提訴された原口議員と公職選挙法改正案

今日はこの話題です。
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1.提訴された原口一博衆院議員


2月25日、立憲民主党の原口一博衆院議員は衆議院第一議員会館で、Meiji Seikaファルマから名誉棄損に係る訴状が届いたことを受け、記者会見を行いました。

Meiji Seikaファルマは、昨年12月25日に、原口議員を名誉棄損で東京地裁に提訴したと発表。社会的影響力を持つ原口議員が動画投稿サイトなどのSNS上で、Meiji Seikaファルマやレプリコンタイプ(自己増幅型)の次世代mRNAワクチン・コスタイベについて、「誹謗中傷を繰り返している」と指摘。特にコスタイベの開発元のMeiji Seikaを「731部隊」、コスタイベを「生物兵器」、コスタイベの臨床試験を「殺人に近い行為」と繰り返し表現・発言していることをMeiji Seikaは問題視し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、原口議員に対し1000万円の損害賠償を求めています。

これに対し、原口議員は、「訴状を見ると、ほとんど私の言ったところとは関係ないところで話をされている……私自身がmRNAワクチンによって、23年1月27日にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の宣告を受けた……mRNAワクチンについて、まさに自分自身が被害者だと思っているが、その被害者が声をあげてはいけないのか。国民の命と健康を守る国会議員がその先頭にたってはいけないのか……他の国会議員とも連帯して徹底的に戦っていく」と述べました。

原口議員はこの日の会見で、今年1月27日に東京地裁を通して訴状が手元に届いたと明かし、弁護団を結成して対応を協議し、この日の会見に至ったと説明しています。

さらに原口議員は、アメリカでは製薬企業を州議会に呼んでmRNAワクチンに関して様々な意見聴取をしていると指摘した上で、「日本だけです。製薬企業が国会議員を訴えるのは……あえて言うと、日本の恥だと思う……科学はあらゆる疑問から入っていく」とし、Meiji Seikaによる提訴は「疑問を封じ、言葉を封じている」と批判しました。

また、原口議員はMeiji Seikaが問題視する「Meiji Seikaを731部隊になぞらえた複数の発言」について、「私が言ったものではなく、外国の人が731部隊とかをやる国だから危険だと言っているものであり、このようなことを言われる覚えはない……何のために訴訟するのだろうか」と反論しました。

更に、Meiji Seikaが「コスタイベが生物兵器であるとの発言」も強く問題視していることについても、2023年5月に開かれたInternational Covid Summitの議論を引き合いに、「世界の常識は生物兵器を開発しているということ。単に薬物、ワクチンの開発だけでなく、生物兵器の一環としてやってきた。したがってmRNAワクチンなる『遺伝子製剤』が先にあり、どう生物兵器が発展してきたかが話し合われてきた……Meiji Seikaが訴状で言っているような、この企業だけを指して生物兵器まがいなものと言っているわけではない……この間の歴史、我々がワクチンと呼んでしまっているものの正体は、本当は違うのではないかと言っている」と主張しました。

このほか原口議員は、訴状にはコスタイベの売上見込が約110億円、うち半分が利益だと書かれていると明かした上で、「私はここもおかしいと思っている……売上の半分も利益があるとのこと。しかも、この利益がなくなったのは私のせいというのは到底受け入れられない話であり、徹底的に戦っていく」と強調しました。

そして、2024年10月27日投開票の先の衆院選の数日前という「選挙の真っ最中」に、Meiji Seikaが原口氏を名誉棄損で提訴する方向で検討を進めているとの報道が出たことにも言及し、虚偽事項公表罪にあたるのではないかとの見方を示しつつ、「国から補助金をもらっている会社が、こういうことになったらひとたまりもないと思っている」と述べています。




2.公職選挙法改正案


原口議員は、選挙中の報道について疑義を呈した訳ですけれども、2月25日、衆院政治改革特別委員会は、公職選挙法改正案を自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、共産党の賛成多数で可決しました。

可決された改正案では、ポスターに他人やほかの政党の名誉を傷つけるなど品位を損なう内容の記載を禁止することや、営利目的で使用した場合は100万円以下の罰金を科すことなどが盛り込まれています。

また、付則で、SNSで選挙に関する偽情報などが拡散しているような状況に対応するとともに、当選の意思のない候補者がほかの候補者を応援する、いわゆる「二馬力」と呼ばれる状況を念頭に候補者間の公平を確保するため、施策のあり方を検討し、必要な措置を講じるとしています。

ただ、法案を提出した議員の1人は「付則の規定は、何らかの対応が必要だという意思を示したものであり、これだけでは防ぎきれない」と話しています。

また、選挙ごとに複数の規格があったポスターの大きさを統一する改正案の採決も行われ、全会一致で可決されています。

与野党は、夏の東京都議会議員選挙や参議院選挙に施行が間に合うよう、早期の成立を目指しています。

この改正案の背景には、去年の東京都知事選挙や兵庫県知事選挙があります。

東京都知事選挙で複数の同じ選挙ポスターや風俗店の店名などを載せたポスターが掲示板に貼られたことや、兵庫県知事選挙で、当選の意思のない候補者の選挙運動がほかの候補者のために行われたのではないかと指摘されたことなどです。

