トランプの大統領就任と石破の外交手腕

今日はこの話題です。
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1.ドナルド・トランプ就任演説


1月21日、アメリカのドナルド・トランプ大統領がワシントンDCで2回目の大統領就任演説を行いました。演説全文は次の通りです。

みなさん、本当にありがとう。本当にありがとう。ヴァンス副大統領、ジョンソン議長、スーン上院議員、ロバーツ首席判事、合衆国最高裁判所判事、クリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領、バイデン大統領、ハリス副大統領、そして国民のみなさん、アメリカの黄金時代は今から始まります。

この日から、我が国は再び世界中で繁栄し、尊敬されるようになるでしょう。我々はすべての国の羨望の的となり、これ以上利用されることは許しません。トランプ政権の毎日、私はアメリカを第一に考えていきます。

我々の主権は回復され、安全は回復され、正義の天秤は再び均衡を取り戻すでしょう。司法省と我々の政府による悪意に満ちた、暴力的で不公平な武器化は終わります。

そして、我々の最優先事項は、誇り高く、繁栄し、自由な国家を創ることです。アメリカは間もなく、かつてないほど偉大で、強く、そしてはるかに優れた国になるでしょう。私は、国家の成功というワクワクするような新しい時代の始まりにいるという自信と楽観を持って大統領職に復帰します。変化の波が国を席巻し、太陽の光が世界中に降り注いでいます。そして、アメリカにはかつてないほどこの機会をつかむチャンスがあります。しかし、まず、我々は直面している課題について正直にならなければなりません。課題は数多くありますが、世界が今アメリカ合衆国で目撃しているこの素晴らしい勢いによって、それらは打ち消されるでしょう。

今日私たちが集まっている今、私たちの政府は信頼の危機に直面しています。長年にわたり、過激で腐敗した体制が国民から権力と富を搾取し、私たちの社会の支柱は崩壊し、一見完全に破損しているように見えました。現在の政府は、国内の単純な危機にも対処できず、同時に国外では次々と悲惨な出来事に見舞われています。政府は法を順守する素晴らしいアメリカ国民を守ることができず、世界中から不法に入国した刑務所や精神病院にいる​​危険な犯罪者を避難所や保護施設に提供しています。私たちの政府は外国の国境防衛には無制限の資金を提供してきましたが、アメリカの国境、さらに重要なことに、自国民を守ることを拒否しています。

我が国は、緊急事態の際にもはや基本的なサービスを提供できない状態にあります。ノースカロライナ州の素晴らしい人々がひどい扱いを受け、他の州では数か月前に発生したハリケーンに今も苦しんでいます。最近ではロサンゼルスで、数週間前に発生した火災が防護の兆しもなく悲惨な形で燃えているのを私たちは見ています。火災は家や地域に広がり、我が国で最も裕福で権力のある人々にも被害を与えています。その中には今ここに座っている人もいます。彼らにはもう家がありません。これは興味深いことです。しかし、このような事態を放置することはできません。誰も何もできないのです。これは変わります。我が国の公衆衛生システムは災害時には機能しませんが、世界中のどの国よりも多くの資金が費やされています。そして、教育システムは多くの場合、子供たちに自らを恥じ、必死に愛情を与えようとしているにもかかわらず、国を憎むように教えています。これらすべては今日から変わり、しかも非常に急速に変わるでしょう。

私の最近の選挙は、ひどい裏切りと、これまで起こった多くの裏切りのすべてを全面的に覆し、人々に信仰、富、民主主義、そして自由を取り戻すという使命を帯びています。この瞬間から、アメリカの衰退は終わりました。

我々の自由と国家の栄光ある運命はもはや否定されず、我々はアメリカ政府の誠実さ、能力、忠誠心を直ちに回復します。過去 8 年間、私は 250 年の歴史の中でどの大統領よりも多くの試練と挑戦を受け、その過程で多くのことを学びました。我々の共和国を取り戻す道のりは容易なものではありませんでした。我々の目的を阻止しようとする者たちは、私の自由を奪おうとし、さらには命を奪おうとしました。ほんの数か月前、美しいペンシルベニアの野原で、暗殺者の銃弾が私の耳を貫きましたが、その時も、そして今も、自分の命が救われたのは理由があったからだと感じています。私は神によって救われ、アメリカを再び偉大にしました。本当にありがとうございます。だからこそ、我々の政権下では毎日、

