

1.与党が過半数を失うと大変なことになる
6月2日、自民党の森山幹事長は国会内で講演し、夏の参院選公約に消費税減税を盛り込まないことを明らかにしました。森山幹事長は「消費税を下げるような公約は、どんなことがあってもできない。そんなに余裕のある国ではない」と強調。自民党執行部は消費税が社会保障の安定財源になっているとして、消費税減税には慎重な姿勢を示しています。
森山幹事長は夏の参院選の勝敗ラインについて「過半数を割らないように努力したい」と語り、非改選とあわせて与党で過半数となる議席獲得を目指す方針を改めて示す一方、過半数割れした場合の責任については、「結果が出たらしっかりと考えたい」と述べるにとどめました。
更に8日、党の徳島県連大会で挨拶した森山幹事長は、「消費税をゼロにするという政党もあるし、消費税を5%下げるという政党もある。しかし、歳入が減った分を、どこに財源を求めるのかという説明がないし、恒久的な財源としての位置付けがない……消費税の減税は、慎重が上にも慎重であるべきだと思っている。新しい財源が今はないので、そのことをしっかり考えていかなければならない」と強調。更に、減税の財源として赤字国債を発行することについては、「今は金利のある時代に変わってきている……財政収支をバランスよく考えていかないと、日本の国債が国際的な信任を失うことがあっては、大変なことになる」とあくまでも減税しない姿勢です。
また、政権運営をめぐり「われわれは衆議院で少数与党だが、何とか予算を年度内に成立させ、大事な法律も成立できているのは、参議院で過半数を持っているからだ……参議院選挙で与党が過半数を失うと大変なことになる。何とか勝利させてもらいたい。国民に理解とお力をいただかなければならない」と勝利に全力をあげる考えを示しました。
2.自民は勝てるかもしれない
6月に入って、自民党内には参院選で負けないのではないかという見方が広まっているのだそうです。
6月9日放送のMBSラジオ「上泉雄一のええなぁ!」に出演した嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、参院選に対する自民党の情勢調査で、参議院で負けない、減税の公約を否定しても勝てるという数字が出ているとして、結構、勢いづいているとコメントしています。
また、ジャーナリストの須田慎一郎氏も、別の情勢調査から自民は勝てるかもしれないと自身の動画で述べています。
その動画の概要は次の通りです。
・内閣不信任案が出されれば内閣はですね石破首相は間髪を入れずにその採決を待つことなく解散に踏み切るということを各方面に発信しておりますなんと公明党の調査でも、自民は負けないという結果が出たというのですね。
・内閣不信任決議を提出するタイミングによっては、参議院選挙と同日の選挙。つまりダブル選挙という可能性も出てきております。
・もしダブルがあるとするならば、6月19日までに解散に踏み切った場合、参議院選挙が予定されていたのが前倒しされてダブル選挙に雪崩込んでいくという日程が出来上がってくる
・その前に東京都議会議員選挙というのが行われます。
・実は公明党創価学会にとって、東京都議会議員選挙っていうのはことの他重視しているいう選挙なんです
・どうしてかと言うと公明党の最大の支援団体である創価学会ですけれども、創価学会は東京に本部本拠地を置いておりまして、やっぱり地元自治体とのあるいは地元
議会との関係を非常に良好なものに保っておこうという力が働くんですよ
・加えてですね、東京都議会においてもですね一定勢力を確保しようと。ですから全力でこの東京都議会議員選挙に当たるわけなんですよ
・公明創価学会が実施した情勢調査があるようでして、私も過去見たことがあるんですが、相当精緻に相当細かく情勢調査を実施しまして。
・実を言うと公明党の議員というのは立候補した人間がほぼほぼ当選するというですね、ピタリと票振る形で当選を果たしていく見事なまでの組織戦を展開するわけなんですね
・ですから、ちょっとこの辺りで非常に票が少ないなと、思わしくないな、なんてなるとそこに重点的に運動員を派遣したり、あるいは電話作戦を展開することによってテコ入れをしていくというようなことをやるために、その情勢調査というのが疑問になってくるんですね
・公明党の選挙においてですね、最大の鬼門になるのが、いかに正確な情勢調査を実施するというところが1つの大きなポイントになってくる
・その情勢調査の結果によると、意外と自民党負けないぞと、当初はボロ負け。この東京都会議員選挙に関してえ自民党はボロ負けするというようなですねまそういう見方。私もそういうスタンスに立っていたんですが、ここへ来ていろんな要因が働いたのかもしれません。
・つまり進次郎農水相の影響もあったかもしれないし、国民民主党の大失速というのもありますね
・そして加えて立憲民主党のですね影響力の大幅の低下などを考えてみると、場合によっては意外と自民党負けないんじゃないか
・この東京都議会議員選挙において自民党負けないんではないのかというような言われ方あるいはそういったことを裏付けるようなどうも信濃町が実施した情勢調査があるというような噂が出回ってるんですよ
・こういう噂が出回ることによって、やっぱり浮き足だってくるという動きに私はなってくるんではないのかなと
・つまり、立憲民主党に対しては結構なプレッシャーになるでしょうし、自民党にとってはイケイケみたいな勢いが出てくるような前のめりになってくるような影響も出てくるでしょうし。
・こういった噂が出ているということ自体が、神経戦が始まった、駆け引が始まったという風に考えてもらっていいと思います。
3.お助けください
その一方、ネットでは自民に厳しい目が注がれていたりします。
6月6日、自民党の佐藤正久参院議員はネット投稿で「厳しい状況です。お助けください。外交・防衛・防災は票にならないと言われており、6年前は外務副大臣の仕事で全国を回れず得票が9万票減りました。今回も幹事長代理等の職責があり、状況は同じです。引き続きお国の為に何とか働かせて下さい」と訴えたのですけれども、これにネットユーザーが鋭く反応しました。
