フジテレビのやり直し会見

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。


2025-01-28-202000.jpg


1.フジテレビのやり直し会見


1月27日、元タレント中居正広氏と女性とのトラブルを巡り、フジテレビ社員の関与が報じられた問題で、フジテレビが記者会見を行い、嘉納修治会長および港浩一社長が27日付で辞任すると発表。新社長にはフジ・メディア・ホールディングスの清水賢治専務が28日付で就任することを発表しました。

フジ側から出席したのは、出席したのは、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長、嘉納修治会長、フジテレビの港浩一社長と遠藤龍之介副会長、清水賢治新社長と進行役の上野陽一執行役員・広報局長でした。

会見の模様について、NHKがこちらの記事でまとめていますけれども、フジの冒頭発言のみ引用すると次の通りです。
嘉納修治会長 :まず、社として、人権に対する意識の不足から十分なケアができなかった当事者の女性に対し、心からお詫びを申し上げたいと思います。一連の報道によりまして、視聴者の皆様方、広告主、広告会社の皆様方、株主の皆様方、メディアの皆様方、そして出演者の皆様方、制作会社の皆様方、取材先、ロケ先でご協力いただいた皆様方に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。

この事態を招きました責任は私ども経営者にあるというふうに思っております。従いまして、私は本日付でフジテレビジョン並びにフジ・メディア・ホールディングスの代表取締役会長を辞任することといたしました。

またフジテレビジョンの代表取締役社長ならびにフジ・メディアホールディングスの取締役である港浩一も辞任することといたします。いろいろ皆様方には大変ご心配、ご迷惑をおかけしまして申し訳ございませんでした。

港浩一社長 :このたびはこのような事態を招いた責任を痛感しており、株式会社フジテレビジョンの代表取締役社長と株式会社フジ・メディア・ホールディングスの取締役を辞任いたしました。

私も第三者委員会の調査対象となっております。全面的に協力して真実の解明と再発の防止、企業風土の刷新に向けて尽力していきたいと考えております。

改めまして、今回の一連の報道により、視聴者の皆様並びに全ての取引先の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと、申し訳ございません。申し訳ございませんでした。

まず、先日の会見につきまして、一部のメディアに限定し、かつテレビカメラを入れない形で行うという判断は、テレビ局としての透明性や説明責任を欠くものでした。

これまでカメラを向けて疑惑を追求してきた弊社がカメラから逃げたと言われても、仕方がないことでした。メディアの信頼性を揺るがしたことを痛感しております。視聴者、国民の皆様に多大なご迷惑をおかけしました。改めてお詫びいたします。申し訳ございませんでした。

そして、本件に関してです。女性から報告を受けた後の対応について、誰にも知られずに仕事に復帰したいという女性の意思を最大限尊重するとともに、心身のケアを第一に、医師の指導に基づき、体調の回復とプライバシーの保護を最優先にしてまいりました。

当時は私自身もとにかく本人のために絶対に情報を漏洩させてはいけない、そういう強い思いのもと、限られたメンバーで情報を管理しながら、女性の体調の復帰を待っていました。

しかしながら、本件は人権侵害が行われた可能性のある事案であります。それに対して、弊社において、社内での必要な報告や連携が適切に行われなかったこと、中居氏に対して適切な検証を行わずに番組出演を継続してしまったこと、そして、本件の背景にあると考えられるタレントや関係者との会食のあり方等について検証できていなかったことなど、今振り返れば対応に至らない点があったと痛感しております。

こうした責任は私にあり、すなわち私自身が人権への認識が不足していたこと、そのことで会社全体のガバナンスを十分に機能させることができなかったということです。このことについて心からお詫び申し上げます。

最終的に女性は長い療養期間を要することとなり、希望されていた仕事への復帰がかなわない状況になってしまいました。弊社に対する様々な思いが積み重なっていたであろうこと、その気持ちをくみ取りきれずに、くみ取りきれておりませんでした。

弊社のこれまでの対応が、彼女にとって深い失望を抱かせてしまったのだと思います。申し訳ありませんでした。そして、弊社と、願わくば、ご本人にお会いして直接お詫びしたいと考えています。

そして、弊社とお取引いただいている企業や広告会社の皆様の信頼を失い、大変なご迷惑をおかけしています。フジ・メディア・ホールディングス傘下の各社、フジサンケイグループ各社、そしてFNS系列各社においても出稿の影響が広がっていることに憂慮しています。グループ各社、系列各社は弊社とは独立した企業であります。どうかその点をご配慮いただけますようお願い申し上げます。

