされる可能性は少ないと感じているのでないか。『今自分を降ろしても自民への風向きは変わらない。ほかに誰が肩代わりしたいというんだ。俺がやる』という思いを持っているはずだ」
──今の政権運営には「石破カラー」が見えないとの指摘が多い
末崎「少数与党ですよ。消極的にならざるを得ない。首相も『この状況でどうして石破カラーを出せるというのだ』という気持ちでしょう。ただ、このままズルズル行くのではなく、国民に響くキャッチコピーでも打ち出してほしい」
──菅氏は今年どう動くか
大島「菅氏は首相に対し、政権が安定するような政策を打ち出しながら、野党との交渉も戦略的に行ってほしいと思っているのではないか。菅氏は野党との交渉役として実績がある」
──岸田氏はどうか
永原「とにかく外交と経済をしっかりやってほしいとの思いだろう。外交面で岸田政権は大きな成果を残した。1月にはトランプ氏が米大統領に就任する。韓国の政情も不透明だ。岸田氏も外交で自身を頼ってほしいと思っているのでないか」
──今年、石破首相はどんな思いで臨むのか
末崎「今まで勉強に勉強を重ねてきた。発揮するときは今だ。ただ、石破首相は一歩引いてしまうところがある。このまま惰性で動いた挙げ句、夏の東京都議選や参院選に負け『終わりました』となってはもったいない」
──衆院では野党が多数を握る。万一衆院で内閣不信任決議案が可決されたら、石破首相は退陣でなく衆院解散を選ぶのではないか
末崎「首相は『総理・総裁の椅子にしがみついているわけじゃない』と言うが、5回も総裁選に出馬しており、首相としてやりたいことがあるはずだ。言葉の端々に『なぜ俺がやめなければならないんだ』という気持ちを感じる。衆院解散してもおかしくないと思いますよ」
自民を総選挙で勝たせるために、岸田前総理は身を引いたが、裏目に出た。右に寄り過ぎると真ん中が抜け落ちると思って、少し左によってみたら、真ん中から右がいなくなった。そうして出てきた答えが少数与党です。
3.素顔の石破
産経は1月4日から、石破総理について、番記者から見た素顔はこうだと、覆面座談会の連載記事を始めています。4日付の記事を引用すると次の通りです。
──石破首相の印象は裏切り者との世間の評判とは裏腹に身近で接すると、実直さや温かさを感じるとのことです。人としてみれば悪い人ではないのかもしれません。
A記者「最初は良い印象はなかった。『なんだ、この人…陰気なキャラクターだ』というような…。でも、首相はかめばかむほど味が出てくる。少し好きになる」
──首相はシャツの裾が出ていたり、おにぎりを一口でほうばったりする所作が、SNSで批判された
A「そういうところも含め、人間味でしょう。誤解を恐れずに言えば、石破内閣は『スクールカースト』(中高生の教室内での見えない序列)が下の人たちが多そう。私も陰キャだったので、逆に共感できる」
B記者「官邸でぶら下がり取材をお願いすると『分かりました。ちゃんと話しますから待ってくださいね』と一瞬一瞬、誠実に相対しようとしている。1、2週間では分からないかもしれないが、エリートでスマートな政治家よりも実直さや温かさを感じる気がする」
──温かさとは
B「国会審議で答弁が難しい政策に関しても、『苦しんでいる人がいるのは分かります』と一度受け止めるプロセスを踏む。最初から、むげな対応は取らない」
C記者「私も実直さや人間味に共感する。最近、官邸に大阪・関西万博の公式キャラクター『ミャクミャク』のぬいぐるみが置かれたが、首相は前を通る際に話しかけて『これ、しゃべらないね』といったり、帰るときに手を振ったりする。随行する秘書官も首相番も笑っていた。もしかしたら相当疲れていて、癒やしを求めているのかもしれない」
A「歴代首相は移動する際は秘書官がカバンを持つが、首相の場合、自分でカバンを持って退邸するシーンがあった」
──逆に、イラっと感じる場面は
A「番記者の間で一致しているのは、首相の声が小さいこと。悪意を感じるほどだ。官邸の会議室で発言する際、声が小さすぎて記者団は聞き取れない。また、首相は息を吐きながらしゃべり、語尾が走って切れてしまう特徴がある。『それについては…☆△◎◇✕』とね」
