

1.ガザに匹敵するフェンタニル死者
日本経済新聞が6月25日に報じたフェンタニル記事がじわじわと広がっているようです。
ある全国紙警察担当記者は次のようにコメントしています。
・アメリカでは薬物の過剰摂取によって2022年は約11万人、2023年は約10万人が亡くなっており、そのうちフェンタニルが原因の死者は7万人を超えていた。原料は中国からメキシコやカナダに輸出された後、アメリカに密輸されるルートだと言われてきた。しかし、原料がいったん日本の名古屋の拠点を経由している可能性を、日経が指摘したのですアメリカの疾病対策センター(CDC)が5月に発表した2024年の薬物過剰摂取による死者数は推定8万391人、そのうち合成オピオイド(主にフェンタニル)の死者数は推定4万8422人となっています。
・6月25日、アメリカ政府がメキシコ国内の銀行など3つの金融機関に制裁を科すと発表しました。その理由が、フェンタニルの密売に関与した疑いがある、というもの。3社は反論していますが、アメリカ政府に反社のレッテルを貼られたら、金融機関としてはやっていけない。もし、日経がスクープした名古屋を拠点とする中国籍の人物が代表の会社が本当に密売に関わっていたとしたら、彼らに場所を提供したり、仕事を手伝ったりした日本人や日本の会社、それに取引銀行だってアメリカにとって捜査の対象になるかもしれません。そして最も重大なのは、日本当局は知らなかったのかと、アメリカ側に不信感を抱かれかねない事態になっていることです。スクープ記事掲載から一日も経たずに、フェンタニルなどの合成薬物が日米両国において多くの命を奪っている、背景には中国共産党がいる、とSNSに投稿し日本国民に直接呼びかけたのは、他ならぬ、アメリカのジョージ・グラス駐日大使でした
・大阪の西成で、フェンタニル中毒者をみた、という情報がいくつか寄せられています。SNSを見ると、極めて不自然な姿勢で歩く男性が写っていて、報道で見た、アメリカのフェンタニル中毒者とそっくりなんです。本当にフェンタニルを使っているか確認はできていませんが
2023年10月の戦闘開始以来、イスラエル軍のガザ攻撃による死者数は5万5千人を超えたとされていることを考えると、フェンタニルにより死者はガザに匹敵するといってもよいかもしれません。
その背後に中国共産党が居るのだとしたら、ほぼ戦争行為だとアメリカが認定してもおかしくないのではないかと思います。
2.世界中に違法薬物をばら撒いている中国
日本で出回っている違法薬物については、過去にも指摘されていました。
2023年9月、プレジデントオンライン は、「世界中に違法薬物をばら撒いている…潜入捜査で全貌が見えてきた「中国の麻薬工場」のひどすぎる実態」という国際ジャーナリストの矢部武氏の寄稿記事を掲載しています。
件の記事の概要は次の通りです。
若者の薬物汚染が深刻化している。トランプ政権は中国とメキシコ、カナダに責任があると主張し、2025年2月以降にそれぞれ原則20~25%のフェンタニル関税を課しています。もちろん、中国で製造され、メキシコやカナダを通じて米国に持ち込まれているフェンタニルを阻止するためです。
日本大学アメリカンフットボール部の薬物事件では学生寮から乾燥大麻と覚醒剤の錠剤片が見つかり、テレビや新聞で連日大きく報道された。警察庁によると、令和3年度の大麻全体の摘発人数は過去最高となる5482人となっている。このうちの7割が10~20代の若年層だ。彼らが使用した薬物は誰が作り、どのように流通しているのだろうか。
日本国内に出回っている覚醒剤のほとんどは海外から密輸されたものだ。財務省によれば、昨年1年間の税関による覚醒剤の摘発は前年の3.2倍となる300件で、押収量は約567キロだった。これは薬物乱用者の通常の使用量で約1892万回分、末端価格にして約335億円に相当する。