アメリカの愛国者たちよ、我々はあらゆる危機に尊厳と力と強さを持って立ち向かうよう努めます。我々は目的を持って迅速に行動し、あらゆる人種、宗教、肌の色、信条の国民に希望、繁栄、安全、平和を取り戻します。アメリカ国民にとって、2025年1月20日は解放記念日です。先日の大統領選挙が我が国史上最大かつ最も重要な選挙として記憶されることを私は望みます。我々の勝利が示したように、国全体が我々の政策のもとに急速に団結し、老若男女、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、アジア系アメリカ人、都市部、郊外、田舎など、社会のほぼすべての要素からの支持が劇的に増加しています。そして非常に重要なことに、我々は7つの激戦州すべてで力強い勝利を収め、何百万人もの人々の投票で勝利しました。
黒人およびヒスパニックのコミュニティの皆さん、皆さんの投票によって私に示してくれた多大な愛と信頼に感謝します。私たちは記録を樹立しました。私はそれを忘れません。選挙運動で皆さんの声を聞いてきました。これからの数年間、皆さんと一緒に働けることを楽しみにしています。今日はマーティン・ルーサー・キング・デーです。彼に敬意を表して、これは大変な名誉ですが、彼に敬意を表して、私たちは彼の夢を現実にするために共に努力します。私たちは彼の夢を叶えます。ありがとうございます。今、アメリカに国民の団結が戻りつつあり、自信と誇りがかつてないほど高まっています。私たちが行うすべてのことにおいて、私の政権は卓越性とたゆまぬ成功への強い追求によって鼓舞されます。私たちは私たちの国を忘れず、私たちの憲法を忘れず、私たちの神を忘れません。それはできません。今日、私は一連の歴史的な大統領令に署名します。これらの行動により、私たちはアメリカの完全な復興と常識の革命を開始します。すべては常識に関することです。

まず、私は南の国境で国家非常事態を宣言します。すべての不法入国は直ちに停止され、何百万人もの犯罪を犯した外国人を出身地に送還する手続きを開始します。メキシコに留まる政策を復活させます。捕獲して放す慣行を終わらせ、我が国への悲惨な侵略を撃退するために南の国境に軍隊を派遣します。本日私が署名した命令に基づき、カルテルを外国テロ組織に指定します。そして、1798年の外国人敵対法を発動し、連邦政府と州政府の法執行機関の完全かつ強力な権限を使用して、都市やスラム街を含む米国本土に壊滅的な犯罪をもたらすすべての外国のギャングと犯罪ネットワークを排除するよう政府に指示します。最高司令官として、脅威と侵略から国を守ること以上に重大な責任はありません。そして、まさにそれを実行するつもりです。我々は、これまで誰も見たことのないレベルでそれを実現します。

次に、私は閣僚全員に、記録的なインフレを打破し、コストと価格を急速に引き下げるために、彼らが使える膨大な権限を結集するよう指示します。インフレ危機は、莫大な支出超過とエネルギー価格の高騰によって引き起こされました。そのため、私は本日、国家エネルギー非常事態も宣言します。私たちは掘削します。アメリカは再び製造業国家となり、他のどの製造業国家も決して手にすることのない、地球上のどの国よりも大量の石油とガスを有しており、それを活用するつもりです。活用するつもりです。価格を下げ、戦略的備蓄を再び満たし、上限まで引き上げ、アメリカのエネルギーを世界中に輸出します。私たちは再び豊かな国となり、それを実現するのに役立つのは、私たちの足元にある液体の金です。今日の私の行動により、グリーン・ニューディール政策を終了し、電気自動車の義務化を撤回し、自動車産業を救い、偉大なアメリカの自動車労働者との神聖な誓いを守ることができます。言い換えれば、皆さんは自分の選んだ車を買うことができるのです。私たちは、ほんの数年前には誰も夢にも思わなかったペースで、再びアメリカで自動車を生産するでしょう。そして、私たちの国の自動車労働者の皆さんの感動的な信任投票に感謝します。彼らの投票で私たちは大きな成果を上げました。