改めまして、今回、人権コンプライアンスについての対応を誤り、女性への会社としての対応が至らず、放送業界の信用失墜にもつながりかねない事態を招いてしまったことについて、深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

後任の代表取締役社長の清水賢治氏: 明日付で代表取締役社長に就任いたします清水賢治です。はじめに、今回報道されている事案において、女性への配慮が欠けた対応をしたことに対し深くお詫び申し上げます。また、フジテレビが視聴者の皆様、広告主の皆様、広告会社ご出演者、制作会社、系列局、グループ各社をはじめとする多くの皆様方の信頼を失っている現状を重く受け止めています。本当に申し訳ございません。

今回の事案は、信頼の重みとそれを失うことの深刻さを改めて私たちに突き付けています。今問われている人権とは、誰もが生まれながらに持っている人々が幸せを追求する最も基本的な権利です。これを侵害する行為は決して許されません。

この考えに基づき、逸脱する行為への厳正な対処、再発防止策の徹底を決意をもって進めてまいります。フジテレビには、視聴者に喜んでいただけるコンテンツを届けたい、広告主の皆様のお役に立ちたいという熱意を持った素晴らしい仲間がいっぱいいます。この仲間たちと共に課題を乗り越え、新たな未来を築いてまいります。

信頼回復なくしてフジテレビに未来はありません。この覚悟を胸に全力で取り組む所存です。ゼロからスタートです。この厳しい状況においても、叱責の中に温かいご心配をしてくださる視聴者の皆様、広告主や広告会社の皆様、ご出演者、制作会社の皆様をはじめ、多くの方々に深く感謝申し上げます。今後後の再生に向けて、ご指導とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。私からは以上です。

金光修社長 :金光でございます。フジメディアホールディングスとフジテレビは、23日に臨時取締役会を開き、本件に関して第三者委員会の設置を決議いたしました。本日は、この経緯や背景について改めてお伝えをお伝えいたします。まず、なぜ社内調査ではなく第三者委員会を設置する判断に至ったのか、その理由についてご説明いたします。

今回の件は週刊誌報道をきっかけとしていますが、これを調査するにあたり、社内調査のような当事者によるヒアリングのみでは、身内による甘い評価に陥る可能性があり、客観的な事実を把握することには限界があると判断いたしました。従いまして、事実関係を明らかにするために、客観性と独立性が担保された調査が必要だと考えました。

当社としましては、初めての対応ではありましたが、担当部署から日弁連ガイドラインに関する専門的な説明を受け、自らも内容をよく理解した上で、利害関係を持たない弁護士で構成された第三者委員会の設置を決定いたしました。この形が最も信頼性と透明性を確保できると考えたわけでございます。

次に、17日の会見におけるフジテレビ役員の発言についてご説明いたします。この時点で、フジテレビとしましては、第三者委員会の設置を視野に入れつつも、最終的な決定に至っておらず、会見で担当役員が第三者の弁護士を中心とした調査委員会ですと曖昧な発言をいたしました。

この発言により、甘い調査を疑われる事態となり、調査への姿勢に疑問を生じさせたことにつきましては、この席でお詫び申し上げます。

17日の会見後、フジメディアホールディングスとしては、事態を重く受け止め、信頼回復を最優先課題とし、迅速な対応が必要だと判断いたしました。同時に、弁護士側からも。第三者委員会の設置にフジメディアホールディングスの主体的関与が必要との提案を受け、フジテレビと協議の上、23日、両社の臨時取締役会で設置を決議し、調査を正式に正式に委嘱いたしました。

この第三者委員会は、日本弁護士連合会が策定した企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインに準拠しており、利害関係を持たない弁護士のみで構成されております。本調査委員からは、調査報告の提出期限を3月末を目途としているとの説明を受けております。

報告が提出され次第、速やかに公表いたします。フジテレビおよびフジメディアホールディングス当社としては、信頼回復に向け、第三者委員会の設置に加え、できる限りの対策を講じ、透明性のある対応を進めてまいります。私からは以上でございます。
会見には191媒体、473人が参加。午後4時に始まった会見は日付をまたいで午前2時23分、所要約10時間23分で終了。質問は116回にも及びましたけれども、会見から4時間が経過した午後8時ごろには退席する記者も出始め、開始から約6時間経過した午後10時頃には約15分の休憩が設けられたました。フジ本社の最寄り駅・台場駅発新橋行きのゆりかもめ終電の0時9分を前に退席する報道陣が相次ぎ、会見の最後まで出席したのは約3割だったとのことです。