覚醒剤の密輸は航空機や船舶で行われるケースが多い。7月21日には、覚醒剤およそ24キロ(末端価格で約14億8000万円相当)をカナダから成田空港に密輸したとして、32歳の中国人が起訴された。押収された覚醒剤は、手荷物のスーツケースの中に小分けにした状態で入れられていた。
ほかにも、6月7日にはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイから中国を経由して大井埠頭(ふとう)に到着した貨物船のコンテナに、覚醒剤700キロ超(末端価格で約434億円と推定)を隠して密輸したとして、中国籍で20~50代の男女4人を逮捕したと警視庁が発表した。
両方の事件で容疑者は中国人となっているが、これは単なる偶然ではないだろう。実は中国は、日本を含め世界に流通している覚醒剤やヘロイン、フェンタニルなど、違法薬物の主要供給国になっているのである。
政策シンクタンクのブルッキングス研究所が発表した「中国と合成麻薬:地政学が麻薬対策協力に勝る」(2022年3月7日)と題する報告書によれば、中国は世界でも有数の化学製品輸出国であり、16万から40万の化学品製造・販売業者が存在するという。
そのなかには、法的承認を受けていないダミー会社の陰に隠れている業者も少なくない。その多くが合成オピオイドの一種でヘロインの50倍、モルヒネの100倍強力とされる致死性の高いフェンタニルやメタンフェタミン(覚醒剤)などを生産し、海外に密輸している。
中国から密輸される違法薬物によって諸外国は深刻な被害を受けており、中国政府に対して厳しい密輸防止対策をとるように求めている。しかし、中国政府はこの要請に応えていない。
このような状況のなかで、米国司法省は今年の6月23日、フェンタニルの原料や類似体(化学構造と効果が似ている)などの化学物質を違法に取引したとして、中国の化学メーカー4社と従業員ら8人を起訴したと発表した。
米国がフェンタニルの製造販売関連で中国企業を起訴するのは初めてだが、2022年には年間約11万人の米国人の命を奪い、全米の地域社会を破壊していると言っても過言ではないフェンタニルの過剰摂取問題に、米国政府が本気で取り組む姿勢を示した形となった。
起訴された中国企業と従業員は米国へのフェンタニルの密売と、米国にフェンタニルを密輸しているメキシコの麻薬組織に原料を密売した罪などに問われた。
司法省はさきほどの発表のなかで、被告企業や従業員の名前を公表しているが、河北省武漢市に拠点を置くアマベル・バイオテック社(Amavel Biotech)はフェンタニルやその類似体の生産に使用される化学物質を米国とメキシコへ密輸したという。
この事件を起訴したニューヨーク州南部地区連邦検事局のダミアン・ウィリアムズ検事は、「これによってフェンタニルとの戦いは新たな段階に入りました。我々はフェンタニルの原料を生産し販売している中国企業と、マーケティングマネージャーなどの幹部を起訴しました。彼らは米国の捜査官によって手錠を掛けられ、法廷で正義の裁きを受けることになります」と述べた。
今回の起訴にあたっては、連邦麻薬取締局(DEA)の捜査官が約8カ月間にわたって中国企業への潜入捜査を行い、さまざまな証拠を集めたという。
たとえば、被告となった企業はフェンタニルやその原料を米国やメキシコへ輸出する際に、国境検査で検知されないように製品ラベルの偽装、税関申告書の偽造、検問所での虚偽申告、フェンタニルの基礎物質のわずかな修正や新しい分子を加えることで他の物質のように見せかけて、検査を逃れようとした。これは化学では「マスキング」と呼ばれる手法で、元の物質に戻すことは容易だという。
DEAの捜査官は、潜入捜査の過程で被告企業が米国やメキシコへ密輸しようとしたフェンタニルの原料200キロ超を押収したが、これには約2500万人を殺害するのに十分な致死量が含まれている可能性がある。
