逆切れする石破と仕事しない財務省

今日はこの話題です。
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1.増収分を国民にバラマキ


6月10日朝、自民党の森山幹事長と公明党の西田幹事長は、東京都内で会談し、両党の国会対策委員長の同席の下、物価高対策について、税収の上振れ分を国民に還元するとともに、即効性のある対応が必要だとして、現金などを想定した給付を実施することで一致しました。

給付方法については現金に加え、公明党がマイナンバーカードを持っている人などに付与する「マイナポイント」での給付を主張していることを踏まえ、今後、両党の政務調査会長で金額や所得制限を設けるかなどを含め、制度のあり方の調整を進めるとのことです。

さらに、給付の実施を参議院選挙の公約に盛り込むことも確認し、与党としての共通公約に位置づけるかどうか扱いを検討するとしています。

会談後、自民党の坂本国会対策委員長は記者団に対し「税の増収分を給付という形で還元するとの認識で一致した。政務調査会長の間で今後、協議してもらう。消費税の減税は非常に大きな税収減につながり、法改正など時間がかかることを考えると、難しい」と述べ、公明党の西田幹事長は記者会見で「物価が上昇しているために実質賃金がマイナスになっている。これを放置すれば実体経済が悪化するため、賃金のマイナスを補うことが必要だ。なるべく早く、年内に給付できることが望ましい……スピードを重視するため、党として『マイナポイント』を例示したが、現金がいい人もいるだろうし、公金受取口座の活用など、やり方はよく検討していけばいい」としています。

給付について、今のところ、所得制限は設けず、全国民を対象に1人あたり現金2万円を給付するとし、さらに住民税非課税世帯に対し、2万円を上乗せするとしています。

与党は、4月にも1人あたり現金5万円の給付を検討したのですけれども、「ばらまき」への世論の批判を受けて見送っていたのですけれども、今回は「増収分を国民に還元する」と位置づけ、低所得層向けに手厚くすることで、理解や支持を得ようとしていると見られています。

国民民主が103万円の壁引き上げの財源として増収分を当てればよいといっていたのを頑なに拒否していたくせに、いざ自分が配るとなると増収分をつかうという。御都合主義もいいところです。


2.侮辱はやめていただきたい


当然ながら、この給付は、目前に控えた参院選の為と批判が集まっています。

立憲民主党の野田代表は東京都内で記者団に対し「財源や所得制限をどうするのか、よく中身を見たい。いずれにしても物価高は深刻なので何もやらない『無策』ではさすがに参議院選挙を乗り切れないと追い込まれて判断したのではないか」と述べ、日本本保守党の百田代表は記者会見で「大反対だ。給付するならその分の税金を最初から取るのをやめろということで、なぜ取ってから配るのか。本当に国民のためと思っているのかも疑問で、選挙が近くなって票欲しさにお金をばらまいているようにしか私には見えない」と述べました。

まぁ誰がみても票欲しさのバラマキであることは否めません。

国民民主党の玉木代表は記者会見で「自民党は『税収の上振れは財源ではない』とずっと言っていた。自分たちが選挙のためにやる時は一律給付で『税収の上振れ分も財源になる』と言うのは『ご都合主義』がすぎるのではないか……増えた税収は国民のものであり、選挙のための使い勝手のいいお金ではない。余ったお金があるのなら減税をして国民に返すべきだ」と批判しています。正論です。

玉木代表は11日に行われた「党首討論」でもこの点を突いています。

玉木代表は「選挙の時はやっぱり現金配るんですかね?疑問が消えませんが……税収の上振れがあったときは、自民党のものでも公明党のものでもないですよ。それは一生懸命働いてる国民の納税者のものです。もし還元すべき税収があるのであれば、それは選挙前にバラ撒くんじゃなくて、納税者に減税でお返しするのが筋だと思いませんか?」との質問に、石破総理は、「私どもは税収が自民党与党のものだなぞと思ったことは1!度!もございません!……そのような侮辱はやめていただきたい!」と逆切れしました。

そして「自分たちのものだから国民にバラまく?そのようなことを考えたことは一度もない。それは国民の血税であり、そして同時にいかにして困ってる方に手厚くするかということも考えていかなければなりません。一生懸命、額に汗して働いた方々の所得が増えるよう、私共は取り組んできましたし、御党のご意見も取り入れさせていただいた。それを国民にばら撒くなどというつもりはございません。同時に今の物価高の状況をどう考えるかとの認識も強く持っている。本当に困っている方々にきちんとした手当てができる、そのような政策を実現いたします」と述べています。

