千代田区長選の減税公約

今日はこの話題です。
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1.千代田区長選


1月26日、任期満了に伴う東京・千代田区の区長選挙が告示されました。千代田区長選挙に立候補したのは、届け出順に、無所属の新人で公認会計士の佐藤沙織里氏、無所属で現職の樋口高顕氏、諸派の新人で政治団体代表の黒川敦彦氏、無所属の新人で元千代田区議会議員の浜森香織氏、諸派の新人で政治団体代表の新藤伸夫氏の5人です。

各候補者の主な訴えは次の通りです。
◆佐藤沙織里氏(無・新)
▽特別区民税を10%減税し、区長の給与を72%減らすことのほか、▽共働き世帯を想定し、学童保育の時間を延長し、対象年齢を拡充すること、また、▽江戸城の天守閣を再建するプロジェクトを立ち上げることなどを訴えています。

◆樋口高顕氏(無・現)
▽最優先として、区民の暮らしを支える物価高対策に取り組むとした上で、▽首都直下地震の防災対策と酷暑への対策、また、▽中学・高校生がいる世帯への経済支援など、理想の人数の子どもを産める環境をつくることなどを訴えています。

◆黒川敦彦氏(諸派・新)
▽政治団体の名前でもある「Q」を広めることや、▽これまでの選挙でほかの陣営に対して行った「凸」の相手に謝罪し、自らの団体ではやめること、また、▽世界を笑いで満たすことなどを訴えています。

◆浜森香織氏(無・新)
▽元区議らが有罪となった官製談合事件を踏まえ、情報公開を徹底することや、天下りの規制を行うことのほか、▽区民が活用できる文化施設を創設すること、また、▽緊急の生活支援として、区民1人あたり現金5万円を直接給付することなどを訴えています。

◆新藤伸夫氏(諸派・新)
▽区民税を廃止して千代田区をタックス・ヘイブンにし、世界中の富を集めること、▽月31万円のベーシックインカムを導入すること、▽区の職員の給与を5割減らし、職員数を8割削減することなどを訴えています。
現職の樋口氏に新人4人が挑む構図で、現区政への評価などが争点になる見通しとされています。


2.ちょっと若くてちょっと可愛い


この中で筆者が注目するのは、なんといっても、佐藤沙織里氏です。

候補者5名のうち、はっきりと減税を掲げたのは佐藤氏だけ。他の候補者は給付や職員数を減らすなどの政策です。

佐藤氏は区民税の10%引き下げや江戸城天守閣再建プロジェクトを掲げていますけれども、これは、市民税の10%減税や名古屋城木造復元を掲げた、河村元市長のそれを彷彿させるものがあります。

公認会計士の佐藤氏は、大手会計事務所に勤務し、公認会計士の過酷な労働状況を目の当たりにして、「政治だったら法律を変えられる」と2022年に政治家女子48党のプロジェクトに応募。すぐさま頭角を現し、立花孝志氏が党首の座を禅譲しようとした本命だったのだそうです。

2023年の千代田区議選、2024年の衆院選では千代田区を含む東京1区から無所属で立候補し、1日で10ヶ所近くを回るドブ板選挙を展開。減税メガネの綽名で脚光を浴び、共産党、参政党の候補を上回り、得票率6.9%の4位に食い込む善戦を見せました。

佐藤氏の動画の登録者数は26万人を超え、この1ヶ月の再生数は3000万回に迫る勢いで伸びているそうです。

佐藤氏は「一部で夏の都議選の前哨戦で小池さんと石丸さんの代理戦争だなんて言われるが、区民の皆さまだけでなく、国民の皆さまに注目していただきたい選挙……私の支持層は同世代の30~40代の女性がメイン。そこをもっと伸ばしていきたい。既存の選挙に行く層は現役の区長がガッツリ押さえている。演説にも聞きに来られないくらいの共働きで忙しい層にリーチしていく」と訴えています。




3.不正請求はデマではありません


その佐藤氏は、1月27日に行われた千代田区長選挙のネット討論会で自治体の給付金事業についての暴露トークを行い、一部で話題になっているようです。

その暴露の概要は次のとおりです。
・千代田区の補助金を出してる先一覧。1610ほどを全部まとめて名寄せをした。
・すると特定の会社さんに多くのお金が行っている
・その会社さんは過去2020年に不正請求をしたところで、ここにも今もなお 8億円の年間の補助金が流れている
佐藤氏はこの事実を把握しているかと樋口区長に質問したのですけれども、樋口区長は全く分からないと回答しました。