2.CM差し止めに当面変更はない


港浩一社長と嘉納修治会長の辞任を発表して経営責任の明確化を図った形のフジテレビですけれども、それで、企業のCM出稿が早期に再開するかは分かりません。

会見でフジテレビでのCMを差し止める動きが業績に与える影響について問われたフジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は「いま、持ち株会社も含め業績に関しては精査中であります。現段階がどうであるか、それから通期の期末まででどうであるか、ということを精査しておりますので、その状況に関してはしばしお待ちいただきたいと思います」と述べ、清水賢治新社長は「今精査している。具体的な数字は申し上げられない」と明言を避けました。

影響を受けているのはCMだけではありません。

大手芸能プロダクション関係者によると「ほぼすべてのドラマの撮影現場で、ロケ交渉が難航しているそうです。というのも、今回のトラブルに対するフジの対応の不評から、ロケ地を貸してくれる現場がなくなってきているのです。とくに、行政がかかわるようなロケ地は壊滅的だと聞いています。こうした“ロケお断り”によって、ドラマ制作サイドから、撮影場所の変更連絡が事務所に次々と来ているんですよ……ロケ撮影することで、よりリアルさを演出できたり、緊迫感を表現できたりします。しかし、スタジオのセット撮影になってしまうと、コントのようなチープさが際立ってしまうのではないか、と懸念されています。とはいえ、セット撮影は不可避な状況です。いま、フジテレビの湾岸スタジオは予約でいっぱいですよ。ただ皮肉なことに、俳優や現場のマネージャーは、移動が少なくなってむしろ楽になったと喜んでいますが」と漏らしています。

また、フジテレビ関係者は「香取慎吾さんが主演のフジテレビ系のドラマ『日本一の最低男※私の家族はニセモノだった』の撮影で、1月中旬に、東京・有楽町で予定していたロケが急にダメになったというのです。結局、ギリギリでロケは東京郊外の町田でおこなわれたのですが、エキストラの再手配などで、現場はたいへんだったみたいです……とにかく、いまは『フジテレビ』と聞くだけで、報道の街頭インタビューですら敬遠されてしまうとも聞きます。国民の気持ちが離れているどころか、嫌悪感まで持たれていることがわかります。好感度が命のテレビ局としては、致命的です」とコメントしています。

今回の会見について、大手金融機関関係者は 「CM差し止めに当面変更はない。今後の具体的な話が出てこないと難しい」と、第三者委員会による調査結果を踏まえた再発防止策が明らかになる前のCM再開に慎重な姿勢を示していることを考えると、とても今回のやり直し会見で収拾したとはいえないでしょう。


3.やり直し会見は二十点


今回の会見について、危機管理会社「エイレックス」の江良俊郎社長は、前回17日の会見と比較して次のように述べています。
・前回会見は評価できないマイナス点だったが、ようやく20点の会見になった。
・謝罪会見は誰に何を謝罪するのかというのが非常に重要だが、今回、冒頭で、当事者女性に対する配慮がなかったことをはっきり謝罪した。ここが前回との大きな違い
・前回に比べたら情報開示姿勢がだいぶ進んだ……全体的に謝罪のピントがあってきた
・やっぱりそんなに人間は簡単に変われない。もちろんリハーサルもしたかと思うが、言い回しなどのテクニックや発言で、不安定で甘い部分があった ※港社長に関して 
・日枝さんの退任を取締役会で決議するような、本気で変わろうとしている姿勢を示す必要があった
・本来であれば時間を区切るほうが良い
・1回目の会見でしっかりとした受け答えができておらず、やり直しとなった今回は、もうオープンに時間制限なしでやる以外の方法は取れなくなってしまった
・“やり直し会見”の総合点は「20点」
・前回はやらないほうがよかった会見でしたが、今回はやらないよりはやった方がよい会見でした。マイナス地点からやっとスタート地点に立った
・今後の会見もオープンにやるしかないだろう
江良俊郎社長は、1962年生まれ。日本及び中国北京で多くの企業の危機管理体制構築業務のほか、事件事故、企業不祥事を担当。ニューヨークの大手広報会社でメディアトレーナー養成コース修了後、外資系大手広報会社においてもメディアトレーニング・トレーナーなどを務めた経験があり、企業広報、危機管理のスペシャリストとされる人物。