実際、米国では2021年に10万7573人が薬物の過剰摂取で亡くなり、そのおよそ3分の2にあたる7万7153人がフェンタニルによる死亡となっている(米疾病管理予防センター・CDCの調査)。
司法省のリサ・モナコ副長官は、「私たちは麻薬カルテルが“毒物”を販売するための化学物質を大量に生産し、輸出している中国企業とフェンタニルのサプライチェーン(供給網)とのつながりを徹底的に捜査し起訴することを躊躇(ちゅうちょ)しない。彼らに逃げ道はありません」ときっぱり述べた。
これに対し、中国外務省はフェンタニルに絡む口実を利用した中国企業や中国人に対する制裁・起訴をやめるよう求め、「違法に拘束された人の即時釈放を要求し、米国に責任転嫁や中国への中傷を停止するよう求める」と表明した(ロイター、2023年6月26日)。
中国は大量のフェンタニルを米国やメキシコへ輸出しているだけでなく、覚醒剤やヘロイン、合成麻薬などの世界的な主要供給国にもなっている。
ブルッキングス研究所の報告書(前出)によれば、中国は1990年代以降、覚醒剤をオーストラリアや東アジア全域に輸出する目的で大量に生産してきたという。特にオーストラリアへの輸出が多く、同国内に出回っている覚醒剤の約70%を中国製が占めるようになったこともあり、同国政府は中国に厳しい密輸防止対策をとるよう求めた。中国政府は当時、国連薬物犯罪事務所(UNODC)からも同様の要請を受けていたこともあり、オーストラリアの求めに応じた。
2015年11月、両国間の共同麻薬対策タスクフォースが設置され、オーストラリアへ覚醒剤の密輸を行っていた中国人密売業者が逮捕された。しかし、中国側の協力はあくまで外交的なリップサービスの域を超えるものではなかったため、しばらくすると取り締まりは弱まり、再び中国から大量の覚醒剤が入ってくるようになってしまった。
中国の覚醒剤は2010年代半ばごろまでは、主に中国南部で生産されていたが、その後はミャンマー、タイ、ラオスの3カ国が国境を接する「ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)」と呼ばれる地域で生産されるようになった。
この地域では他にヘロイン、ケタミン、合成麻薬(MDMA)なども生産されているが、ジャングルに囲まれていて様々な軍閥や民兵組織の支配下にあり、警察の目が行き届いていないため、大規模な麻薬生産施設を隠すのに都合の良い場所になっているという。
このような違法薬物ビジネスを牛耳っているのは、「サム・ゴー・シンジケート(SGS=三合会)」と呼ばれる中国系の麻薬マフィアだ。この犯罪組織が、中国が違法薬物を世界中に供給する上で大きな役割を果たしてきた。
SGSは世界中に数十万人から数百万人の構成員と準構成員を抱え、東アジアから北米、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアなどで活動し、日本や韓国、台湾、タイ、ラオス、ミャンマー、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドなど各国の犯罪組織と協力関係にあると考えられている。SGSはアジア太平洋地域に出回っている覚醒剤やヘロインなど違法薬物の40~70%を供給しているというが、紅茶の茶葉のパッケージに麻薬を隠して密輸するやり方はよく知られている。
ロイターの「アジアのエル・チャポを追って」(2019年10月14日)と題する調査報道によると、この組織は2018年の時点で年間80億ドル(約1兆1160億円)から177億ドル(約2兆5665億円)の不法利益を得ていた可能性があるが、東南アジアのカジノの規制が不十分なことを利用して利益のかなりの部分を資金洗浄しているという。
この巨大麻薬シンジケートを率いているのが、中国系カナダ人のツェ・チー・ロップだ。彼は中国南部の広東省で生まれで、毛沢東時代の文化大革命を経験した後、SGSのメンバーとなった。その後、犯罪活動の聖域を求めて香港に移住し、さらに1988年にカナダへ移住、トロントで麻薬犯罪組織の基盤を築いた。
