国難ではなく国民難

今日はこの話題です。
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1.現金給付は効果的でない


4月12、13両日に毎日新聞が実施した世論調査で、トランプ関税への対応で石破総理が指導力を発揮できるかについて、自民党、公明党支持層ともに約4割が「できるとは思わない」と回答し、「できると思う」を上回りました。「支持政党はない」の無党派層では「できるとは思わない」が65%を占め、政府も日米閣僚間関税交渉には悲観的な見方が強いとのことです。

また、政府・与党内で検討されている現金給付案については、全年代で「評価しない」が「評価する」を上回り、支持政党別でも、公明支持層で唯一「評価する(5割強)」が「評価しない(3割弱)」を上回った以外は、自民支持層では「評価する」は28%、「評価しない」は49%。その他の主要政党や無党派層でも、「評価しない」が「評価する」を大幅に上回りました。

また、NHKが4月11日から3日間、行った世論調査でも、物価高やアメリカの関税措置への対応として、国民への給付金支給の賛否を尋ねたところ、「賛成」が38%、「反対」が50%、「わからない、無回答」が13%となり、支持政党別でみても、与党支持層、野党支持層、無党派層のいずれも「賛成」は30%台後半にとどまり、「反対」は、与党支持層で50%、野党支持層で58%、無党派層で49%といずれも上回っています。

マスコミからは減税案だの、給付金案だの色んな報道がされていますけれども、これらが政府から観測気球としてマスコミにリークして報じさせたとみるならば、その観測結果は「減税」に軍配が上がったということになります。


2.消費減税をやりたがっていますよ


一度は消費減税を匂わし、その後撤回した石破総理ですけれども、この世論にどう対応するのか。

ただ、今回のトランプ関税をダシにして消費減税をやるという見方もあるようです。

ジャーナリストの河野嘉誠氏は4月14日付の現代ビジネスへの寄稿記事で、次のように述べています。
【前略】

「減税云々について言及すべきとは思っておりません……」

4月7日の参院決算委員会で、野党議員から物価高対策のための食料品の消費減税の是非を問われた石破総理は、あのねっとりとした独特の口調で否定した。消費減税を与野党から求められる中、総理は表向き、慎重な構えを貫いてきた。

ところが―。

「総理の本意としては、消費減税をやりたがっていますよ。前向きなのは間違いない」

そう筆者の取材に証言するのは、総理と日常的にコミュニケーションを重ねる政権幹部である。そして、この計画を巡っては、ここにきて追い風が吹く事情もあるという。

―トランプ関税だ。

トランプ大統領は、4月2日に「相互関税」を発表した。日本にとって、米国は輸出の約2割を占める貿易相手国で、輸出関連産業をはじめ深刻な打撃は免れない。

だが先の政権幹部は、これで消費減税の大義名分が立ったと受け止め、「むしろこの経済災害を一つの起爆剤にすべき」と指摘するのだ。

「これを機に、米国にモノを売るのではなく、内需を喚起して、国内で消費できる体制づくりをすべきです。それには、家計を暖める政策をセットで行うことが不可欠で、消費減税が極めて有効になる。ここを突破しない限り、この政権は持ちません。総理は消費減税を必ずやりきると確信しています」

総理のまさかの目論見を裏付ける材料はこれだけではない。冒頭の場面で、秘書官が語っていた「あの件」というのも、まさに消費減税のことだった。事情を知る自民党関係者が明かす。

「報告を受けた議員は最近、井上秘書官に『食料品の消費税8%の減税を是非総理にお願いして』と頼んでいたそうです。その時、秘書官は『総理は〈政権を維持するためなら安いもんじゃないですか〉と言っている』という反応だった。その秘書官が、ドタバタの万博会場でその後の経過をわざわざ報告しにきたのは、総理との議論の感触が良いことの証左でしょう」

目前に迫る参院選への危機感から、党内からの「減税圧力」も日増しに高まるばかりだ。選挙を取り仕切る木原誠二選対委員長(54歳)も思わせぶりな発言を重ねてきた。

「テレビ番組で消費減税を巡り、『物価高を乗り越えていくための努力が求められている』と発言。木原氏のボス・岸田文雄前総理(67歳)も夏の参院選公約で『大きな決断を示せ』とハッパをかけています」(全国紙政治部記者)


今の石破政権に消費減税をするだけの体力があるのか。公約に書いたとしても、どうせ口だけだろと有権者に受け取られて、それでお仕舞いになるように思えてなりません。


3.国難ではなく国民難


更に河野氏は前述記事に続く寄稿記事で次のようにのべています。

そのじつ、消費税引き下げは、党内政局においても重要な意味を持つ。たとえば、公然と退陣論を仕掛け、「石破おろし」のキーマンと呼ばれる西田昌司参院議員(66歳)は、党内きっての積極財政主義者で、消費税廃止を持論とする。

