

1.急落する内閣支持率
石破総理の商品券問題が内閣支持率を直撃しています。
3月15~16日の両日、毎日新聞は全国世論調査を実施しました。それによると、石破内閣の支持率は23%で、2月15、16日実施の前回調査の30%から7ポイント下落。石破内閣の過去最低支持率だった1月の28%を更新しました。不支持率も前回の54%から10ポイント上昇の64%で、石破内閣では最も高くなっています。石破総理が自民党衆院1期生との会食に際し、1人10万円分の商品券を配布したことを「問題だと思う」は78%に上り、「問題だとは思わない」は12%となっています。
支持率が20%台前半にまで落ち込むのは石破内閣では初めてのことです。
今夏の参院選の比例代表でどの政党に投票したいかを聞いたところ、国民民主党が最多の17%で、自民党は16%。立憲民主党は13%、れいわ新選組と日本維新の会は5%、公明党と共産党は2%でした。「わからない」は38%。
また、時事通信が3月7日~10日に掛けて行った3月の世論調査では、自民党の支持率は17.9%と横這い。ただし、「40歳代」では前月比6.3ポイント減の9.6%と、初めて1割を切りました。「18~29歳」(6.5%)、「30歳代」(8.4%)ともに4ヶ月連続の1ケタ台で、中年以下の世代の支持離れが鮮明となっています。
これに対し国民民主党の支持率は「18~29歳」21.3%、「30歳代」10・0%で、「40歳代」は9.6%と若年層の支持が集まっています。
2.ガソリン暫定税率廃止、いつやるの、今でしょ!
その国民民主党ですけれども、3月9日、玉木雄一郎代表がTBS「サンデージャポン」にVTR出演し、ガソリン税の暫定税率廃止について「可能です……満額、暫定税率廃止できたら、160円台ぐらいに下がるので。来年度からのガソリン値下げに向けた協議であれば、我々いくらでもやりますから。先送りではなく、今でしょ!……ガソリンも暫定税率廃止してやりますと決めてるのに、“再来年度から”“来年4月以降の話ですよ”と。自民党、公明党に加えて、維新もそういうことにしてるんですけど、皆さん、1年待てますか?」と訴えました。
玉木代表は、また、別のTSB-BS番組でも、「なんで日本維新の会は来年の4月以降でいいのか。予算に賛成したから、歳入面で自民党、公明党と違うことを言えないことは分かるが、政府・与党に配慮するんじゃなくて、今、物価高で困っている国民の生活に配慮してもらいたい。予算に賛成したから来年度からの歳入が減るようなガソリン減税をできないというのは永田町の論理。特に地方で車がないと病院にもスーパーマーケットにも行けないような人に「1年間、ガソリン価格を下げるのを待ってくれ」なんて、私はとても政治家として言えない……与党が参院でガソリン価格を下げるのに反対だとお決めになるなら、まさに参院選で争点にして勝負したらいい。なんでそういうことから逃げるのかを私は維新に聞きたい……民意に忠実でありたい。去年の衆院選で戦って色んな約束をしているから、できるだけ実現したい。今回、違和感を感じたのは衆院選で議席を減らした自民、公明、維新で予算を通したこと。民意に合致しているのかと。物価高で何とかしてくれという民意をはじいて、3党でやったことの意味はすごく大きい」と主張しています。ド正論です。
3.来年四月からやりましょう
国民民主は昨年末、暫定税率廃止で与党と合意していたのですけれども、時期などについて折り合いが付かなかったことになっています。国民民主と立憲民主党は今月3日、今年4月からガソリン税の暫定税率廃止を含む「所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案」と「地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案」を提出。一方で、与党の予算案に賛成した日本維新の会は、廃止を来年4月からとする法案を単独で衆院に提出しました。
これについて、3月7日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は会見で「維新が言い出した話だが、自分たちがガソリン値下げに足を引っ張ってしまった結果として、ごまかしているように見える……そもそも維新の政調会長も、この議員立法に賛成だと言うから、立憲・国民がこれを提出しようという話だった……来年からのガソリン引き下げありきの議論に、何の意味があるのか。今年から下げられたんですよ、安易な予算賛成さえなければ」と、日本維新の会を痛烈に批判しています。
