

1.麻生ルートを潰した石破と岸田
1月7日、石破総理は東京都内の日本料理店で、岩屋毅外相と武藤容治経済産業相の同席の下、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長と会食しました。孫氏は昨年12月、アメリカでトランプ氏と会談していたことから、会食では石破総理が模索する2月以降の訪米とトランプ次期大統領との首脳会談に向け、意見交換したようです。
実際、孫氏は、会食後記者団に「首相から『日米関係が大事だ。いろいろ教えてほしい』といわれ、忌憚のない話をした」と説明。トランプ氏らの経済政策や人工知能戦略などが話題に上ったと語っています。
なぜ、急にそんな会食をしたのかについて、経済評論家の渡邉哲也氏は「せっかく、昭恵さんが作ってくれた麻生ルートが使えなくなった(岸田に賛同し就任前の会談を忌避した)ので、別ルートを探しているわけですね。 無理です。」とツイートしています。
確かに安倍元総理の昭恵夫人がトランプ氏に石破総理との会談をお膳立てしていたのを石破総理が見送っていましたけれども、なぜ見送ったのかについて、同じく渡邉氏は次のようにツイートしています。
昭恵さんトランプ会談、昭恵さんが当選祝いの電話、その際に直接お祝いしたいと述べた。民間人なので、就任後の会談はハードルが高い。メラニア夫人が夕食に誘う電話、アレンジメントを麻生事務所に頼み、薗浦健太郎(元麻生秘書官)がアテンドした、石破総理からの会談要望を伝えたが、岸田が潰した
なんと、石破総理がトランプ氏の大統領就任前の会談を見送ったのは岸田前総理の横槍だったというのですね。
このツイートに、なぜ潰したんですか?という質問リプライがついたのですけれども、これに対し、渡邉氏は「大きな宿題を与えられると政権が持たなくなるので、先延ばしを考えたのだと思います。政権潰れたら岸田さんが一番の戦犯になりますから、」と返答しています。
多少先延ばししたところで、それで状況が変わるとも思えません。たんなる延命策にしても稚拙に過ぎます。
せっかく、昭恵さんが作ってくれた麻生ルートが使えなくなった(岸田に賛同し就任前の会談を忌避した)ので、別ルートを探しているわけですね。 無理です。 https://t.co/UJWfuRMXWg
— 渡邉哲也 (@daitojimari) January 8, 2025
昭恵さんトランプ会談、昭恵さんが当選祝いの電話、その際に直接お祝いしたいと述べた。民間人なので、就任後の会談はハードルが高い。メラニア夫人が夕食に誘う電話、アレンジメントを麻生事務所に頼み、薗浦健太郎(元麻生秘書官)がアテンドした、石破総理からの会談要望を伝えたが、岸田が潰した
— 渡邉哲也 (@daitojimari) January 8, 2025
2.安倍と言う名前を聞いただけで
昨年末、石破総理は総理の職について「今までやってきた大臣の5倍10倍はしんどい」とか「新聞はほめてくれない、ネットを見たら悲しくなる」とか愚痴っていることが報じられましたけれども、これについて、1月6日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した橋下徹氏は次のような興味深い情報を提示しています。
(Q.その立場に立たなければ分からない部分もあったのか?)評論家から責任者の立場に立って、その辛さが身に沁みた。後ろから弾を打つことの非礼さがやっと分かった、ということなのでしょうけれども、総理になってやっと分かるようでは、ちょっと感度が鈍すぎます。
橋下徹氏:もちろん一国の総理と、大阪の知事、市長は全然、次元もレベルも違いますけれども、トップの共通点は最後、相談して誰かに決めてもらうことができない。全部、自分で決めなきゃいけない。だから石破さんも周辺に、『自分で決めることが、こんなにしんどいのか』と。
橋下徹氏:石破さんは、安倍政権の時に、安倍さんを批判してたことで国民の支持を得たところがありました。安倍さんに対する批判について『やっぱりあれは、ちょっとまずかったかな』、『安倍さんのしんどさを今になって分かった』と言っているみたいです。
(Q.石破さんは党内野党という立場でやってきたけれども今、自分が総理大臣になって安倍さんの立場がちょっと分かるようになったと?)