私は、アメリカの労働者と家族を守るために、直ちに貿易制度の見直しに着手します。他国を豊かにするために国民に課税するのではなく、国民を豊かにするために外国に関税と課税を課します。この目的のために、私たちはすべての関税、税金、歳入を徴収する外貨収入庁を設立します。これは外国から国庫に流れ込む膨大な金額になります。アメリカンドリームはすぐに復活し、かつてないほど繁栄するでしょう。連邦政府の能力と効率性を回復するために、私の政権は真新しい政府効率化省を設立します。

連邦政府が何年にもわたって違法かつ違憲的に表現の自由を制限してきた後、私はすべての政府による検閲を即時停止し、アメリカに言論の自由を取り戻すための大統領令に署名します。国家の強大な権力が政治的反対者を迫害するために武器として使われることは二度とありません。私はそのことをよく知っています。私たちはそのようなことが起こるのを許しません。二度と起こらないようにします。私のリーダーシップのもと、私たちは憲法に基づく法の支配のもとで公正、平等、公平な司法を回復し、都市に法と秩序を取り戻すつもりです。

今週、私は公的生活と私的生活のあらゆる側面に人種と性別を社会的に操作しようとする政府の政策も終わらせます。私たちは肌の色にとらわれず、実力主義の社会を築きます。今日から、性別は男性と女性の 2 つだけというのが、今後米国政府の公式政策となります。

今週、私は腰痛を抱えながら新型コロナウイルスワクチン接種義務化に反対したために不当に軍から除名された軍人を復職させます。そして、任務中に過激な政治理論や社会実験にさらされることを兵士に禁じる命令に署名します。これは即時終了します。我が国の軍隊は、アメリカの敵を倒すという唯一の任務に自由に集中できるようになります。2017年のように、我々は再び世界史上最強の軍隊を築きます。我々は勝利した戦闘だけでなく、終わらせた戦争、そしておそらく最も重要なことですが、決して戦争に巻き込まれなかったことで成功を測ります。私が最も誇りに思うのは、平和の使者であり統一者になることです。それが私がなりたい姿です。平和の使者であり統一者です。就任前日の昨日の時点で、中東の人質が家族の元へ帰還しつつあることを嬉しく思います。ありがとうございます。

アメリカは、地球上で最も偉大で、最も強力で、最も尊敬される国としての正当な地位を取り戻し、全世界に畏敬と賞賛を呼び起こすでしょう。今から間もなく、メキシコ湾の名前がアメリカ湾に変更され、偉大な大統領ウィリアム・マッキンリーの名前が、本来あるべき場所であるマッキンリー山に戻されます。マッキンリー大統領は、関税と才能によって我が国を非常に豊かにしました。彼は生まれながらのビジネスマンであり、テディ・ルーズベルトに、彼が行った多くの偉大な事業のための資金を与えました。その中には、愚かにも米国の後にパナマ国に譲渡されたパナマ運河も含まれます。考えてみてください、米国は、パナマ運河の建設に、これまでのどのプロジェクトにも費やしたことのないほどの資金を費やし、38,000人の命を失いました。我々は、決してなされるべきではなかったこの愚かな贈り物によって、ひどい扱いを受け、パナマの我々に対する約束は破られました。我々の取引の目的と条約の精神は完全に侵害されました。アメリカの船舶は、米海軍を含め、いかなる形においても、ひどく不当な料金を請求され、公平な扱いを受けていません。そして何よりも、中国がパナマ運河を運営しています。そして、我々はそれを中国に与えたのではありません。我々はそれをパナマに与え、そしてそれを取り戻そうとしているのです。

何よりも、今日のアメリカ国民への私のメッセージは… 今こそ、歴史上最も偉大な文明の勇気と活力、そして生命力をもって行動するときです。国を解放するにあたり、私たちは国を新たな勝利と成功の高みへと導きます。私たちは決してひるみません。私たちは力を合わせて慢性疾患の蔓延を終わらせ、子どもたちを安全で健康に、そして病気のない状態に保ちます。米国は再び成長する国であると自認します。富を増やし、領土を拡大し、都市を建設し、期待を高め、国旗を新しい美しい地平線へと掲げる国です。そして私たちは星に向かって自らの運命を追い求めます。アメリカの宇宙飛行士を打ち上げ、火星に星条旗を掲げます。