逆切れするのは自由ですけれども、政府与党が給付金を配布するのなら、選挙に関わりなくやればよいことです。原資が税収の上振れ分であるにも関わらず、それを選挙公約に書くなど、税金の私物化と批判されても仕方ない面はあると思います。それを侮辱と逆切れする前に、公約に書いてしまう厚顔無恥を恥じるべきではないかと思います。





3.減税より賃上げ


6月6日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針 2025」いわゆる骨太の方針を策定・公開しました。

その骨太の方針の章立ては次の通りです。
第1章 マクロ経済運営の基本的考え方
1.日本経済を取り巻く環境と目指す道
2.当面のリスクへの対応及び賃上げを起点とした成長型経済の実現
3.人口減少下における持続可能な経済社会の構築
4.人中心の国づくり
5.不確実性が高まる国際情勢への備え

第2章 賃上げを起点とした成長型経済の実現
1.物価上昇を上回る賃上げの普及・定着 ~賃上げ支援の政策総動員~
2.地方創生2.0の推進及び地域における社会課題への対応
3.「投資立国」及び「資産運用立国」による将来の賃金・所得の増加
4.国民の安心・安全の確保

第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現
1.「経済・財政新生計画」の推進
2.主要分野ごとの重要課題と取組方針
3.計画推進のための取組の強化
4.物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直し

第4章 当面の経済財政運営と令和8年度予算編成に向けた考え方 ――48
1.当面の経済財政運営について
2.令和8年度予算編成に向けた考え方
6月9日、第一生命経済研究所は、この骨太の方針に対する分析記事「骨太方針2025のポイント(総論編)」を公表しています。

件の記事から「主要分野のポイント」を引用すると次の通りです。
主要分野のポイント
より細かく網羅的にまとめたものが資料3である。昨年から変わった点を中心にいくつかポイントを挙げていくと、財政政策については、「減税より賃上げ」の方向性が明記された。野党が消費税などの減税を訴えていることに対する実質的な牽制となっている。また、目下の超長期金利上昇を受けて、国内での国債保有を一層促進するための努力を行う旨も示された。また、当初のプライマリーバランスの2025年度黒字化目標については、「2025~26年度を通じて、可能な限り早期の国・地方を合わせたPB黒字化」に修正された。足元のトランプ関税をめぐる世界経済悪化懸念(税収減要因)や秋の補正予算編成を見据えて、目標時期に幅を持たせていると考えられる。また、細かいが重要な論点として、物価上昇に応じた公的制度の基準値・閾値の点検・見直しが明記された。昨年度末にかけて与野党議論が紛糾し、足元でも税制調査会で議論がなされている「年収の壁」の見直しに類する形で、公的制度全般のインフレ調整の仕組みが検討される。医療・介護の公的価格などについて物価に対する連動制を高めることが企図されているとみられ、社会保障を中心に影響が多岐に亘る可能性が高い。今後議論の行方が注目される。

賃上げをめぐっては、従来なかった「実質賃金」に関する数値が明記され、1%程度の上昇を目指す旨が示された。また、「2020年代に最低賃金1500円」も明記。この実現に向けて、目安を超える引き上げを行った場合の政府補助金による支援も示されている。昨年は、徳島県が国の目安を大きく上回る84円の引き上げを行った。現状、政府は一般的な最低賃金引き上げの副作用(雇用減少)も観察されていないと整理しており、こうした取組を各地方に広げることが企図されている。

地方創生に関しては、ふるさと住民登録制度による関係人口(実際に定住はしていないが、特定地域にかかわる人の数。観光など一時的に訪れる交流人口と区別される)の可視化、関係人口の実人数1000万人、延べ人数1億人を目指す旨が掲げられた。「二地域居住」などをする人を対象に、メインの住民票のある地域以外にも、かかわりのある自治体にサブ住民のような形で住民登録するような制度が想定されているとみられる。どういった人をその対象とするのか、選挙の投票権はどうなるのか等々、詳細は今後検討されることになる。地方経済の活性化策としての実効性はその過程で徐々に定まってくることとなろう。
第一生命経済研究所はこの中で「財政政策については、「減税より賃上げ」の方向性が明記された」としていますけれども、実際に、骨太の方針には次のように記載されています。
「減税より賃上げ」との基本的考え方の下、足元の賃金・所得の水準を前提として減税政策によって手取りを増やすのではなく、賃上げによって手取りが増えるようにする。そのために、経済全体のパイを拡大する中で、物価上昇を上回る賃上げを普及・定着させ、現在及び将来の賃金・所得が継続的に増加する「賃上げを起点とした成長型経済」を実現することを目指す。
何が何でも減税しないという意思が垣間見えます。何様の政府なのでしょう。


