

1.フジテレビ経営刷新小委員会
2月3日、フジテレビの親会社が経営刷新を目的に設置した社外取締役7人で構成する委員会は経営刷新に向けた議論を開始しました。
社外取締役を務める文化放送の齋藤清人社長は、記者団に対し「提言などをしていこうと思っているので、今週からいろいろな形で動き出そうと考えている」と述べ、参加する社外取締役7人の間での意見交換や、株主や親会社の取締役などに信頼回復に向けて何が必要か聞き取りを行っていく考えを示しました。
そして「日枝相談役も取締役の1人なので、機会があればお話をうかがいたい」と述べています。
一方、フジテレビの清水賢治社長は、系列局でもコマーシャルの差し止めなどの影響が出ていることについて「今回の問題はキー局のフジテレビの問題なので、系列局にはできるかぎり影響が出ないように対応したい。皆さんが非常に心配されているので、その不安をできるかぎり除くことに努力したい」と述べ、影響を精査したうえで対応を検討する考えを示しました。
また、「どれだけ偉い人が言おうと、これはおかしいとちゃんと言えることが問題の阻止に繋がると思うので。……誰でもそうですよ、どのレベルでもです」と、「言いたいことが言える」環境作りを行う考えを示しました。
2.ダルトン書簡第三弾
3月3日、アメリカ投資ファンドのダルトン・インベストメンツは、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングス(HD)の取締役相談役を務める日枝久氏の辞任を要求する第3弾の書簡を、フジ・メディアHDに送付したことが明らかになりました。
件の書簡の全文は次の通りです。
信頼回復に向けたガバナンス改革実施のお願い視聴者の信頼回復のためには「日枝久氏が FMH およびフジテレビの取締役を辞任することです」とズバリ退任を要求しています。
2025 年 1 月 21 日付の弊社の書簡でお願いしました通り、1 月 23 日に日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会を設置していただき、また、1 月 27 日にすべてのマスメディアの前で再度記者会見を開いていただき、ありがとうございます。
1 月 27 日の記者会見の直前に、港浩一フジテレビジョン(「フジテレビ」)社長、フジ・メディア・ホールディングス(「FMH」または「貴社」)取締役および嘉納修治フジテレビ会長、FMH会長が辞任され、清水賢治 FMH 専務がフジテレビ社長に就任されました。非常に残念ながら、日枝久フジテレビ取締役相談役、FMH 取締役相談役はフジサンケイグループ代表でありながら、この大事な記者会見に出席しませんでした。1 月 28 日には遠藤龍之介フジテレビ副会長も第三者委員会の調査結果発表後の辞意を表明しています。
しかし、残念ながらこれらの方々の辞任だけではスポンサーは戻ってきてくれません。では、どうしたら、フジテレビはスポンサー、さらには視聴者の信頼を回復することができるのでしょうか。その答えは明白です。
第一に、これが何よりも重要なことですが、日枝久氏が FMH およびフジテレビの取締役を辞任することです。FMH はプライム市場上場会社であるにもかかわらず、そのガバナンスに根本的な欠陥があることは弊社が以前から主張しています。日枝久氏は FMH およびフジテレビの取締役会を絶対的に支配しており、影響力を保持しています。今回のスキャンダルで、FMH およびフジテレビのガバナンスが全く機能していないことが公に明らかとなりました。
FMH は放送法上の認定放送持株会社であり、フジテレビを始めとする 25 社の基幹放送事業者を傘下に持つ巨大な放送グループです。マスメディア集中排除原則は特定の少数者によって複数の放送局が支配されることを防止するものですが、何故たった 1 人の独裁者がこの巨大な放送グループを 40 年近くも支配することが許されてきたのでしょうか。信じ難いことです!
