ウクライナ停戦案とプーチンの条件リスト

今日はこの話題です。
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1.準備は出来ている


3月13日、ロシアのプーチン大統領はベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した後、共同記者会見を行いました。

その中で、ウクライナの停戦問題について質問が飛び、プーチン大統領は「準備は出来ている」と答えました。

件の共同会見からウクライナ関連部分を引用すると次の通りです。
【前略】

オルガ・クニャゼワ: こんにちは。

最初の質問はプーチン大統領に伺います。ウクライナの停戦準備状況についてどうお考えですか?アメリカからすでに情報を受け取っていますか?また、どのような対応をされる予定ですか?

もう一つ質問があります。ルカシェンコ氏とプーチン氏の両氏に答えていただきたいのですが。モスクワとミンスクは和平プロセスに関して立場を一致させているのでしょうか。また、本日すでに関連する協議は行われましたか。

ありがとう。

ウラジーミル・プーチン:ウクライナの停戦準備については、もちろん私の見解を述べます。

しかし、私はまず、ウクライナ和平に多大な関心を払ってくれた米国大統領トランプ氏に感謝したいと思います。私たちはみな、国内問題に十分対処しなければなりません。しかし、中華人民共和国の国家主席、インドの首相、ブラジルおよび南アフリカ共和国の大統領など、多くの国の指導者がこの問題に取り組んでおり、多くの時間を割いています。私たちは彼ら全員に感謝しています。なぜなら、この活動は、敵対行為と人命の損失を終わらせるという崇高な使命を達成することを目指しているからです。これが私の第一のポイントです。

第二に、我々は敵対行為を停止するという提案に賛成するが、この停止は長期的な平和につながり、この危機の根本原因を排除するはずだという前提に基づいている。

さて、ウクライナが敵対行為を停止する用意があるかどうかについてですが、ご存知のとおり、表面的には、サウジアラビアでの米国とウクライナの会談は、ウクライナ側が米国の圧力を受けてこの決定を下したように見えるかもしれません。実際、先ほどここで言及されたように、現地で進展している状況を考慮すると、ウクライナ側は米国にこの決定を最も強く求めるべきだったと私は確信しています。

現地の現状はどうなっているのでしょうか?皆さんの多くは、昨日私がクルスク地域を訪問し、参謀総長、北方軍集団の司令官、副司令官から国境地域、まずはクルスク地域、いや、クルスク地域の侵攻地域の状況について報告を聞いたことにきっと気づいているでしょう。

そこで何が起きているのか? 状況は完全に我々の管理下にあり、我々の領土に侵入した集団は孤立している。完全に孤立しており、完全な射撃統制下にある。この侵入地域内のウクライナ軍の統制は失われている。最初の段階、ほんの1、2週間前、ウクライナ軍人は小集団でそこから脱出しようとした。今では不可能だ。彼らは2、3人の非常に小さな集団で脱出しようとしている。なぜなら、すべてが我々の完全な射撃統制下にあるからだ。

軍事装備は完全に放棄されており、撤去は不可能です。100%そのまま残ります。今後数日でこの地域が物理的に封鎖されれば、誰も立ち去ることができなくなります。選択肢は2つしかありません。降伏するか死ぬかです。このような状況では、ウクライナ側が少なくとも30日間停戦を達成するのは良いことだと思います。私たちも賛成ですが、微妙な点があります。それは何でしょう?

まず、クルスク地域の侵攻部隊についてはどうするのでしょうか。30日間停戦するとしたら、それは何を意味するのでしょうか。そこにいる全員が戦わずに去るということでしょうか。民間人に対して数々の凶悪犯罪を犯した彼らを解放しなければならないのでしょうか。それとも、ウクライナの指導部が彼らに武器を捨てて降伏せよという命令を出すのでしょうか。どのようにそうなるのでしょうか。はっきりしていません。

接触線全体にわたるその他の問題はどのように解決されるのでしょうか。接触線はほぼ 2,000 キロメートルの長さです。ご存じのとおり、ロシア軍は戦闘接触のほぼすべての地域で前進しています。そこでは、私たちがかなり大規模な部隊を阻止するのに非常に有利な状況もあります。

では、この 30 日間はどのように使われるのでしょうか? ウクライナでの強制的な動員を継続するためでしょうか? そこにさらなる武器を供給するためでしょうか? 動員された部隊の再訓練のためでしょうか? それとも、これらは何も行われないのでしょうか?

