イラン・イスラエル紛争

今日はこの話題です。
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1.イラン・イスラエル紛争


6月13日、イスラエルがイラン各地にある核関連施設や軍事施設などへの大規模な攻撃を始め、イラン軍のトップなどを殺害したほか、首都テヘランがある州では少なくとも78人が死亡したと伝えられています。

これに対し、イランは日本時間の14日未明、イスラエルに対する報復攻撃に乗り出し、軍事精鋭部隊の革命防衛隊は弾道ミサイルや無人機でイスラエルの軍事拠点や空軍基地などを標的にしたとしています。

イラン国営テレビは、革命防衛隊の幹部がイスラエルへの報復でこれまでに150の標的を攻撃したとしたうえで「作戦は必要なだけ続く」と述べたと伝えていて、イランの最高指導者ハメネイ師は声明で「イスラエルが戦争を始めた。彼らはその犯罪の結果から無傷でいることはできない。われわれの対応は中途半端なものにはならない」などと述べています。

一方、イスラエルではイランによる攻撃で中部にある最大の商業都市テルアビブやその近郊などで被害が出ていて、複数の地元メディアはこれまでに3人が死亡、70人以上がけがをしたと伝え、14日午前も一部の地域で防空警報が出され、イスラエル軍はイランが発射した無人機を迎撃したなどと発表。更にイランへの攻撃を断続的に行い、同じく14日の発表でこれまでに数百の標的を空爆しイラン側の防空能力をそいで制空権で優位に立ったとしています。

6月13日、このイスラエルによるイランへの大規模攻撃を受け、国連の安全保障理事会は、イランの要請を受けて緊急会合を開きました。

このなかでイスラエルのダノン国連大使は、イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設について「諜報機関が数日以内に複数の爆弾に十分な材料を製造できると確認した……ほかに選択肢がなかった」と、イランへの攻撃を正当化。アメリカの代表は「今回の攻撃について事前に知らされていたが、軍事的には関与していない」とした上で、今後、イランがアメリカの軍事施設などを標的にすれば、悲惨な結果になるだろうと牽制し、「イランの指導者は交渉するのが賢明だ」と、イラン側に核開発をめぐる協議の継続を呼びかけました。

これに対し、イランのイラバニ国連大使はイスラエルを強く非難したほか、「アメリカの共犯は疑いの余地がない。アメリカの武器による攻撃で国民が命を失ったことを決して忘れない。宣戦布告に等しい」と、アメリカも非難しています。


2.ホルムズ海峡とは何か


緊張高まる中、6月14日、カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」は、「ホルムズ海峡とは何か、それはイスラエルとイランの紛争に影響を与える可能性があるか?」という記事を掲載しました。

件の記事の概要は次の通りです。
イスラエルとの紛争が激化する中、イランはホルムズ海峡の閉鎖を検討していると、イランの通信社IRINNが保守系議員のエスマイル・コサリ氏の発言を引用して報じた。

この動きは原油価格を高騰させ、戦争拡大のリスクを伴う。では、この戦略的な海峡とは何であり、なぜ世界貿易にとって重要なのだろうか?

ホルムズ海峡はペルシャ湾への唯一の海上入口だ。一方はイラン、もう一方はオマーンとアラブ首長国連邦を隔て、ペルシャ湾とオマーン湾、そしてインド洋のアラビア海を結んでいる。

アメリカエネルギー情報局(EIA)によると、世界の石油消費量の約20%がこの海峡を通過しており、同局はここを「世界で最も重要な石油輸送の難所」と表現している。最も狭い地点では幅33キロメートル(21マイル)だが、この水路の航路はさらに狭く、攻撃や通航停止の脅威にさらされている。

1980年から1988年にかけてのイラン・イラク紛争では双方に数十万人が死亡し、両国は後にタンカー戦争として知られるようになる湾岸の商船を標的としたが、ホルムズ海峡は完全に封鎖されることはなかった。

より最近では、2019年にドナルド・トランプ氏が初代大統領を務めた際にアメリカとイラン間の緊張が高まる中、UAEのフジャイラ沖の海峡付近で4隻の船舶が襲撃された。アメリカは事件の責任をテヘランに押し付けたが、イラン側はこれを否定した。

紛争下において、海路への攻撃は長年、圧力をかける手段として用いられてきた。ガザでの戦争勃発以来、イエメンのフーシ派は、アラビア半島の反対側、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡周辺の船舶を攻撃している。

フーシ派の活動は世界の貿易に影響を与えているが、船舶はアフリカを迂回することで紅海を避けることができる。航路は長いが安全だ。しかし、ホルムズ海峡を経由せずに湾岸から海上輸送する方法はない。