多くのユーザーからは「お助けください?こっちのセリフだ」「自民党はもう無理」「石破に言え」「泣き言を言うならまず増税と移民政策を止めろ」といったコメントが並ぶなど大炎上しています。
その背景には、自民党が進める国民感情とかけ離れた政策の数々があります。特に、岸田・石破政権でみられた「移民政策の拡大」「国民負担増」「防衛費名目のバラマキ」など、保守を名乗りながら国益を損なう政策が保守層からの強い強い反発を招いているのですね。要するに裏切りまくった報いを受けているといえなくもないのですけれども、ではなぜ情勢調査で自民は負けないと出ているのか。
昨年秋の衆院選を振り返れば、自民党の情勢調査では自民党優勢とされていました。ところが蓋を開けてみれば予想以上の大惨敗となりました。
先の衆院選の期間中、ある自民公認候補の陣営関係者は「党の調査では優勢だが、まったく手応えがない…」と漏らしていたそうです。陣営では現場の肌感覚として、このままでは候補者の落選の可能性もあると判断し、党に国民の人気が高い党幹部の小選挙区入りを打診したのですけれども、党の調査で優勢だったため、幹部らの応援は見送られたのだそうです。結果的にこの候補者は小選挙区で敗北しています。
なんでも、今回の参院選の自民党情勢調査も昨年の衆院選の情勢調査をしたところが行っているそうです。その意味では、その精度は甘いのではないかという見方もあるかもしれません。
4.日本人ファースト参政党
少し前まで、参院選で大躍進するのではないかと囁かれていた国民民主が失速し、立憲も年俸改革法案で炎上。維新は減税潰しの首班とみられ、主要野党が自滅していっています。
今は、自民から剥がれたのを含めた保守票が宙に浮いた形になっているように思いますけれども、そうなると、少数保守政党に注目が集まる可能性も出てきます。
そんな中、6月6日、参政党は参議院選挙の公約を発表しました。
参政党の参院選公約要旨は次の通りです。
【コメ問題】参政党は日本人を豊かにする経済政策として、消費税の段階的な廃止や社会保険料の見直しなどによって、税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」を35%以内に抑えるとしていますけれども、参政党の神谷代表は「今回のキャッチコピーは『日本人ファースト参政党』だ。日本人の生活は苦しくなっているので、日本に何代も住んでいる人たちの生活や地方の暮らしを守ることに力を入れていきたい」と述べています。
コメ増産や輸出を奨励する。農林水産業従事者の公務員化で担い手を確保する。食料自給率を100%に引き上げる。
【税と社会保険料】
減税と社会保険料削減で給料の3分の2を手取りとして残す。消費税の段階的廃止を進める。
【教育】
子どもに平等な教育機会を提供するため、0〜15歳に1人毎月10万円を支給する。自国への誇りや家族愛を育む教育を進める。
【医療】
70歳以上の健康な人に旅行クーポンを配布。予防医療に保険適用を拡大する。最大4兆7千億円の医療費削減を目指す。
【外国人問題】
移民の課題に取り組む「外国人総合政策庁」を設置。単純労働者の受け入れを制限。外国人の土地購入、生活保護受給を厳格化する。
【憲法】
自らの手で作る「創憲」を提案する。
まぁ、石破政権はおよそ「日本人ファースト」とは思えない政策を続けていますからね。それなりの批判票はあると思います。問題はそれが何処に流れていくかです。
5.参政党が取り上げられ始めた三つの理由
ここにきて、地上波が、俄然、参政党を取り上げ始めるという「異変」が起こっています。
ネットでは、「何かあるぞ、裏があるに違いない」と支持者たちの間で噂になっているようです。ネット動画では、テレビが報じるようになった本当の理由とかいったタイトルが付けられた動画が溢れています。
その中から、少しその「理由」とされるものを拾ってみると次の通りです。
a) 存在感が無視できなくなった:ここ数カ月、YouTubeやXといったネットで参政党の話題で盛り上がっていて、テレビ局にとってもこれ以上賛成党を無視することがリスクになった。3つ目の持ちあげて落とすというのは、確かによくある手で、道義を無視すれば、「視聴率」を稼ぐためには有効な方法です。話題さえあればってアレです。その意味では、進次郎農水相の「備蓄米」とて、その一つといえなくもありません。
b)選挙シーズンの対応策として報道した:参政党は国会議員が4人所属し政党要件を満たしている。選挙前の公平報道の建前からもう無視できない対象になっていて、扱わないと偏向報道だと叩かれる前に報道しておけという意識が出てきた
c)持ち上げてから落とすというお決まりの展開:かつての維新、国民民主は1度は取り上げて、普通の党として扱いその後でスキャンダルや極端な主張を強調して印象を下げることをしてきた。今回の参政党報道も好意的に見えたかと思ったら数日後にはネガティブな印象報道が始まる、というシナリオ
備蓄米とそれにつられて銘柄米が出回りはじめてきましたから、そろそろ、「次のネタ」として仕込みに動いてきたのかという感じもしないではありません。
あと、これ以外にも、アメリカのトランプ革命でUSAIDなどCIA傘下の組織が解体され、日本のメディアへの影響力が薄れたことで、メディアが正常化し始めているのではないかという見方もあるようです。
まぁ、参政党は「反グローバリズム色」が強い政党ですからね。「日本人ファースト」と正面切って言い切れる政党が他にないだけに、逆に目立つことは間違いありません。
自民も日本人を蔑ろにしてばかりいれば、国民政党では段々となくなっていくリスクもちゃんと認識すべきではないかと思いますね。
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