もしそうなら、管理と検証に関する問題はどのように対処されるのでしょうか。このようなことが起こらないことをどのように保証し、保証を得ることができるのでしょうか。管理手順はどのように組織されるのでしょうか。この複雑さを常識レベルで皆さんに理解していただければ幸いです。これらはすべて深刻な問題です。

誰が停戦命令を出すのか?その命令の代償は?想像してみてください。ほぼ2,000キロの距離です。2,000キロの距離で誰がどこで潜在的な停戦協定に違反したのかを誰が特定できるのか?停戦違反の責任は誰が負うのか?これらすべての問題は双方が慎重に取り組まなければなりません。その考え自体は正しいし、もちろん我々はそれを支持します。

しかし、議論しなければならない問題があります。私たちはアメリカの同僚やパートナーとそれらの問題について話し合う必要があり、おそらくトランプ大統領と電話で会談して議論する必要があると思います。しかし、平和的な手段でこの紛争を終わらせるという考えは、私たちの全面的な支持を得ています。

【以下略】
プーチン大統領は停戦そのものには賛意を示しながら、それは恒久停戦でなければならないことと、停戦の細かい条件を詰める必要があると指摘しています。


2.プーチンの要求リスト


このプーチン大統領の発言について、イギリス・Skyニュースは「ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアはウクライナでの戦闘の終結に同意すると述べたが、30日間の停戦の提案については「多くの疑問」が残っている」と論評し、ロシアは、戦争を終わらせるための「要求リスト」をアメリカに提出していると報じています。

その要求リストは次の通りです。
・キエフはNATOに加盟せず。
・ウクライナに外国軍を派遣しないという合意。
・そして、ウラジミール・プーチン大統領のクリミアとウクライナの4つの州に対する領有権主張が国際的に承認された。
双方の当局者は過去3週間にわたって条件について協議してきたとのことで、ロシアがリストに具体的に何を含めたかについて、情報筋は、その条件は広範囲で、これまで提示したものと似ていると説明しているそうです。

この停戦提案に対するロシアの反応について、Skyニュースのアイヴォル・ベネット/モスクワ特派員は次のようにコメントしています。
ウラジミール・プーチン大統領は米国の停戦提案を全面的に拒否するつもりはなかったが、全面的に支持するつもりもなかった。予想通り、ロシアの合意にはいくつかの条件が付いていた。

クレムリンの指導者はモスクワの要求を具体的には述べなかったが、いかなる和平協定も紛争の「根本原因」を排除しなければならないと述べて、その要求に言及した。

これは彼の頻繁な発言となっており、モスクワの最大主義的立場は変わっていないことを示している。

ロシア大統領は「根本的な原因」とはNATOの東方拡大を指し、これがウクライナ戦争のきっかけになったと非難している。

これは、停戦合意が、例えばウクライナが決してNATOに加盟しない、あるいは将来的にNATO加盟国による欧州平和維持軍がウクライナに駐留しないといった、彼自身の何らかの安全保障保証を得ることにかかっていることを非常に明確に示している。

彼はまた、モスクワが即時停戦に同意することに消極的な理由を明言し、クルスク地域における自軍の進攻について長々と語った。同地域へのウクライナ軍の侵攻はクレムリンにとって屈辱的であったが、ついに彼らを追い出すことが手の届くところまで来た。

プーチン大統領はその機会を逃したくない。ロシアの攻勢を一時停止すれば、ロシアが優位を失い、敵に再編の時間を与えられることを恐れているのだ。

しかしプーチン大統領は、ホワイトハウスからの反発を警戒してか、和平合意に向けたドナルド・トランプ大統領の努力に慎重に感謝した。しかしそれにもかかわらず、プーチン大統領は依然として妥協の兆しを見せていないようだ。
プーチン大統領は妥協の兆しはみせず、一カ月の停戦がウクライナ軍の再編の時間を与えることにならないか警戒しているというのですね。