ガソリンの暫定税率は、田中角栄内閣が1974年に“一時的に”道路整備財源として創設されて以来、半世紀以上も存続していて、現在ではガソリン1リットル当たり25.1円が課せられています。
これについて、日本維新の会は、国と地方に入る税収は約1.5兆円。その廃止を2025年4月から実施するのは時間的に間に合わないと主張しています。
3月7日、維新の岩谷良平幹事長はこの日に配信した動画で、2025年4月からガソリンの暫定税率を廃止することについて「混乱が起きることは間違いない。現実的にどうするかということも含めてしっかりと議論し、遅くとも来年4月からやりましょうという提案を与党に投げかけ、法案を提出した。それを議論するために自公と維新で協議体をつくり、国民民主党や立憲民主党にも呼びかけた」と説明。阿部司総務会長も「われわれもできるだけ早くやる意思はあるが、パフォーマンスのように『今すぐやれ』というのは責任政党としてとるべき姿ではない」と強調しています。
4.暫定税率廃止しても自民のポイントにはならない
そんな維新ですけれども、12日、岩谷幹事長は記者会見で「物価やガソリンの価格が高止まりしている状況で、一日も早く国民の生活を楽にするため、一刻も早くガソリン税の暫定税率の廃止を目指さなければならない……唐突に廃止すると混乱が生じるので、来月からは無理だ。現実的な廃止時期を協議したいが、夏であれば地方の税収などに混乱をもたらさないのではないか」と、今年の夏をめどにガソリン税の暫定税率を廃止するよう、今後の与党側との協議で求めていく考えを示しました。
再来年度だとか、来年4月以降だとか言っていた維新が急に今年の夏と言い出しました。最初は、世論の批判に負けてまた変節したのか、と思ったのですけれども、どうやら違うようです。
ガソリン税について、ジャーナリストの須田慎一郎氏が3月15日の自身の動画チャンネルで「ガソリン暫定税率の廃止を自民党執行部がほぼ決定した」という動画を上げています。
その概要は次の通りです。
・自民党執行部はですね自民党執行部はガソリンの暫定税率の廃止。ガソリンの暫定税率の廃止をほぼほぼ決定したようです須田氏によると、自公は世間から批判されまくりの今の状況のまま、参院選に突入すると、大惨敗すると恐れ、人気取りのためにガソリン税暫定税率の廃止をすると。
・最終決定はしてませんがほぼ決定したというニュースが私の元に飛び込んできました
・なぜそんなことを決定したのかと言うと、ガソリン税の実質的な減税だと本来だったら財務省がほとほと嫌がること。
・これ財務省の反対もあって自民党はなかなかそこに踏み込まなかった
・これ踏み込んできた。その背景に一体何があったのかというと、もちろん野党の突き上げがありました
・国民民主党はそれを強く要求してきたわけです。
・そこに立憲民主党が同調した。
・そしてここへきて立憲、国民とちょっと一線を画していた日本維新の会もやはりこのガソリンの暫定税率の廃止についても求めるような発言をし始めた
・ただし、野党法案に屈した訳ではない。別の事情がある。
・今、リアルの世界もネットの世界も、自公批判がもうそれこそ大量に出回ってます。大きな声になってきてます。
・このままの状況で突入してしまうと、間違いなく夏の参院選挙、7月の参議院選挙は大残敗ということになってしまう。
・おそらく、過半数割れする可能性が確率が私は極めて高いと思います。
・自公が参議院においても、緩和する具体策を1つ上げるとするならば、夏の参院選で国民民主党は、26議席を確保することを目標してます。
・国民民主党がですね仮に非改選も含めて26議席を確保することになると、オートマティックに自公は過半数割れに追い込まれることになる。
・それ以外の野党も議席を増やすでしょうからオートマティックにですねえ過半数割れに追い込まれることになるのは必須の状況になっている
・それだけ今厳しい状況なんです。このままいったら自民党は敗北すると、そのことに関する危機感って自民党の中ではまさに充満している
・こういった空気感を変えるためには何か思い切った手を講じなければならない。
・思い切った政策を打ち出して、国民の支持を回復していかなきゃならない。有権者の支持を回復していかなきゃならないという危機感というのは、自民党実行部を含め自民党全体の空気感としてある
・じゃあ何か思い切った手を打つんだ。景気対策経済対策やるんだみたいなところをやってみたところでその財源はどっから持ってくるのって話になってきてしまう
