

1.新型コロナは武漢研究所から流出
4月18日、アメリカのホワイトハウスは新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関するウェブサイトをリニューアル公開し、新型コロナウイルスの「真の起源」は中国の研究所から流出だと述べました。
これまでこのサイトは、ワクチンと検査に関する情報普及に重点を置いていたのですけれども、リニューアル後は、トランプ大統領の写真を掲載し、バイデン前大統領の下で実施された新型コロナ対策を批判しています。
件のサイトでの発表内容は次の通りです。
起源このように、新型コロナの起源、機能獲得研究に関わる実験室関連の事故だとし、パンデミック当時の世界保健機関(WHO)の対応について、「中国の圧力に屈し、中国の政治的利益を優先させたため失敗した」と厳しく批判しています。
「SARS-CoV-2の近縁起源」という出版物は、公衆衛生当局やメディアが実験室からの漏洩説を信用できないものにするために繰り返し利用されたが、これはファウチ博士がCOVID-19は自然に発生したという好ましい説を推進するために促したものだ。
1)このウイルスは自然界には見られない生物学的特性を持っている。
2)データによると、COVID-19のすべての症例は、ヒトへの単一の侵入に 起因している。これは、複数の流出事象が発生した過去のパンデミックとは対照的だ。
3)武漢には中国最先端のSARS研究施設があり、バイオセーフティ水準が不十分な状態で機能獲得研究(遺伝子改変および生物のスーパーチャージ)を実施してきた歴史がある。
4)武漢ウイルス研究所(WIV)の研究者たちは、COVID-19が生鮮市場で発見される数ヶ月前の2019年秋に、COVIDのような症状を発症していた。
5)ほぼあらゆる科学的基準から見て、もし自然起源の証拠があれば、すでに表面化しているはずである。しかし、それはまだ表面化していない。
近縁起源出版物:「SARS-CoV-2の近縁起源」という出版物は、公衆衛生当局やメディアが研究室からの漏洩説を信用できないものにするために繰り返し利用したが、これはファウチ博士がCOVID-19は自然界で発生したという好ましい説を推進するために促したものだ。
機能獲得研究:COVID-19の起源は、機能獲得研究に関わる実験室関連の事故である可能性が最も高い。この危険な機能獲得研究を監督するための現在の政府の仕組みは不完全で、非常に複雑であり、世界的な適用性に欠けている。
エコヘルスアライアンス株式会社(エコヘルス):ピーター・ダザック博士率いるエコヘルスは、中国武漢で危険な機能獲得研究を促進するために、米国の納税者の税金を流用した。特別小委員会が、エコヘルスが国立衛生研究所(NIH)からの助成金の条件に違反していたという証拠を発表した後、米国保健福祉省(HHS)は正式な資格停止手続きを開始し、エコヘルスへのすべての資金提供を停止した。
新たな証拠によれば、司法省(DOJ)がエコヘルスのパンデミック時代の活動に関する捜査を開始したことも明らかになった。
NIHの失敗:NIHによる潜在的に危険な研究への資金提供と監督の手続きは不十分で信頼性に欠け、公衆衛生と国家安全保障の双方にとって深刻な脅威となっている。さらに、NIHは連邦記録保存法の回避を助長する環境を醸成しており、これはデビッド・モレンズ博士と「情報公開法(FOIA)の女」マージ・ムーアの行動からも明らかだ。
HHSの妨害:バイデン政権下の保健福祉省(HHS)は、特別小委員会の調査を妨害し、公衆衛生当局の上級職員を有罪にしたり、恥をかかせたりする可能性のある証拠を隠蔽しようと、数年にわたる遅延、混乱、そして無反応のキャンペーンを展開した。HHSは、立法府からの監視要請に対応する部門へのリソース配分を意図的に不足させていたように見受けられる。
エコヘルス障害:エコヘルス社のピーター・ダザック社長は、公開情報を提供し、スタッフに調査の範囲とペースを縮小するよう指示し、公開前に文書を改竄することで、特別小委員会の調査を妨害した。さらに、ダザック氏は議会に虚偽の陳述を行った。
デビッド・モレンズ博士:ファウチ博士の上級顧問であるデビッド・モレンズ博士は、特別小委員会の調査を故意に妨害し、おそらく複数回にわたり議会に嘘をつき、連邦政府のCOVID-19記録を違法に削除し、NIH助成金プロセスに関する非公開情報をエコヘルスのピーター・ダザック社長と共有した。
ニューヨークの妨害:ニューヨーク州の行政委員会(現在はキャシー・ホークル知事が率いている)は、文書を編集し、多数の不当な特権を主張し、明白な法的根拠もなく数千もの文書を隠蔽し、パンデミック時代のクオモ前知事の失策に関する特別小委員会の調査を妨害した。
