

1.非常に厳しいご審判をいただいた
都議選が終わり、その結果は来月の参院選に影響するという見方が広がっています。ある自民党幹部は「思ったよりも大負けした」と、7月の参院選への影響を心配する声があがっているそうです。
この都議選の結果を受け、石破総理は「非常に厳しいご審判をいただいたと思っていますが、どのような訴えが届かなかったのかということをきちんと分析をして、今後にいかしていかねばならない」などと述べていますけれども、「どのような訴えが届かなかったのか」などど自分目線で語っている時点で、国民の声を聞く気があるのかと思ってしまいます。
ただ、党内の受け止めは冷ややかです。
自民のある参院議員は「現金給付が選挙前の弥縫策だと有権者に見透かされた」と述べ、閣僚経験者も「給付金の評判が悪いことだけは現場で分かった」と零しています。
敗因について自民党内では、都議会の不記載問題などさまざまな指摘と共に、複数のベテラン議員が「都民ファーストとのサービス合戦に負けた」と分析していて、物価高対策が焦点となる参院選では「給付か減税かといった差別化が難しいものではなく、新しい打ち出しが必要だ」といった声も出始めているとのことです。
一方、都議選では若者の票にも注目が集まりましたが、出口調査では10代から30代で自民党に入れた人はわずか1割。ある党幹部は、参院選に向け今回、若い層からも支持を受けた都民ファーストの票をとれるかがカギになると指摘しています。
2.やっぱり大敗したな
今回の自民大敗について、23日放送のフジテレビ系「Live News イット!」に出演したジャーナリストの岩田明子氏は、「やっぱり大敗したなというふうに見えましたね。政治とカネというのもすごくスポットが当たったと思いますが、それ以上に身近な生活課題に対して明確な答えを打ち出せなかったところが敗因かと思いましたね。逆に、明確な答えを打ち出している政党というのは初めて議席をとっているところだと思います」とコメント
そして参院選への影響について「十分影響すると思います。無党派層の勝敗が鍵になる都議選は、次の参議院選挙の試金石になりますので注目です」と述べています。
また、昨日のエントリーでも取り上げましたけれども、JX通信社代表取締役の米重克洋氏は次のように解説しています。
各党の得票動向を出口調査や情勢調査から分析して見えるのは、自民・公明(特に自民)が国政野党から票を奪われているということだ。記事中にあるように、自民党議員が本当に「都民ファーストの会とのサービス合戦に負けた」という分析をしているとしたら、失当と言わざるを得ない。米重氏は、自民のベテラン議員が「都民ファーストとのサービス合戦に負けた」との分析を一蹴し、自民党支持層のうち4-5割が自民党以外の候補者に投票し、異常事態が起こっていると指摘しています。
報道各社の出口調査では、今回も都民ファーストの会には自民党支持層の2割ほどが投票したと伝えられているが、全体で見ると自民党支持層のうち4-5割が自民党以外の候補者に投票している。前者は小池知事誕生以来毎度のことだが、後者は今回特有の異常事態だ。そして、自民党から流出した層の受け皿になっているのが国民民主党であり、あるいは参政党である
3.石破首相が夢を語るだけだった
都議会選翌日23日夜、石破総理は国会閉会を受け、記者会見を行いました。
会見で石破総理は、「今日より明日はよくなる」と実感できる日本を実現させたい考えを示し、現在600兆円の名目GDP(国内総生産)を2040年に1000兆円に引き上げ、400万円の平均所得は5割以上増加させるといった目標を表明しました。
そして、今後、「今日の悩みを取り除く」「明日への不安を払拭する」「希望ある未来を創る」の3つのアプローチで政策を推進させるとし、「賃上げや物価高対策」、「アメリカによる関税措置への対応や社会保障改革」、「地方創生などに注力していく」などど述べた上で、「まずは既存の予算、施策、それを総動員して的確な経済財政運営を行っていく」と話しました。
自民党が参院選の公約の掲げた国民1人あたり2万円の現金給付は、「バラマキではなく、本当に困っている方に重点化する給付金だ」と強調し、消費減税については、安定財源がない減税は無責任とし、「時間はかかる、高所得者を優遇することになる、そして何よりも社会保障の財源を危うくする消費税減税は、適切とは思えない」と否定しました。