その西田氏は4月3日に党本部で行われた「保守団結の会」の会合で「消費税廃止は、米国にとっても非関税障壁の解消につながる」と言及。西田氏と親しい、高市早苗前経済安保相(64歳)ら保守系議員も同じ方向性を見る。

「右翼は嫌いだ」と高市氏らを毛嫌いしてきた総理だが、背に腹はかえられない。本気で延命を目指すとすれば、もはや消費減税しかない。参院選公約の「最終兵器」になるだけでなく、党内の敵を味方につけ、求心力を回復する起死回生策となり得るからだ。

総理と日常的にコミュニケーションを重ねる政権幹部が続ける。

「総理は今は『やらない、やらない』と言うけど、やるときは一気呵成ですよ。そのほうがインパクトも大きい」

トランプ関税を奇貨として、一気に現実味を帯びる消費減税。とはいえ、社会保障財源として引き下げは長らくタブー視されてきたのもまた事実だ。「財政規律の守護神」財務省はそれを許すのか。財務省幹部に問うと、意外にも返ってきたのはため息だった。

「石破さんはかつての石破さんではない。消費減税はインフレ促進となる可能性もあり、物価高に効くかどうか疑問だけど、これだけ支持率が低いと政策的にどうこうじゃなくて、政権にしがみつくことだけ。その意味では消費減税をやると思う。官邸には『ミスター財政再建』矢野康治元財務次官の一橋大の後輩・中島朗洋首相秘書官(54歳)もいるが、優等生タイプで真っ向から戦うこともないでしょう」

財務省にはあきらめムードも漂うようなのだ。では、いざ消費減税を実現する場合、如何なる手続きが必要なのか。

「立法措置が必要になりますが、たとえば来年春スタートになると、それまで買い控えが起きてしまいます。参院選の公約として掲げ、国民の賛同を得る。そして与野党の党首会談で合意し、衆参の審議を短時間で済ませるシナリオが現実的です」(自民中堅議員)

ただし、どこまでいっても煮えきらないのが石破という男でもある。総裁選を支えた重要閣僚経験者が「チマチマした支援じゃなく、思い切ってやれ」と迫っても、「う~ん」と唸るのみ。周囲を見渡すほど、心は揺れ動き惑う。

「鈴木俊一総務会長(71歳)が『消費減税は実施すべきものではない』と反対論をぶちあげたが、一番の問題は「唯一の石破側近」赤澤亮正経済再生担当相(64歳)です。何かと『オレを通せ』とでしゃばり、顰蹙を買う。総理はよりによって、赤澤さんをトランプ政権との関税交渉の担当閣僚に任命。お友達人事ですよ。赤澤さんは財務副大臣経験者で、財政規律にも一家言あるとされ、減税政策を進める上でも厄介です」(自民若手)

とはいえ、ここにきて、新展開の予兆もある。なんと「自民税調のラスボス」宮沢洋一元経産相(74歳)が、消費減税に歩み寄りをみせているというのだ。

「宮沢さんは内々の意見交換で『税制上は消費税を守るよりも、法人税を上げるほうが重要』『10%から5%の引き下げは実務上難しい。廃止にするほうが簡単』と話している。消費減税とバーターで、法人税などを引き上げる手は、充分あり得る。森山𥙿幹事長(80歳)も旧森山派出身の城内実経済安保相(59歳)が減税論を巡り、粘り強く説得中です」(前出・自民中堅)

法人税の引き上げは、石破総理が総裁選で掲げてきた政策でもある。党内でもひとりぼっちの宰相は、「最後の秘策」をやりきれるか。それとも座して死を待つか……。運命を分かつ決断まで、時間は残されていない。 
ここで、注目すべきは、消費減税について「財務省にはあきらめムードも漂っている」という指摘です。減税は死んでも飲めない云々いわれている財務省にして、そんなことがあるのか、と俄かに信じられないのですけれども、自民党税調の”ラスボス”、宮沢洋一氏が消費減税に歩み寄りをみせているというのが本当であれば、すくなくともそんな雰囲気があるのかもしれません。

ただ、件の記事にもあるように、消費減税を進める上で、一番の障害になるのが赤澤亮正経済再生担当相なのであれば、赤澤経済再生担当相を消費減税に傾かせることができるかどうかがその実現の鍵を握ることになります。

石破総理は、トランプ関税を「国難」だとか言っていますけれども、筆者には「国民難」ではないかという気がしています。

トランプ関税は「相互関税」といっているのですから、関税障壁を取っ払えばよいという「解決策」は見えている訳です。政府がそういうことをせず、その負担を国民に押し付けるのであれば、やっぱりそれは「国民難」ではないかと思います。

とりあえず猶予を貰った90日で、「国民難」を解消する手立てを打てるのか、それが参院選の勝敗を分けるカギになるのではないかと思いますね。



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