3.これは得られるもので、これは得られないものだ


一方、ウクライナとアメリカの反応については「ザ・ガーディアン紙」が3月13日の記事で次のように述べています。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この提案に対するプーチン大統領の曖昧な反応を「操作的」だと一蹴した。

「停戦の考えに対するプーチン氏の非常に予測可能で非常に操作的な発言は、われわれ全員が耳にしている」とゼレンスキー氏は夜間の演説で述べた。「われわれが常に言ってきたように、事態を長引かせるのは、非建設的なのはロシアだけだ」

ゼレンスキー氏は、プーチン大統領は「トランプ大統領にこの戦争を継続したいと直接言うことを恐れている」と述べ、ロシアの指導者は「停戦の考えを、何もうまくいかないか、あるいはできるだけ長くうまくいかないような前提条件で組み立てている」と非難した。

ホワイトハウスで演説したトランプ大統領は、ロシアおよびウクライナとの米国との交渉についてさらに詳しく述べ、「多くの個別の問題が議論された」と述べた。

トランプ氏は、米国とウクライナが「保持される土地と失われる土地、そして最終合意のその他のすべての要素」について話し合ったことを示唆した。「そこには発電所が関わっている。ご存知の通り、非常に大きな発電所が関わっている。誰が発電所を手に入れ、誰があれこれを手に入れるのか?」

トランプ大統領は、ウクライナが「NATOとNATO加盟についても言及したが、その答えは誰もが知っている」と述べた。

「何の意味もない停戦で時間を無駄にしたくないので、我々は土地の概念について議論してきた」とトランプ氏は述べた。「だから我々はこう言っているんだ。『これは得られるもので、これは得られないものだ』と。

「ロシアが参加するかどうかがこれから分かる。もし参加しなければ、世界にとって非常に残念な瞬間となるだろう」と彼は語った。

ロシアに停戦に同意させるだけの力があるかとの質問に対し、トランプ大統領は、あると答えたものの、詳細は明らかにしなかった。「我々は彼と話し合っており、今日の彼の発言から判断すると、かなり前向きな内容だった」と同氏は語った。

トランプ大統領は、停戦が合意に至らなければ「ロシアにとって経済的に非常に悪いことになるようなこと」をする可能性もあると述べたが、新たな制裁や関税のことを言っているのかどうかについては詳しく述べなかった。
ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領こそが、戦争を継続したいと思っていて、停戦交渉をぶち壊すか、なるべく長引かせる前提で考えているというのですね。

けれども、ロシアが示したという戦争を終わらせるための「要求リスト」の骨子は、ウクライナ侵攻を始めた当初からずっと言ってきたことです。自身の今の攻勢を背景にもっと寄越せ、全部寄越せと要求をエスカレートさせているようには見えません。

ゼレンスキー大統領の疑念や恐れが何処からくるのか。今一つ不明です。


4.プーチンがトランプの停戦計画を潰そうとする理由


もっともロシアとて、プーチン大統領が条件をつけてきたように、停戦には懐疑的です。前述のガーディアン紙はロシア側の反応を次のように報じています。
・ロシア当局者の最近の発言は停戦に対して明らかに懐疑的であり、モスクワが戦場で攻勢を続けている中、合意に達したり譲歩したりする緊急性はほとんどないことを示している。

・クレムリンの側近ユーリ・ウシャコフ氏は、モスクワは30日間の停戦案を「ウクライナ軍にとっての一時的な猶予に過ぎない」と見ていると米国国家安全保障問題担当大統領補佐官マイク・ウォルツ氏に伝えたと述べた。

・ロシア外務省報道官マリア・ザハロワ氏は木曜日、モスクワは「早ければ今日」米国が支援する和平案について協議する用意があると述べた。しかし同報道官は、ロシアは戦闘停止に緊急性を感じていないと示唆し、ウクライナに西側諸国の平和維持部隊を安全保障として受け入れることはなく、派遣されれば標的になるだろうと改めて述べた。
また、アメリカのポリティコ紙も13日の記事で次のように論評しています。

