

1.スポンサーが逃げ出したフジテレビ
フジテレビからのスポンサー離れが激しさを増しています。
1月21日、フジテレビはこの日放送のニュース番組で、フジテレビへのCM差し止めを決めた企業が20日までに75社に上ったと報じました。公益社団法人ACジャパンの公共広告への差し替えは350本以上とのことです。
この急速なCM差し止めについて、ある企業の関係者は17日のフジテレビ社長の記者会見が引き金になったと明かしています。
会見では、事実関係を巡る質問に対し、調査委員会を設置することを理由に「回答を控える」として答えない場面が多かったのですけれども、この関係者は「疑問を払拭できる内容ではなかった。すぐにCMを止めた方が良いという判断になった」と語り、別の関係者は「ガバナンスに欠けた企業に広告は出せない」とコメントしています。
ある大手金融機関の広報担当者は「一社員ではなく、会社全体のコンプライアンス上の懸念がある。これまでの発表では、説明がつかない部分が多い」とし、製造業大手の担当者は「対応が遅くなり、不買運動につながっては困る」と漏らしています。
また、別の企業の広報担当者は「今回は自然災害などとは異なり、フジテレビに原因がある。今後、返金を求める動きが出てくるのではないか」とし、別の企業の担当者は「フジテレビが説明責任を果たし、事実無根であることを証明できなければ、新規出稿は難しいだろう」と述べています。
フジのCMは次々とACジャパンの広告に差し替えられていますけれども、一般的に広告主に広告料は返金されないとのことです。それでもCMを止めるということは、CM広告料以上に、フジに広告を出すこと自体がマイナスだと判断しているということです。
それに広告料がパーになったといっても、それは契約期間内での話。年度末、3月での契約更新で契約そのものが切られてしまったら、フジには今後広告料が入ってこなくなるわけです。
その意味では、フジテレビにとって、大手スポンサーを繋ぎとめるために与えられた期間は3月一杯であり、それまでに調査委員会の結果なり報告なりで、スポンサーを納得させなければならなくなっているのだともいえます。

2.転職サイトに登録した?
スポンサー企業の撤退ラッシュに、現役フジテレビ局員は「とんでもないことになった…」と真っ青。
代理店関係者は「クライアントはすでに広告費を局側に支払っているため、CM放送差し止めは損失だ。それでも取り止めを選択するのだから、ガバナンス欠如のフジに対し明確に『NO』を突きつけているのと同じ。今後、生命保険各社と近い銀行業や、イメージを重視する製薬業界なども追随する可能性がある」と語っていますし、視聴者がCM企業に「なぜ流すのか!」と抗議することも予想されます。
フジテレビ局員は「1ヶ月足らずで会社を取り巻く環境が激変した。局員の表情は暗く、転職活動を開始した若手もいる」と話し、フジテレビ関係者は「このままスポンサー離れが続けば、来年度以降の減収は数百億円規模になってしまうそうです。会社の将来に不安を感じている社員も多く、労働組合への加入者も急増しています。社内の空気は最悪ですね。自虐的になっていて『転職サイトに登録した?』が挨拶代わりになっています……」と明かしています。
また、営業関係者は「CMの見合わせ要求は、巨大災害の直後並み。休日返上でACジャパンのCMに差し替えたり、番組の提供クレジットを外したり、てんてこ舞いです。現場は『港社長は即刻、辞めろ!』の大合唱ですよ」と零し、社内では「こんなことなら、20年前のライブドアによる買収騒動で、ホリエモンに買われていた方が良かった」と嘆きの声が広がっているのだそうです。
スポンサーからの信頼を失うのみならず、社員からの信頼すら失えば、会社としてはもう持ちません。
3.法律に処分する根拠はない
当然、信頼を失ったのは、スポンサーや社員だけではありません。視聴者もそうです。
SNSなどで「電波停止にしろ」と処分を求める声が上がっています。
放送局は放送法と電波法に基づいて事業を行っているのですけれども、放送法は番組の編集についての基本方針を定め、公序良俗を害しないことや、政治的な公平性などを求めています。
一方、電波法には、総務相が放送法に違反した放送局に放送の停止や放送免許の取り消しを命じることができるとの規定があります。
フジテレビの一連の問題が放送法が定める公序良俗に反しないのかどうかについて、総務省幹部は、「あくまでも番組の制作過程において、公序良俗を乱す場合が規定されている。今回報じられているような一社員の関与という話に限ると、法律に処分する根拠はない」と、処分はできないとの見解を示しています。
この問題については、当然ながら総務大臣の定例会見でも質問が飛んでいます。1月17日と1月21日の会見での記者とのやりとりは次の通りです。
1月17日 村上総務大臣閣議後記者会見の概要
問:
フジテレビの親会社の大株主である海外ファンドが、中居正広氏の騒動で、フジテレビに外部の専門家が構成する第三者委員会の設置を要請いたしました。改めて、今回の騒動に対して放送法を所管する総務省としての受け止めと、この件についての対応方針についてお伺いいたします。
答:
個別企業に関する報道へのコメントは、差し控えさせていただきたいと考えております。