野心は偉大な国家の生命線であり、今、我が国は他のどの国よりも野心的です。我が国のような国は他にありません。アメリカ人は探検家であり、建設者であり、革新者であり、起業家であり、開拓者です。開拓精神は我々の心に刻まれています。次の偉大な冒険への呼び声が我々の魂の中から響き渡り、我々アメリカ人の祖先は広大な大陸の端にある小さな植民地の集まりを、地球上で最も並外れた市民が集まる強力な共和国へと変えました。これに匹敵する者はいません。アメリカ人は何千マイルも荒れ果てた荒野を進んでいきます。彼らは砂漠を横断し、山をよじ登り、計り知れない危険に立ち向かい、開拓時代の西部を勝ち取り、奴隷制度を終わらせ、数百万の人々を圧政から救い、数十億の人々を貧困から救い、電気を利用し、原子を分裂させ、人類を天空へと導き、人類の知識の宇宙を人間の手のひらに載せました。我々が力を合わせれば、できないことはないし、達成できない夢もない。多くの人々は、私がこのような歴史的な政治的カムバックを果たすことは不可能だと思っていたが、今日ご覧のとおり、私はここにいる。アメリカ国民の声は届いたのだ。

今、私は皆さんの前に立っていますが、これは、何かが不可能だなどと決して信じてはいけないという証拠です。アメリカでは、不可能なことが最も得意とする分野です。ニューヨークからロサンゼルス、フィラデルフィアからフェニックス、シカゴからマイアミ、ヒューストンからここワシントン DC まで、私たちの国は、権利と自由のためにすべてを捧げた何世代もの愛国者たちによって築かれ、築かれました。農民や兵士、カウボーイや工場労働者、製鉄労働者や炭鉱労働者、警察官や開拓者たちは、前進し、行進し、いかなる障害にもその精神や誇りを打ち砕かなかったのです。彼らは共に鉄道を敷設し、高層ビルを建て、素晴らしい高速道路を建設し、2 つの世界大戦に勝利し、ファシズムと共産主義を打ち負かし、直面したあらゆる課題に打ち勝ったのです。

これまで共に乗り越えてきたすべてのことを経て、私たちはアメリカ史上最も偉大な 4 年間を迎えようとしています。皆さんの助けがあれば、アメリカの約束を取り戻し、私たちが愛する、そして心から愛しているこの国を再建することができます。私たちは神の下にある 1 つの国民、1 つの家族、そして 1 つの栄光ある国家です。ですから、子供のために夢を見るすべての親、そして自分の将来を夢見るすべての子供たち、私はあなたたちと共にあります。私はあなたたちのために戦い、あなたたちのために勝利します。私たちはかつてないほどの勝利を収めるでしょう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。近年、私たちの国は大きな苦しみを経験しましたが、私たちは国を立て直し、再び偉大な国にします。私たちはかつてないほど偉大で、思いやり、勇気、そして例外主義に満ちた、他に類を見ない国になるでしょう。

我々の力はすべての戦争を止め、怒りと暴力に満ち、全く予測不可能な世界に新たな団結の精神をもたらすだろう。アメリカは、宗教、信仰、善意の人々を含め、再び尊敬され、賞賛されるようになるだろう。我々は繁栄し、誇りを持ち、強くなり、かつてないほど勝利するだろう。我々は征服されず、脅かされず、打ち砕かれず、失敗しないだろう。この日からアメリカ合衆国は自由で主権を持ち、独立した国家となるだろう。我々は勇敢に立ち向かう。我々は誇りを持って生きる。我々は大胆に夢を見る。そして我々の行く手を阻むものは何もない、なぜなら我々はアメリカ人だからだ。未来は我々のものであり、我々の黄金時代は始まったばかりだ。ありがとう。神がアメリカを祝福してくださいますように。皆さん、ありがとう。ありがとう。本当にありがとう。ありがとう。ありがとう。
トランプ大統領の演説は30分少しでしたけれども、内容としては盛り沢山だったかと思います。


