国の借金というプロパガンダ

今日はこの話題です。
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1.国の借金が過去最大


2月10日、財務省は国債や一時的な資金を調達するための借入金と政府保証債務残高を発表しました

それによると、2024年12月末時点で合計1317兆6365億円と、昨年9月末から7兆1980億円増えています。これは、この期間に発行した国債が7兆5761億円増えたことが主な原因です。

これについてFNNプライムオンラインは「国の借金1317兆円 林官房長官「対GDP比は世界最悪の水準で厳しい状況」」との見出しで次のように報じています。
財務省が10日発表した、国の借金となる、国債残高と借入金、政府短期証券の合計が過去最大の1317兆6365億円になったことについて、林官房長官は「債務残高対GDP比は世界最悪の水準にあるなど日本の財政は厳しい」との見解を示した。

その上で「潜在成長率の引き上げに重点を置いた政策運営を行うとともに、歳出歳入両面の改革を継続し、引き続き財政健全化を目指していく必要がある」と言及した。

債務残高が積み上がる中、「103万円の壁」の引き上げへの影響について林官房長官は、来年度末にはさらに国の債務残高が増える見通しを示した上で「現下の厳しい財政事情等を踏まえた議論が必要だ」と述べた。
これに対し、他のマスコミはというと、次のような見出しで報じています。
毎日新聞:国の借金1317兆円、24年末最大更新
中日Biz :政府24年末の借金計1317兆円に 過去最大更新、依存脱却見通せず 
時事通信:国の借金、最大の1317兆円 24年末、補正予算で膨らむ
日経新聞:「国の借金」1317兆円で最大 12月末時点
読売新聞:「国の借金」過去最大1317兆円…昨年12月末時点、国民1人当たりの借金額1063万円
どこもかしこも「国の借金」が過去最大だと騒いでいます。読売に至っては「国民1人当たりの借金額1063万円」と謳っています。

国の借金とは、単に日本政府が借金しているだけで、国民が借金している訳ではありません。むしろ国債を購入するなど、日本政府に金を貸している側です。ミスリードというか誤解を生む表現だと思います。

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2.異論を唱える人々


流石にこの記事に対し識者は次のように異論を唱えています。
サイエンスライター、竹内薫氏:
ちょっと気になりました。資産の発表はないのでしょうか。マイナス面だけを強調し、プラス面の情報を出さない手法は批判が高まっているように感じます。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー、不破雷蔵氏
今回発表された額は国債、借入金、政府短期証券の合算値ですが、いずれも政府によるもので、国によるものではありません。「国の借金」との表現は日本国全体、国家組織や所属企業、民間人の全てに至るまでとの誤読につながります。

世界銀行のデータベースによると日本の対外債務額は4.20兆ドルで、これは米国(26.90兆)、英国(9.80兆)、仏国(7.66兆)、ドイツ(6.72兆)に次ぐ大きな値。一方でこれを対GDP比で勘案すると、日本は100%となり、世界の順位としては30位にとどまります。
御尤もな指摘です。


3.林官房長官の定例記者会見


冒頭で取り上げたFNNプライムオンラインの記事では、林官房長官のコメントも取り上げていましたけれども、このコメントは2月10日午後の官房長官定例記者会見でのものです。

その実際のやり取りは次の通りです。
共同通信記者:
共同通信です。国の債務残高について伺います。
財務省は2024年末時点の日本政府の借金にあたる債務残高を発表しました。残高は年々増加しており過去最大の1317兆円となっています。受け止めと年収の壁引き上げの議論において、石破総理は財源を考える際に債務残高を考慮する必要があると述べていますが、こうした数字が出たことで今後の引き上げ議論に与える影響があるかも伺います

林官房長官:
はい。本日財務省が公表しました国債及び借入れ金、並びに政府保障債務現在高は石破総理が言及されておられます国の債務残高、すなわち普通国債の残高に加え、財投債などの他の国債や借入れ金、政府短期証券の残高についてお示したものでありまして、令和6年12月末におけるこれらの残高の合計は約1318兆になったものと承知をしております。
ご指摘の通り、国の債務残高は年々増加しておりまして、債務残高対GDP比が世界最悪の水準にあるなど日本の財政が厳しい状況にあることを踏まえますと、経済あっての財政の考え方のもと、潜在成長率の引き上げ
に重点を置いた政策運営を行うとともに、歳出歳入両面の改革を継続し引き続き財政健全化を目指していく必要があると考えております。

その上でいわゆる、103万円の壁引き上げにつきましては、総理が述べられているように、政府としては令和7年度末の国の債務残高が約1129兆円にのぼる見込みであることなど、現下の厳しい財政事情を踏まえた議論が必要と考えておりますが、引き続き政党間で協議が進められているものと承知しておりまして、政府として今後の議論の動向について予断を持って申し上げることは差し替えたいと思います




4.メディアがけしからん


この林官房長官のコメントについて、ネット有志が林官房長官の事務所と財務省に電凸して、その結果をネットに上げています。

それを引用すると次の通りです。
林官房長官に電話📞
2月10日の記者会見で、国の借金1317兆円という嘘をついていました。
国債発行は、単なる通貨発行です。
返済の必要がないのに嘘をつくのはどうして⁉️

林よしまさ事務所
林が嘘をついたのではなく、財務省が用意した資料を読み上げているので、財務省にどうして嘘の資料を読ませたのか確認して下さい

財務省に電話📞
林官房長官の事務所にお電話したら、国の借金1317兆円という嘘の資料を準備したのは財務省なので、財務省に確認のお電話をしました。
国債発行というのは、通貨発行で、返済の必要がありません。日本銀行は円を発行することができ、最終的には生損保などが保有する国債を、日本銀行が円を発行して買い取り、結局は返済不要の借金にすることもできるため問題ありません。
そうですよね⁉️

財務省
その通りです!
国の借金という嘘をついているのはメディアです。
財務省は、嘘をついてません。
メディアがけしからん。
なんと、林官房長官は財務省のペーパーを読んだだけといい、財務省はメディアが嘘をついていると答えています。この書き込みが本当であれば、凄い返答です。

官房長官が財務省のペーパーを読んだだけとしれっと答えるのも問題だとは思いますけれども、財務省は財務省で嘘はついてない、嘘をついたのはメディアだと回答しています。

振り返って、林官房長官の記者会見でのやり取りをみると、確かに「借金」という言葉を使ったのは共同通信の記者であり、林官房長官は「債務」という表現です。

一応共同通信の記者は、その借金も「日本政府の借金にあたる債務残高」と政府の借金と表現し、林官房長官がそれに答えていることから、林官房長官が「国の債務残高」と述べたものは、「日本政府の債務残高」であり、「日本政府の借金」と捉えるのが自然です。

それが、メディアの見出しでは「国の借金」と”政府の”が抜け落ちています。

もっともメディアにしてみれば、林官房長官が「国の債務残高」といったのを「国の借金」に言い換えただけだと言い訳するかもしれません。

ただ、読売のように「国民1人当たりの借金額」なんて見出しをつけるところをみると、意図的にミスリードを誘っているのではないかと疑ってしまいます。

こうした細かいところで、正確さを欠く報道をしているのが、信頼を無くしている原因だと気づいて正していかない限り、オールドメディアの復活は中々厳しいものがあるのではないかと思いますね。






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