

1.支持率最低更新
5月17~18日、毎日新聞が全国世論調査を実施しました。調査は、スマートフォンを対象とした調査方式「dサーベイ」で実施。全国の18歳以上約7400万人から調査対象者を無作為に抽出。2045人から有効回答を得ています。
その結果、石破内閣の支持率は22%で、発足以降最低を記録。4月12、13日実施の前回調査と比較すると2ポイント減。不支持率は前回調査から1ポイント増の62%となりました。
支持率が30%を切るのは3ヶ月連続です。
また、読売新聞が16~18日に行った、全国世論調査でも、石破内閣の支持率は31%と3月、4月調査と同じで、3ヶ月連続で内閣発足以降最低を記録。不支持率は前回から2ポイント増の56%でした。
内閣を支持しない理由は、「政策に期待できない」が38%で最も多く、「首相に指導力がない」が20%などと続き、支持する理由は、「他によい人がいない」が45%、「自民党中心の政権だから」が19%などの順となっています。
そして、政党支持率は、自民党が25%(前回28%)、国民民主党が11%(同13%)、立憲民主党が6%(同6%)、れいわ新選組が4%(同3%)、日本維新の会が2%(同2%)、公明党が2%(同3%)、共産党が1%(同2%)、日本保守党が1%(同1%)、参政党が1%(同1%)などの順で、無党派層は41%(同37%)でした。
2.政権の安定性をみる参考指標
低迷を続ける石破政権ですけれども、JPpress誌は、5月18日付で「危険水域に到達しつつある政権支持率、参院選後に待ち受ける政界再編と経済・財政政策はどうなる?」という記事を掲載しています。
その中で政権の安定度は内閣支持率から不支持率を差し引いた値が1つの参考指標になると指摘しています。
該当部分を引用すると次の通りです。
【前略】この記事では、内閣支持率から不支持率を差し引いたスプレッドのマイナス幅が20%ptを超えた場合、マイナス幅が拡大していって、そのまま退陣となると述べています。
内閣支持率から不支持率を差し引いたスプレッドは、政権の安定性をみる上で1つの参考指標になる。
過去をみると、スプレッドのマイナス幅が▲20%ptを超えた場合、マイナス幅が拡大傾向を辿り、そのまま退陣となるケースがほとんどだ。例外は小渕内閣に限られ、危険水域に入ると挽回が難しい。
岸田前政権のスプレッドは、政治資金問題の影響で2023年11月以降に▲20%ptを超え、そのまま挽回することなく自民党総裁選を機に退陣へ至った。
石破政権のスプレッドは、発足時の2024年10月に+12%ptと小幅なプラスでの滑り出しとなり、12月以降はゼロ近傍で推移。その後、商品券配布問題が生じた2025年3月には▲9%ptと明確なマイナス圏に突入した。最新5月には▲15%ptまで悪化しており、危険水域は目前だ。
目を引くのは、内閣支持率だけではなく、自民党の政党支持率も低下傾向にある点だ。
2024年10月は35.1%だったが、徐々に低下し、最新の2025年5月は26.4%にとどまる。岸田前政権時の最低水準だった2024年6月の25.5%に迫っており、参院選は苦戦を迫られそうだ。石破政権や自民党にとって、衆院解散を積極的に打ち出せる状況ではない。
なお、主要野党の中では、日本維新の会の支持率が低下傾向にある一方、国民民主党の支持率が昨年の衆院選後に大きく上昇、その後も高水準を維持している。足元では、野党第1党である立憲民主党にほぼ並んでいる状況だ。
【後略】
記事では、石破政権のスプレッドは、「最新5月には▲15%ptまで悪化しており、危険水域は目前だ」としていますけれども、この数値はNHKの世論調査の結果を使っているようです。
ただ、冒頭で取り上げた毎日新聞と読売新聞の世論調査結果からそれぞれのスプレッドを取ると、毎日新聞はマイナス40%pt、読売新聞でもマイナス24%ptと既に危険水域に突入しています。

3.挽回のチャンスはあるか
JPpress誌の件の記事では、一旦マイナス20%ptの危険水域に入ったら、挽回は難しいとのことですけれども、参院選までに挽回のチャンスがあるとすれば、トランプ関税と消費税減税でしょう。
消費税減税、あるいは廃止して、輸出戻し税を無くせば、トランプ関税と一緒に一挙解決となると思われるのですけれども、石破総理は減税しないと言い放ち、自らそのチャンスをフイにしてしまっています。
参院選に向けて、与野党の各党は公約含めて準備を進めています。
自民、公明の両党は、参院選前に経済対策を策定することで合意していて、石破政権の継続なら、経済対策の財源を措置する補正予算案を参院選後の臨時国会に提出。政府・与党は、この経済対策を参院選公約や骨太方針に反映するとしています。
自民党は、党執行部を中心に税率の引き下げには慎重意見が根強い一方、物価高の中で家計支援のため引き下げを求める声もあることから今週、税制調査会の勉強会で、議論が行われる見通しとなっていますけれども、この勉強会自体がガス抜きあるいは、減税封じ込めになっているとの指摘もあるようです。
公明党は、消費税の軽減税率の引き下げを含めた減税や、つなぎの措置としての給付を検討。減税する場合の必要な財源もあわせて示すとしています。
そして、野党に目を転じてみると、立憲民主党は、野田代表が「党首討論で石破総理大臣からは消費税の減税に否定的な見解も示されると思うのでバチバチやる。減税でも給付でも何かやらなければならず、消費が冷え込み、トランプ関税の影響が出てくるときに無策なのかと厳しく言う」と述べるなど、必要な法改正などを行って、来年4月から、食料品の消費税の税率を原則1年間に限って0%に引き下げるとしています。
日本維新の会は、食品にかかる消費税を、再来年2027年3月まで時限的に撤廃するとし。必要な財源は税収全体の上振れ分などで対応するとしています。