ロシアの元外交官は木曜日、ウクライナがすでに承認している米国仲介の停戦提案をロシアのウラジーミル・プーチン大統領が受け入れる可能性は非常に低いと警告した。

ロシアの指導者はこれを受け入れることが自らの利益になるとは考えておらず、これを沈没させるために終わりのない一連の修正を持ち出して議論を停滞させようとするだろう、とプーチン大統領のウクライナ戦争に反対して辞職するまでジュネーブの国連ロシア代表部で働いていたボリス・ボンダレフ氏は述べた。

「プーチン大統領は停戦には興味がない」とボンダレフ氏はポリティコに語った。「彼は戦闘によって目的を達成できると考えている。かなり自信を持っていると思う」

元ロシア外交官の発言は、ドナルド・トランプ米大統領のスティーブ・ウィトコフ特使がウクライナでの30日間の停戦案を協議するためモスクワに到着した際に行われた。ホワイトハウスは、この停戦がロシアによる隣国への3年間に及ぶ全面侵攻を終わらせる、より大規模で包括的な和平合意への道を開くことを期待している。

クレムリン当局者らはすでにこの提案に疑問を投げかけている。先月サウジアラビアで米国の交渉担当者らとの会合に参加したプーチン大統領の外交政策顧問ユーリ・ウシャコフ氏は、停戦案を「性急な文書」と評した。

トランプ大統領は、ウクライナ停戦を遅らせないようモスクワに警告し、水曜日には、今週初めにサウジアラビアで行われた米国とウクライナの当局者らによる交渉で仲介された合意にロシアが署名しない場合、ロシアに多大な経済的影響をもたらすと脅した。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は木曜日、米国の交渉団が停戦提案を説明するために到着することを確認した。「接触は計画されている」とペスコフ報道官はロシアの首都で記者団に語った。「我々は予断しない」と同報道官は付け加えた。

同氏は、ウィトコフ氏がプーチン氏と直接会談するかどうかや、クレムリンがすでに独自の要求リストを作成しているかどうかについては言及しなかった。

ボンダレフ氏は、プーチン大統領がトランプ氏を恐れているとは思わないと述べた。「彼はトランプ氏を怒らせることを恐れてはいないが、おそらく彼はトランプ氏にこう言うだろう。『わかった、それは素晴らしい考えだ。私は戦いをやめたい。だが、停戦の前にいくつかの小さな問題を解決しなければならない。ドナルド、もしあなたがこの合意を望むなら、もし本当に望むなら、話し合いを始める前にいくつかの小さな取り決めをしよう』」と彼は語った。

全体的に見て、プーチン大統領は「トランプ大統領はウクライナよりも和平協定をはるかに懸念している」と考えている可能性が高いとボンダレフ氏は付け加えた。

トランプ大統領は取引をまとめる手腕に誇りを持っており、先月末にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を和平交渉の障害とみなして攻撃した。その後トランプ大統領はキエフへの軍事援助を削減し、ウクライナ人は和平を望んでいないと激怒したが、ウクライナが停戦提案に同意すると武器供給を再開した。

ウクライナ当局は今、プーチン大統領がトランプ大統領の怒りの標的になることを望んでいる。しかしボンダレフ氏は、プーチン大統領はトランプ大統領を翻弄し、米国指導者の怒りをゼレンスキー大統領に向けさせようとするだろうと警告した。「ゼレンスキー大統領は常にスケープゴートにされ、ロシアとのトラブルはモスクワが彼のせいにするだろう。『誰が悪いのか? もちろんゼレンスキー大統領だ』」とボンダレフ氏は語った。

ヴィトコフ氏がモスクワに到着する直前、プーチン大統領顧問のウシャコフ氏は「この問題は取り組むべきであり、我々の立場も考慮され、考慮されるべきだ」と述べた。

同氏は記者団に対し、「今のところ、そこにはウクライナのアプローチのみが概説されている」と語った。同氏は停戦措置は「不要」であり、一時的な停戦ではなく、より広範な和平協定に向けた交渉が直ちに開始されるべきだと示唆した。