2.円高ドル安


ネットの書き込みでは演説のポイントとして次のようにまとめられています。
・米国の黄金時代は、今から始まる
・米国は再び繁栄し、各国から尊敬されるだろう
・米国第一を掲げる
・米国は誇りに満ち、豊かになり、自由となる
・米国はより偉大で強く、並外れた存在となる
・ハリケーンの被災地となったノースカロライナ、山火事に遭ったロサンゼルスには支援が必要
・教育は米国を憎悪するようになっているが、今日から変わっていく
・米国の地位低下は、終わりを迎える
・ペンシルベニア州で自分の命が取り留めたのは、米国の再び偉大にするためだ
・米大統領選では歴史的な勝利を飾った
・黒人とヒスパニック系の支持に感謝したい
・今日はキング牧師の生誕日だ…共に夢を実現していこう
・我々は憲法や神を忘れることはない
・本日、米大統領令に数々の署名する
・まず、南部の国境に対し非常事態宣言を行う
・違法な入国を阻止し、犯罪者を自国へ戻す
・インフレ危機は大幅な歳出とエネルギー価格の上昇によって引き起こされた
・だからこそ、国家エネルギー非常事態宣言を発布し、石油掘削を拡大させる
・価格を下げ、世界中に米国のエネルギーを輸出する
・グリーンニューディールをやめ、EVのマンデートを止め、米国の自動車労働者を救う
・米国は再び製造業の国となる
・貿易システムを徹底的に見直し、米国の労働者と家族を守る
・米国民に税を課すのではなく、我々は米国を豊かにすべく海外に関税を課す
・関税を課す上で、外国歳入庁を設立し歳入増につなげる
・パナマを中国にわたしたわけではない
・我々はパナマを取り戻す
・火星に星条旗を立てる
トランプ大統領の就任を受け、21日朝の東京外国為替市場の円相場は1ドル=155円台半ばと前日夕と比べて円高水準で推移。ドル安になりました。

SBIリクイディティマーケットの上田真理人金融市場調査部長は、トランプ大統領の就任演説について「個々の政策についてそこまで強いトーンではなかった」と指摘。特に関税についてウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関税発動を発表しない見通しと報じていたこともあり、ドルが売られたとしています。

トランプ新政権の当局者によると、就任初日に中国に的を絞った関税を明らかにすることはなく、連邦政府機関に対し課税に関する政策について検討するよう求める見通しのようです。




3.世界各国の反応


トランプ大統領就任に世界各国はそれぞれの反応を見せています。
ロシア/プーチン大統領
第3次世界大戦を防ぐために、あらゆる手段を尽くす必要性があるとする彼の発言も聞いた。われわれはこのような姿勢を歓迎し、アメリカ大統領への就任を祝福する……われわれは決して対話を諦めていないと強調したい。戦略的な安定と安全保障の強化を含む多くの世界的な課題においてロシアとアメリカが果たしている重要な役割を考慮し、対話が対等かつ相互を尊重する基盤の上に築かれることを前提としたい

ウクライナ/ゼレンスキー大統領
きょうは変化の日であり、世界的な課題を含む多くの問題の解決に向けた希望の日でもある……トランプ大統領は常に決断力に優れ、彼が掲げる『力による平和』の政策は、アメリカのリーダーシップを強化し、最優先事項である長期的で公正な平和を実現するための機会を提供するものだ。

カナダ/トルドー首相
カナダとアメリカには世界で最も成功した経済的なパートナーシップがある。ともに大規模な投資を行って、国境を越えた貿易を促進してサプライチェーンを強化し、国境の両側で雇用を創出していく……カナダ国民の利益を守りながら、トランプ大統領やその政権、連邦議会の議員、それに、州や地方レベルの当局者と協力して、両国民に繁栄をもたらすことを楽しみにしている

イスラエル/ネタニヤフ首相
あなたの指導力のもと、これからわれわれの同盟関係の最良の日が訪れることを確信している……人質の解放につなげてくれた努力に感謝する。残る人質を解放しハマスの軍事力を壊滅し、ガザ地区でのハマス支配を終わらせるためにともに働くことを心待ちにしている

パナマ/ムリーノ大統領
パナマと国民を代表して、トランプ氏の発言を完全に拒否しなければならない。運河はパナマのものであり、その管理は引き続きパナマのもとで行われる……パナマによる管理を妨げる国は存在しない