海峡が閉鎖されれば、湾岸諸国からガソリンを輸入していない国も影響を受けるだろう。供給が大幅に減少すれば、世界市場での1バレル当たりの価格が急騰するからだ。

イラン議員の脅迫にもかかわらず、イランが海峡を封鎖する能力や意志を持っているかどうかは不明だ。

こうした動きは、この地域に海軍の軍事資産を持つアメリカからの報復をほぼ確実に引き起こすだろう。

イスラエルが金曜日早朝、軍の指導者、住宅、軍事基地、核施設を標的にイラン全土への一連の攻撃を開始したことを受け、イランは数百発の弾道ミサイルで応戦した。

アメリカはイランミサイルの撃墜を支援したものの、イランを直接攻撃したわけではない。米国当局者は、イスラエルの攻撃にはアメリカは関与していないと強調している。

テヘランもこの地域の米軍や利益を標的にしていない。

しかし、ホルムズ海峡を閉鎖すれば、アメリカ人の財布に打撃を与え、トランプ大統領の軍事的対応を引き起こす可能性がある。

イランによる同海峡に対する行動は差し迫っていないかもしれないが、コサリ氏の発言は、航路攻撃が敵対行為の中でテヘランが使う可能性のあるカードであることを強調している。

2024年4月、イスラエルによるシリア・ダマスカスのイラン領事館への攻撃を受け、地域全体の緊張が高まる中、イラン軍はホルムズ海峡付近でコンテナ船を拿捕した。これに対し、イランはイスラエルに対して限定的な攻撃を行い、続いてイスラエルもイランに対して攻撃を行った。当時、この攻撃は両国間の直接的な軍事衝突としては最も深刻なものであった。
イランは国連でアメリカを共犯者だと非難したのですけれども、アメリカ軍を攻撃してはいません。また、匂わせこそすれ、ホルムズ海峡閉鎖もしていません。今のところ、イランは紛争拡大に繋がらないようまだ「自制」しているようにさえみえます。


3.アメリカは関与している


1995年に設立され、反戦、非介入主義、反帝国主義を主張するアメリカを拠点とするウェブサイト「antiwar.com」は、14日、「イランとイスラエル(そしてアメリカ)の戦争」という特別レポートを配信しています。

件の配信内容の概要は次の通りです。
こんにちは、antiwar.comのデイブ・デキャンプです。これはアンチウォー・ニュースの特別エピソードです。現在、金曜日の夜、午後10時10分に、ここアメリカのバージニア州で録画しています。アップデートを出そうと思い、簡単なショーをやろうと計画していました。今起こっている全ての狂気と、前回のエピソードを出してから起こった全ての出来事のためです。

まず、明らかに、イランに対する非常に激しいイスラエルの攻撃を見ました。イランのメディアから見た死者数は約70人で、IRGC(イスラム革命防衛隊)の長官、IRGCクッズ部隊の長官、科学者、物理学者、そして民間人を含む軍の非常に上級メンバーが含まれています。住宅建物が攻撃されるのを見ましたし、イランは反撃し、テルアビブにいくつかの攻撃を成功させました。その一部について詳しく説明します。

しかし、前回のショーを録画した時点では、アメリカはまだ実際には関与していないかのように振る舞っていました。マルコ・ルビオの声明で、イスラエルが一方的な行動を取り、アメリカは攻撃に関与していないと言っているのを見ました。私が疑ったように、それは全く真実ではありませんでした。

まず、金曜日の朝に目を覚ました時に見た、トランプ大統領のTrue Social(トゥルーソーシャル、トランプのSNSプラットフォーム)への投稿を読みたいと思います。基本的に、これが全て彼の計画の一部であったことを非常に明確にしているものです。

トランプは次のように述べました。「私はイランに何度も何度もチャンスを与えました。私は彼らに最も強い言葉で、ただやれと言いました。しかし、どれだけ努力しても、どれだけ近づいても、彼らはそれをやり遂げることができませんでした。私は彼らに、アメリカが世界中で最高で最も致命的な軍事装備を製造しており、それをはるかに上回るものであり、イスラエルがそれを多く持っており、さらに多くが来ること、そして彼らがそれをどう使うかを知っていることを伝えました。特定のイランの強硬派は勇敢に語りましたが、何が起ころうとしているのかを知りませんでした。彼らは今、全員死んでいます。そして、それはさらに悪化するだけです。既に大きな死と破壊がありましたが、この虐殺を終わらせる時間はまだあります。次に計画された攻撃はさらに残忍になります。イランはイラン帝国として知られていたものを救うため、何も残らなくなる前に取引をしなければなりません」。