水曜日にマイク・ウォルツ米国家安全保障問題担当大統領補佐官と電話会談したウシャコフ氏は、30日間の戦闘休止はウクライナ軍が再編成し、西側同盟国から補給を受ける機会に過ぎないと述べた。これは、ロシアの対案の一つが、戦闘休止中はアメリカであれヨーロッパであれ西側諸国の軍事援助をすべて停止することである可能性を示唆している。

クレムリンが取る可能性のあるもう一つの策は、トランプ大統領とプーチン大統領が直接会って話し合う機会を得るまでは、何も合意できないと主張することだ。

英字紙モスクワ・タイムズは木曜日、クレムリンが来月か5月に両首脳の会談の可能性を検討していると報じた。

同紙が取材したロシア当局者によると、クレムリンはウクライナでの軍事行動を中止するのと引き換えに、ワシントンから最大限の譲歩を引き出すため、首脳会談をできるだけ延期したいと考えているという。

「時間はクレムリンの味方だ」と当局者は語った。

ボンダレフ氏によると、クレムリンが望むのは「長期にわたる安定した平和、そしてもちろん、ロシアの条件に厳密に従った合意」だけであり、これにはウクライナが決してNATOに加盟せず中立を維持すること、西側諸国の平和維持軍がウクライナに派遣されないこと、そして西側諸国によるウクライナの再軍備がすべて終了することが含まれるという路線を推し進めるだろう。

ボンダレフ氏は、プーチン大統領にとって、一時的な停戦は長期の停戦に変わるリスクがあり、「広報の観点からは、停戦を拒否するよりも、停戦を破る方が難しいだろう」と述べた。
やはり1カ月の停戦は、ウクライナの時間稼ぎにしか過ぎないという見方が強いようです。

来月か5月にトランプ大統領とプーチン大統領が直接会談する可能性があるとモスクワ・タイムズが報じていますけれども、これは、要するに停戦交渉にそれだけの時間がかかることを示唆しているということです。

ロシアとウクライナが共に不信感を抱える中での停戦交渉。総論賛成、各論反対。そう簡単にはいかなさそうですね。



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この記事へのコメント

  • かも

    この問題、トランプがプーチンを助けるかどうかと言う問題に次元が移ってきたようですね。
    プーチンにとって、プーチンの示したした条件が戦争を終わらせない条件と言うより,プーチンの命運を支配する命題になりつつあると言うことです。
    ワルシャワ条約が解体して以降。NATO諸国は一貫してロシア敵視政策をとりことある毎にロシアへの制裁を繰り返してきた。
    些か感傷的に言えば地
    ウクライナこそがロシアの歴史の故郷でありロシアの拠り所でありこころの支えであり,憧れの地でもあり、ロシアの豊かさの象徴でも有ったのです。
    私も,’90年代にロシアの関係国で仕事をして、そこでウクライナへの思いを聞いたことがあります。
    当時、ソ連解体前には、地方の国立大学で首席を取るとウクライナへの留学がご褒美として与えられて、ウクライナ各地を周遊して廻ってきたとの話でした。
    キエフはとても美しい街だから是非いってらっしゃいと勧められたものです。
    クリミアのオデッサもロシア人の誇りでもあったのです。
    然も世界一の航空機を作り技術があって、大穀倉地帯があって,文字通りロシア人の心の故郷であり拠り所であったのです。
    CIS諸国ではどこもそうですがソ連解体に伴って何処でも,其れまでその地域の行政経済生産手段のトップの地位を占めていたロシア人、或いはロシア系住民が一夜にしてその地位を追われ迫害され差別され、いじられて悲惨の極限の状況に追い込まれたのです。
    ウクライナでも特にクリミアと東部地域では、後に.アゾフ連隊とい言われる暴虐非道の一群に襲われて,其ネオナチと認められるネオナチと認められる組織がロシア人への迫害を強めていったのです。
    そこに喜劇役者上がりのゼレンスキーが現れて、西側に傾きロシア人への暴虐も度を強くしていったことは想像に難くないのです。
    侵略は許せざる戦争犯罪であるとしても,そのことを理由にNATO諸国は,その侵略を根拠にして更なるロシアへの反抗を支援して,ロシアの体力を奪うことを目的として、一滴の血も流さず、ウクリナに武器支援をして煽ってウクライナを扇動してきたのです。
    NATOもバイデンもG7も、ロシア憎しを煽り立てて今日があるのです。
    其れではロシアに勝ち目はありません。
    それでもロシアの解体は絶対に受け入れるわけには行かないのです。
    ロシアのにはロシアの正義が断固としてあるかるからです。
    第3次大戦も辞さないと考えるのが一番あり得る見通しです。
    プーチンが侵略を始めた理由もそこにあって,変わることなく停戦の条件にしている。
    マクロンの有志連合も火に油を注ぐものでしか有りません。
    戦争は常に,敵こそ極悪非道なのです。
    仲介とは,その偏見を乗り越えて,どちらにも正義があるところから始めなければ成立しません。
    トランプに,そこまでの思いがあったかどうか。
    ゼレンスキーを仲介の場においてはいけないのです。
    当事者が話し合って出来る解決はないからです。トランプとプーチンが会談して帰趨を決めて其れをゼレンスキーに与える。
    それだけが正しい解決法だと考えます。
    戦争とはそういうものではないでしょうか。
    そのことをトランプに語りかけて,仲裁の舵を取ることを日本がしても出過ぎたことではないでしょう。日本だから出来る停戦交渉の調停が出来るからです。
    商品券問題で其れも潰れてしまうのはなんとも残念です。
    商品券問題を払拭するために動くというのもありでしょう。
    2025年03月16日 16:12
  • 日比野

    かもさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

    >プーチンにとって、プーチンの示した条件はプーチンの命運を支配する命題になりつつあると言うことです。
    >ウクライナこそがロシアの歴史の故郷でありロシアの拠り所でありこころの支えであり,憧れの地でもあり、ロシアの豊かさの象徴でも有ったのです。

    昨年2月に、タッカー・カールソンのプーチン単独インタビュー(https://kotobukibune.seesaa.net/article/2024-02-11.html)を紹介するエントリーを挙げたことがありますけれども、インタビューでプーチンは1000年以上前のロシアの国家の成り立ちから振り返り、ウクライナとはもともと一つの国家だったのだと説明を始めました。その後のポーランドとの確執と戦争の中で、ウクライナ(地域)は揺れ動いてきたことを語り、ロシアとウクライナ、特に東ウクライナとの歴史的結びつきを強調しています。

    もちろん、これはロシアの見方であり、ロシアの正義であるのですけれども、当時、このインタビューは西側諸国のメディアから叩きに叩かれました。ロシアの正義、ウクライナの歴史には目もくれなかったのです。


    >ウクライナでも特にクリミアと東部地域では、後に.アゾフ連隊とい言われる暴虐非道の一群に襲われて,其ネオナチと認められるネオナチと認められる組織がロシア人への迫害を強めていったのです。

    これについては、ロシアのウクライナ侵攻直後の2022年3月6日にエントリーした「マーチ・オン・ファイア(https://kotobukibune.seesaa.net/article/202203article_6.html)」で取り上げたことがあります。けれども、当時の西側メディアもアゾフについて取り上げ、批判するところは殆どなかったように記憶しています。

    >当事者が話し合って出来る解決はないからです。トランプとプーチンが会談して帰趨を決めて其れをゼレンスキーに与える。それだけが正しい解決法だと考えます。

    2022年10月3日のエントリー、「ウクライナのNATO加盟申請とエスカレーション・ラダー(https://kotobukibune.seesaa.net/article/2022-10-03.html)」で私は、グラスルの紛争エスカレーションモデルを紹介し、当時すでにロシアとウクライナは、5)面目失墜(建設的に見える相手の動きはすべて欺瞞として片付けられ、たった一つの否定的な出来事が相手の本性を示す決定的な証拠となる)か、6)脅迫戦略(退かないことを示すために相互に脅しをかける。制裁の脅しをかけることで、相手に特定の要求や規範に従わせる)の段階にあると述べています。

    少なくとも、ゼレンスキーの言動を見る限り、彼は5か6の段階にあり、下手をすれば7段階目の限定的破壊攻撃(相手はもはや純粋な敵であり、人間性を持っていない。相手の火力を無力化して、自分の生存を確保する。真のコミュニケーションはない)にまで足を踏み入れているかもしれません。