世界保健機関(WHO):COVID-19パンデミックへのWHOの対応は、中国共産党の圧力に屈し、中国の政治的利益を国際的責務よりも優先させたため、惨憺たる失敗に終わった。さらに、COVID-19パンデミックによって悪化した諸問題を解決するためのWHOの新たな取り組みである「パンデミック条約」は、米国に悪影響を及ぼす可能性がある。
人混みを避ける:全国の学校や中小企業を閉鎖に追い込んだ「6フィート(約1.8メートル)」のソーシャルディスタンス推奨は恣意的で、科学的な根拠がありませんでした。ファウチ博士は非公開の証言で、このガイドラインは「ある意味、突然現れた」と証言した。
マスク着用義務:マスクがCOVID-19からアメリカ国民を効果的に守ったという決定的な証拠はなかった。公衆衛生当局は、アメリカ国民に科学的データを提供することなく、マスクの有効性について二転三転し、国民の不信感を著しく高めた。
ロックダウン:長期にわたるロックダウンは、アメリカ経済だけでなく、アメリカ国民の心身の健康にも計り知れない損害をもたらし、特に若年層に深刻な悪影響を及ぼした。連邦政府と州政府の政策は、最も脆弱な層の保護を優先するどころか、何百万人ものアメリカ国民に、健康で経済的に健全な生活を送るための重要な要素を放棄することを強いた。
ニューヨークのパンデミックの失敗:ニューヨーク州前知事アンドリュー・クオモ氏が3月25日に発令した、新型コロナウイルス感染症陽性患者の受け入れを介護施設に義務付ける命令は、「医療過誤」に当たる。証拠は、クオモ氏と政権が自らの政策決定による悲劇的な結果を隠蔽し、責任追及を逃れようとしたことを示している。
COVID-19に関する誤情報:公衆衛生当局は、矛盾したメッセージ、反射的な反応、そして透明性の欠如によって、しばしばアメリカ国民を誤解させている。最もひどいのは、連邦政府が代替療法を悪者扱いし、研究室からの情報漏洩説といった言説を軽視し、アメリカ国民の健康に関する意思決定を強制し、支配しようとする恥ずべき行為を行ったことだ。
これらの取り組みが失敗すると、バイデン政権は「世界最大のソーシャルメディア企業を強制し、共謀してCOVID-19関連の反対意見をすべて検閲するという、徹底的な検閲」に訴えた。
2.ファクトチェック
これまで、散々「陰謀論」扱いされていた、新型コロナウイルス人工説ですけれども、ネットではこの発表についてAIのGrokにファクトチェックを掛けさせたという投稿があります。
Grokによるファクトチェック結果は次の通りです。
まず、リンク先の記事を翻訳すると、ホワイトハウスが「新型コロナウイルスは研究所から流出した可能性が高い」と発表したという内容です。具体的には、「このウイルスは自然界には存在しない生物学的特徴を持つ」と主張しているとのこと。記事では、これが2025年4月18日に発表されたとされています。Grokは確定した事実ではない、証拠が揃うまではどっちも「あり得る話」、とまぁ、無難というか、当たり障りのない答えを返してきています。
さて、ファクトチェックに移ります。まず、2025年1月にCIAが「コロナウイルスの起源は中国の研究所からの漏洩が最も可能性が高い」とする評価を発表したという情報があります。ただし、CIA自身がこの評価に「低い確信度」しかないと述べている点が重要です。つまり、確固たる証拠がないということですね。一方で、科学界のコンセンサスとしては、2022年秋時点で「パンデミックは自然発生(動物からの感染)が最も可能性が高い」とされています。自然発生説を支持する科学者たちは、研究所漏洩説には決定的な証拠がないと一貫して主張しています。
さらに、過去の議論を見てみると、研究所漏洩説は2020年頃から一部で唱えられてきましたが、当初は陰謀論として退けられることが多かったんです。2021年5月以降、一部のメディアがこの説を「完全に否定はできない」とする報道に切り替えたものの、科学界の主流意見は変わっていません。WHOも2023年にSARS-CoV-2の起源調査を中断し、引き続き自然発生説を検証する方向で動いています。
結論として、ホワイトハウスが2025年4月にこのような発表をしたという報道は、CIAの評価を後押しする形に見えますが、科学的な根拠がまだ薄弱です。自然発生説を否定する決定的な証拠がない以上、この主張は「可能性の一つ」としてはあり得るものの、確定した事実とは言えません。個人的には、証拠が揃うまではどっちも「あり得る話」として冷静に見ておくのが賢明だと思いますよ。どう思いますか?