国民民主党は、時限的に一律5%に引き下げるべきだと主張。必要な財源は国債の発行に加え、「外為特会」をはじめとする特別会計の剰余金や不要な基金なども活用するとしています。
共産党は、消費税の廃止を目指し、緊急に一律で5%に引き下げるべきと訴え、財源は法人税の引き上げなどで、大企業や富裕層に応分の負担を求めるとしています。
れいわ新選組は消費税廃止を主張し、最低でも5%への減税を実現すると訴えています。必要な財源の確保は新規の国債発行などで対応するとしています。
国会では党首討論などで消費税の扱いをめぐる与野党の議論はさらに活発になると見られています。
4.ヤケクソ解散の可能性
石破政権の存続は、いうまでもなく参院選の帰趨に掛かっています。
そのポイントは、自民、公明両党の与党が参院全体248議席の過半数である125議席を維持できるかどうかです。3年前の前回参院選大勝により非改選75議席の貯金があるため、今回は大幅に少ない計50議席でも過半数を保つことができます。
この50議席は従来なら低いハードルです。第2次安倍晋三政権発足以降の4回の参院選はすべて計70議席を超えており、ある自民議員によると、石破総理は数日前、自公で計50議席を割らないとの見方を示したそうです。
政治日程を考えれば、石破政権にとって参院選を控えた6月が正念場となると予想され、参院選の前哨戦となる6月22日の東京都議選がその試金石になるとされています。
この日は通常国会の会期末であり、参院選を考慮すると、会期延長はまずされないと見られています。
これらについて、ジャーナリストの須田慎一郎氏は自身の動画で次のように述べています。
・6月22日に国会が会期末を迎える。やはり、会期末を控えて、衆院解散や内閣不信任決議案の提出があるかは注目ポイントになります。
・国会の会期末まあ今回の国会というのは延長がありません。6月に東京都議会議員選挙、7月に参議院選挙を控いているため
・会期末を迎えていく中で野党第一党の立憲民主党が不信任案を出してくるのかというところに今にわかに注目が集まってきております
・過去の事例を見ますと、年中行事のように国会会期末には不信任決議を出してきた立憲民主党、今回ですねそれを出してくるのかどうか。
・なぜ注目が集まってきているのかと言うと可決してしまう可能性があるから
・可決するという状況になりますそうすると内閣総辞職もしくは解散総選挙というところになってくる
・普通だったら解散総選挙を取ってくるんでしょうけれども、そうなってくると事実上のダブルになってくるんですね
・それぞれの政党にとって昨年の秋に衆議院選挙、総選挙やったばっかりですよ。誰も準備なんかしてないんです。
・野党として、徹底的に追い詰めるのはいいんだけども自分たちも選挙の準備不足ということもあってまともに戦えないんじゃないかという状況になってる
・もちろんそれは自民党が置かれてる状況も同様ですし、ましてはこの環境で総選挙になった場合、自民党としては全く展望が描けない。落選者続出するような展開も考えられる
・解散に打って出る可能性があるのかと言うと、解散権というのが妙に怪しい魅力を放ってるんだそうです。総理大臣にとってね。
・石破首相周辺からも聞いたことがあるんですけどもどうも石破さんは解散権を行使したがってるようだと。
・焼けクソ解散ということもえ十分にあり得るんではないのかなと。
・そういったその空気があるものですから野党も怖くて内閣不信任案出せないという状況に今なってる
・野党第1党として大見え切るためには内閣不信任案をバーンと出して見せる、結果的に可決されちゃったとなると、解散だってある。
・総選挙やらずに参議院選挙やっても大負けしてしまったら引責辞任にせざらない状況に追い込まれてしまう
・どっちに転んだって自分は首切られちゃうわけだから、ここは一か八か選挙に打って出るという判断も出てきかねない
・とは言っても、自民党の中の事情なんですがもう羽交い絞めになっておそらく自民党の執行部も役員幹部も、石破首相を止めにかかるんではないかとえそういう見立ても出てきております
・こういった情報が出てくるってことはやっぱり6月22日に向けての政局が大いに注目されていて、まず最初その一手を出してくる、立憲民主党がどういう対応をするのかこの辺りに注目されている
・果たして不信任決議が可決するのか、この辺りが注目されている
・つまり野党が一枚になればこれは可決する。
・可決されてしまうとじゃあ石破さんはどういう判断を下すのか。執行部はそれどうやって対応するのか止めるのかどうなのかというところが色々と局面がその場その場において大きく変わってくる。
・この動き次第では自分の首がかかってると死活問題になるというところで、かなり国会議員、口にこそ出さないけれども戦々恐々の状況になっております
・まだ国会議員の政治家の各々の心の中の動きっていうのは、なかなかストレートニュースになりにくい
・内閣不信任案を提出して解散に打って出た。結果的に新たな議席が確定した段階で、場合によっては大連立に進んでいきかねない。
・各党は先の読み合い、国会議員も先の読み合いをしていくそういう状況に今入ってきている
須田氏によると、石破総理は解散を打ちたがっているとのことですけれども、内閣支持率が高ければともかく、今の状況ではどうみても「ヤケクソ解散」になってしまいます。
筆者は、解散より内閣総辞職の方が確率は高いのではないかと思いますけれども、須田によると、総理になってみると、やはり解散権は魅力に映るのだそうです。
解散でも辞職でもどちらでも構いませんけれども、国民のための政治を第一に考える政治家を選出する必要があることはいうまでもありません。
この記事へのコメント