今回のスキャンダルで、この異常な FMH のガバナンスおよび経営体制が日本国民のみならず、広く世界に知られることとなりました。FMH およびフジテレビのガバナンスが直ちに刷新されない限り、スポンサーおよび協力者は戻ってきてくれないでしょう。
1 月 30 日の FMH の取締役会で、社外取締役のみで構成される経営刷新委員会が設置されました。これは私たちが望んでいたことであり、心から歓迎します。これらの社外取締役の責任は極めて重大です。社外取締役が日枝久氏および日枝久氏が指名してきたその他の取締役の辞任を要求し、経営体制を刷新しない場合には、FMH の株主価値の毀損について、社外取締役も責任を負うことになります。
第二に、FMH は今後このような独裁者の登場を許さないためにも、ガバナンス体制について最も先進的なベストプラクティスを採用するべきです。まず、取締役会は独立社外取締役を過半数とするべきです。(元従業員が取締役に選任されてもこれは独立社外取締役としてカウントすべきではありません。)また、FMH を指名委員会等設置会社に変更し、指名委員会、監査委員会、報酬委員会が設置されるべきです。そして、それぞれの委員会の過半数を独立社外取締役が占めることになります。これらの取締役が、株主に対する善管注意義務を負うことは言うまでもありません。
FMH は深刻な危機に直面しており、取締役会は迅速かつ勢いをもって対応しなければなりません。取締役会はガバナンス体制の変更を行い、独立取締役は株主への善管注意義務に基づき会社の資産を管理しなければなりません。3 月末に予定されている第三者委員会の調査結果を待つことなく、スポンサーの離脱による損失が拡大する前に、打つべき手を打たなければなりません。信頼回復は最優先事項です。FMH グループの企業価値のさらなる毀損は大株主として許容できません。
最後に、FMH の取締役会は、4つの重要なステークホルダーの声を聞く必要があります。まず、フジテレビの従業員です。私たちは、フジテレビの従業員が労働組合を通じて声を上げたことに勇気づけられました。彼らは変革を求めています。彼らの声に耳を傾けてください。次は、株主です。株主は、FMH のガバナンス体制の刷新を求めています。日枝久氏は去らなければなりません。3 番目は、スポンサーです。そして、最後に、視聴者がいます。視聴者も変革を求めています。
私たちは、株主、すなわち FMH のオーナーとしての責任を深刻に受け止め、この書簡をお送りしています。私たちは、FMH の取締役会がステークホルダーの声に耳を傾け、一人の独裁者を守るためにこれらの声を無視しないことを強く求めます。もし、これらの声が聞き届けられなかった場合には、日本の社会に重大な影響を与えることでしょう。
経営陣が何もしないことは、経営陣が絶望的に閉鎖的なことを意味しています。果たして FMH はフジテレビのベストオーナーなのか、とも考えざるを得なくなるかもしれません。もし、新しいフジテレビのオーナーがもっと機能的なコーポレートガバナンスを推進し、ステークホルダーの最善の利益のためにフジテレビの経営を行うことができるのであれば、フジテレビにはその事業を再び成長させることができる才能ある従業員が数多くいます。
私たちだけでなく、すべての方が今この事態を見守っています。
なお、皆様の行動喚起のためにこの書簡を公表することをお伝えいたします。
Paul ffolkes Davis
Chairman
Rising Sun Management Ltd.
そして、プライム市場上場会社でありながら、企業統治に欠陥があるとして、「こうした構造を早急に見直さなければスポンサーや協力者は戻ってこないだろう」と述べ、日枝相談役についても、「日枝久氏は FMH およびフジテレビの取締役会を絶対的に支配しており、影響力を保持しています。今回のスキャンダルで、FMH およびフジテレビのガバナンスが全く機能していないことが公に明らかとなりました……何故たった 1 人の独裁者がこの巨大な放送グループを 40 年近くも支配することが許されてきたのでしょうか。信じ難いことです!」と厳しく批判しています。
そして、第三者委員会の調査結果を待つことなく、ガバナンス体制の変更を行い、会社の資産を管理すべきと要求し、フジテレビ従業員、株主、スポンサーの声を聞く必要があると訴えています。
3.あらゆる特番の制作が難しくなっている
相次ぐスポンサー離れはフジテレビの番組制作現場に暗い影を落としています。
4月9日に予定していたフジテレビ系大型音楽特番「FNS歌謡祭」が製作費不足により放送中止。フジの局員は「音楽を題材にした番組は増えているが、それはスポンサーが注視するコア層(13~49歳)で視聴率を獲得できるからです。それを念頭に春に〝音楽番組ウイーク〟を計画しましたが、肝心のスポンサーのめどがまったく立たず、中止するしかありませんでした」と告白。また、大手レコード会社関係者も「フジ側と出演アーティストなどを話し合っていたが、なくなりました」と明かしています。
また、街や大型施設とコラボ協力のもと撮影している人気番組「逃走中」にも影響が及び、ロケ地探しが難航。フジの局員によると「今年は騒動でフジに対して悪いイメージがついた影響で『貸したら批判を浴びるのでは』と警戒されて場所がなかなか見つからない。そのため、局員からは『フジテレビ社内でロケするしかないんじゃないか』などという声も上がっています」とのことです。
それに加えて人員の問題も発生。CM枠がACジャパンの広告であふれる中、今月に入って現場はCM時間を減らすために本編映像の時間を増やす編集作業に追われ、ある制作会社スタッフは「社員も制作会社もフリーも一丸となって作業している。とてもじゃないが特番に割ける人員はない」と零しています。
フジテレビは昨年、春に20本以上、秋に25本以上の特番を放送していたのですけれども、フジテレビ社員は「あらゆる特番の制作が難しくなっている」とコメントしています。
4.フジテレビに上納文化はあります
そしてフジテレビについては、更なる暴露が行われています。
2月1日、実業家の堀江貴文氏によるYouTubeチャンネルは堀江氏と元フジテレビアナウンサー・長谷川豊氏の「【緊急対談】『フジテレビに上納文化はあります』日枝久が作った“歪な構造”を元フジアナウンサー・長谷川豊が猛烈批判」を配信しました。
これが、3日午前8時の段階で約437万回も回っていて、2日目にしてこのチャンネルの歴代4位の再生回数を記録しています。
約55分のこの動画は、長谷川氏が見て聞いてきた「フジテレビの内情」を伝えているのですけれども、その一部は次の通りです。
・朝の情報番組『情報プレゼンター とくダネ!』を担当していた入社数年目に、自身が“上納”された。動画で名指しされた笠井アナは、2月2日、自身のブログで次のように反論しています。
・先輩の笠井信輔アナウンサーと女性アナウンサー、服飾評論家でタレントのおすぎと会食。終了後、トイレに行ったおすぎを待たずに先に2人の先輩アナがエレベーターに乗り込み、笠井アナが「ハセ、そういうもんだから」、女性アナが「お夕食代だね」と言い残した。そして、おすぎを待って2人きりで乗ったエレベーター内で、長谷川氏はおすぎから濃厚なキスをされた。
・フジには女性アナウンサーを接待要因として囲っている脈々とした文化がある
・フジの女子アナはキャバ嬢だから。アナウンサーじゃなくてアナでいい。女性ではなくて女子でいい。接待要員として囲っているという脈々とした文化がある。局員全員が言っているんで。銀座のNo.1キャバ嬢じゃないと、フジの女子アナにはなれないよって、OB訪問を受けに来る学生たちにも言っている。
・『高島(彩)見てごらん、加藤(綾子)みてごらん、銀座のNo.1のクラブ行っても、多分3〜4カ月で1位取れるよ』って。それぐらい、下ネタを上手に回せて、絡んでくるおっさんたちをうまくこなして、接待をして、番組内接待要員なんです。うまく転がしてあげるのが、フジテレビの女子アナの仕事」
【前略】笠井アナは、このブログ記事の最後を「改めて、そのような事、絶対にしていないと心に誓ってお話しすることができます。私の話を信じていただけるなら幸いです」と締めくくっていますけれども、そこまで完全否定するのなら、名誉棄損でもなんでも裁判すればどうかと思ったりもします。
フジテレビの「上納文化」に関して私の名前が上がりました
私は、これまで周囲の人に対して「アナウンサーに関して、上納システムといったものをこの35年間見たことも聞いたこともない」と話してきました
自分自身がやっていれば、そんなこと言えません。しかし、いま、私が15年以上前の飲み会において、元後輩男性アナウンサーを、おすぎさんに献上したと言う話が「既成事実化」されて拡散されております。Xや私のInstagramにも、炎上と言う形でたくさんのコメントが寄せられています
ここで私は、今回取り上げられたようなことはなかったとはっきり表明させて頂きます