メキシコ/シェインバウム大統領
お祝いを申し上げる。隣国として、また貿易パートナーとして、対話、尊敬、協力はわれわれの関係の証だ

イタリア/メローニ首相
イタリアは常にアメリカとヨーロッパとの対話の強化に力を尽くす。
トランプ大統領が就任前から述べていた数々の政策や行動に対し、関連する国々が敏感に反応していることが見て取れます。


4.トランプとは合わない


では、日本はというと、21日午前2時、石破総理がX(旧ツイッター)で「トランプ大統領のご就任に心からお祝い申し上げます。日米の協力関係を強化し『自由で開かれたインド太平洋』という共通の目標の実現を共に追求していくため、トランプ大統領と連携していきたいと思います」とお祝いのメッセージを送っています。

けれども、果たして石破総理でトランプ大統領と伍していけるのかについては様々なところから不安の声が上がっています。

21日、読売新聞は「首相、トランプ氏との信頼構築が焦点…孫正義氏らに攻略法尋ねるが「トランプ氏と合わない」と不安視する声も」という記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
・米国のトランプ新政権を巡っては、石破首相とトランプ米大統領が信頼関係を構築できるかどうかが焦点となる。「米国第一」の主張と折り合いをつけ、日本の国益を守りながら日米同盟を盤石とするには、首脳外交の役割が大きいためだ。首相は準備を重ね、2月前半にもトランプ氏との初会談に臨みたい考えだ。

・少数与党で政権基盤が弱い首相に関しては、「決断力ある強いリーダーを好むトランプ氏と合わない」(自民党関係者)と不安視する向きが多い。

・首相は昨年11月7日、大統領選で勝利したトランプ氏と電話会談し、「非常にフレンドリーな感じがした」と印象を語ったが、5分ほどに過ぎず、相性は未知数だ。一時は大統領就任前の会談も模索したが、入念な準備と事務レベルの協議の積み上げがいかしやすい就任後が望ましいと判断した。

・日本政府が就任前の会談も視野に入れたのは、第1次トランプ政権でトランプ氏と蜜月関係を誇った当時の安倍晋三首相の成功体験を意識したためでもあった。安倍氏は2016年11月、各国首脳に先駆けて就任前のトランプ氏と会談し、距離を一気に縮めた。

・もっとも、当時を知る日本政府関係者は「各国が警戒する中で懐に飛び込んだ安倍氏の決断をトランプ氏は心から感謝していた」と振り返りつつ、「トランプ氏が政治の素人だったから響いた面もあり、今回は同じ手法は通用しなかっただろう」と指摘した。

・首相は昨年12月の読売新聞のインタビューでは「安倍さんは安倍さんのやり方があり、自分は自分なりにやっていきたい」と強調した。安倍氏がトランプ氏と交流を深めたゴルフ外交も「やるつもりはない」と周囲に語る。同盟や経済連携の共通利益を説きながら信頼を深める戦略を描き、「共に達成すべき利益は何かをよく考えていけば、必ず一致点はあるはずだ」と訴える。

・首相には、実業家出身のトランプ氏は「ウィンウィンでなければいけないことは分かっているはずだ」との期待もある。ただ、そこに至るには、トランプ氏に耳を傾けてもらう必要がある。

・首相は昨年12月に麻生太郎・自民党最高顧問と、今年1月には孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長と面会し、トランプ氏の攻略法を尋ねた。トランプ氏との面会経験を持つ両氏はいずれも、長々とした説明を避けて簡潔な結論を心がけるよう助言したが、首相は「私が最も苦手とすることです」などと答えたという。
トランプ大統領就任前に会おうとして、麻生・安倍昭恵さんルートがその方向でセッティングしていたのを自ら潰し、仕方ないからとソフトバンクの孫社長に頼る始末。