その発端は、どちらもNHK党の立花党首にある訳ですけれども、それによって選挙がよりよくなるのであれば悪いことではありません。

ただ、いわゆる「二馬力選挙」については、複数の党による選挙協力は「二馬力選挙ではないのか」という疑問も湧いてきます。

実際、自民党と公明党は選挙のときに「小選挙区は自民、比例は公明」と訴えていました。これとて見方によれば「二馬力」になると思います。

おそらく、そういうツッコミを避けるために、「当選の意思のない候補者」という枕詞でもつけてくるのではないかと思われます。

他方、選挙を含めたSNS利用の在り方については、まだまだ議論の余地があると思います。

選挙でのSNS利用のあり方について 、自民党が与野党の協議会で示した「論点」は次のとおりです
・偽情報の拡散
・収益を上げる目的での利用
・SNSの運用を民間に委託する場合の報酬のあり方
・公職選挙法の虚偽事項公表罪の適用の厳格化など
そして「デマの拡散によって選挙結果への重大な影響が生じている」と指摘し、その対策として「情報流通プラットフォーム対処法」を改正してSNSの運営事業者の責任をより明確化するよう求めています。

具体的には、候補者への誹謗中傷や偽情報を含むコンテンツが投稿された場合、事業者が収益の支払いを停止できる仕組みを導入すべきだとし、SNSアカウントの本人確認の強化なども挙げています。

一方、総務省は、インターネット上の偽情報などの問題に対応するため、去年10月に有識者による検討会を立ち上げていて、1月、村上総務大臣は、この春をめどに、どのような情報が違法なのかを示す、違法情報ガイドラインを策定する方針を示しています。


3.全ての人をずっと欺くことはできない


今回の公選法改正案のSNS規制について、与野党の議員からは「規制を強化すると表現の自由を制約しかねない」という懸念や「どこまでがセーフでどこからがアウトなのか線引きは難しい」という声が上がっていて、慎重に議論が進められる見通しとのことですけれども、ここには民主主義の根幹に関わる問題が潜んでいます。

かつて、エイブラハム・リンカンは「全ての人を、少しの間欺くことはできる。一部の人を、ずっと欺くこともできる。しかしすべての人をずっと欺くことはできない」との名言を残したとされています。

この「全ての人を、少しの間欺く」というのは、何某かのキャンペーンに相当するでしょう。いわゆるフェイクニュースもその範疇ですし、あるいは、選挙公約を反故にする行為もそれに相当するかもしれません。

一方「一部の人を、ずっと欺く」というのは、いわゆるカルトの類で、カルト宗教というのもそれに当たるかもしれません。先日亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏は、「財務省は、宗教を通り越して、カルト教団化している。ザイム真理教を奉じるカルトだ」と述べたことで話題になりましたけれども、ずっと欺く一部の人が誰なのかによって、その影響は計り知れないものになります。

たとえば、その「少数」が、政治家といった権力者、マスコミ、インフルエンサーだったとしたら、彼らの言動は多くの国民に影響を与えることはいうまでもありません。そして実際、彼らは「ご説明」と称して、少数の権力者に働きかけてきた訳です。

ところが、昨今のSNSの普及によって、多くの人がインフルエンサーとなってしまったことで、「ご説明」しなければならない相手が爆発的に増えてしまった。これが財務省を慌てさせているのではないかと思います。

青汁王子こと三崎優太氏は、ここのところ盛り上がっている「財務省解体デモ」を取り上げたところ、財務省から圧力が掛かったという動画を上げていますけれども、「ご説明」が追いつかなければ、その口を塞ぐ手に打ってくることは考えられます。

ただ、「財務省解体デモ」そのものについては、その主催者が誰なのか全くわからないという指摘もあり、財務省とて圧力を掛ける先が見つけられず、ずっとデモが続く可能性もあります。




4.フェイクかどうかは直ぐには分からない


2月9日、紀尾井町戦略研究所は、全国の18歳以上の1000人を対象に、デジタルリテラシーに関する意識調査を行いました。

調査結果の概要は次の通りです。
ー信頼できるメディアは何か
 「新聞」40.3%、「テレビ」35.7%、「動画投稿サイト」5.8%、「SNS」5.1%

ーニュースなどの最新情報を何から得ているか
 「ポータルサイト」77.4%、「テレビ」71.5%、「新聞」は34.5%、「動画配信サイト」31.7%、「SNS」28.0%

ー偽情報や誤情報にだまされない自信があるか
 「自信ある」「ある程度自信ある」の合計が43.7%、「あまり自信ない」「自信ない」は48.2%

ー選挙中のSNSの利用を規制すべきと思うか?
 「規制すべき」「ある程度規制すべき」の合計が75.7%。「規制すべきでない」と「あまり規制すべきでない」は合計で16.3%
「信頼できるメディア」と「最新情報を得るメディア」は違うという結果に加え、選挙中のSNS利用は規制すべきという結果となっています。

選挙に限定して言うならば、SNSで注意すべきは「全ての人を、少しの間欺く」ことになっているのかどうかであり、SNS規制は、「多数を短期間騙す」ことがないようにする処置だとも言えます。

けれども、問題は、その短期間に流される情報が「フェイク」なのかどうかがその場では分からない。「フェイク」なのかそうでないのかを誰がどう判断するのか、という点です。

冒頭で取り上げた、原口議員に対する訴訟とて、新型コロナワクチンについていえば、今でこそ相当危険なシロモノではないかという声が上がり始めたものの、果たして生物兵器だったのかどうかは、まだその真偽は分からない状態です。

「全ての人をずっと欺くことはできない」というのは言葉を変えれば、「みんながずっといっていること(保守)は大体正しい」ということだとになると思いますけれども、今の「全ての人を、少しの間欺いている」かもしれない状態で、司法がどういう判断を下すのか。

非常に重要な案件になるのではないかと思いますね。




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