それから当時米国で大きな力を持っていたイタリア系マフィアのファミリーと協力し、カナダから米国にヘロインを密輸したが逮捕。ニューヨーク州の連邦検察に起訴され、懲役9年の実刑判決を言い渡された。
懲役のほとんどの期間をオハイオ州にあるエルクトン連邦矯正施設で過ごしたロップ受刑者は、出所後はSGSのボスとして覚醒剤やヘロイン、合成麻薬などの生産と東アジア地域やオーストラリアへの密輸に力を入れた。しかし、オーストラリアに大量の覚醒剤を密輸した罪を問われて、2019年にオーストラリア連邦警察(AFP)から国際指名手配された。
そして2021年12月、オランダの警察はオーストラリア政府が発行した令状に基づき、アムステルダムのスキポール空港に降り立ったロップ容疑者を逮捕した。2022年12月、オーストラリアに身柄を引き渡された彼は同国内で裁判を受けることになった。
メディアではロップ容疑者に終身刑が言い渡される可能性が指摘されているが、もしそうなったら、世界の麻薬汚染の状況は改善されるのだろうか。
いまのところ、その答えは「ノー」である。なぜなら、たとえボスがいなくなっても、巨大な麻薬組織はそのまま残るからだ。東南アジアのジャングル地帯にある大規模な麻薬生産施設や世界中にはりめぐらされた密輸ネットワークなどは維持され、ほかの誰かがロップ容疑者に取って代わり、組織を率いていくことになるだろう。
麻薬マフィアの問題を根本的に解決するには、中国政府が組織を潰すくらいの覚悟を持って問題に取り組む必要があるだろう。しかし、中国政府がそれを行う可能性は低いように思われる。なぜかといえば、中国政府は違法薬物ビジネスを国の経済にとって重要だと考えているように見えるからだ。
中国の麻薬ビジネスの現場に潜入取材した経験を持ち、調査報道の受賞歴がある米国人ジャーナリストのベン・ウェストフ氏によると、中国共産党はフェンタニルなどの有害で違法な薬物を経済の重要な部分と考えているため、その生産と輸出を抑制しようとしていないという。
中国政府が違法薬物の取り締まりに消極的なことは先述したオーストラリアの例でも明らかだが、その対応を見かねてか、オーストラリア政府は麻薬組織のボスを指名手配にして、他の国の協力を得て容疑者の逮捕にこぎつけたのである。
同様のことは米国についても言える。米国政府はこの4~5年の間、中国政府にフェンタニルの密輸を厳しく取り締まるよう求めてきたが、中国は応じなかった。その結果が米国司法省による中国企業と従業員に対する起訴につながったのである。
中国はアヘン戦争(イギリスの商人が中国にアヘンを持ち込み、国内で蔓延(まんえん)して深刻な社会問題となり、1840年にイギリスとの戦争に発展した)の経験もあり、薬物犯罪には最高で死刑を科すなど厳しく対応している。それにもかかわらず、薬物犯罪を生み出す大きな要因となっている巨大な麻薬組織を放置している。西洋諸国に対して大量の麻薬を密輸しているのは、アヘン戦争の意趣返しなのだろうか。
先述の通り、麻薬マフィアのボスが逮捕されたとしても麻薬汚染の問題は解決しない。中国政府が本腰を入れて組織の壊滅に乗り出さなければ、世界の麻薬汚染が改善に向かうことはないだろう。
この当時からアメリカ政府は中国政府にフェンタニルの密輸を厳しく取り締まるよう求めてきたのですけれども、中国政府は無視してきました。それがトランプ政権になって変わった。
今回、日経の報道で、日本もフェンタニルの流通経路の一つであると報じられました。日本もフェンタニルの不正取引に関わっていると見做されたら、同様のフェンタニル関税を課されることは十分考えられます。
3.蛇の頭を切り落とす
5月28日、アメリカのFOXニュース・チャンネルの番組「Special Report with Bret Baier」 に、カシュ・パテルFBI長官がインタビュー出演し、フェンタニル問題について触れています。