両者から、結論からいうべきだと助言されても、一番苦手なことだ、と白状するようでは、不安しかありません。


5.誤解されている石破政権の外交手腕


一方、石破総理に外交手腕はあるのだという主張もあります。

週刊現代は、1月14日、飯島勲・内閣参与の連続記事を掲載しています。

件の記事のポイントは次の通りです。
・外交は会議や表舞台での言動だけを見て、その成否を判断できるような簡単なものではない。むしろ、水面下で行われるさまざまなやりとりや各国の思惑を鑑みなければ、正しい評価は下せない。
・岸田政権から外交方針や官僚などの人的引き継ぎがスムーズに行われていた
・各国の外交関係者からも「日本とは引き続き安定した外交関係を維持できる」と安堵の声が聞こえている。
・私は石破総理の外交手腕をとても高く評価している。その一番の理由は、総裁選に立候補したときに「自分が総裁になったら、平壌に日朝の連絡事務所を設置する」と発言したことだ
・トランプ再選後は米朝関係が改善すると期待されている。そのとき、日本が北朝鮮に対して敵対的な姿勢を示しているだけでは、何の外交利益も得られない
・むしろ、米朝関係に連動して日朝関係が前進することを見越して石破総理は「日本も平壌に連絡所を設置し、関係改善を進めるんだ」と表明したのだ。
・日本とアメリカの関係はずっと良好で強固。長い会談をせず素早く電話を切っても問題ない関係が維持されているとみるべき。
・対米外交は、山田重夫駐米大使と有馬裕北米局長という岸田前総理を支えてきた敏腕二人が支えている。
・石破総理の安全保障に関する知識は、アメリカでも一目置かれている
・トランプ氏の要求や疑問に対して正面から答えていけば、「石破総理は信頼できる」となって、話が弾むだろう。
・石破総理のパーソナリティが幾分誤解されている
・石破総理は訪問先の国民の税金のことまで考えるどこまでも庶民の目線を保った人
・じっくりと向き合うと、人柄の良さが伝わってくる。
・とっつきにくさを感じるかもしれませんが、いざ話をすれば知識は豊富だし、政策にも各国事情にも詳しい。
・対話を重ねるうちに、「プライムミニスター・イシバは話せる人だ」と評価が高まっていくと思っています。
飯島氏は、石破総理について、じっくり向き合うと評価が変わる、と述べていますけれども、これは言葉を変えれば、「ファーストインプレッションはダメ」ということです。たとえ「セカンド、サードと重ねていくうちに印象が変わる」のだとしても、このスタイルが他国に通用するのか分かりません。

印象を良くするためには、すくなくとも、長く付き合う必要がある訳で、サミットや会談を数多く重ねていくのが前提条件になります。

今の石破政権にそんな余裕があるとも思えません。

なんでも、トランプ大統領と昭恵夫人との会談で、トランプ大統領が「政権が不安定なようだが、石破さんの次の総理は誰だと思う?」と聞いたなんて話が永田町で流れているとも噂されていたそうです。


6.外交に人間力は欠かせない


無論、やはり外交は人間関係なのだという意見もあります。

芸術文化観光専門職大学教授の山中俊之氏は、12月24日付のJBPressの記事「「死せる安倍、生ける石破を走らす」政敵の妻の橋渡しでトランプ氏との首脳会談の道筋が開けた石破首相の外交能力」を寄稿しています。

件の記事の概要は次の通りです。
【前略】

今回の一連の動きを見て、「トランプ氏も人情の人だな」と感じた。大統領就任前の多忙なクリスマスの時期の日曜日に夕食を共にしたことは、トランプ氏がいかに安倍夫妻との個人的な人間関係を重視してきたかが分かる。

「アメリカ・ファースト」と叫んで、強面で敵や外国を攻撃ばかりをしている人というイメージがあったが、それだけではないようだ。

昭恵さんとの食事会の後、トランプ氏は「石破首相と会いたい。日本の首相の地位には敬意を表している」と表明した。石破首相にサインをして「Peace」と書いた写真集をお土産まで渡したと言われる。早期の石破・トランプ会談を実現したい日本政府としては、ひとまず安堵したことだろう。

トランプ氏との会談の設定に苦慮していた石破首相であるが、長年の政敵であった安倍首相夫人の昭恵さんの橋渡しで、良い形で首相会談への道筋が見えてきた。

中国・三国志の「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の故事ではないが、「死せる安倍、生ける石破を走らす」といった状況だ。安倍氏の影響力は死しても甚大である。

本稿では、これまでの首相会談などを振り返りながら、改めて、これからの時代の首相としての外交能力について考えていきたい。

「首相は、外務省が準備した内容に基づいて発言しているから、首脳会談では苦労しない」と思っている人もいるかもしれない。

それは大きく違うと思う。なぜなら、首脳会談はもとより、夕食会などの場は、政府高官や通訳が近くにいることがあっても、首相個人が対応しないといけない場面が圧倒的であるからだ。