つまり、交渉は終わったのです。彼はイランが取引をしなければならないと言っています。これは、イランが核濃縮プログラムを完全に廃止するという要求に基づいており、これは失敗するよう設計されていました。それがイスラエルのタカ派がその要求を推し進めていた理由であり、今我々はトランプが基本的に「私は彼らに言った、私は彼らにこれが起こると言った」と言っているのを見ています。

トランプはアメリカがイランを爆撃すると脅していましたが、結局、イスラエルが直接それを行うことになりました。しかし、繰り返しますが、これがアメリカによってどのように支援されているかの詳細について説明します。

金曜日にカイル・アンザローンが私たちのために素晴らしい仕事をしてくれました。私が子供や庭仕事で忙しい間に、彼はいくつかの記事を書きました。そして、トランプもイラン攻撃を称賛して、様々な記者との電話インタビューを矢継ぎ早に行いました。

カイルが書いた最初の記事は「トランプ、イランへの優秀なイスラエル攻撃を称賛」です。ドナルド・トランプ大統領は金曜日の早朝にイランに対する大規模なイスラエルの攻撃を支持し、その攻撃を「優秀」と呼びました。情報筋は、アメリカがその作戦のためにイスラエルに情報を提供したと説明しました。

イスラム共和国全土でのイスラエルの攻撃後、ABCニュースとの電話でトランプは次のように述べました。「私はそれが優秀だったと思います。私たちは彼らにチャンスを与えましたが、彼らはそれを受け入れませんでした。彼らは激しく、非常に激しく攻撃されました。彼らは攻撃される限り激しく攻撃されました。そして、さらに多くのことが来ます、はるかに多くのことが」。

繰り返しますが、彼は「ああ、私たちは彼らにチャンスを与えた」と言っていますが、交渉は核濃縮を廃止するという要求で失敗するよう設計されていました。イランは制裁解除と引き換えにウラン濃縮レベルを下げ、監視を増やすことを明確に望んでいました。そして、イランが核兵器を製造しているという証拠はありませんでした。これはアメリカ情報機関の総意ですが、ネタニヤフはとにかくこれを進めました。アメリカの祝福と、アメリカとの調整でです。

これは弾劾に値します。つまり、トランプはこのために追放されるべきです。しかし現実は、議会が大部分において完全に同意しているということです。

カイルはまた、イスラエルメディアからの報告も取り上げました。イスラエル当局者がエルサレム・ポストとアクシオスに、ホワイトハウスがアメリカがまだイランとの外交的解決を求めているという錯覚を作り出すのを助けたと語ったというものです。イスラエルメディアによると、アメリカは基本的に、イスラエルの攻撃が差し迫っていないように見せるキャンペーンを調整しました。

覚えているなら、木曜日にトランプは、イスラエルがこの攻撃を開始する数時間前に、True Socialで、彼がまだイランとの外交的解決にコミットしていると投稿しました。彼は何が来るかを知っていて、それを公表したのです。

イラン外務省は声明で、攻撃についてアメリカに責任があると述べました。「シオニスト政権のイランに対する攻撃的行動は、アメリカの調整と承認なしには実行できませんでした。したがって、この政権の主要な支援者としてのアメリカ政府も、シオニスト政権の冒険の危険な影響と結果について責任を負うことになります」。

攻撃が金曜日の早朝に開始されて以来、イスラエル軍はイランの軍事サイトを標的とした複数ラウンドの攻撃を実施し、繰り返しますが、イランは反撃しました。そして、アメリカがイランのミサイルの迎撃を支援し、防衛を支援していることも知っています。これまでのところ、アメリカの爆撃機がイランを攻撃するのは見ていませんが、それが次のエスカレーション(段階的拡大)になっても驚きません。

次の記事です。「アメリカとイスラエルの欺瞞がイランに攻撃前の偽りの安全を与えた」。これは、イランの警戒を解くために調整されたキャンペーンについてのカイルからのもう一つの記事です。しかし、この報告で本当に興味深いことの一つは、アクシオスに語った情報筋、そして私がイスラエルメディアでも報告されているのを見たものですが、トランプとネタニヤフの間の認識された分裂が舞台裏で調整されていたということです。

報告によると、2人のイスラエル当局者がアクシオスに、トランプと彼の側近たちは公的にはイスラエルの攻撃に反対するふりをしているだけで、私的には反対を表明していなかったと主張しました。目標は、攻撃が差し迫っていないとイランに確信させ、イスラエルの標的リストにいるイラン人が新しい場所に移動しないようにすることでした。