けれども、この石破総理の必死の訴えも国民には響かなかったようで、ネットでは「中身ないなぁ…」「明らかに参院選のためのPR」「消費税減税、高収入の人が有利になる え!累進課税ですよね」「何のために記者会見してんの? 都議選での惨敗を受けてなんか必死にアピールしてるようにしか見えんのんだけど」「『辞任発表か!』って期待されたのに、石破さんが延々と夢を語ってただけなんだけど…」「石破総理辞めないのか。辞めないなら参院選も大敗やん」「つらつらと石破首相が夢を語るだけだった…」「お気持ち表明会見 時間と税金返してほしい」などと批判の声が殺到。
「石破の会見」「石破さん」と並んで「辞任会見」がトレンド入りする事態にまでなりました。それだけ世間は「石破やめろ」の気持ちが蔓延しているということだと思います。
4.投票先を決める際に最も参考にした情報
6月22日、読売新聞は東京都議選での出口調査結果で、投票先を決める際に最も参考にした情報についても尋ねています。
最も参考にした情報では「選挙公報」が26%でトップだったのですけれども、2位につけたのは「新聞」と並んで「SNSや動画投稿サイト」が17%。次いで「ニュースサイトやアプリ」が14%、「テレビ」は11%となっています。
SNSなどを重視した人を年代別にみると、18、19歳と20~40歳代はいずれも20%を超え、50歳代でもそれに迫る数字となったとのこと。
また、SNSなどを重視した人の投票先では、地域政党・再生の道が最も多く、24%だった。また、都ファにも15%、国民民主にも13%の人が入れていた。一方、自民、公明、共産、立民などの主要政党に投票した人は、いずれも10%に満たなかったとのことです。
投票の参考にした情報でSNSが新聞と並んだということは、情報発信に関して一種の転換点迎えたということであり、もはや、オールドメディアとてSNSを無視できなくなったと言ってよいのではないかと思います。
マスコミが持ち上げ、備蓄米放出で自民支持多少回復させたかに見えた進次郎農水相効果も、今回の都議会選を見る限り、大分その効力も失った感もなくもありません。
これは参院選がより注目を集めることになってきたと思いますね。
この記事へのコメント
■ 1. 正直に答えられない状況の存在
支持を表明すること自体が憚られる空気があるということは、
→「支持している」と答えることがリスクになる
→「本音」を外に出せない
という「情報統制下のような組織内空気」が蔓延しているということ。これは健全な政党組織とは言えません。
■ 2. 虚偽報告や“忖度バイアス”の蔓延
支持者が嘘をついているのではなく、
・地元議員が本部に都合の良い情報しか上げない
・公明などの組織票が「まだ効く」と誤認している
など、「数字を都合よく解釈する文化」が染みついていれば、組織としての機能不全と言わざるを得ません。
■ 3. “忠誠心”の空洞化=離反の予兆
「嘘をつかなければならない人」が増えるということは、本音ではもう支持していない人、裏切りつつある人が相当数に達しているということ。
これはすでに“離反者予備軍”の大量発生を意味しており、まさに組織末期の兆候。
■ 総評:見えない「内部崩壊」が進行中
かつてのように、自民・公明に対して“惰性の支持”が通用しなくなってきている。
それどころか、内部からも「このままでは沈む」と感じている人が、情報を誤魔化し、外に本音を出せず、バラバラに漂流しはじめている。
これはもう、組織の代謝が止まりつつある状態。
自民・公明ともに「票読みが当たらない政党」になり始めたら、次は「統制が取れない政党」になるのも時間の問題です。
日比野
なんか倒産する企業の典型のような感じですね。
(確か藤原直哉氏が動画で、倒産する会社は静かにつぶれるとかいっていたような記憶があります)
内部調査と実際の選挙結果の乖離は、昨年の衆院選でも見られていましたけども、組織内で調査していると思っていたら、どうも外部の調査会社に外注しているそうですね。で、来月の参院選の内部調査も同じ会社に外注しているようです。
外部委託の調査で乖離が出たということは、一般有権者レベルですら「正直に答えない」状況にあるとなり、かなり深刻ですね。
そう考えると世論調査も話半分で考えてみてもよいのかもしれませんね。
今後ともよろしくお願いいたします。