まず、同席したとされる女性アナウンサーと確認をしましたが私も、彼女も、これまでおすぎさんと食事をした記憶はありません
おすぎさんが「とくダネ!」のレギュラーを務めていたのはごくごく短期間で、連絡先も知らないのです。これは、一緒にいたとされる女性アナウンサーもそう話しています。
おすぎさんとは食事をしたことがないと、本当は断言したいです。しかし、15年以上前のことで、食事会がなかった可能性が0とは言い切れません
ただし、「上納」は完全否定できます
【以下略】
この笠井アナの記事に対し、長谷川豊氏はXを更新。「イヤイヤイヤ(笑) まぁでもこれが今回の本質のような気もします。 僕、アナ室の人間であれば知ってると思いますけど、16歳からずっと毎日日記をつけてます。アナ室でもつけていたことがあるので知ってる人も多いと思いますけど。当然、その日の記述もしています(すごい体験だったので)……要は『やった方ってこんなに忘れてる』ってことなんだと思うんですね。多分、古巣って特にこうやって色んなひずみが出来ていったんだと思うんです……もちろん今回のおすぎさんの件は僕の奥さんも完全に覚えていましたし、何より僕もそんな気にしてなかったので笑いながらとくダネのディレクターの何人かには話をしてます。あの頃のDの何人かに聞いたらすぐにわかるんじゃないですか?……今でも僕は思い出せます」と再反論しています。
そして更に「皆さん、どうか誤解をしないでくださいね 僕、キレイな人間じゃあなくて、完全にお台場人間そのものだったんです いま僕が思ってることを正直に話すと、僕らみんな『加害者』なんじゃないかって思ってんですね……時代は完全に変わってて 結局はそんなひずみで犠牲者を出しちゃったんじゃないかと思うんですね……過去のフジテレビのこのノリを僕は否定しません 僕は今でもフジのみんなの明るさや素直さが好きです ただ、同時にちょっと度が過ぎてたところもあると思ってるんです それはみんなも思い当たる節があると思います 僕は勇気ある告発者ではなく、同罪を背負ってる人間と思ってます なので敢えてフジ時代のテイストを残しながらインタビューに答えています フジほどじゃあなくても、もし僕の話を聞いて、ちょっとでも会社での行動を変えようと思ってくれた人がいるなら、これ以上有難いことはないと思っています」と述べています。
笠井アナと長谷川氏の主張は真っ向対立していますけれども、長谷川氏のいうように「あの頃のDの何人かに聞いたらすぐにわかるんじゃないですか?」なのであれば、ヒアリングすれば済むことですし、それこそフジテレビが設ける正規の「第三者委員会」に調べて貰えばよいと思います。
まぁ、ここまでスポンサー離れ、内情暴露や告白が続いていることを考えると冒頭で取り上げた経営刷新会議にしても第三者委員会にしても、通り一遍の対応ではもはや済まなくなっていると思います。対策するスピードより、暴露されていくスピードと量が遥かに上回っている印象を受けます。
今は「逃走中」の日枝相談役も、じきに世間という名の何万、何十万の「ハンター」に捕まってしまうのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
ゆうこ
こちらてそんなレベルを取り上げるなんてびっくりです。もっと違うレベルだと思っていたので。勘違いしました。
ルシファード
日比野
信じる信じないではなく、そういう”暴露”が次から次への配信されている状況に対して、フジテレビ側のダメージコントロールがお粗末だといいたいのです。なので「通り一遍の対応ではもはや済まなくなっている」と述べました。
ダルトンが矢継ぎ早やに3回も書簡を出す。フジテレビやフジHDに対して「ガバナンス」がなってないと再三警告されていますしね。
長谷川豊氏の告白がデマなら速攻で会見して否定しなければいけないと思います。すでにCMはなくなり、ロケもできず番組がつくれなくなっています。3月末の第三者委員会の報告を待つのではなく、何か分かった時点で都度公開しないと被害は広がるばかりです。
でないと、それこそ、長谷川豊氏の言動を信じる人、信じない人、どちらもどんどん増えて、収取つかなくなります。(もうそうなっている感もありますけど)
また、フジだけの問題なのかと疑惑がもたれ、他局でもないのかと延焼していく気配もあります。このままだと、3月にはえらいことになってしまっている気がします。
今後ともよろしくお願いいたします。