ただ、ご指摘の事案について、フジテレビは、「昨年来、事実確認を含め対応を継続しています。また、出演者などとの関係性のあり方については改めて誠実に対応してまいります」とのコメントを発表していることは承知しております。
また、本日、フジテレビにおいて緊急記者会見が予定されていることも承知しているところでありまして、同社において、適切に判断、対応していただきたいと考えております。
そういうことで、しばらく情勢を見守るしかないかなと考えております。
1月21日 村上総務大臣閣議後記者会見の概要フジの調査委員会の結果を見てから判断すると、丸投げです。
問:
タレントの中居正広さんの女性トラブルをめぐり、フジテレビの社員の関与が一部で報じられている問題についてお伺いします。フジテレビの社長が、先日記者会見し、調査委員会を設置する考えを表明しました。ただ、スポンサーのCM差し止めが相次ぐなど波紋が広がっております。放送法を所管する総務大臣として、こうした状況への受け止めと、調査、また、信頼回復に対するあり方について、御所見があればお願いいたします。
答:
先週17日にフジテレビの社長が、ご質問の事案について、改めて調査の必要があるため、第三者の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げる旨を述べたと承知しております。
総務省としましては、フジテレビにおいて、独立性が確保された形でできる限り早期に調査を進め、その結果を踏まえ、適切に判断、対応することで、スポンサーや視聴者の信頼回復に努めていただきたいと考えております。
4.総務省キャリア官僚の天下り
そんな中、文春砲は次々と炸裂していきます。
1月20日、週刊文春は「〈中居正広9000万円トラブル〉フジテレビ“ガバナンス崩壊”の裏で「総務省キャリア官僚」が続々天下り! 「7万円接待」女性初の首相秘書官を直撃すると…」という記事を掲載しました。
件の記事の概要は次の通りです。
・フジサンケイグループの持株会社であるフジ・メディア・ホールディングスを含むグループ企業に、テレビ局の監督官庁である総務省のOBら4人が天下りしていることが「週刊文春」の取材でわかった。この天下り問題についてはNHK党の濱田聡参院議員が18日に「昨年のフジメディアホールディングス株主総会資料 新任取締役の一人に元総務官僚の吉田真貴子氏の名前があります。
・「天下り役人の一人は、昨年6月26日にフジ・メディア・ホールディングスの取締役に就任した山田真貴子氏。他の民放と比べても、総務省からの天下りの人数はフジが突出して多い」(総務省関係者)
・山田氏は1984年に旧郵政省に入省。2013年、第2次安倍内閣で女性初の首相秘書官に抜擢され、安倍政権を支えた。その後は順調に出世街道を歩み、2017年には放送行政を一手に担う情報流通行政局長に就任。情報流通行政局長は放送担当のトップである。そして女性初の総務省次官級ポストである総務審議官を経て、2020年7月に退官した。
・「2020年9月、菅義偉内閣のもとで女性初の内閣広報官に就任しましたが、総務審議官時代に菅氏の長男が勤めていた放送事業会社『東北新社』から、一晩に7万4203円という高額接待を受けていたことが『週刊文春』の報道により発覚。山田氏は、かつて若者に向けた動画メッセージで『飲み会を絶対に断らない女としてやってきた』と語っていた。大きな批判を浴び、翌年3月に内閣広報官を辞任しました」
・「放送を巡って問題が起こった際、テレビ局は総務省から追及される立場。それゆえ、放送行政のトップである情報流通行政局長の経験者は調整役として貴重な存在です。山田氏は三顧の礼で迎え入れられ、フジ・メディア・ホールディングスの取締役の他、フジテレビジョンの社外取締役も兼務。一般的に、取締役の年収は3000万円前後です」
・フジに天下りしている総務官僚は山田氏だけではない。なぜ同局は天下りを次々受け入れてきたのか。そして“放送行政のプロ”を獲得する狙いはどこにあるのか――。
いわゆる天下りと思いました。
違法性を見つけるのは難しいような気はしますが…。この件に関して、皆様からのご意見を賜れればと思います」とツイートしています。
吉田真貴子は戸籍名で、山田真貴子は旧姓のようですけれども、濱田参院議員のツイートには、この件を深堀すると”タヒ人”がでるといった怖い書き込みも散見されます。相当闇が深そうです。
けれども、そうやって手をこまねいていても、年度末というスポンサー契約更新が来るわけで、既に詰みかけているという気すらしてきます。
仮に、フジの港社長が辞任したとしても、次の社長がよほどの大改革をやってのけない限り、フジテレビの未来は真っ暗なままになるのではないかと思いますね。
昨年のフジメディアホールディングス株主総会資料https://t.co/3bVXpqjpDy
— 浜田 聡 参議院議員 WBPC問題調査中 💉💉💉 YouTubeやブログは毎日発信 (@satoshi_hamada) January 17, 2025
新任取締役の一人に元総務官僚の吉田真貴子氏の名前があります。
いわゆる天下りと思いました。
違法性を見つけるのは難しいような気はしますが…。
この件に関して、皆様からのご意見を賜れればと思います。 https://t.co/o7cSCeuZh0 pic.twitter.com/zG3jRqzgb8
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