橋下徹氏:党内で批判的な意見が出ないと独裁国家になるから、批判的な意見を出すのは当然なんだけど、やっぱりこの総理のしんどさを分かって、リスペクトした上で批判していかないといけないと思います。
総理という職は貴方の欠点を矯正し、教育する場ではありません。ずっと前に終えておくべきものです。
これで石破総理が安倍元総理をリスペクトするかといえば、必ずしもそうでもないようです。
ネットに、評論家の櫻井よしこ氏が「石破さんは安倍さんの反対をを行こうとしてる。安倍さんの時はこう言う風にトランプさんとやったと官僚がレクすると、とても不機嫌になるんですって、安倍と言う名前を聞いただけで。石破さんは理屈の人、自分も理屈をこねるのがうまいと思ってる。必ず失敗する」と発言している動画が出回っていますけれども、これが本当であれば、やっぱりケツの穴が小さいといわざるを得ません。
総理という職は貴方の欠点を矯正し、教育する場ではないのです。
【石破xトランプ】櫻井よしこ氏「石破さんは安倍さんの反対をを行こうとしてる。安倍さんの時はこう言う風にトランプさんとやったと官僚がレクすると、とても不機嫌になるんですって、安倍と言う名前を聞いただけで。石破さんは理屈の人、自分も理屈をこねるのがうまいと思ってる。必ず失敗する」 pic.twitter.com/S84WsEcCBq
— Mi2 (@mi2_yes) January 8, 2025
3.年頭記者会見
1月6日、石破総理は年頭記者会見を行いました。日経新聞からその要旨は次の通りです。
【政権運営】いの一番が「政権運営」ときました。少数与党の厳しさを感じさせます。ただ、「衆院選挙制度」を掲げ、多くの民意が政治に適切に反映されることが重要だと述べているのには少し引っかかるものがあります。
少数与党となったが、国政を預かる立場から現在と次の世代の国民に対して責任を持つ「責任与党」でなければならない。野党の賛成を得なければ法案も予算案も通せない。野党にもこれまで以上に責任を共有してもらうことが求められる。野党の支持者や無党派の方々に理解していただけるよう、誠心誠意努力したい。今の時点で野党との連立を考えているわけではない。
【衆院選挙制度】
約30年の現行制度の歴史を踏まえ、党派を超えた検証が必要だ。多くの民意が政治に適切に反映されることが重要だ。
【USスチール買収】
日本の産業界から日米間の投資に懸念の声が上がっていることを重く受け止めざるを得ない。払拭に向けた対応を米政府に強く求めたい。なぜ安全保障の懸念があるのかはきちんと述べてもらわないと話にならない。いかに同盟国であろうとも、これから先の関係において非常に重要だ。
【企業・団体献金】
真摯に議論し、成案が得られるよう努めていく。問題の本質は、民主主義のコストを誰が負担するべきかということだ。与野党の枠を超えて議論を深めていきたい。
【社会保障改革】
制度の持続可能性を維持、強化することが重要だ。全世代型社会保障の構築に加え、地域共生社会の実現などが鍵だ。年金制度は与党も野党もなく合意を探ることが求められる。各党の建設的な議論を切に期待する。
【トランプ次期米大統領との会談】
現在まだ確定していない。最もふさわしい時期に、ふさわしい形で実現するよう調整している。
【北朝鮮ミサイル】
打ち上げ頻度が非常に高く、回数を重ねるごとに技術が上がっていることに重大な懸念を持っている。
【地方創生】
「令和の日本列島改造」と位置づけ、強力に推し進める。一極集中を見直し、多様性を未来への力としていく。新たに創設を目指す防災庁も含め、地方移転を強力に推進する。
【最低賃金】
2020年代に全国平均1500円に引き上げる目標に向け、国として最大限の対応策を講じる。
【リニア中央新幹線】
岸田前政権が進めてきた環境整備をさらに加速させていきたい。政府として、できる支援はしたい。
それは裏を返せば、今の選挙制度が民意を反映していないともとれるからです。それでは、手取りを増やすという公約を掲げた国民民主が大躍進を遂げたという分かりやすい民意は何なのか。
あるいは、比例票は横這いだった立憲民主が見かけの議席で増えているのは民意じゃないというのであれば、まだ分かります。
石破総理は「ヘビは脱皮を繰り返し大きくなっていくことから、再生や進化の年とも言われる」と、今年が巳年であることに触れ、田中角栄元首相の「日本列島改造論」を引き合いに出し、地方創生を「成功させなければ日本に将来はない」と意気込んでみせるものの、従来の政策の延長線上のものが多く、新味に乏しいとも指摘されています。
また、石破総理が掲げる「楽しい日本を目指す」と訴えたが、自民党内若手からは「分かりづらい」との厳しい声が上がったそうです。
少数与党の打開策を巡っては、1日放送のラジオ番組で「大連立」に言及したことも、年頭会見では「今の時点で考えていない……私はそのようなことを一回も言ったことがない。そういう可能性はありますよねということを申し上げた」と火消に追われる始末。守りの姿勢に終始しています。聞いていて「ワクワク」しません。
4.二ヶ月で判断された
1月4日、5日の両日、JNN行った世論調査によると、石破内閣の支持率は前回の調査から0.7ポイント下落し、41.4%。不支持率は前回の調査から2.8ポイント上昇し、55.2%となりました。
石破総理にいつまで総理を続けて欲しいかについては「出来るだけ長く」が22%、「25年予算が成立する春頃まで」が19%、「夏の参院選まで」が36%、「直ちに交代」が16%と、実に7割近くが参院選までに辞めることを望むという結果です。
けれども、去年の衆院選直後の11月2~3日に同じくJNNが行った世論調査では、衆院選敗北を受けて、石破総理が責任をとって辞任すべきかどうか聞いたところ、「辞任すべき」は21%、「辞任する必要はない」は71%と、今回調査の反対の結果が出ていたのですね。
わずか2カ月でこれです。
昨年11月の段階では、敗北は石破総理の責任ではないと見られていたのが、この2カ月で今度は、石破総理として国民の判断が下されたとみてよいのではないかと思います。
総理はしんどい、とか、新聞はほめてくれないとかいっている間に国民はどんどん答えを出していっています。
巳年を言うのなら自らどんどん脱皮してこそ。総理という職は、貴方の欠点を矯正し、教育する場ではありません。
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