G20の場で、他国の首脳に座ったまま握手をして日本メディアから批判された石破首相。近くに外務審議官や大使など政府高官はいても、首相の席にしゃしゃり出て首相の代わりに対応することなどはあり得ない。

私自身、1995年に村山首相(当時)とサウジアラビアのアブドラ皇太子(当時、後に国王)の首脳会談で通訳を経験した。首相はあらかじめ準備した発言要領に基づいて発言はするが、その他の社交の場もある。信頼関係を得るための知識や気配り、人間力は欠かせないと感じた。

しかも、首相個人の外交能力の重要性が上がっているのは、21世紀に入り、多国間会議を含め、首脳会議が大きく増加していることも理由として挙げられる。

かつては、日本の首相が参加する多国間会議と言えば、G7サミットと国連総会くらいだったが、現在は、G20やAPECなど多国間首脳会議の数自体が増えている。

多国間会議では、会談合間の時間の首脳同士の立ち話を含め、数多くの外交能力を試されるのだ。外務省が用意した発言要領を読んでいるだけでは到底務まらない。

多国間でも二国間でも首脳会談には、食事会が伴う。

食事会は、ワーキングランチやディナーでない限り、事前に話題のアジェンダが細かく決まっているわけでない。首脳会談自体とは違うため、人間力が試される首脳同士のガチンコ勝負の場である。

近年の首脳は英語圏出身でなくても英語達者な人が増えている。一部通訳を介することがあっても、極力英語で直接に会話をして、関係を構築していくことが求められる。

石破氏の場合、簡単な英語は問題ないようだが、1時間以上は続く食事会での会話はいかがであろう。このような場で信頼関係を築けないと首相としては落第だ。

今後日本の首相を選抜する際に、食事会での英語力を必須条件にすべきだ。

日本的な感覚だと一流ホテルのレストランでの招待が一番相手に対するもてなしと感じる人もいるかもしれないが、世界は違う。別荘を含む自宅に招待することが最上のもてなしだ。

「マール・ア・ラーゴ」はトランプ氏の別荘である。

安倍氏は、インドのモディ首相を河口湖の別荘に招待している。自然豊かな場所での歓待は、モディ氏を大いに感激させたことだろう。モディ氏が安倍氏の国葬出席のためにわざわざ東京まで足を運んだのは、このような背景もあるのだ。

首脳会談で思い出すのは、1983年11月に、当時の中曽根首相がレーガン米大統領を東京・日の出町の別荘に招き、自らお茶を点てる歓待をしたことだ。両首脳夫婦はおそろいのチャンチャンコを着てくつろいだ雰囲気の中で昼食を共にした。それ以降、「ロン・ヤス」関係という良好な関係を築いたことは日米外交の歴史に輝く快挙となった。

安倍氏がゴルフを通じてトランプ氏との関係構築に励んだ話はよく知られる。相手の懐に飛び込むには、あえて時間がかかるゴルフをすることが妙薬なのだ。

このような提案は、首相が本気でイニシアティブをとらないと実現しない。外務省など事務方の力だけでは提案できない。

外交は単に国益のために意見交換するだけの場ではない。もう一段上の演出力が首相には求められる。

トランプ氏との会談の門は開かれた。失礼ながら、外国首脳との会談や社交が必ずしも得意ではないとも見える石破首相がどのように対応するのか見守っていきたい。
前述の飯島氏は石破外交は、山田重夫駐米大使と有馬裕北米局長の敏腕二人が支えるから問題ないと述べていますけれども、山中教授は、首脳会談や夕食会などの場は、首相個人が対応しないといけない場面が圧倒的に多いと指摘しています。

筆者は、やはり山中教授のいうように、外交は信頼関係であり、そのための人間力が欠かせないと思います。

石破総理のファーストインプレッションが駄目なことは石破外交を評価するといった飯島氏すら認めているところです。

果たして石破総理はトランプ大統領と会談して貰えるのか。たとえ会談できたとしても、じっくりと向き合う時間など与えてくれないかもしれませんね。



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