4.裏のからくり


この骨太の方針について、ジャーナリストの須田慎一郎氏は自身の動画で、その裏にはからくりがあるとして次のように述べています。
・ポイント2つあります。
・ほぼほぼ自民党の自民党の選挙公約になります。骨太の方針が自民党の選挙公約にイコールになっていく
・そもそも、骨太の方針って一体誰が作ってるのかっていうと財務省ですよ
・経済財政諮問会議の事務局というのが財務省がっちり事務方ですよ。その文章や内容を取りまとめるのはあくまでも財務省なんですよ。全然政治手導でも何でもありません
・財務省事務方がこの原案をまとめるとなってくると、財務省の意向が色濃く反映されるのは当然
・減税より賃上げという形になっていってる
・減税を一切、消費税減税一切排除しております。これが自民党の選挙公約になっていくんですよ
・じゃあどういう形で賃上げをしていくのかということ、まだ表に出てきてない資料を私入手しました
・これは経済産業省が今後の経済産業政策についての5月付け資料がある。
・けれどもこれ5月に出てないですよ。今現在もほとんど出回ってない。公表されてないんだろうと思うんです
・実は財務省がストップかけてたんです。公表ストップかけた、
・賃上げをどうやって実現していくのかというのは、この経済産業省レポートの書いてある通りのことをやるんですよ
・言ってみれば、賃上げ向上には労働生産性の上昇だけで、公益条件の改善が課題のため、成長投資によるイノベーションの促進取り組んでいく、投資をしましょうしている
・骨太の方針に国内投資拡大産業構造転換を踏まえ、200兆円の投資をやりますよということになっております
・官民合わせて投資によって生産性が向上し、経済成長を促し、それによって賃上げが実現するんだと
・もうね絵に書いた餅プランと私は呼んでるんですが、
・これをやることによって賃上げが実現する、何も消費税減税なんかやらなくても十分なんだよっていうがどうやら今回の骨の方針のメインテーマになってくる。
・これは本当に5月に出てきちゃったら、いや何、パクったのっていう話になっちゃいますからね
・財務省にその賃上げプランを練る力なんかないのは皆さんによくご存知だと思いますよね
・これはあくまでも経産省のプラン、パクりました
・パクったことばれちゃうんで公表するなと、経産省にプレッシャーをかけて、これが公表になっていなかった
・こんなんで有権者騙されていいんですか。皆さん方、騙されていいんですかね。これがカラクリですよ
・先週末の新聞も、こういった裏の動きがあるっていうことを新聞一切書いてませんよ
・ですから選挙公約出した時に、©財務省みたいなクレジット入れるべきですよはっきり申し上げてね
・まあ自民党の選挙公約はすっかすかというか何の意味もないね
・これをぶつけてね有権者はこれを鼻先にぶら下げられて、じゃあ自民党に投票しようって気持ちになるのかなと。
・なんか有権者甘くめられてるなという感じがしなくもありません
なんとというか、やはりというか、裏で財務省が糸を引きまくった骨太の方針だったようです。政治主導の影などとんと見当たりません。

経産省の立場で考えた財政政策が「賃上げ」ならまだ分かります。同様に財務省の立場から経済成長の為の政策を考えるならば、減税による手取りの増加になる筈です。それを徹底的に拒絶し、経産省の案を横取りして骨太の方針だとするのは、自分の仕事の放棄だといえなくもありません。

民間だと、投資では「相見積もり」とって良い方を選んだりしますけれども、経産省は「賃上げと投資」、財務省は「減税」など、自身の立場の範囲でそれぞれ政策を挙げ、政治家がその中から選んでいく、そのほうがずっと良い気がします。

有権者はこんな政治でよいのか、選挙でしっかりと意思表示すべきだと思いますね。





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