情報筋によると、トランプとネタニヤフは月曜日の電話で攻撃について話し合い、その電話の後、トランプがネタニヤフにイランを攻撃しないよう圧力をかけたという報告がありましたが、それはイランを欺くもう一つの努力であり、それはイランを欺く努力だけでなく、アメリカ人を欺く努力でもありました。この戦争を望まないアメリカ人、つまり大多数のアメリカ人を欺くためでした。

繰り返しますが、完全に恥ずべき、軽蔑すべきことです。また、トランプとネタニヤフの間の分裂という全体のアイデアが、イランを混乱させるための偽りだったという報告も見ました。繰り返しますが、これは本当に信じられないことです。

一方で、これはイスラエルメディアであり、現在、イスラエルはイランにアメリカを非難させるインセンティブを持っています。なぜなら、彼らはアメリカがイランへの攻撃に直接関与することを望んでいるからだと思います。しかし、これが全て偽り、基本的にはイランだけでなく、アメリカ人や全世界に対するサイオプ(心理作戦)だったということを誰も否定しているのを見ていません。
アメリカはイランが絶対飲めない「核濃縮廃止」を突き付けることで、交渉が決裂するようにしむけた上で、イスラエルのイラン攻撃を後押ししたというのですね。しかもネタニヤフ首相との不仲という芝居をしてまで、です。この記事が本当であれば、アメリカはイランの共犯者だといっても差し支えないように思います。




4.仲介に意欲を見せるロシア


こうなると、イスラエル・イラン戦争の仲介をアメリカに期待することはできません。けれども、その一方で、ロシアが仲介に意欲を見せています。

6月13日、ロシア外務省は次の声明を出しました。
中東における緊張の危険なエスカレーションに対し、我々は深い懸念を表明する。6月13日夜にイスラエル国が行った軍事行動は、国連憲章及び確立された国際法の原則の明白な違反であり、我々は強く非難する。

国連加盟国の主権国家、その国民、平和都市、そして重要な原子力インフラ施設に対する、挑発のない軍事攻撃は断じて容認できない。国際社会は、平和を脅かすだけでなく、地域と世界の安全保障を揺るがすこのような行為を決して無視してはならない。

これらの攻撃のタイミングは、国際原子力機関(IAEA)理事会の会合の最中、そしてイラン・イスラム共和国と米国の代表者による次回の間接協議の直前という、特に皮肉な状況にあるように思われる。これらの行為は、緊張緩和と、イランの平和的核開発計画をめぐる疑惑や偏見を払拭するための解決策の模索を目指した、多国間外交努力の進展を著しく損なうものだ。

西エルサレムが事態をさらにエスカレートさせ、緊張を高めるという意図的な決定を下したことは明らかだ。私たちは、この地域の平和と安全を脅かす軍事行動の不安定化効果について、幾度となく警告してきた。これらの挑発行為の結果に対する全責任は、イスラエル指導部にある。

私たちは、この困難な状況において重大な責任を負っているIAEAの行動を注視している。IAEA職員は、イラン・イスラム共和国の国民と同様に、イスラエルの攻撃にさらされている。IAEA事務局長には、現状の展開について、バランスの取れた客観的な評価、特にイランの核施設への攻撃による潜在的な放射線影響に関する包括的な分析を提供することを期待している。

また、IAEA理事会で最近、反イランのヒステリーの波を煽り立て、国際的な幅広い支持がないにもかかわらず、自国の政治的嗜好と根深い恐怖症に合うように仕立てた短期的な解決策を再び押し通した西側諸国が、自らの破壊的なアプローチの危険な結果と、展開しつつある悲劇に対する自らの責任の程度を認識するようになることを期待している。

攻撃を計画、開発、実行した者たちがどのような正当化をしようとも、イランの核開発問題は軍事的手段では解決できず、また解決してはならないと強く信じている。持続可能な解決は、平和的、政治的、そして外交的努力によってのみ可能となる。私たちは、この理解が最終的に実現することを心から願っている。関係各国に対し、事態のさらなるエスカレーションを避け、地域における全面戦争を阻止するため、自制するよう強く求める。

この文脈において、米国はオマーンにおけるイランの核計画についてイランと新たな協議を行う用意があることを指摘しておく。
ロシアは伝統的にイスラエルと友好的な関係を保っているのですけれどもが、ウクライナ「特別軍事作戦」以降、イランとの協力を強化。今年1月、ロシアとイランは包括的戦略的パートナー条約を締結しています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官によると、プーチン大統領が中東状況を綿密に注視していて、外務省、国防省、情報機関から報告を受けているとのことです。