江良社長は、SNS時代の今、不祥事を起こしたときの対応として「不祥事対応ではしばしば、失言やトップの言動などが面白くおかしく取り上げられますが、大切なのは問題が起こった際の組織としての認識と、社会から理解や信頼を得るに足る誠実な説明ではないでしょうか。この最も重要な部分で社会の批判を浴びることがないよう、広報担当者は全力で取り組むことが求められます」と述べています。

また、企業の危機管理のポイントとして次のように述べています。
①自社のリスクを把握し、未然に防ぐ。危機への感度を高めておく。②起こりうる危機に対して平時に準備しておく。③クライシスの際には素早く、誠実に対応しダメージを最小限にする、の3つに集約されるが、やはり難しいのはクライシスへの対応だ。
刻一刻と変わる状況下、最悪のシナリオを想定し、部門間の利害を超えて即時に対応策を決める場面で、緊急時の組織や指揮命令系統が不明確では混乱するだけだ。マニュアルだけでなく、緊急時の責任体制の明文化とともに、高い見識と自覚を持った担当者が必要になる。
こうした危機管理の視点からみると、フジの対応は後手に回ったことは否めません。


4.出てこい日枝


今回のやり直し会見で、巷から批判されているのは、フジテレビの“ドン”である日枝久取締役相談役が姿を見せなかったことです。

実際会見でも日枝氏に対しての質問が多数飛んでいました。

フジテレビとは因縁がある実業家の堀江貴文氏は、「日枝もさ。こんなに自分の子飼いの腰巾着にこんだけ世間のサンドバッグにさせてて罪悪感とかないんかね?」とコメント。フジのは報道局の社員は「日枝相談役が出席せず、辞任もしないことに失望した……新社長に決まった清水賢治氏も相談役との関係は強い」と述べ、グループ会社の男性社員は「準備不足にしか見えない。代理人を通じて当事者の女性に意向を確認するなど、できることはあったのでは」と批判。別の男性社員も「社内の雰囲気が非常に悪くなっている。再生への道は険しい」と漏らしています。

ある現役のフジテレビ局員は「まだ欠けたピースがある……23日に開かれた社内説明会では、取締役相談役の日枝久氏を含めた役員陣の一新を求める声があがりました。特に日枝氏は長年にわたってフジテレビのトップに君臨し続け、強大な権力を持ってきた人物として責任が問われている。やり直し会見に先立って労働組合が提出した要望書にも、日枝氏の会見出席を求める旨が含まれていました。それにもかかわらず日枝氏は出席を拒んだのです」と内情を明かしています。

今回の会見で、日枝相談役を退任させる考えがないか問われたフジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は「現場には直接タッチしていない立場ではありますが、やはり、その影響力は大きいと思います。そしてまた、この企業風土の礎をつくっているということに関しては間違いないと思います。ただ、今回の件に関して日枝相談役が、直接関与という意味でここに登壇するという必然性はないと思います……遠因というようなことで、この事例を捉えた場合にどうなのであろうかということも含めて考えなければいけない。それに関しては第三者委員会の中でも調査項目になっている。また例外なく全役員に対してあるべき姿での体制をつくらなければいけないという思いは共通しています。その中で判断していくということだと思います」と述べています。

この日、放送されたTBS系の「N スタ」でも日枝氏欠席について取り上げられ、番組に出演した危機管理コンサルタントの久我誠氏は「事実を説明するためだけなら、日枝さんの出席の必要はない。しかしながら、今回の記者会見で登壇者が何度も繰り返し、フジテレビの企業風土の礎を作ったのは日枝であるとおっしゃっている。風土を作った礎というなら、ご自身の認識を示さなければならない。フジ・メディア・ホールディングスの認識を示すというのであれば、適任なのは日枝さん」と解説しています。

これを受け、「Nスタ」のキャスターでTBSの井上貴博アナウンサーも「ご本人が説明しないことには。40年以上、役員を務め、象徴的な存在で風土を作り上げたのは間違いない」と同意しました。

10時間の会見をやって20点。ネットでは、質問するメディアの質も酷かったという書き込みもありますけれども、日枝氏が雲隠れしているうちは、マスコミや世論の追及の手が緩むことはないと思います。

次の山は3月に出るという第三者委員会の報告になるかと思いますけれども、その内容によっては致命的な打撃を被ることになるかもしれませんね。



  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント