

1.できることは全部やった
2月8日夜、トランプ大統領と会談した石破総理が帰国しました。
総理周辺によると、アメリカを出発する前、石破総理は「できることは全部やった。これで胸を張って帰国できる」と述べたそうですから、会談は成功したという感触を持っていると思われます。
実際、今回の会談については、与野党から好意的な受け止めが出ています。
8日、自民党の山田宏参院議員は産経新聞の取材に応じ、「しっかり準備して臨んだ跡が見えた。初対面にして無難にこなされた」と評価。石破総理の発言や所作からはトランプ氏に対する敬意が感じられたといい、「トランプ氏を持ち上げる場面も多かった。これまでの石破首相に見られないところだったので安心した……安倍晋三元首相が築いた土台を出発点にトランプ氏と関係を築こうとする姿勢を感じられた。その方が日米関係にはよいだろう」との見方を示しました。
山田氏には事前にトランプ氏や周辺が石破総理に厳しい見方をしているとの情報が寄せられていたといい、トランプ氏の会談での様子を見て「胸をなでおろした」と振り返っています。
一方、石破総理が肘掛けに左腕を乗せたままトランプ氏と右手で握手する映像がSNSで批判されている点については「次から気を付けてほしい。石破首相もガチガチに緊張していたのだろう……僕は石破首相に対し批判的なことも言ってきたが、今回の会談はまずまずの成果ではないか。今後の流れをよく注視したい」と述べています。
それにしても、他者に対する敬意を示すことが「これまでの石破首相に見られないところだった」というのが、総理以前に人としてどうなのかと思わないでもありませんけれども、会談が無難に終わったことで、つっこまれなかったのかもしれません。ただ、肘掛に手を置いたままの握手を批判されたことは、総理という職にある以上、当然のことであり、修正に努めなければならないでしょう。
また、自民の森山裕幹事長は「両国の幅広い協力が世界平和と安定につながると共有したことは大きな意義があった」と評価。小野寺五典政調会長は取材に対し、石破総理がトランプ氏と個人的関係を築けるか「心配していた」としつつ、「意外と性格は近いのかな。ケミストリーが合ったように見えた」と語っています。
公明党の斉藤鉄夫代表は「信頼関係を築く重要な一歩になった」との認識を示しました。
一方、野党でもまずまずの評価です。
立憲民主の野田代表は前橋市内の記者会見で、日本製鉄によるUSスチール買収問題に触れ「大統領から一定程度の理解を得た……報道を見る限り、一定の議論ができたのではないか……突っ込んだ議論ができたかよく検証したい」と評価しました。
日本維新の会の前原誠司共同代表は談話で「中国と北朝鮮に対する認識を共有し日米同盟の抑止力・対処力強化を確認したことを歓迎する」と強調。
国民民主の玉木氏は「素晴らしい日米首脳会談だったと思います……強固な日米関係が世界の平和と安定に寄与することを期待します。トランプ大統領、石破総理、そして両国の外交当局に心から敬意を表します。」と絶賛。国民民主の古川元久代表代行も安保分野の連携強化について「率直に評価したい」と表明しました。
唯一、共産党の田村智子委員長はパレスチナ自治区ガザ住民の強制移住問題などで「首相は批判を回避し、おもねる態度に終始した」と指摘。在沖縄米軍基地の米兵による性的暴行事件が相次ぎながら、「抗議の意思を表明せず是正も求めなかったことは許し難い」と非難しました。
2.アメリカでは日米首脳会談がニュースになったことがない
では、識者の評価はどうか。
2月8日、日本テレビ系「ウェークアップ」に出演した政治ジャーナリスト田崎史郎氏は、石破総理が日本への帰途に就く政府専用機に搭乗直前に「電話がつながった」として、総理が「お互いにとって非常によかった」と話していたと紹介。
2人の相性について「石破さんの見立てでは、トランプさんも国内で、イーロン・マスクさんの発言などでいろいろ批判されつつある。日米首脳会談を失敗させることはできなかったので、さまざまな気遣いをしてくださった。それでお互いにとって良かったと」とコメントしました。
また、トランプ大統領の石破総理に対する対応を念頭に「トランプさんは石破さんのことを結構、持ち上げている。安倍さんのことを評価しながらも、会談の冒頭では『石破総理は、日本でもみなさんが非常に敬意を示している総理で、すばらしい仕事をされており、国民から非常に好かれている総理』というふうにいわれた」と、トランプ大統領の発言を紹介。その上で、「この言葉を聞いて、びっくりしましたね」と皮肉りました。
一方、石破総理が今回の首脳会談で問われた外交力について「今回の会談で懸念は払拭されたと思う……あの石破さんが、あのトランプさんとうまくやれるのかということを、日本国民の多くの方が抱かれている不安でしたが、その不安や懸念は、払拭されたのだろうと思う」と述べました。
そして、前日7日放送のニッポン放送「泉房穂の情熱ラジオ」に生出演した元兵庫県明石市長の泉房穂氏は、石破総理とトランプ大統領の信頼関係構築に主眼が置かれた報道に対し、「良くなるかじゃなくて、その結果日本にプラスになるようなことがあったかに注目すべきであって。気に入られたいがゆえに日本の負担に“イエス”と言ってしまうのはどうかと思う……日本の立場で言うべきことは言っていい。例えばパリ協定についても国際協調の観点から一定の懸念事項を伝えてもいいと思う」とコメントしました。
これについては、共同記者会見で石破総理が、日本が決めること、アメリカが決めること、と言及していることから、ある程度言うべきことはいえる雰囲気はあるのではないかと思います。
一方、番組にリモート出演したニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子氏が「アメリカでは日米首脳会談がニュースになったことがない。アメリカの人は首相の名前も恐らく知らなくて、よく首相が変わるというのも理由にある」とアメリカ国民の日本の政治家に対しての認識を明かした上で、アニメや漫画、伝統文化なども含めて日本や日本人への評価は「むちゃくちゃ高い」反面、同盟国として平和な関係が長く続いているため、政治に関しては日本との関係にあまり関心が持たれていないと現状を語っています。
その意味では、7年半という長期政権を築き、世界の顔になっていた安倍元総理の存在感は稀有のものだったといえるでしょう。
3.「シンゾー」の名を汚すな
実際、共同記者会見でもトランプ大統領は何度も、安倍元総理の名前を挙げています。
会見での発言から該当部分を拾うと次の通りです。
ドナルド・トランプ:文脈と直接関係ないものでも、安倍元総理の名を出しています。公の場でここまで「シンゾー」と連呼した上で、石破総理を「偉大な首相になるでしょう」なんて、日本は安倍路線でいけ、「シンゾー」の名を汚すなと猛烈な圧を掛けているようにしかみえません。
我々の軍人たちは、共通の利益を守るために毎日一緒に働いています。日本は、私の最初の任期と比べて2027年までに防衛費を2倍にすることを約束しています。私の最初の任期のおかげで、日本は多額の資金を投入しました。我々は、安倍晋三氏とともに、これに懸命に取り組みました。ご存知のように、偉大な安倍晋三氏です。我々は、さらにその努力が進むことを期待しています。私と晋三氏は、非常に長い間、懸命に働きました。
ドナルド・トランプ:
そこで彼らは、USスチールを所有するのではなく、多額の投資をすることに同意しました。これは非常にエキサイティングなことです。来週、日産のトップと会う予定です。日産は素晴らしい会社です。そして、詳細を詰める予定です。私は協力します。仲裁し、調停するためにそこにいます。そして、皆さんもよくご存知のとおり、私は日本史上最長の在任期間を誇る首相、安倍晋三氏と緊密に協力するという栄誉に恵まれました。同様に、私は今回の首相が偉大な首相になることを期待しています。
私は本当にそう信じています。彼は偉大な首相になるでしょう。私は彼と知り合ってまだ間もないですが、彼にはどんな素質があるか分かっています。彼は偉大な資質を持っています。日本と日本国民のために素晴らしい仕事をしてくれるでしょう。それでは、まず首相に一言ご挨拶をいただき、その後で質疑応答をしたいと思います。
4.トランプの気遣い
共同記者会見では当然ながら記者との質疑応答がありましたけれども、そのやりとりを引用すると次の通りです。
ドナルド・トランプ:日米両首脳による共同記者会見なのに、DOGEとUSスチール、教育省といったアメリカ国内の質問ばかりです。もちろん、日本の記者からは石破総理への質問がありましたけれども、前述したジャーナリスト津山恵子氏が「アメリカでは日米首脳会談がニュースになったことがない」という指摘も的を得ているのかもしれません。
ありがとう。何か質問はありますか?ピーター?
質問:
トランプ大統領、DOGE に 2 つあります。イーロン・マスクは今日、「ストレート男性が男性を愛するのと同じくらい、私はドナルド・トランプを愛しています」と述べました。ファーストレディはこれについてどう思いますか?
ドナルド・トランプ:
ああ、彼女はなんとか大丈夫だと思うよ。[笑い]
質問:
民主党議員たちは、DOGE のエンジニアがこれらの財務省の支払いシステムにアクセスできることに非常に憤慨しています。上院 [聞き取れず] はスージー・ワイルズに手紙を書き、これらのシステムは毎年何兆ドルもの資金を分配するために使用されており、社会保障番号、自宅住所、銀行口座などの一般のアメリカ人の個人情報が含まれていると述べています。DOGE にはなぜこれらすべてが必要なのでしょうか?
ドナルド・トランプ:
まあ、そうではありませんが、彼らは非常に簡単にそれを手に入れます。つまり、我が国のセキュリティはあまり良くありません。彼らは非常に簡単にそれを手に入れます。そして、私たちがやっていること、つまり、何年も前から話題になっている別の機関への投資に関して最近起こったことを見ると、誰も何もしなかったのですが、それはまったく不道徳で、危険で、悪いことです。
非常にコストがかかります。つまり、行われた投資のほとんどすべてが詐欺です。誰にとっても価値はなく、賄賂の計画がない限り、それはあり得ますし、私たちはそれをさらに増やすつもりです。私たちは教育省に目を向けるつもりです。私たちは軍隊にさえ目を向けるつもりです。
ピーター、私たちは、何の関連性もなく価値もないものに莫大な金額が費やされることを目の当たりにするでしょう。何兆ドルもの話をしています。結局、何兆ドルものお金が完全に無駄になるのです。そして、おそらく違法でしょう。確かに多くのケースで違法だと思いますが、全体的には違法かもしれません。
そして、私はこの若者のグループ、一般的には若いけれども非常に賢い人々が行っている仕事に非常に誇りを持っています。彼らは私の強い勧めでそれをやっています。やらない方がずっと楽なのですが、腐敗を見つけるためにはこれらのことをいくつか分析する必要があり、そして私たちはとてつもない腐敗を発見しました。
質問:
教育省について言及されましたが、本日、民主党議員らが教育省に入り込もうとしているのを見てどう思いましたか?
ドナルド・トランプ:
そうですね、私も同じものを見ています。マキシン・ウォーターズのような卑劣な人間を見ています。これらの人々は皆、私たちの国を愛していないのです。私たちは優れた教育を望んでいます。教育の分野で40か国をランク付けすると、私たちは最下位にランクされていますが、良いニュースは、ある分野では1位だということです。
それが何なのかご存じですか?生徒一人当たりの費用です。我が国は、生徒一人当たりの支出が世界のどの国よりも多くなっています。ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、さまざまな国を見れば、フィンランド、中国は教育で非常に優れています。そして我が国を見れば、生徒一人当たりの支出額やその他の面で、我が国はそれらの国よりもはるかに多くのお金を支出しています。
しかし、我々は彼らよりもはるかに多くのお金を使っているのに、今年はバイデンの最後の年です。ジョー、おめでとうございます。我々は最下位にランクされています。ですから、私が見たいのは教育です。第一に、私は選択肢が好きですし、私たちは皆、選択肢が好きです。しかし、選択を超えて、選択をはるかに超えて、非常にうまくやっている素晴らしい州が負債を抱えていない州に戻るのを見たいのです。
運営は見事です。ノルウェーやデンマーク、スウェーデンなど、上位にランクされている国に劣らないでしょう。上位にはおそらく 30 か国、おそらく 35 か国から 38 か国がいて、残りはそれに追随するでしょう。競争力を持って追随しなければなりません。ちなみに、私たちは支出を大幅に削減し、優れた教育を受けることができます。
質問:
DOGE のコスト削減活動の一環として、DOGE のエンジニアの 1 人が不適切な投稿をしたために解雇されました。副大統領は彼を復帰させるよう言っています。あなたはどう思いますか?
ドナルド・トランプ:
まあ、特定のことについては知らないが、もし副大統領がそう言ったのなら......そう言ったのか?私が副大統領と?ありがとう、ピーター。ええ、どうぞ 赤いドレス
質問:
ありがとうございます、大統領。日本軍がどの程度強くなることを望んでいますか?また、軍事費の増額が中国や北朝鮮を抑止することになることを期待していますか?今日はそれについてどのような話をしましたか?
ドナルド・トランプ:
そうですね、私は我が国の軍隊が最強であることを望んでいます。また、軍隊に多額の資金を費やすことに抵抗はありません。なぜなら、軍隊はここで作られているからです。軍隊は米国製です。すべて米国製です。私は最初の任期中に軍隊を再建し、素晴らしい仕事をしました。愚かにも、軍隊の一部をアフガニスタンに残してきました。
そんなことは理由がありませんでした。しかし、それでも金額は変わりません。何十億ドルにもなりましたが、それはほんの一部にすぎません。しかし、私たちはこれまでで最も強力な軍隊を持つことになります。私たちには素晴らしい人々がいます。私はピート・ヘグゼスが厳しい試練を乗り越えたことを祝福したいと思います。彼は多くの困難を乗り越えました。そして、彼は素晴らしいリーダーになるでしょう。私は彼が素晴らしいリーダーになることに疑いの余地はありません。
そして、ここに座っている他のリーダーたちは、それぞれの分野で、非常に素晴らしいことを成し遂げるつもりで、素晴らしい結果を期待しています。しかし、私は、世界最強の軍隊、中国よりもはるかに強い軍隊、誰よりもはるかに強い軍隊を期待しています。それが現状です。どうもありがとうございました。
何か質問があればどうぞ。どうぞ。
質問:
ありがとうございます、大統領。日本テレビの平本です。質問ですが、2つほど簡単にお聞きします。まず、大統領と石破首相の会談は今回が初めてです。石破首相に対してどのような印象をお持ちですか。2つ目に、これまでに日本に対して関税を課す考え、あるいは計画はありますか。
ドナルド・トランプ:
そうですね、彼は偉大な首相になると思います。彼はとても強い人だと思います。本当に強い人です。私は彼をとても尊敬しています。私は長い間、評判を通して彼を知っています。安倍晋三は彼をとても尊敬していました。そして、彼は首相として素晴らしい仕事をすると思います。とても強い人です。
彼がそんなに強くなければよかったのに。もう少し弱ければよかったのに。でも、それが私の首相です(笑)。私は常に強い人を確保しなければなりません。彼は素晴らしい首相になるでしょう。また、関税に関して言えば、関税、主に相互関税を課すことになるでしょう。おそらく月曜日か火曜日に会合を開いて発表し、記者会見を開くことになるでしょうが、おそらく相互関税で、ある国が私たちに多額の関税を課すか、私たちも多額の関税を課すかすることになると思います。
ですから、非常に互恵的です。それが唯一の公平な方法だと思うからです。そうすれば誰も傷つきません。彼らが私たちに請求し、私たちも彼らに請求します。同じことです。そして私は、定額料金制に反対する方向に進んでいるようです。わかりました、はい、どうぞ。どうぞ。どうぞ。どうぞ。どうぞ。
質問:
読売新聞の太田です。石破総理にお伺いします。今回が初めての首脳会談となりますが、トランプ大統領の印象はいかがでしたか。また、良好な信頼関係を築くことができましたか。北東アジアには中国、北朝鮮など課題が山積しています。
そしてトランプ大統領に対しては、どのようなことを訴え、どのような理解を得ることができたのでしょうか。経済面では日本製鉄によるUSスチールの買収やLNGの輸入拡大などがあるが、日本からの1兆ドル規模の投資についてトランプ大統領とどのような意思疎通協議を行ったのですか。彼の反応はどうでしたか?関税面のコミュニケーションはどうでしたか?
石破総理:
トランプ大統領と直接会うのは今回が初めてです。直接会うのは今回が初めてですが、私は何年もの間、テレビで彼を見てきました。ですから、とても興奮しました。テレビでこのような有名人を直接見ることができてとても興奮しました。テレビで見る彼は恐ろしく、非常に強い個性を持っていますが、実際に会ってみると、彼は非常に誠実で力強く、米国だけでなく世界全体に対して強い意志を持っていました。
それを実感できました。これは、世界平和と地域の安定のために、日米両国が役割を果たし、努力し、責任を負わなければならないことであり、お世辞やごますりではありません。防衛費の増額についても、米国に言われているわけではありません。日本自らが、自らの判断で、自らの責任で、防衛費を増額していく必要があるのです。
もちろん、米国とコミュニケーションを取り、協議する必要がありますが、責任は日本にあり、決定権は日本にあります。関税については、双方に利益があるのであれば、関税を設定する必要があります。そして日本については、大統領が紹介したように、日本から米国への前例のない投資が行われ、多くの雇用が創出されるでしょう。
ですから、1兆ドルが目標であり、これは米国の利益になるだけでなく、日本にとっても利益になります。投資は相互に利益があり、米国の鉄鋼に関しても、大統領が言うように、これは買収ではなく投資です。ですから、日本の技術が提供され、より高品質の製品が米国で製造され、US Steelは米国と日本だけでなく、世界全体に貢献する製品を作ることになります。
これは一方的なものではなく、相互的なものになるでしょう。相互に利益をもたらすものになるでしょう。そして、私たちはこの点で合意できたと信じています。これが今日私が目にした最大の成果です。
ドナルド・トランプ:
ありがとうございます。どうぞ。はい。
質問:
ありがとうございます、大統領。フォックスビジネスのエドワード・ローレンスです。USスチールとの取引についてお聞きしたいのですが、これは取引の再編だとおっしゃっているのですか?そして、あなたはそれを承認しますか?
ドナルド・トランプ:
彼らはそれをもはや購入ではなく投資として行っています。
質問:
わかりました。
ドナルド・トランプ:
購入は望んでいませんが、投資は大好きです。そして、彼らは取引が成立することを条件に、大きな投資をするつもりです。そして、彼らは大きな--
質問:
そしてそれはあなたが承認するものなのです――
ドナルド・トランプ:
もちろん、それで構いません。では、首相は、USスチールに関して大統領にどのような主張をされましたか? 大統領、関税についてもう1つお伺いします。ええと、あなたは関税について、相互に報い合うものであってほしいとおっしゃいました。あなたがそう言ったとき、あるいは関税について話したとき、日本の首相の反応はどうでしたか? まあ、私たちは関税についてあまり議論しませんでしたが。
私たちは、アラスカのパイプラインを含め、他の多くのことについて本当に話し合いました。これは、ダグとクリスにとっておそらく最もエキサイティングなことだと思います。パイプラインについては長々と話し合いました。つまり、彼らにとって非常に興味深いことのようでした。アラスカだけでも、サウジアラビアよりも多くの石油とガスが潜在的に埋蔵されているのです。
われわれは世界のどの国よりも多くの石油を持っています。米国にとってこれは大きな資産ですが、まだ使っていません。ベネズエラに行きます。石油やガスを採掘するために他の場所へ行きます。そして、われわれは他のどの国よりも多くの石油やガスを持っています。これは過去 4 年間に起こった驚くべき現象です。誰も理解していません。責任者も含めてです。彼らは自分たちが何をしているのか全く分かっていませんでした。
ですから、それは大きな問題でした。彼らも実は驚いていました。彼らは、なぜ彼らはLNGを売らないのかと言っていました。彼らは売ろうとしませんでした。日本はLNGを買いたがっていましたが、バイデンはそれを売ろうとしませんでした。私はその原因を解明しようとしています。おそらく環境が原因だったのでしょう。あなたはその質問に答えるかもしれません。
彼自身もそのことに興味を持っていると思います。どうもありがとうございます。そのことに答えたいのであれば、LNGについて、米国がLNGを売ってくれないのではないか、という点について答えてもいいと思います。
石破総理:
それは本当に残念なことでしたが、前政権はLNGの輸出を許可していませんでした。トランプ大統領は就任の日に輸入再開を許可してくれたと思います。これは私たちにとって本当に素晴らしいことだと思います。そして日本国として、私たちはLNGだけでなく、バイオエタノール、アンモニア、その他の資源を安定した価格、適正な価格で米国から輸入することに関心を持っています。
また、米国が日本に対して抱えている貿易赤字も改善したいと考えています。ですから、安定的かつ適正な価格でこれらを購入できれば、素晴らしい状況になると思います。この点で、私はトランプ大統領に非常に感謝しています。また、LNGにも期待しており、成功を祈っています。
ドナルド・トランプ:
エタノールについては、アイオワ州は非常に喜ぶだろうとだけ言っておきたい。ネブラスカ州もそうだ。農業が盛んな州もすべて喜ぶだろう。彼らはエタノールを欲しがっており、私たちはそれを提供することができる。だから、私も彼らも私のような農家は、とてもとても喜ぶだろうと思う。私たちはLNGの販売を開始した。
実際、すぐにです。数日前にそうしました。そして中国は、現在、中国だけではなく、誰もがそれを買いたがっています。私たちは誰よりも多くを保有しており、彼らは皆それを買っています。しかし、特に日本は、彼らがすぐに始めることを非常に嬉しく思っています。そして、私たちはそれを世界に供給することができますが、日本に供給しています。
そして彼らは常に列の先頭に並ぶことになります。はい、どうぞ。どうぞ。
質問:
どうもありがとうございます。首相、私もあなたに質問したいのですが、大統領、まずはあなたからお願いします。ピーターが尋ねたことに簡単に続きます。国防総省の支出は連邦予算で最大の裁量的支出であることから、イーロン・マスクに国防総省の支出を見直すよう指示しましたか?
ドナルド・トランプ:
はい、あります。ペンタゴン、教育、ほとんどすべてです。すべてを調べます。私たちが経験したこの恐ろしい状況は、本当にひどいものでした。そして、おそらく97 パーセントの人が解雇されたと思います。非常に残念なことです。そのようなことは何も見つからないでしょうが、たくさん見つかるでしょう。
そして私は彼に、教育や国防総省、つまり軍隊を調べるように指示しました。悲しいことに、かなりひどいものもいくつか見つかるでしょうが、比例して、私たちが今見たようなことは何も起こらないと思います。
質問:
そして、あなたのFBIは、1月6日の暴動事件を担当したFBI捜査官のリストを司法省に引き渡しました。あなたは、それらの捜査に携わったFBI捜査官を解雇する予定はありますか?
ドナルド・トランプ:
いいえ、しかし何人かは解雇します。なぜなら彼らの中には腐敗した者がいたからです。そのことに疑いの余地はありません。私はその業界について、その世界について多くのことを知りました。その世界について多くのことを知りました。そして私たちには腐敗したエージェントが何人かいました。そしてその人たちはもういなくなったか、いずれいなくなるでしょう。そしてそれは迅速かつ非常に慎重に行われるでしょう。
首相に質問はありますか?
質問:
[オフマイク] 1月6日の捜査に携わったのは彼らですか?
ドナルド・トランプ:
分かりません。分かりません。非常に腐敗した人がいるのは知っています。私たちはそれを好ましく思っていません。私たちはFBIの評判を取り戻します。カシュ・パテルは素晴らしい仕事をするでしょう。そして私たちはFBIの評判を取り戻します。それはひどく傷つけられました。過去4年間で壊滅的な打撃を受けました。
質問:
首相、あなたはトランプ大統領と初めて会談されました。前政権は、よく知られているように、北朝鮮とほとんど接触していませんでした。トランプ大統領は、前回の在任中は確かに接触していました。あなたは、トランプ大統領が北朝鮮の指導者である金正恩と接触し、直接会談することを望みますか?
石破総理:
それは米国が自ら決定すべきことであり、我々が要求すべきことではありません。そうは言っても、例えばベトナムやシンガポールでは、米国の大統領、トランプ大統領が金正恩氏と会うことができました。これは非常に前向きな展開だと思います。
トランプ大統領が再び権力を握った今、北朝鮮との断固たる問題解決に向けて前進できれば素晴らしいと思います。そしてもちろん、我々にとって、それは非核化だけでなく拉致問題の解決も含みます。拉致被害者だけでなくその家族も高齢化しており、我々の時間は限られています。
ですから、もしアメリカ大統領、トランプ大統領がこの問題を解決できるのであれば、私たちはこれが何よりもまず日本の問題であることを理解しています。そうは言っても、私たちは彼らと引き続き協力していきたいと思っています。
ドナルド・トランプ:
それは実に良い質問です。我々は北朝鮮や金正恩と関係を持つことになります。ご存知のとおり、私は彼らと非常にうまくやってきました。私は戦争を止めたと思います。もし私があの選挙に勝っていなかったら、非常に悪い状況に陥っていたと思います。しかし、私は勝ちました。そして我々は良い関係を築いてきました。
そして、私が彼らとうまくやれていることは、誰にとっても非常に大きな財産だと思います。私は彼とうまくやっていますし、彼も私とうまくやっています。それは悪いことではなく、良いことです。そして、日本は彼との関係があまり良くないので、この考えを気に入っていると断言できます。そして、もし私が彼だけでなく、困難を抱えているように見える世界中の他の人々と関係を築くことができれば、それは米国だけでなく世界にとって非常に大きな財産になると思います。
どうぞ。
質問:
ありがとうございます。あなたと首相に質問があります。大統領、これらの人員削減、イーロン・マスクとDOGEが行っている人員削減は違法な権力掌握だという民主党からの批判について、あなたはどうお考えですか。また、イーロン・マスクに触れてはいけないと伝えたことはありますか。
ドナルド・トランプ:
まあ、私たちはあまり話し合っていません。私は彼にここへ行け、あそこへ行けと指示します。彼はそれを実行します。彼には非常に有能な人材がいます。非常に、非常に、非常に、非常に有能です。彼らは自分が何をしているのか分かっています。彼らは質問をし、誰かが口ごもるとすぐに、彼らが不正を働いているか、何をしているのか分かっていないかを見抜きます。
非常に優秀な人材が参加しています。ですから私は彼に、教育、軍事、その他の分野に進出するよう指示しました。そして彼らは、膨大な量の詐欺、不正、無駄、これらすべてを発見しています。しかし私は、ターゲットを定めて、進出するよう言います。進出しない分野もあるかもしれませんが、私は、すべてが実りあるものだと考えます。
ご存知のとおり、私たちは政府です。オープンでなければなりません。オープンな政府として、高度な情報とか何かが必要かもしれません。必要なら私自身もそうします。しかし、一般的に言えば、私はただ「やれ」と言うだけです。しかし、彼はすぐに教育について検討し、軍事についても検討するでしょう。
質問:
そのため、ご存じのとおり、連邦政府支出の大部分は社会保障、メディケア、そのようなプログラムです。彼にそれらのプログラムも見てもらいたいですか?
ドナルド・トランプ:
まあ、彼らは実際には彼に見てもらう必要はありません。私たちが見ればよいのです。社会保障は変更されません。強化されるだけです。社会保障には不法移民がいますが、私たちは彼らが誰なのかを調べて排除するつもりです。他のメディケアにも不法移民がいます。
私たちは、カリフォルニア経由で入国した際に入国すべきではない多くの悪い人々、入国すべきではない人々を発見しました。彼らの多くはカリフォルニアから入国します。
彼らの多くはカリフォルニアから来ていますが、私たちはそれを容認するつもりはありません。ですから、私たちは社会保障などを強化します。それを強化すること以外は、手を加えるつもりはありません。しかし、私たちにはそこにいるべきではない人々がいて、そのような人々を排除しなければなりません。彼らのほとんど、あるいはこれまでのところ、その多くは不法移民であり、彼らは国にいるべきではありません。
首相に質問はありますか?
質問:
はい。首相、大統領が関税に好意的であることはよく知られています。米国が日本の輸入品に関税を課した場合、日本は報復するでしょうか。
石破総理:
仮定の質問にはお答えしかねるというのが日本の定番の国会答弁だ
ドナルド・トランプ:
とても良い答えです。[笑い] とても良い答えです。わあ、とても良いです。彼は自分が何をしているのか分かっています。皆さん、どうもありがとうございました。ありがとう。ありがとう。
質疑応答終盤でトランプ大統領がしきりに石破総理に質問は、と水を向けていたのが印象的でした。トランプ大統領なりの気遣いが感じられました。
5.名答だ。ワオ!
アメリカの記者からあまり相手にされてなかった感のある石破総理ですけれども、唯一、アメリカの記者から大笑いを誘ったコメントがありました。
日本のマスコミも報じていますけれども、会談の最後で、アメリカが日本からの輸入品の関税を引き上げた場合に報復措置をとるかを尋ねられた際に、石破総理が「『仮定のご質問にはお答えをいたしかねます』というのが日本の定番の国会答弁でございます」と答えた部分です。
日本では、この文言は、質問から逃げる際に使われる定番の答え方で、実際会場に居た日本側の記者の反応は比較的冷淡だった一方、アメリカの記者たちはジョークだと受け止め、大きな笑いが起きました。トランプ大統領も「名答だ。ワオ! 彼はよく分かっているね」とジョークと受け止めたようです。
この回答について、日本の識者は次のように解説しています。
元共同通信政治部記者/さいたま市男女共同参画推進協議会委員・小西一禎氏石破総理の紋切り答弁がアメリカの記者に受けたのは、彼らに新鮮に映ったという見方ですけれども、質疑応答を読むと、関税についてちゃんと回答しています。
「『仮定のご質問にはお答えをいたしかねます』というのが日本の定番の国会答弁でございます」
米国人記者にウケて、日本人記者にウケなかった理由は明白。日本では、逃げを打つ際にお約束な返しが、米国では聞き慣れず新鮮で、ジョークに捉えられたということです。ワシントン支局員の筆致も、そのトーンで書いています。
さはさりながら、ユーモアある首相と受け取られたのは、初会談として決して悪いことではありません。2012年の日米首脳会談後の共同記者会見をホワイトハウスで取材しましたが、笑いは皆無でした。。。
TBSテレビ 報道局 総合編集グループ長 兼 報道コンテンツ戦略室・松田崇裕氏
アドリブなのか、準備されたものなのか。いずれにしても石破さんのキャラクターが出ました。個性を大事にするアメリカでは印象に残るモノでしょう。定番の答弁をネタにしたのはよかったですが、「防衛装備品」を売り込むなどトランプ氏の強かな面も。日鉄の投資話は、孫さんとの会話から出てきたことなのか。訴訟を起こした企業側には簡単に飲み込めないディールだと思いますが、国がどんな“仲介"をしたかですね。
毎日新聞客員編集委員・小川一氏
ホッとさせるエピソードです。石破首相の真面目すぎるキャラが、意外なアドリブ力になった感じです。この首脳会談は石破内閣の支持率を上げるのではないでしょうか。
トランプ大統領は「関税に関して言えば、関税、主に相互関税を課すことになるでしょう……おそらく相互関税で、ある国が私たちに多額の関税を課すか、私たちも多額の関税を課すかすることになると思います。
ですから、非常に互恵的です。それが唯一の公平な方法だと思うからです」と答え、石破総理は「関税については、双方に利益があるのであれば、関税を設定する必要があります」と答えています。
つまり、相互関税を掛けるというのが答えであって、そのポイントは「双方に利益があること」ということです。
質疑応答全体の文脈をみれば、既に答えは示されていて、重ねて同じ質問をしたところ、「仮定の質問には答えかねる」と応じたのですね。
ですから、アメリカの記者にとってみれば、少々ウィットに富んだジョークで返されたと、至極自然に受けとられたのではないかと思います。
まぁそれでも、筆者の会談全体の評価は、昨日のエントリーで述べたとおり。石破総理はトランプ大統領に「試され」たのであって、無難に収めたとはいえるかもしれませんけれども、成功とはいい切れないのではないかと思います。
石破総理は自身のXにトランプ大統領から渡されたメッセージを誇らしげにアップしていますけれども、その文面は「Mr,P.M. You will be A great people's Prime Ministar! Best Wishes」です。宛名が「Mr.首相」であって、「Mr.石破」ではありません。まるで、トランプ大統領は自分の任期中に、首相が変わることを想定しているように思えてなりません。
石破総理はこの”怖さ”をどこまで自覚しているのか。くれぐれに浮かれることのないように気をつけていただきたいと思いますね。
— 石破茂 (@shigeruishiba) February 8, 2025
この記事へのコメント