該当部分だけ引用すると次の通りです。
ブレット・ベイヤー:
わかりました。では、あなたが取り組んでいることについて話しましょう。あなたは多くのことを同時に進めています。その一つがフェンタニルに関するオペレーションです。オペレーション・ラントール。これは中国からの前駆物質の流通を阻止するものです。
カシュ・パテル長官:
ブレット、ほとんど誰もこの話題に触れていません。フェンタニルは合成された製造薬物です。木から摘み取るようなものではありません。
そして、アメリカに流入するフェンタニルの量をアメリカに流入しているフェンタニルの量を抑えたいなら、アメリカ市民がほぼ7分ごとに死亡しているこの状況を止めるためには、源流にたどり着く必要があります。
私がFBI長官に就任した際、最初にやったことの一つは、「中国本土に行く」と宣言したことでした。
私たちはフェンタニルの前駆体製造工場と、資金を移動させる銀行、転送ルートを標的としています。ルートです。
私たちは90日以上前にその取り組みを開始しました。私たちは蛇の頭を切り落とすように、十分な措置を講じます。財務省は制裁措置を、国務省は外交交渉を担当します。
しかし、単純な事実として、中国と中国共産党は賢くなりました。彼らは「フェンタニルの前駆体をメキシコに送るのをやめよう」と言いました。メキシコに送るのをやめる。なぜなら、あなたが南の国境を窒息させるような素晴らしい仕事をしたから、私たちは他の機関や国を通じて他の場所に送る。私たちはそのポイントを攻撃してフェンタニルの前駆体の流通を遮断しています。
これまでに誰もそんなことはしていません。今年現在、アメリカ合衆国で1,000キログラムのフェンタニルを押収しました。それは4億8,000万回の致死量に相当します。アメリカとカナダの人口を合わせた全員を殺すのに十分な量です。そしてこれは、たった3ヶ月間の成果です。
カシュ・パテルFBI長官は、フェンタニルの前駆体製造工場と、資金を移動させる銀行、流通ルートをターゲットにして潰しにいっていると宣言しています。日本もその流通ルートであると特定されたならば、その資金と一緒に潰されることになります。
4.ルビオ来日と統合作戦司令部
カシュ・パテルFBI長官は、フェンタニルに対する措置として財務省は制裁措置を、国務省は外交交渉を行うと述べていますけれども、7月上旬に、アメリカのルビオ国務長官が来日する方向で調整していると日本政府関係者が明らかにしています。
来日が実現すれば、石破茂首相や岩屋毅外相と会談するとみられていますけれども、トランプ関税措置を巡って意見交換するほか、イスラエルとイランの停戦合意など中東情勢についても協議する見通しと報じられています。
先に渡米した赤澤経済担当相がベッセント財務長官に会ってさえ貰えない中、ルビオ国務長官が乗り込んでくる。フェンタニル問題も当然議題に挙がってくることは間違いありません。なんとなれば、日本政府としてフェンタニル問題に対応しないのであれば、フェンタニル関税を上乗せすると詰め寄られることだって十分あり得ます。
更に、アメリカの措置は経済制裁や外交交渉だけに止まらない可能性があります。軍事作戦です。
3月24日、防衛省は陸海空の各自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を発足させています。この「統合作戦司令部」は市ヶ谷の防衛省内に置かれ、まずは240人体制ではじめ、2025年度末までに280人体制となる計画とのことですけれども、統合作戦司令官は防衛大臣の命令のもと、陸海空の各自衛隊を一元的に指揮するほか、アメリカ軍などと作戦に関する連絡調整も行うとしています。
防衛省は、「統合作戦司令部」の設置によって、事態の状況に応じた迅速な部隊の運用や、アメリカ軍との連携強化などにつながるとしています。