5.イラン寄りのロシア


実際、ロシアはイランとイスラエルを仲介する動きを見せています。

6月13日、ロシア大統領府は、プーチン大統領がイランのマソウド・ペゼシュキアン大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行ったと発表しています。

その発表文は次の通りです。
イスラエルのイランに対する武力行使によって生じた危険なエスカレーションを受けて、ウラジーミル・プーチン大統領はイランのマソウド・ペゼシキアン大統領およびイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行った。

ロシア大統領は、イスラエルの攻撃により民間人を含む多数の死者が出たことについて、イラン当局と国民に哀悼の意を表した。

ウラジーミル・プーチン大統領は、国連憲章及び国際法に違反するイスラエルの行動をロシアは非難すると強調した。ロシアは、イランの核開発計画をめぐる事態の平和的解決に向けた努力を全面的に支持しており、相互に受け入れ可能な合意の達成に向けた具体的な取り組みを提案してきた。ロシアは引き続き、イランとイスラエル間の緊張緩和を促進していく。

ロシア大統領はイスラエル首相との会談において、交渉を再開し、イランの核開発計画に関わるあらゆる問題を政治的・外交的手段のみによって解決することの重要性を強調した。さらに、ロシア大統領は事態のさらなるエスカレーションを防ぐため、仲介に応じる用意があると表明した。

地域全体にとって最も悲惨な結果をもたらす可能性のある現在の状況を解決するために、ロシア側はイランとイスラエル両国の当局と緊密な連絡を維持することに合意した。
プーチン大統領は、イランに哀悼の意を表したのに対し、イスラエルには国際法違反だと厳しく批難しています。ロシアがイラン寄りのスタンスでいることは明らかです。


6.プーチン・トランプ電話会談


となると、イランが共犯者だと批判したアメリカに対してはどうなのかというと。翌14日、プーチン大統領はアメリカのトランプ大統領とも電話会談しています。これについてのロシア大統領府のユーリ・ウシャコフ大統領補佐官は、次のように述べています。
ユーリ・ウシャコフ: こんばんは、同僚の皆さん。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領が先ほどまた電話会談を行いました。会話は約1時間、正確には50分続き、内容が濃く、誠実で、そして何よりも非常に有益なものでした。当然のことながら、中東情勢の危険な悪化に焦点を当てたものでした。

ウラジーミル・プーチン大統領は、イスラエルによるイランに対する軍事作戦を非難し、中東地域全体の状況に予測不可能な結果を​​もたらす可能性のある紛争の激化について深刻な懸念を表明しました。ロシア大統領は、昨日のイスラエル首相およびイラン大統領との電話会談についてアメリカ側に対し報告しました。大統領は、紛争のエスカレーション防止の重要性と、ロシア側が仲介に応じる用意があることを強調しました。

ロシア大統領は、現在の緊張激化に先立ち、イランの核計画に関するアメリカとイランの代表者間の交渉において、相互に受け入れ可能な合意に達するための具体的な措置を提案しましたが、イスラエルは6月15日に予定されていた次回の交渉ラウンドの前夜に攻撃を実施したことを指摘しました。ロシアの原則に基づくアプローチと和平への関心は変わりません。ウラジーミル・プーチン大統領が指摘したように、我々は今後もこの立場に基づいて行動していきます。

一方、ドナルド・トランプ大統領も、イスラエルによるイラン国内の攻撃の有効性を認めつつも、状況を非常に憂慮すべきものと捉えています。しかし、このような複雑な状況にもかかわらず、ロシアと米国の大統領がイランの核開発計画に関する交渉軌道への復帰を否定していないのは特筆に値します。

ちなみに、ドナルド・トランプ氏が指摘したように、アメリカの交渉チームはイラン代表との協議再開の準備ができています。周知の通り、オマーンの仲介により、このような間接的な協議が5回行われました。

【中略】

電話での会話の後、私が言えることは大体これだけです。ありがとうございます。
イスラエルのバックには依然としてアメリカがいて、イランのバックには包括的戦略的パートナー条約を結んでいるロシアがいるとなると、イスラエル・イラン戦争はある意味、アメリカとロシアの代理戦争だといえなくもありません。

それでもなお、トランプ大統領とプーチン大統領の関係が崩れないのであれば、イスラエル・イラン戦争の趨勢は両大統領の思惑と交渉によって決まるのかもしれませんね。



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