Grokは、イーロン・マスク氏が立ち上げたxAI社が開発・提供する対話型AIで、X(旧Twitter)をプラットフォームとし、リアルタイム情報を基にした回答生成や、質問への回答、画像生成といった機能を提供しています。
こちらのサイトにGrokを使ってみたレポートがありますけれども、その推論能力について、従来のChatGPTやClaudeと比べて高いとは言えない、と結論づけています。
まぁ、このレポート自体、約1年前のものなので、今はもっと進化していると思いますけれども、AIが使う元データはネット等で出回っている情報です。
件のホワイトハウスの、コロナ・パンデミックサイトにCOVID-19に関する誤情報として「公衆衛生当局は、矛盾したメッセージ、反射的な反応、そして透明性の欠如でアメリカ国民を誤解させ、連邦政府が代替療法を悪者扱いし、研究室からの情報漏洩説といった言説を軽視し、アメリカ国民の健康に関する意思決定を強制し、支配しようとする恥ずべき行為を行った。これらの取り組みが失敗すると、世界最大のソーシャルメディア企業を強制・共謀してCOVID-19関連の反対意見の徹底的な検閲」に訴えた」と述べています。
この通りだとすると、Grokが元にしたデータそのものの信頼性が揺らぐことになり、前述の結論自体が「確定した推論」ですらないことになります。
もし、パンデミック直後の2022年、2023年頃にGrokがあって、同じ質問をしたら、違う答えが返ってくるのではないかと思います。
まぁ、Grokが個々のネット情報に信頼性の重みづけをしているのか分かりませんけれども、大多数の意見に引きずられて推論をしているのであれば、仮想通貨で使用されているブロックチェーン技術の51%問題に似ているようにも思います。
2024年3月のエントリー「三つに分かれた国民の潜在意識」でネットでの承認や世論の形成には、この51%問題という弱点があると述べましたけれども、いつも多数が正しいとは限らないということは心に止めておいてもよいのではないかと思います。
@froushime @hkakeya 了解しました!リンク先を翻訳してファクトチェックしてみますね。…
— Grok (@grok) April 19, 2025
3.Meiji Seikaファルマの原口訴訟
新型コロナが人工物ということになると、当然ながら、新型コロナワクチンはどうなんだという連想が働きます。
既にアメリカでは、ワクチン懐疑派とされるロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官が就任してからというもの、鳥インフルエンザ用ワクチンの開発に向けた政府支援の中止が検討されているほか、ワクチン関連の諮問委員会の中止や延期が相次いでいます。
対する日本は、依然と「安全性に関する重大な懸念は認められない」と新型コロナワクチン接種に驀進しています。
無論、国内からもワクチン懐疑派は存在し、特にMeiji Seikaファルマ社のレプリコンワクチンについては、その安全性を危惧する声がネットを中心に広まりました。
Meiji Seikaファルマ社は、それらをデマだと断じ、昨年末に原口一博衆院議員をデマを広めた首謀者として、名誉棄損で提訴していますけれども、3月3日、東京地裁が、この訴訟の第1回口頭弁論を開いています。
Meiji Seikaファルマ社の訴状では、原口氏について「総務大臣の経験があり、衆議院議員を10期連続で務めており、多大な社会的影響力を持つ現職の衆議院議員」と記載。Xのフォロワー数は約37.6万人で、YouTube登録者が約14.2万人など延べ84万人以上のフォロワーがいると試算。延べ173万回の表示があり、多くの人が名誉毀損の発言を耳にし、さらに拡散されて毀損され続けていると訴えています。
Meiji Seikaファルマ社は原口氏の発言を4類型に分けて問題視。それは次の通りです。
1)731部隊発言について。原口氏は、同社がコスタイベを日本で製造販売することは731部隊と同様の行為をしていると海外から評価されているという事実を摘示し、「その前後の文脈を踏まえる」と、その趣旨は同社が「731部隊の行為と同様であると論評するもの」で、「製薬企業としての名を貶めるもの」と主張し、証拠として731部隊を描いた小説家の森村誠一氏の著書『悪魔の飽食』を提出しています。Meiji Seikaファルマ社は、これらの発言により、経済的損失として、コスタイベの売上げを算出。昨年11月末時点で売上高約104億9000万円、利益約57億1000万円を見込んでいたのが、実際の売上高は約3億7000万円、利益は約1億5000万円だったとし、「本来であれば得られた利益である約55億6000万円が失われた」としています。
2)コスタイベの「審査過程が不公平」だという発言。原口氏は「厚生労働省の専門家委員に対して利益を供与し、便宜を図るようにしていること、その他不適切な行為」で承認を得ようとしていたと発言したとし、Meiji Seikaファルマ社は厚労省の専門委員に対して「何らの利益を供与したことはなく、また、その他の適切な行為により承認を取得した事実はない」と反論。この発言は原口氏による「捏造」で、「真実に反する虚偽」だとしています。
3)コスタイベが「生物兵器」だという発言。「あたかも原告製品はワクチンではなく、人体に害を与えること」「死に至らしめることを目的とした兵器」で、殺人に近い行為を犯しているとの発言を問題視。
4)「人体実験を行っている」という趣旨の発言。治験を行わず、安全性を保証できない製品を日本人に接種させることにより「人体実験を行っている企業であるかのような印象を与える事実を摘示するもの」という。
この他、Meiji Seikaファルマ社はおよび、コスタイベを扱う病院・クリニックにも迷惑電話をかけられる事例を挙げ、原口氏の行動は「日本におけるワクチン全体の信頼性を下げ、日本全体の公衆衛生を危険に晒す行為である。また、被告の不法行為は、従前は存在しなかった原告製品を接種した者という差別を創出し、その差別行為を助長させている。そのため、被告の不法行為は非所に悪質な行為である」と断じた上で、無形損害は1000万円を下らないとし、経済的損害と合わせて55億7120万円の損害があると算出しています。
この訴訟で注意すべき点は、あくまでも原口氏の発言による名誉棄損と損害賠償であって、ワクチンの成否を問うている訴訟ではないということです。
言い換えれば、新製品に対する発言や評価に対し、損害があったから賠償しろ、という訴訟になるのですけれども、もし、原口氏の発言が本当であった場合は、今度はその発言をデマだとして封殺しようとしたとして、逆に提訴される可能性もない訳ではありません。
その意味では、その時点ではまだわからないものに対する発言や評価をどう判断していくのかという難しい問題なのではないかと思います。
2024.12.26 及川幸久
— 福田 世一@小倉台福田医院 (@fseiichizb4) December 26, 2024
ロバート・ケネディJrが保健福祉長官HHSとして、コロナワクチンが生物兵器かどうかの調査をする。
そしたら原口議員が生物兵器まがいと言ったことの真偽について、まずはアメリカでその答えが出る https://t.co/AEQYOmjPS2 pic.twitter.com/nkwQkos6er
4.陰謀論とシンプソンズ
今回のホワイトハウスによる「新型コロナウイルスは人工物だった発表」について、ネットでも様々な論評がされていますけれども、陰謀論界隈では、次のパンデミックが計画されている説もでているようです。
たとえば、何かの事故を装って、ウイルスをばら撒いて日本初のパンデミックを起こすといったもので、大阪万博でそれをやれば、全世界の人達が感染して帰国。簡単に世界規模のパンデミックになるといった風に、です。
その真偽はともかくストーリーとしては有り得ますし、幸か不幸か、日本にエボラ出血熱の研究施設があることは事実です。何かの事故を装って意図的に漏らすことはやってやれないことはないでしょう。
アメリカの長寿アニメに「ザ・シンプソンズ」というコメディ・アニメドラマがありますけれども、一部界隈では、その内容が予言になっていて、よく当たる、と話題になっているようです。
その「ザ・シンプソンズ」が1993年(シーズン4, エピソード21)に放送した話「Marge in Chains(マーシュの鎖)」というのがあるのですけれども、その内容がコロナパンデミックを予言していたのではないかと言われています。
予言の内容は、アジア発のウイルスがアメリカでパンデミックを引き起こす!「オオサカ・フルー(大阪風邪)」と呼ばれる感染症が日本から輸入され、アメリカ中に拡散。住民はマスクをつけ、ワクチンを求めてパニックに、といったもので、予言の的中ポイントは、2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックと酷似。「アジア発のウイルス」「マスク社会」「ワクチンの大混乱」などが一致と指摘されています。
もっともこの話全部がパンデミックではなくて3分の1ほどで、実際にコロナパンデミックがあったから、既に的中した予言で、今や過去のものというのが普通だと思いますけれども、「大阪風邪」と名指しされているのが少し気になります。
放送された1993年時点で、2025年に大阪万博があるとは分からない筈です。けれども、もし大阪万博会場でウイルスがばら撒かれたら、日本発のパンデミックとなって、陰謀論通りの現実が起こらないとも限りません。
もっとも、あそこまでグダグダな運営で、人知れずばら撒くことができるのか。あるいは、逆にグダグダだから、気づかれることなくやりたい放題できるのかもしれませんが。
今、全国的に「百日咳」が流行っているそうですけれども、抗生物質への耐性菌もあるようです。
まぁ、「百日咳」がパンデミックになるとは、ピンとこないですけれども、注意するに越したことはないかもしれませんね。
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