B「首相肝いりの政策であるかどうかで、発言のトーンが変わる。思い入れの強い地方創生や『防災庁』設置については明瞭に聞き取れる。一方、定例の会議でのあいさつは覇気がなく、気持ちが乗っていないことが透けてみえる」
A「経済政策は、紙を読みながら小さな声で早く語る。ところが、地方創生と防災の分野になると『…なんぞということは、あってはならんのであって』と首相が好きな表現が出る。それも含めて人間味だ。好きなことに熱意をもって取り組んでいることの証左だろう」
──首相最側近の赤沢亮正経済再生担当相はどうか
A「目立ちたがりな人なんだろうな。陰キャ集団に声が大きい人が1人はいる。それが赤沢氏だ。頻繁に官邸に立ち寄り、帰る際に記者団に『首相と会って何を話したのか』と尋ねられると、すごくうれしそう表情になる。『え、なに。ここで話したらいいの』といった感じに」
C「首相と赤沢氏がほぼ同時に退邸する際、首相向けに準備したスタンドマイクの前で話そうとして、周囲のひんしゅくを買ったこともある」
A「国会答弁で、赤沢氏が半笑いで『いやいや、それはね』というしゃべり方をすることがあるが、首相は重々しく『それについてはね…』と話す。コントラストで首相の誠実さを際立たせている。赤沢氏の存在は、首相にとって良いスパイスになっているのではないか」
けれども、それと総理の職務が務まるかとは別の話です。
4.石破に立ちはだかる三つの壁
ネットの一部で、石破総理の新年挨拶動画が話題になっています。
それは、動画で石破総理が「世の中の人が何を考えているのかなっていうのが、総理大臣やっていると段々わからなくなってきます」と述べた部分がクローズアップされ、拡散しました。
当然ながら、国民の気持ちが分からないのなら早くやめろと批判の声が殺到しています。
ただ、動画を通してみると、問題の箇所は、「総理になってしまうと庶民の中に入って、その声を聞く機会が減ってしまい。その本音が分かりにくくなってしまった。それでも、自分は一国会議員という気持ちを忘れないようにしたい」という意味合いで述べたように筆者には聞こえました。
ただ、この発言は、常に国民の声を聞いてレスポンスしている政治家。例えば、国民民主の玉木氏が毎日のようにライブ動画配信して、同時接続視聴者とコンタクトしているような人がいうなら、自らの戒めの言葉だと受け止めてくれるかもしれませんけれども、そうでない人が口にすると、周囲を不安がらせてしまうだけのように思います。
産経は1月4日付の記事「少数与党の石破首相が今年直面する3つの「壁」 乗り越えた先に衆参ダブル選も!?」で、石破総理が今後直面する3つの壁について次のように解説しています。
予算案衆院通過の壁:衆院では野党各党が結束すれば反対多数で予算案を否決できる。1年間の政府のあらゆる施策の裏付けが予算案で、成立しなければ石破政権は絶体絶命となる。この3つの壁の中で最大の難関はやはり「内閣不信任案の壁」ではないかと思います。回避するには野党と連立、大連立を組むか野党が要求する法案を丸呑みして土下座する。あるいは起死回生を狙っての解散総選挙くらいしかありません。
石破おろしの壁 :無事に予算を成立させても「石破おろし」というリスクがある。自民内で首相を引きずりおろそうという動きはほぼないが、それは党内抗争の余裕がないほどの危機的状況の裏返しでもあり、不満がたまっていないわけではない。
内閣不信任案の壁 :今春の退陣を回避した場合、通常国会会期末が近づく6月ごろ、野党が内閣不信任決議案の提出を検討する流れになる。野党各党が一致すれば不信任案を可決し、首相に内閣総辞職か衆院解散を迫ることができる。
ただ、前述した番記者座談会の内容を見る限り、筆者は石破総理について「実直で真面目だが、決断できない人」という印象を強く受けました。後ろから弾を撃つくせに自分は被弾したくない。ゆえに絶対確実安全な状況以外では動かない。そんな行動原理を持っているように見えます。
よく石破総理に対し「評論家だ」などという批判があるのも、おそらく、評論家であれば、自分が被弾することがないからでしょう。だから評論家の立ち位置に自らを置きたがる。
平たく言えば、矢面に立つタイプではないということです。
けれども、総理は矢面に立ってナンボです。矢面に立つのが「しんどい」のであれば、一刻も早く自ら退くべきだと思いますね。

この記事へのコメント