    一方、プーチンはというと、トランプの和平案に対するコメントを見る限り、4)イメージ、連合(相手のイメージを拒絶し、自分のイメージを相手に認めさせようとする。それぞれ積極的に傍観者の支持を得ようとする)にかろうじて留まっているようにもみえます。

    グラスルのモデルによると、5段階目以上にエスカレートした紛争を解除するためには

    レベル 5-7: 外部の専門家の仲介による支援
    レベル 6-8: 自発的または強制的な仲裁による支援
    レベル 7-9: 上からの介入によってのみ支援が可能

    と説明しています。

    仮に、プーチンを4段階目、ゼレンスキーを6段階目にあるとすると、その仲裁は、外部の専門家か自発的または強制的な仲裁による支援ということになります。実際トランプがやっているのは、この「強制的な仲裁」に近く、やはりロシアとウクライナの紛争は5~7段階目にあるとみてよいように思います。

    ただ、ゼレンスキーが最低でも5段階目にあるということは、プーチンのいうことは「建設的に見える相手の動きはすべて欺瞞として片付けられ、たった一つの否定的な出来事が相手の本性を示す決定的な証拠となる」と見えているということであり、実際のゼレンスキーの発言はそれを裏付けています。

    つまり、停戦交渉にゼレンスキーをいれてしまうと、プーチンの言動ひとつひとつに嘘だ、欺瞞だと騒ぎ立て、交渉をぶち壊してしまう可能性があります。

    したがって、かもさんのいう「当事者が話し合って出来る解決はない。トランプとプーチンが会談して帰趨を決めて其れをゼレンスキーに与える。ゼレンスキーを仲介の場においてはいけない」はグラスルの紛争モデルからみても正しいと思います。

    ただ、日本がそこに噛んで仲裁の労を取れるかというと、筆者は悲観的です。仲裁できるだけの力、ひらたくいえば軍事力を持ってないからです。

    果たしてトランプがロシアの正義、ウクライナの正義をどこまで理解しているかは分かりません。ただやろうとしていることは「強制的な仲裁」であり、グラスルの紛争モデルに従った解決手順を踏んでいると思います。

    2022年10月3日の件のエントリーで、私は最後に「望みがあるとすれば、秋の中間選挙で民主党が負け、2024年の大統領選挙でロシアに中立的な大統領が出てくるしかないのかもしれませんね」との一文で結んでいますけれども、トランプ再選はまさにこの条件に合致しており、停戦が実現する最後のチャンスではないかと思います。

    今後ともよろしくお願いいたします。
    2025年03月16日 21:17
  • かも

    日比野さん
    大変丁寧な書き込み有り難う御座います。
    更に私の覚束ない論に丁寧な書き込みを加えて頂き恐縮至極です。
    日本の役割について,日本に軍事力がないからとのこと,全くその通りだと思いますが、ヨーロッパとトランプの対立が起きてしまっているときに,更なる融和協調をどうしていくのか、誰かがその役割を引き植えなければ世界が大きく変わってしまうと言う危惧を抱いています。
    戦後の日本の歴史は,考えてみれば,丸腰で世界中に日本の商品を背負って敵味方の境もなしに活動したことを思えば,丸腰も悪くないと考えている次第です。
    尤も日本の外務省や政治家にその気力があるかどうかの話なのですが、それでも今其れを誰かがやらなければと言う思いはつきません。
    そしてその活動が,今後の対中国への日本の外交の働きかけの礎になるとも考えています。
    ウクライナの帰趨によっては、中国に何が起きるか予測もつかないことです。
    その中で,アメリカに守って貰っているから一切何も言えないという外交で良いのか。
    武力ではない平和外交こそ日本の役割があると考えるなら、軍事力がないからと言う理由ではなしに、日本の平和外交の原理として発信すべきではないでしょうか。
    今回の紛争を見ても、戦争を武力言い寄っては解決出来ないことは明らかです。
    叡智こそが国際紛争解決の手段だと考えるのは、或いは生ぬるいお花畑と批判を受けるかも知れないことを承知で,そのあってほしいものだと考えています。
    有り難う御座いました。
    2025年03月16日 22:54