この「統合作戦司令部」が創設されるのにあわせて、アメリカは在日アメリカ軍を再構成し、カウンターパートとなる「統合軍司令部」を設ける計画を立て、6月27日に、在日米軍内に「自衛隊統合作戦司令部協力チーム(JCT, Japan Self-Defense Force Joint Operations Command Cooperation Team)」を立ち上げたことを明らかにしています。
この日、在日米軍兼第5空軍司令官のスティーブン・ジョスト空軍中将は、朝日新聞に「同盟の推進: 在日米軍と自衛隊がインド太平洋安全保障の未来を変える」という論説を寄稿しています。その一部を引用すると次の通りです。
日米同盟は変革の時代を迎えており、直近では自衛隊統合作戦司令部の設立と在日米軍司令部の進化がその象徴となっている。インド太平洋地域の安全、自由、そして繁栄は、主に中華人民共和国をはじめとする敵対国からの脅威に直面しており、これらの脅威が激化していることを身をもって実感している。現在進行中の安全保障上の進展は、インド太平洋の平和を守るため戦闘能力を優先し、即応態勢を強化する緊急性が高まっていることを浮き彫りにしており、この永続的な同盟関係の新たな局面を歓迎する。インド太平洋地域の安全は、中国からの脅威に直面、と名指ししています。日本の「統合作戦司令部」と在日米軍の「統合軍司令部」が連携してこれに当たるということです。当然、この脅威の中には「フェンタニル問題」も含まれていると思われます。
先日東京で開催された防衛相会談において、ピート・ヘグセス国防長官と中谷元防衛大臣は、ますます厳しさを増す安全保障環境を強調し、両国が共に変革に取り組む必要性を再確認した。「抑止力を強化し、敵を翻弄(ほんろう)し、ジレンマを生じさせ、強さによって平和を実現するという、強固な同盟アジェンダを我々は有している」とヘグセス長官は述べた。
両国防当局者と共に、自衛隊統合作戦司令部の設立を祝う。これは、より統合的で機動的な安全保障態勢への日本のコミットメントを反映した歴史的な進展である。しかし、いったい自衛隊統合作戦司令部とは何であり、なぜ在日米軍と同盟全体にとって重要なのか? 答えは、強化された機能と必要な権限を備えた組織であるということである。言い換えれば、新しい統合作戦司令部は、自衛隊全体の作戦指揮を一元化する統合軍司令部のような役割を果たすことになる。新たな脅威や自然災害に対し、より包括的かつ迅速な対応を提供する日本の能力は大幅に向上する。この重要な一歩は、鍵となる構造的進化を表しており、反撃能力の取得を含む日本の防衛能力の根本的な強化を象徴とする防衛予算の増額とともに進められている。これらの措置の組み合わせは、日本が地域安全保障の提供における主導的な役割を果たす決意を示している。
こうした変化と並行して、在日米軍は地域の平和と安全をより確実に守るために変革を進めている。今後数年間で統合軍司令部に移行するにあたり、統合戦闘機能全体にわたる新たな能力を統合し、より分散的で回復力のある戦力態勢への重要な転換を示すことになる。同盟管理を主な任務とする司令部から、やがては人道支援や災害救援、武力紛争に至るまで、あらゆる作戦を統合・同期させる司令部へと移行することは、途方もない仕事である。私たちの目標は、日本のパートナーとの連携の深さと戦闘力を大幅に向上させる能力を配備し、同盟の抑止力を強化することである。
【以下略】
日米の軍が「フェンタニル問題」に連携して当たるとなれば、名古屋港を筆頭にその他港でも臨検を含む徹底した検査が行われる可能性も考えられます。そうした準備をしたことをチラつかせながらルビオ国務長官が来日するとしたら、石破総理、岩屋外相にはもう逃げ場はありません。媚中政権の年貢の納め時が近づいてきたのかもしれませんね。
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