・そのために自民党が政府与党が使えるお金はたった7500億円。これあくまでも日本の予算規模、財政規模に合わせて7500億円です
・その7500億円って一体何なのかと言ったら、次年度予算案2025年度予算案に計上されている1兆円の予備費。
・つまり資金使途が明示されてない決まっていない予備費というのが1兆円程度ある。
・これを使ってま野党との交渉にそれを使いましょうね。あるいは選挙対策でそれを使いましょうということだった
・うち2500億円が日本維新の会とのやり取りの中で高校の教育無償化というところで、本来予算に盛り込まれていた部分だけでは足りなくて、2500億円をどっかから捻出しなければならなかった。
・これを予備費から捻出したんですよ。2500億円を予備費から捻出しました。従って使途が決まっていない予備費はあと7500億円しかありません。
・これを使って、言ってみればですね国民世論の関心を買うようなえ政策を打ち出せないかっていうことになっちゃうんです
・結果的に探してみたらガソリンの暫定税率、ガソリン税の暫定税率の廃止ぐらいしかなかったというの結論なんです
・仮にそれをやってみたところで自民党の手柄になりますかね
・自民党の手柄にならないでしょうね。これむしろ野党のポイント。特に国民民主党のポイントになるはずなんですよ
・というより、国民民主党があれだけ一生懸命やったからこその成果ですよ
・国民民主党があれだけ自公をこの問題で引っ張り回したからこその成果であることは間違いない
・全然自民党のポイントゲットにはならないはずなんです
・そういった意味で言うとこれだけじゃ全く足りない
・国民世論の信頼・支持を回復するためには7500億円でできることなんて多寡が知れてるし、ほとんど成果効果がないものであることは間違いない
・本来だったら数兆円規模で景気対策経済対策をやるべきなんです。
・自民党の中からもこういう声があるんです
・一層のこと国民民主党の要求を全部飲んで、予算を考えてみるとまあ8兆円弱あればできるんだから、それをやるべきだと
そのことをやればこそ、やってやればやっぱり自民党に対する評価もね変わってくるだろう
そのぐらいのことをやればいいんだけれども、やることができない。なぜか。財務省が反対してるからですよ。財務省が邪魔立てしてるからですよ。
・ですから今自民党はこれだけ政権から転がりに落ちるリスクを抱えているにも関わらず、財務省はそういった危機感というのを共有してない
・自公が野党になるかもしれないけども、それはそれで仕方がないかなという風に考えている
・そんな下り坂の車の自公に肩入れするよりも、やっぱり野党の方に接近した方がいいと考えてるんです
・だから7500億円以上はびた一文出さない。それをすらね出そうとしないこの財務省の思惑に注目すべき
・そういった意味で言うと財務省からもう三行半と言ったらいいんですか見限られている自公の悲哀。
・仮に自民党がガソリンの暫定税率の廃止に乗り出してきたら、そういう風にこのニュースは見といていただきたいと思います
・果たして、本当にそれが廃止に踏み切れるかどうかは、まだ分かりませんよ。
そして、なぜガソリン税減税かというと、国民の声を聞いたというよりも、予算案の予備費の残りで出来る政策が、ガソリンの暫定税率の廃止くらいしか残ってなかったからだというのですね。
なんとも情けない。財務省の手の平の上で踊ってようにしかみえません。
こうした背景を考えると、維新が急に夏までにガソリン税減税といいだして裏も見えてきます。おそらく、自公がガソリン税減税を決めそうだから、梯子を外される前になんとかしがみ付こうとしているのではないかと思います。こちらもこちらで情けない。
まぁ、ガソリン税でも減税は減税なので、それなりに有効な政策ではあると思いますけれども、須田氏がいうように、自民のポイントになるというよりも国民民主のポイントになると思います。
国民民主は首尾一貫して手取りを増やす政策、103万円の壁、ガソリンの暫定税率廃止を訴えてきました。それを揺るがせにしなかったことが、ここにきて国民から評価される原因ではないかと思います。
対する維新は、目先の高校無償化に飛びついたはいいものの、思ったほど支持もされないどころか、ネットの一部からは国民の敵といわれる始末。やはり、信念を持って主張を貫いた国民民主に風が吹いているようです。
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