佐藤氏は続けて次のようにもコメントしています。
・会社名はあえて出さないんですけれども、例えば 文教区で最初見つかりまして23区を巻き込む、23区の中では8区不正請求がありました。
・文京区から見つかり、千代田区にもその会社さんが出してる保育所がたくさんあったと。そして不正請求をしていた。
・その8億円 出していると。ここに対してどのように監視の目を入れていくのかという風に質問した議員さんがいました。
・すると担当の職員さんは今のところ生前説でお 金を補助金を払っていくしかないと。請求されたベースで払っていくしかないとそのようなあの議事録をお見受けいたしました。
これが本当なら大変なスキャンダルだと思いますけれども、ネットでは「デマだ」とか「不正請求があったのはH28年〜29年の3か月間。現職区長は政治家にすらなってない」とか「企業側の不正請求は8億ではなく84万」だとか「区は性善説で対応するとの発言は、質問した委員が「こういうの性善説だと思うのですが」と主観を述べただけ」とか疑問の声などが上がっています。

これに対し佐藤氏は、「不正請求はデマではありません。参照されている資料も間違えています。ちょっと調べただけでは分からないのは当たり前です。区長も知らないくらいですから。」と反論しています。





4.減税の主張しか有権者の耳に入らなくなっている


不正請求の件の真偽は、もう少し時間が立たないと分からないかもしれませんけれども、公のネット討論会でぶっこむあたり、少し炎上商法の匂いがしないでもありませんけれども、インパクトはあったと思います。

ただ、筆者としては、それよりも「減税」をはっきりと掲げる候補者が、たとえ地方選であっても、当選するかどうかに注目しています。地方で起こったことはやがて国政にも波及してくるからです。

1月21日、立憲民主の小川幹事長が定例の記者会見を行いました。

その中の記者質問で減税についての質問があり、小川幹事長は次のように答えています。
【毎日新聞】
少し突飛な質問で恐縮だが、経済対策、物価高対策というところを含め、ネットだったりの言論を見ていると、立憲民主党に対して減税などに対して後ろ向きだと指摘する声も散見されるかと思う。総数や比率もわからないのでちょっと難しいが、もしこういった意見に対して何か考えがあれば教えていただきたいのと、現段階で執行部として消費減税を議論する意義というものをどのように考えているか伺いたい。

【幹事長】
先ほど申し上げたように、政治の本質は再分配なので、消費減税と、私ども主張する戻し消費税、還付と、いろいろと、わかりやすいのは減税ですよね。わかりやすいのは減税、フェアなのは給付ではないかという議論も、冷静に言えばあります。
しかし、問題は、その冷静な議論がなかなか有権者の耳に届かなくなっている。これは私見ですが、再分配をしようと言っているあんたたちを信用できない、だから再分配する前に取らないでくれという、減税の主張しか有権者の耳に入らなくなっている。これは政治不信の極まった姿であり、痛切にその責任を感じています。
しかし、減税すればこの社会がバラ色になるほど事は単純でも簡単でもないので、政治の信頼回復と、適正な再分配で社会を安定させていくということが本筋の議論としてあるべきだという考えを持っています。
減税、消費減税を唱える方もたくさんいらっしゃるし、それには一定の理があり、正当性があるという前提で、これから党としてどうしていくかは十分に議論しなければいけませんが、根本的な価値観、考えとして、私はそういう考えを持っています。
小川幹事長は「分配をしようと言っているあんたたちを信用できない、だから再分配する前に取らないでくれという、減税の主張しか有権者の耳に入らなくなっている。これは政治不信の極まった姿であり、痛切にその責任を感じています」と国民の声を肌で感じているようです。

ただ、取って配るより、最初から取らない方が効率がよいことは明らかであり、それをただ減税の主張しか有権者の耳に入らない、と国民のせいにするのはどうかと思います。五公五民とも、六公四民とも揶揄される重税を課さないと国家運営できないこと自体おかしなことであり、そもそも過去最高の税収をあげておきながら、一向に減税しないでは、国民が政治家のいうことを聞かなくなるのは当然だと思います。

その意味で「減税」がどこまで国民に刺さり、どこまで具体的な投票行動に結びつくのか。千代田区長選挙に注目したいと思います。



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